ヒズブッラーのナスルッラー書記長「我々はシリアにおける作戦の新段階を迎えようとしており、それはアレッポ一帯で行われる」(2016年6月24日)

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はマナール・チャンネル(6月24日付)を通じてテレビ演説を行い、シリア情勢について「アレッポでの戦いはシリア全土を防衛するための戦い」と強調し、アレッポ市一帯での攻勢を示唆した。

ヒズブッラーの幹部司令官ムスタファー・バドルッディーン氏がダマスカス郊外県で殺害されてから40日が経ったのに合わせてテレビ演説を行ったナスルッラー書記長は、「アレッポにおける我々のプレゼンスを増大させることが我々の義務だ…。なぜなら真の戦略的な戦いがアレッポとその一帯で行われているからだ」としたうえで、「我々はシリアにおける作戦の新たな時局、新たな段階を前にしている。それはシリア北部、とりわけアレッポ一帯において行われることになろう」と述べ、アレッポ市一帯での攻勢を示唆した。

ナスルッラー書記長はまた「彼ら(反体制武装集団)が、レバノン、ヨルダン、そして東部前線ダマスカスに至ることに失敗するや、サウジアラビアとトルコは数千の戦闘員を派遣し、北部戦線で攻勢に出ようとした…。米国・サウジアラビア・タクフィール主義者の計画はアレッポ戦線で戦果をあげようとしている」と批判した。

アレッポ市南部一帯での戦闘に関して、ナスルッラー書記長は、2016年6月に入って、シリア国内でヒズブッラーのメンバー・戦闘員26人が死亡、1人が捕捉され、1人が行方不明になっていると認める一方、反体制武装集団の戦闘員617人(うち前線司令官数十人)を殺害し、800人を負傷させ、戦車などの軍用車輌80輌を破壊したと述べ、戦果を強調した。

そのうえで、「アレッポを防衛するための戦いは、シリア全土、そしてダマスカスを防衛するための戦いだ。それはまたレバノン、イラク、そしてヨルダンを防衛するための戦いだ…。これが我々がアレッポにいなければならない理由だ。我々はアレッポにこれまでもいたし、今後もとどまる」と述べ、「7月戦争(2006年のレバノン紛争)において君たち(ヒズブッラー戦闘員)に期待したのと同じく、アレッポでの戦いにおいても君たちに期待している」と呼びかけた。

Naharnet, June 24, 2016
Naharnet, June 24, 2016

AFP, June 24, 2016、AP, June 24, 2016、ARA News, June 24, 2016、Champress, June 24, 2016、al-Hayat, June 25, 2016、Iraqi News, June 24, 2016、Kull-na Shuraka’, June 24, 2016、al-Mada Press, June 24, 2016、Naharnet, June 24, 2016、NNA, June 24, 2016、Qanat al-Manar, June 24, 2016、Reuters, June 24, 2016、SANA, June 24, 2016、UPI, June 24, 2016などをもとに作成。

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レバノンのヒズブッラーはシリア領内で初の民兵組織「ザイン・アービディーン旅団」を結成(2016年6月21日)

クッルナー・シュラカー(6月21日付)は、レバノンのヒズブッラーが、ダイル・ザウル県で民兵組織「ザイン・アービディーン旅団」を結成したと伝えた。

ダイル・ザウル県はダイル・ザウル市など一部を除き、ダーイシュ(イスラーム国)の支配下にある。

ヒズブッラーがダイル・ザウル県を含むシリア国内で民兵組織を結成するのはこれが初めて。

アフマド・ラマダーンを名乗るメディア活動家によると、ザイン・アービディーン旅団は、レバノン人戦闘員と、ダイル・ザウル県ハトラ村の「シーア派に改宗した住民」、イドリブ県フーア市、カファルヤー町の住民(シーア派)から構成されており、シリア軍とは別の指揮系統のもと、シリア軍の軍事情報局と連携して活動を展開するという。

戦闘員の数は150人程度、主に軽火器、携帯式ロケット砲などで武装しているという。

AFP, June 21, 2016、AP, June 21, 2016、ARA News, June 21, 2016、Champress, June 21, 2016、al-Hayat, June 22, 2016、Iraqi News, June 21, 2016、Kull-na Shuraka’, June 21, 2016、al-Mada Press, June 21, 2016、Naharnet, June 21, 2016、NNA, June 21, 2016、Reuters, June 21, 2016、SANA, June 21, 2016、UPI, June 21, 2016などをもとに作成。

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ヒズブッラーはダマスカス郊外県でのムスタファー・バドルッディーン司令官爆殺が「タクフィール主義者」による犯行だったとの調査結果発表(2016年5月14日)

ヒズブッラーは声明を出し、ダマスカス郊外県のダマスカス国際空港近郊の拠点でのムスタファー・バドルッディーン氏の爆殺に関して、「タクフィール主義者が行った砲撃」によって死亡したことが調査結果から判明したと発表した。

バドルッディーン氏の爆殺をめぐっては、イスラエル軍が空爆によって暗殺したなどといった噂が流れていた。

Naharnet, May 14, 2016
Naharnet, May 14, 2016

ナハールネット(5月14日付)などが伝えた。

AFP, May 14, 2016、AP, May 14, 2016、ARA News, May 14, 2016、Champress, May 14, 2016、al-Hayat, May 15, 2016、Iraqi News, May 14, 2016、Kull-na Shuraka’, May 14, 2016、al-Mada Press, May 14, 2016、Naharnet, May 14, 2016、NNA, May 14, 2016、Reuters, May 14, 2016、SANA, May 14, 2016、UPI, May 14, 2016などをもとに作成。

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ヒズブッラー戦闘員の幹部司令官ムスタファー・バドルッディーン氏がダマスカス郊外県で爆殺(2016年5月13日)

ヒズブッラーは声明を出し、ダマスカス郊外県で司令官の一人ムスタファー・バドルッディーン氏が殺害されたと発表した。

声明によると、バドルッディーン氏はダマスカス国際空港近くに散在するヒズブッラーの拠点の一つに対して行われた爆破攻撃に巻き込まれて死亡したという。

ナハールネット(5月13日付)などが伝えた。


AFP, May 13, 2016、AP, May 13, 2016、ARA News, May 13, 2016、Champress, May 13, 2016、al-Hayat, May 14, 2016、Iraqi News, May 13, 2016、Kull-na Shuraka’, May 13, 2016、al-Mada Press, May 13, 2016、Naharnet, May 13, 2016、NNA, May 13, 2016、Reuters, May 13, 2016、SANA, May 13, 2016、UPI, May 13, 2016などをもとに作成。

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イスラエル軍がシリア領内を越境爆撃し、ヒズブッラーの車列を攻撃(2016年5月10日)

イスラエルの民間テレビ局チャンネル2(5月10日付)などは、イスラエル空軍がレバノン国境に近いシリア領内を移動中のヒズブッラーの車列を空爆したと伝えた。

チャンネル2によると、空爆は、シリアの反体制武装集団の「安全な避難所」(safe haven)に近いヒズブッラーの拠点があるとされる場所に対して行われ、武器を搬送する車列が標的となったという。

ナハールネット(5月10日付)などが伝えた。

AFP, May 10, 2016、AP, May 10, 2016、ARA News, May 10, 2016、Champress, May 10, 2016、al-Hayat, May 11, 2016、Iraqi News, May 10, 2016、Kull-na Shuraka’, May 10, 2016、al-Mada Press, May 10, 2016、Naharnet, May 10, 2016、NNA, May 10, 2016、Reuters, May 10, 2016、SANA, May 10, 2016、UPI, May 10, 2016などをもとに作成。

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レバノン軍ヘリコプターが対シリア国境地帯で反体制武装集団の野戦病院を爆撃(2016年4月30日)

ARA News(5月1日付)によると、レバノン軍ヘリコプター複数機がベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外の無人地帯(シリア国境近く)で反体制武装集団の野戦病院を空爆し、救急車輌の搭乗スタッフ2人を殺害した。

AFP, May 1, 2016、AP, May 1, 2016、ARA News, May 1, 2016、Champress, May 1, 2016、al-Hayat, May 1, 2016、Iraqi News, May 2, 2016、Kull-na Shuraka’, May 1, 2016、al-Mada Press, May 1, 2016、Naharnet, May 1, 2016、NNA, May 1, 2016、Reuters, May 1, 2016、SANA, May 1, 2016、UPI, May 1, 2016などをもとに作成。

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レバノン大統領選挙38回目の延期(2016年4月18日)

ナビーフ・ビッリー国民議会議長は、大統領選挙(第2回投票)のための臨時会(38回目、4月19日予定)が定足数に達しなかったことを受け、会合を5月10日に再び延期すると決定した。

ナハールネット(4月18日付)が伝えた。

AFP, April 18, 2016、AP, April 18, 2016、ARA News, April 18, 2016、Champress, April 18, 2016、al-Hayat, April 19, 2016、Iraqi News, April 18, 2016、Kull-na Shuraka’, April 18, 2016、al-Mada Press, April 18, 2016、Naharnet, April 18, 2016、NNA, April 18, 2016、Reuters, April 18, 2016、SANA, April 18, 2016、UPI, April 18, 2016などをもとに作成。

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ヒズブッラーのトゥファイリー元書記長「ヒズブッラーはロシアの計画に奉仕するシーア派版ダーイシュ」(2016年4月9日)

ヒズブッラーの元書記長のスブヒー・トゥファイリー氏はアラビーヤ・チャンネル(4月8日付)の独占インタビューに応じ、そのなかで「ヒズブッラーは、シリアでのロシアの計画に奉仕するだけの兵士になりさがった」と痛烈に批判した。

トゥファイリー氏は、ヒズブッラーが「シリアの政権の王座を守るとミッションに失敗し、同国での戦争のなかで、ヒズブッラーはロシアのアジェンダに従属することを余儀なくされ…、占領国に奉仕するにいたった」と述べた。

また「レバノンのシーア派は、自分たちの息子をシリアでの戦闘へと駆り立てた者に怒り、侮辱、恨みを持っている…。ヒズブッラーはシリアのイスラーム教徒を殺し、宗派騒乱をもたらした…。ヒズブッラーはシーア派のダーイシュ(イスラーム国)だ」と指弾した。

トゥファイリー氏は、1989年から1991年までの2年間ヒズブッラーの(初代)書記長を務めたが、その後離党し、ヒズブッラーを厳しく批判する政治姿勢で知られるようになった。

Alarabia.net, April 9, 2016
Alarabia.net, April 9, 2016

 

AFP, April 9, 2016、AP, April 9, 2016、Alarabia.net, April 9, 2016、ARA News, April 9, 2016、Champress, April 9, 2016、al-Hayat, April 10, 2016、Iraqi News, April 9, 2016、Kull-na Shuraka’, April 9, 2016、al-Mada Press, April 9, 2016、Naharnet, April 9, 2016、NNA, April 9, 2016、Reuters, April 9, 2016、SANA, April 9, 2016、UPI, April 9, 2016などをもとに作成。

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レバノン軍はベカーア県ラアス・バアルベック村郊外でダーイシュの拠点を攻撃(2016年3月10日)

レバノン軍は声明を出し、ベカーア県バアルベック郡ラアス・バアルベッック村郊外でダーイシュ(イスラーム国)を名乗る武装集団の拠点に対して攻撃を行い、戦闘員5人を殺害、数十人を負傷させたと発表した。

戦闘ではレバノン軍兵士1人も戦士したという。

ナハールネット(3月10日付)が伝えた。

Naharnet, March 10, 2016
Naharnet, March 10, 2016


AFP, March 10, 2016、AP, March 10, 2016、ARA News, March 10, 2016、Champress, March 10, 2016、al-Hayat, March 11, 2016、Iraqi News, March 10, 2016、Kull-na Shuraka’, March 10, 2016、al-Mada Press, March 10, 2016、Naharnet, March 10, 2016、NNA, March 10, 2016、Reuters, March 10, 2016、SANA, March 10, 2016、UPI, March 10, 2016などをもとに作成。

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ヒズブッラーのナスルッラー書記長「サウジアラビアはシリアとイエメンでの賭に負けて怒っている」(2016年3月6日)

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、サウジアラビアなどGCC諸国がヒズブッラーをテロ組織に指定したことに関して、「サウジアラビアはシリアとイエメンでの賭に負けて怒っている」と批判した。

アレッポ県での戦闘で戦死したヒズブッラー・メンバーのアリー・ファイヤード司令官の葬儀から1週間が経ったのに合わせて行ったテレビ演説で、ナスルッラー書記長は「この国(レバノン)を守っているのは、軍、国民、そして抵抗運動だ。アラブ連盟やアラブ諸国がイスラエルの侵攻を阻止するなどと期待している者は妄想しているだけだ」と述べた。

またサウジアラビア政府が、レバノン軍への財政支援を中止したことに関して、「我々はあなたがたに何も欲していない。金も武器も支援も望んでいない。抵抗運動、国、そして国民に関わらないで欲しい」と述べた。

一方、GCCがヒズブッラーをテロ組織に指定したことに関して、「ファイヤード氏と彼の兄弟は、ダーイシュ(イスラーム国)がモスル、アンバール、サラーフッディーン、キルクークに侵攻し、バグダードに迫り、イラク全土が危機に曝されたときにイラクに向かった…。我々はイラク人の指導のもとにイラクで戦っている。また我々が米国の指導のもとで戦っていたら、彼ら(GCC)は我々をテロリストとはみなさなかっただろう…。イラクの人民防衛隊がいなかったら、ダーイシュは今頃、あなた方の国の王宮に迫り、あなた方を殺し、あなた方の女性を奴隷にしていたことだろう」と述べた。

そのうえで「アラブの尊厳とは、すべてのアラブ人がイラクに赴き、イラクを守る者たちをテロリストと指定するのではなく、イラク人の尊厳や聖地を守る時に表れる…。サウジアラビアはシリアとイラクでの賭に負けたから怒っているのだ。彼らの怒りはレバノン全体に向けられている。なぜなら、彼らはレバノン国民を我々に対して激高させようとしているからだ…。サウジアラビアが、ダーイシュであれ、シャームの民のヌスラ戦線であれ、あるいは似たようなイデオロギーを持つグループであれ、誰が権力を掌握するかを考えずに、シリアで体制を転覆させようと計画していることを、レバノン人はよく知っている。シリアでサウジアラビアに抵抗している者が、レバノンの国益の真の防衛者でもあるのだ」と強調した。

Naharnet, March 6, 2016
Naharnet, March 6, 2016

 

AFP, March 6, 2016、AP, March 6, 2016、ARA News, March 6, 2016、Champress, March 6, 2016、al-Hayat, March 7, 2016、Iraqi News, March 6, 2016、Kull-na Shuraka’, March 6, 2016、al-Mada Press, March 6, 2016、Naharnet, March 6, 2016、NNA, March 6, 2016、Reuters, March 6, 2016、SANA, March 6, 2016、UPI, March 6, 2016などをもとに作成。

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レバノン大統領選挙は36回目の延期(2016年3月2日)

ナビーフ・ビッリー国民議会議長は、大統領選挙(第2回投票)のための臨時会(36回目、3月2日予定)が定足数に達しなかったことを受け、会合を3月23日に再び延期すると決定した。

ナハールネット(3月2日付)が伝えた。

AFP, March 2, 2016、AP, March 2, 2016、ARA News, March 2, 2016、Champress, March 2, 2016、al-Hayat, March 3, 2016、Iraqi News, March 2, 2016、Kull-na Shuraka’, March 2, 2016、al-Mada Press, March 2, 2016、Naharnet, March 2, 2016、NNA, March 2, 2016、Reuters, March 2, 2016、SANA, March 2, 2016、UPI, March 2, 2016などをもとに作成。

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ヒズブッラーをテロ組織に認定したサウジアラビアなどGCCの決定をシリア政府、レバノンの反シリア派が批判・拒否(2016年3月2日)

サウジアラビア、カタールなどアラブ湾岸諸国からなるGCC(湾岸協力会議)のアブドゥッラティーフ・ズィヤーニー事務局長は、レバノンのヒズブッラーをテロ組織に認定することを決定したと発表した。

ズィヤーニー事務局長は、「(湾岸諸国の)若者をテロ行為に勧誘する敵対行為」を行ったことをその理由にあげるとともに、ヒズブッラーがシリア、イエメン、イラクでテロ活動を行っていると批判した。

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シリアの外務在外居住者省高官は、GCCがレバノンのヒズブッラーをテロ組織に認定したことに関して、SANA(3月2日付)に対し、「イスラエルの政策に調和した措置として、GCCは、ヒズブッラーがシオニストの計略に対して闘争を継続している…という理由でテロ組織に認定した」と述べ、厳しく批判した。

そのうえで、同高官は「ヒズブッラーはダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線、その他のテロ組織に代表されるテロに対する歴史的戦いに貢献している」と強調した。

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レバノンのヌハード・マシュヌーク内務地方自治大臣(ムスタクバル潮流)は、LBCI(3月2日付)に対して、ヒズブッラーをテロ組織に認定したGCCの決定を拒否すると述べた。

AFP, March 2, 2016、AP, March 2, 2016、ARA News, March 2, 2016、Champress, March 2, 2016、al-Hayat, March 3, 2016、Iraqi News, March 2, 2016、Kull-na Shuraka’, March 2, 2016、LBCI, March 2, 2016、al-Mada Press, March 2, 2016、Naharnet, March 2, 2016、NNA, March 2, 2016、Reuters, March 2, 2016、SANA, March 2, 2016、UPI, March 2, 2016などをもとに作成。

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ヒズブッラーのナスルッラー書記長「サウジアラビアとトルコはシリアへの地上部隊派遣を画策し、世界体制を勃発させようとしている」(2016年2月16日)

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、テレビ演説を行い、サウジアラビアとトルコが、シリアへの地上部隊派遣を画策することで、「世界大戦を勃発させようとしている」と非難した。

「殉教指導者の日」に合わせて行われたテレビ演説で、ナスルッラー書記長は以下のように述べた。

「武装集団の相次ぐ敗北が、サウジアラビアとトルコに、有志連合のもとでのダーイシュ(イスラーム国)との戦いを口実とした(シリアへの)地上部隊派遣を考えさせることになった。これは極めて重要な進展だ…。サウジアラビアとトルコは、ダーイシュの脅威に気づいていた。しかし、両国は自分たちが支援する組織が敗北を喫しているために目を覚ましたのだ」。

「サウジアラビアとトルコは交渉のテーブルにとどまり、戦争を継続するために地上部隊を派遣しようとしている…。シリアでのいかなる和解を受け入れることなく、世界大戦を勃発させようとしている…。トルコは「新オスマン帝国構想」の挫折に喘ぎ、シリアにおけるサウジアラビアの企みも頓挫した」。

一方、イスラエルをめぐってナスルッラー書記長は以下のように述べた。

「イスラエルはサウジアラビア、トルコと、アサド大統領が権力にとどまるかたちでの問題解決を許すべきでないという点で合意している…。サウジアラビア、トルコ、そしてイスラエルがこうした問題解決を拒否しているがゆえに、交渉を麻痺させようとしているのだ。彼らは前提条件を提示し、要求をエスカレートさせ、米国さえもそうした状況を批判するようになっている」。

「イスラエルはシリアを分割に追い込むことに失敗した。なぜなら、シリア軍、そしてその同盟者たちがラタキア、アレッポ北部、ダルアー南部、ハサカ、ダイル・ザウルで善戦しているからだ。これは、分割を拒否するとの決意がシリアにあることを意味している」。

Naharnet, February 16, 2016
Naharnet, February 16, 2016


AFP, February 16, 2016、AP, February 16, 2016、ARA News, February 16, 2016、Champress, February 16, 2016、al-Hayat, February 17, 2016、Iraqi News, February 16, 2016、Kull-na Shuraka’, February 16, 2016、al-Mada Press, February 16, 2016、Naharnet, February 16, 2016、NNA, February 16, 2016、Qanat al-Manar, February 16, 2016、Reuters, February 16, 2016、SANA, February 16, 2016、UPI, February 16, 2016などをもとに作成。

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レバノン大統領選挙が35回目の延期(2016年2月8日)

ナビーフ・ビッリー国民議会議長は、大統領選挙(第2回投票)のための臨時会(35回目、2月7日予定)が定足数に達しなかったことを受け、会合を3月2日に再び延期すると決定した。

ナハールネット(2月8日付)が伝えた。

AFP, February 8, 2016、AP, February 8, 2016、ARA News, February 8, 2016、Champress, February 8, 2016、al-Hayat, February 9, 2016、Iraqi News, February 8, 2016、Kull-na Shuraka’, February 8, 2016、al-Mada Press, February 8, 2016、Naharnet, February 8, 2016、NNA, February 8, 2016、Reuters, February 8, 2016、SANA, February 8, 2016、UPI, February 8, 2016などをもとに作成。

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マラダ潮流のフランジーヤ代表「ハリーリー元首相がアウン元国軍司令官を推せば、大統領選挙への立候補をとりさげる」(2016年1月31日)

サアド・ハリーリー元首相(ムスタクバル潮流、3月14日勢力)が大統領候補に推すマラダ潮流(3月8日勢力)のスライマーン・フランジーヤ代表はNBN(1月31日付)に対して、ハリーリー元が自身ではなく、レバノン軍団(3月14日勢力)やヒズブッラー(3月8日勢力)が推す自由国民潮流(3月8日勢力)代表のミシェル・アウン元国軍司令官を支持すれば、大統領への立候補をとりさげる、と述べた。

AFP, January 31, 2016、AP, January 31, 2016、ARA News, January 31, 2016、Champress, January 31, 2016、al-Hayat, February 1, 2016、Iraqi News, January 31, 2016、Kull-na Shuraka’, January 31, 2016、al-Mada Press, January 31, 2016、Naharnet, January 31, 2016、NBN, January 31, 2016、NNA, January 31, 2016、Reuters, January 31, 2016、SANA, January 31, 2016、UPI, January 31, 2016などをもとに作成。

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ヒズブッラーのナスルッラー書記長は、アウン元国軍司令官の大統領就任に向け「道義的、政治的」支持を改めて表明(2016年1月29日)

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はマナール・チャンネル(1月29日付)を通じてテレビ演説を行い、自由国民潮流代表で国民議会議員のミシェル・アウン元国軍司令官の大統領就任に向けて「道義的、政治的」に支持・関与すると述べた。

ナスルッラー書記長は「我々はアウン元司令官の大統領指名を支持するために道義的、政治的に取り組んできた」とする一方、サアド・ハリーリー元首相が後押しするマラダ潮流のスライマンーン・フランジーヤ代表に関しては「もう一人の親友が指名されても、私はアウン元司令官への指示を取り下げることはない。しかし、このことはフランジーヤ代表が大統領に値しないということではない」と述べた。

Naharnet, January 29, 2015
Naharnet, January 29, 2015

 

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NNA(1月29日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外で、レバノン軍とシャームの民のヌスラ戦線が交戦、ヌスラ戦線戦闘員複数人が死傷した。

AFP, January 29, 2016、AP, January 29, 2016、ARA News, January 29, 2016、Champress, January 29, 2016、al-Hayat, January 30, 2016、Iraqi News, January 29, 2016、Kull-na Shuraka’, January 29, 2016、al-Mada Press, January 29, 2016、Naharnet, January 29, 2016、NNA, January 29, 2016、Qanat al-Manar, January 29, 2016、Reuters, January 29, 2016、SANA, January 29, 2016、UPI, January 29, 2016などをもとに作成。

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反シリア・親ハリーリーのレバノン軍団のジャアジャア代表が、親シリア・ヒズブッラーの自由国民潮流代表のアウン元司令官の大統領選挙出馬を支持し、親シリア・ヒズブッラーのマラダ潮流代表のフランジーヤ議員と反シリアのハリーリー元首相を牽制(2016年1月18日)

レバノン軍団のサミール・ジャアジャア代表はマアラーブ市(レバノン山地県キスラワーン郡)で自由国民潮流代表で国民議会議員のミシェル・アウン元国軍司令官と会談し、2015年5月半ばのミシェル・スライマーン大統領の任期終了後不在となったままの大統領の候補の選定について協議した。

Naharnet, January 18, 2016
Naharnet, January 18, 2016

会談後、ジャアジャア代表はアウン元司令官と共同記者会見を開き、アウン元司令官を次期大統領候補として支持すると発表、また自らが属す国民議会内の会派(ブロック)連合である3月14日勢力にアウン元司令官への支持を呼びかけた。

ジャアジャア代表はまた、レバノン軍団と自由国民潮流が、レバノンへの信仰、ターイフ合意、憲法を遵守することを確認したと述べるとともに、国家機関の強化、軍支援、レバノンの国益に沿った独自の外交路線、アラブ諸国をはじめとする国際社会との政治、安全保障面での協力を確認したと明言した。

そのうえで、ジャアジャア代表は、イスラエルを敵国とみなすこと、そしてレバノン・シリア国境の管理強化を通じた武器、戦闘員の移動の抑止をめざすと強調した。

内政においては、2013年半ばに任期を終了し暫定的に任期が延長されている国民議会の占拠に向けた選挙法改正をめざすと述べた。

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ジャアジャア代表が指導するレバノン軍団は、サアド・ハリーリー元首相が率いるムスタクバル潮流が主導する3月14日勢力に属す一方、アウン元司令官が率いる自由国民潮流、そして同組織を中心とする国民議会内会派の変革改革ブロックは、ナビーフ・ビッリー国民議会議長が代表を務めるアマル運動、そしてヒズブッラーとともに会派連合の3月8日勢力をなし、2005年以降、3月14日勢力に対抗してきた。

ジャアジャア代表は、スライマーン大統領の任期終了以降、大統領への就任の意思を示し、3月14日勢力の主要な勢力はこれを支持し、3月8日勢力の後援を受けるアウン元司令官に対抗してきた。

レバノンの大統領は任期が6年で、国民議会が選出することになっている。

現行憲法では、大統領の選出には国民議会議員の3分の2以上の賛成が必要で、3分の2以上の賛成が得られない場合、2回目の投票を行い、過半数の賛成が得られれば、大統領に選出されることになっている。

スライマーン大統領の任期終了に伴い、国民議会は第1回目の投票を実施したが、ジャアジャア代表、アウン元司令官いずれも過半数の票を得ることはできなかった。

その後、国民議会では2016年1月7日までに大統領選出のための臨時会が34回にわたって招集されたが、3月8日勢力の議員らの欠席により定足数に達せず、次回臨時会選挙は2月8日に予定されている。

大統領選挙をめぐる膠着状態は、昨年末、3月14日勢力を主導するムスタクバル潮流代表のサアド・ハリーリー元首相が、3月8日勢力のスライマーン・フランジーヤ議員(マラダ潮流)を大統領候補として支持するとの姿勢を示したのを受け、変化の兆しが見られるようになっていた。

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一方、12月にハリーリー元首相の支持を得ていたフランジーヤ議員は、マロン派のビシャーラ・ラーイー総大主教と会談した。

会談後、フランジーヤ議員はツイッターを通じて、「私は依然として大統領候補であり続ける」とコメントした。

Naharnet, January 18, 2016
Naharnet, January 18, 2016

AFP, January 18, 2016、AP, January 18, 2016、ARA News, January 18, 2016、Champress, January 18, 2016、al-Hayat, January 19, 2016、Iraqi News, January 18, 2016、Kull-na Shuraka’, January 18, 2016、al-Mada Press, January 18, 2016、Naharnet, January 18, 2016、NNA, January 18, 2016、Reuters, January 18, 2016、SANA, January 18, 2016、UPI, January 18, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

レバノン大統領選挙が34回目の延期(2016年1月7日)

ナビーフ・ビッリー国民議会議長は、大統領選挙(第2回投票)のための臨時会(34回目、1月7日予定)が定足数に達しなかったことを受け、会合を2月8日に再び延期すると決定した。

ナハールネット(1月7日付)が伝えた。

AFP, January 7, 2016、AP, January 7, 2016、ARA News, January 7, 2016、Champress, January 7, 2016、al-Hayat, January 8, 2016、Iraqi News, January 7, 2016、Kull-na Shuraka’, January 7, 2016、al-Mada Press, January 7, 2016、Naharnet, January 7, 2016、NNA, January 7, 2016、Reuters, January 7, 2016、SANA, January 7, 2016、UPI, January 7, 2016などをもとに作成。

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ヒズブッラーのナスルッラー書記長はサミール・クンタール氏暗殺への報復を約束(2015年12月27日)

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はテレビ演説を行い、20日のイスラエル軍によると思われるダマスカス郊外県ジャルマーナー市への攻撃でサミール・クンタール氏が死亡した事件に関して「サミール暗殺の報復は必ず行われる…。イスラエル人は国境沿いにネズミのように隠れている…。イスラエル人は心配したほうがいい」と述べ、イスラエルへの報復攻撃の可能性を示唆した。

マナール・チャンネル(12月27日付)が伝えた。

Naharnet, December 27, 2015
Naharnet, December 27, 2015


AFP, December 27, 2015、AP, December 27, 2015、ARA News, December 27, 2015、Champress, December 27, 2015、al-Hayat, December 28, 2015、Iraqi News, December 27, 2015、Kull-na Shuraka’, December 27, 2015、al-Mada Press, December 27, 2015、Naharnet, December 27, 2015、NNA, December 27, 2015、Reuters, December 27, 2015、Qanat al-Manar, December 27, 2015、SANA, December 27, 2015、UPI, December 27, 2015などをもとに作成。

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ヒズブッラーのナスルッラー書記長はクンタール氏暗殺に対して「イスラエルに適切な時に、適切な場所で、適切な方法で報復する」と宣言(2015年12月21日)

ナハールネット(12月21日付)などによると、20日のイスラエル軍によると思われるダマスカス郊外県ジャルマーナー市への攻撃で死亡したヒズブッラーの幹部サミール・クンタール氏の葬儀がベイルート県南部郊外(ダーヒヤ)のグライビー地区で執り行われ、住民やヒズブッラー支持者数千人が参列した。

Naharnet, December 20, 2015
Naharnet, December 20, 2015

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葬儀後、ハサン・ナスルッラー書記長がテレビ演説を行い、イスラエルに対して「適切な時に、適切な場所で、適切な方法で報復する」と明言した。

ナスルッラー書記長は、クンタール氏殺害に関して「イスラエルという敵があからさまな軍事攻撃による暗殺の背後にいることは疑う余地がない…。イスラエルの戦闘機が誘導ミサイルで(クンタール氏がいた)建物を攻撃した…。シオニストという敵がサミール・クンタール氏を暗殺したことを明白且つ公に非難する」と述べた。

クンタール氏殺害に関しては、「自由シリア軍」を名乗るハウラーンの騎士大隊が関与を認めるビデオ声明を公開していたが、ナスルッラー書記長はこれを否定し、イスラエルの犯行だと断じた。

Naharnet, December 20, 2015
Naharnet, December 20, 2015

 

AFP, December 21, 2015、AP, December 21, 2015、ARA News, December 21, 2015、Champress, December 21, 2015、al-Hayat, December 22, 2015、Iraqi News, December 21, 2015、Kull-na Shuraka’, December 21, 2015、al-Mada Press, December 21, 2015、Naharnet, December 21, 2015、NNA, December 21, 2015、Reuters, December 21, 2015、SANA, December 21, 2015、UPI, December 21, 2015などをもとに作成。

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ヒズブッラーの幹部サミール・クンタール氏がイスラエル軍によると思われる攻撃によりダマスカス郊外県ジャルマーナー市で死亡(2015年12月20日)

SANA(12月20日付)は、ヒズブッラーのメンバーで、約30年間(1979年に捕捉)のイスラエルでの投獄生活の末に2008年の捕虜交換で解放されたサミール・クンタール氏が19日晩、ダマスカス郊外県ジャルマーナー市南部にある住宅街に対する「テロ砲撃」で死亡した、と伝えた。

ARA News, December 20, 2015
ARA News, December 20, 2015
SANA, December 20, 2015
SANA, December 20, 2015

この砲撃では、クンタール氏のほかにも複数人が死亡したという。

これに関して、人民議会は声明を出し、クンタール氏殺害について「シリアと地域が曝されているテロは、イスラエル占領政体を筆頭とする欧米および中東地域諸国が指導するシオニスト・タクフィール主義という一つのテロだ」と非難し、イスラエルの関与を断じた。

一方、ヒズブッラーはマナール・チャンネルを通じて声明を出し、クンタール氏がイスラエル軍の空爆で殺害されたと断じた。

声明において、ヒズブッラーは「19日午後10時15分、シオニストの敵機がダマスカス郊外県のジャルマーナー氏の住居ビルを空爆し、イスラエルの刑務所での投獄後に釈放されたレバノン人捕虜の中心人物であるレジスタント、ジハード戦死のサミール・クンタール氏と多くのシリア人住民が殉教した」と発表した。

また、ウムラーン・ズウビー情報大臣、バアス党シリア地域指導部、そしてレバノンのエミール・ラッフード元大統領、シリア民族社会党アスアド・ハルダーン党首、レバノン民主党タラール・アルスラーン党首、アマル運動政治局、シーア派イスラーム評議会アブドゥルアミール・カバラーン副議長、ドゥルーズ派のナスルッディーン・ガリーブ師(シャイフ・ムワッハディーン)、PFLP-GC、ファトフ・インティファーダ派、バアス党イエメン地域指導部、イラン外務省が、イスラエルの越境空爆を非難するとともに、クンタール氏の死に哀悼の意を表明した。

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『ハヤート』(12月21日付)によると、ダマスカス郊外県への空爆に関して公式声明を発表していないが、対レバノン国境地帯での厳戒態勢を強化したという。

また、クンタール氏の死亡が報じられた数時間後、レバノン南部(カリーラ村)からカチューシャ・ロケット弾3発がイスラエルに向けて撃ち込まれたが、イスラエルのメディアによると死傷者、物的被害はなかったという。

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なお、9月30日にロシア軍がシリア領内での空爆を開始した直後の10月15日、ラタキア県フマイミーム航空基地に本営を構えるシリア駐留ロシア空軍とイスラエル軍は、ホットラインを開設し、シリア領空での飛行に関する情報交換をしており、以降、イスラエル軍は、10月30日、11月12日、11月24日、12月4日にシリア領空のヒズブッラー拠点やシリア軍拠点を攻撃するなど、越境空爆を頻発化させている。

また、クンタール氏が攻撃を受けた同市内の建物に滞在していた情報をイスラエル軍(ないしは反体制武装集団)がどのように入手したかは不明。

ジャルマーナー市はダマスカス県とダマスカス国際空港の間に位置する都市で、シリア政府支持者が多く暮らしている。

jaramana

AFP, December 20, 2015、AP, December 20, 2015、ARA News, December 20, 2015、Champress, December 20, 2015、al-Hayat, December 21, 2015、Iraqi News, December 20, 2015、Kull-na Shuraka’, December 20, 2015、al-Mada Press, December 20, 2015、Naharnet, December 20, 2015、NNA, December 20, 2015、Qanat al-Manar, December 20、Reuters, December 20, 2015、SANA, December 20, 2015、UPI, December 20, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ(イスラーム国)と共闘するヌスラ戦線がレバノン内務治安総軍隊員16人を釈放、レバノン当局は見返りとしてアブー・バクル・バグダーディー氏の元妻ら13人の収監者を釈放:ヒズブッラーのナスルッラー書記長とカタールのタミーム首長が仲介(2015年12月1日)

Naharnet, December 1, 2015
Naharnet, December 1, 2015
Naharnet, December 1, 2015
Naharnet, December 1, 2015

ベカーア県バアルベック郡の対シリア国境地帯でダーイシュ(イスラーム国)とともに活動を続けるアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線は、2014年8月2~3日のアルサール村襲撃によって拉致していた内務治安総軍の隊員16人を釈放した。

ナハールネット(12月1日付)、MTVなどによると、隊員16人の釈放に向けたレバノン政府当局とヌスラ戦線の折衝はカタール政府によって仲介され、身柄引き渡しはアルサール村郊外で行われた。

解放された16人はレバノン赤十字社の車輌でただちに首都ベイルートに移送され、家族らと再開した。

16人は、MTV(12月1日付)に対して、釈放に向けた交渉を指揮したアッバース・イブラーヒーム総合治安局長、ワーイル・アブー・ファーウール保健大臣、カタール政府らに謝意を述べた。

またベイルート到着から数時間後、16人は首相官邸で解放を祝う式典に参加、その後リヤード・スルフ広場で家族とともに解放を祝った。

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ジャズィーラ・チャンネル(12月1日付)によると、16人の釈放の見返りとして、レバノン当局は週間中のイスラーム過激派およびその関係者13人を釈放、またヌスラ戦線戦闘員の遺体を引き渡した。

このうち5人は女性で、そのなかには、ダーイシュの指導者アブー・バクル・バグダーディー氏の元妻の一人とされるサジャー・ハミード・ドゥライミー氏(イラク人)、ヌスラ戦線カラムーン地方司令官(アミール)のアブー・マーリク・タッリー氏に近いサマル・ヒンディー女史も含まれていた。

ドゥライミー氏は2014年12月、「テロ容疑」でレバノン当局に逮捕されていた。

ドゥライミー氏は、バグダーディー氏と離婚して7~8年が経過しており、自身は現在の夫とともにトルコに向かう途中だったと述べている。

釈放された13人は、ヌスラ戦線に引き渡される予定だったが、うち少なくとも10人はヌスラ戦線のもとには向かわず、自らの意思で首都ベイルートにとどまっているという。

なお、ヌスラ戦線は13人の釈放のほか、シリア・レバノン国境地帯で避難生活を送る避難民への支援物資の配給を要求している。

ARA News, December 1, 2015
ARA News, December 1, 2015

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一方、アッバース・イブラーヒーム総合治安局長はジャディード・チャンネル(12月1日付)に対し、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長とカタールのタミーム・ビン・ハマド・サーニー首長が連絡をとりあったことで、捕虜釈放の動きが加速したことを明らかにした。

イブラーヒーム総合治安局長は「10月に(ヒズブッラー書記長のハサン・)ナスルッラー氏のもとを訪れ、彼は私にカタールの首長に連絡をとると約束してくれた。1週間後、事件は急速な進展を遂げ始めた…。ナスルッラー氏は先週毎日のように交渉に伴うさまざまな問題に取り組むべく介入してくれ、困難を克服すべく、カタール首長に連絡をとってくれた」と強調した。

またナスルッラー書記長は、シリアのアサド大統領とも連絡をとり、アルサール村一帯(およびダマスカス郊外県カラムーン地方)のヌスラ戦線が停戦と、シリア当局が拘束中の逮捕者釈放を求めている旨、伝えてくれたとも付言した。

AFP, December 1, 2015、AP, December 1, 2015、ARA News, December 1, 2015、Champress, December 1, 2015、al-Hayat, December 2, 2015、Iraqi News, December 1, 2015、al-Jadid TV, December 1, 2015、Kull-na Shuraka’, December 1, 2015、al-Mada Press, December 1, 2015、MTV, December 1, 2015、Naharnet, December 1, 2015、NNA, December 1, 2015、Reuters, December 1, 2015、SANA, December 1, 2015、UPI, December 1, 2015などをもとに作成。

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イスラエル軍機がシリア・レバノン国境地帯を領空侵犯し、ヒズブッラー・シリア軍の合同拠点を爆撃(2015年11月24日)

ARA News(11月24日付)は、複数の地元活動家筋の話として、イスラエル軍戦闘機が23日深夜、シリア・レバノン国境地帯を領空侵犯し、ダマスカス郊外県カラムーン地方のラアス・マアッラ町郊外の無人地帯にあるシリア軍とヒズブッラーの合同拠点に対して空爆を行った、と伝えた。

この空爆で、10人が死亡、多数が負傷し、ナブク市の国立病院に搬送されたという。


AFP, November 24, 2015、AP, November 24, 2015、ARA News, November 24, 2015、Champress, November 24, 2015、al-Hayat, November 25, 2015、Iraqi News, November 24, 2015、Kull-na Shuraka’, November 24, 2015、al-Mada Press, November 24, 2015、Naharnet, November 24, 2015、NNA, November 24, 2015、Reuters, November 24, 2015、SANA, November 24, 2015、UPI, November 24, 2015などをもとに作成。

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欧米諸国高官は、12日のベイルートでの連続自爆テロがダーイシュ(イスラーム国)のアドナーニー報道官の指示によるものだと疑う(2015年11月22日)

『ニューヨーク・タイムズ』(11月22日付)は、欧米諸国の複数の高官の話として、パリでの同時テロ事件の前日(12日)にベイルート県郊外で発生した連続自爆テロ事件に関して、ダーイシュ(イスラーム国)の公式報道官であるアブー・ムハンマド・アドナーニー氏のシリアからの指示のもとに実行されたことを示唆する証拠があると伝えた。

なお、フランス治安当局は、パリの同時テロ事件に深く関わった疑いのあるベルギー人、アブデルアミド・アバウード容疑者がアドナーニー氏の下で活動していたと見ているという。

AFP, November 23, 2015、AP, November 23, 2015、ARA News, November 23, 2015、Champress, November 23, 2015、al-Hayat, November 24, 2015、Iraqi News, November 23, 2015、Kull-na Shuraka’, November 23, 2015、al-Mada Press, November 23, 2015、Naharnet, November 23, 2015、The New York Times, November 22, 2015、NNA, November 23, 2015、Reuters, November 23, 2015、SANA, November 23, 2015、UPI, November 23, 2015などをもとに作成。

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アル=カーイダ系組織のヌスラ戦線はレバノン人人質解放の条件としてダマスカス郊外県の2カ村の割譲と女性囚人5人の釈放を要求(2015年11月16日)

アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線のカラムーン地方司令官(アミール)のアブー・マーリク・タッリー氏はトルコのアナトリア通信(11月16日付)の取材に応じ、2014年8月にベカーア県バアルベック郡アルサール村でダーイシュ(イスラーム国)とともに拉致したレバノン軍兵士・内務治安軍総局隊員の解放の条件として、レバノンの刑務所に収監されている女性5人の釈放と、シリア領内のフライタ村とマアッラ村の割譲を要求した。

AFP, November 16, 2015、AP, November 16, 2015、Anadolu Ajansı, November 16, 2015、ARA News, November 16, 2015、Champress, November 16, 2015、al-Hayat, November 17, 2015、Iraqi News, November 16, 2015、Kull-na Shuraka’, November 16, 2015、al-Mada Press, November 16, 2015、Naharnet, November 16, 2015、NNA, November 16, 2015、Reuters, November 16, 2015、SANA, November 16, 2015、UPI, November 16, 2015などをもとに作成。

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ヒズブッラーのナスルッラー書記長はパリとベイルートでの同時多発テロ犠牲者に弔意(2015年11月14日)

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はテレビ演説を行い、13日にパリで発生した同時多発テロと12日にベイルート県南部郊外で発生した同時自爆テロを厳しく非難した。

ナスルッラー書記長は、ベイルート県南部郊外での同時自爆テロに関して、「ダーイシュ(イスラーム国)には未来はない。戦火のなかでも、平和においてもだ。彼らはシリアとイラクにおいて支配地域を喪失している…。ブルジュ・バラージナ地区での爆発事件は彼らに逆効果をもたらすだろう…。イスラエル人とタクフィール主義者はレバノン国内に内戦をもたらそうとしているが、レバノンはこうした脅迫に対して自ら対抗できる」と述べた。

一方、パリでの同時多発テロについては、「我々、ヒズブッラーは、パリでのダーイシュによるテロ攻撃を強く非難する」と述べた。

ナハールネット(11月14日付)などが伝えた。

AFP, November 14, 2015、AP, November 14, 2015、ARA News, November 14, 2015、Champress, November 14, 2015、al-Hayat, November 15, 2015、Iraqi News, November 14, 2015、Kull-na Shuraka’, November 14, 2015、al-Mada Press, November 14, 2015、Naharnet, November 14, 2015、NNA, November 14, 2015、Reuters, November 14, 2015、SANA, November 14, 2015、UPI, November 14, 2015などをもとに作成。

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ベイルート南部郊外で連続自爆テロが発生し43人が死亡、239人が負傷、ダーイシュ(イスラーム国)を名乗る集団が犯行を認める声明を発表(2015年11月12日)

NNA(11月12日付)などによると、ベイルート県南部郊外のブルジュ・バラージナ地区に近い商店街で、男性2人が相次いで自爆テロを行い、住民43人が死亡、239人が負傷した。

内務治安軍総局によると、自爆犯2人はブルジュ・バラージナ地区に至るアイン・スィッカ通りのショッピング・センター前で、着用していた自爆ベルトを爆発させて犯行に及んだという。

一方、レバノン軍によると、自爆テロを行った2人の他に、もう1人自爆ベルトを着用した男性がいたが、犯行に失敗したという。

この連続自爆テロに関して、ダーイシュ(イスラーム国)を名乗る集団が声明を出し、「カリフの兵は、ラーフィディーン(シーア派)が多い地区で、バイクに爆弾を仕掛け爆破した…。同地区に背教者が集まったのを受け、殉教の騎士1人が背教者のなかで自らの自爆ベルトを爆破した」と発表した。

ベイルート南部郊外で大規模なテロが発生するのは、2014年半ば以来。


AFP, November 12, 2015、AP, November 12, 2015、ARA News, November 12, 2015、Champress, November 12, 2015、al-Hayat, November 13, 2015、Iraqi News, November 12, 2015、Kull-na Shuraka’, November 12, 2015、al-Mada Press, November 12, 2015、Naharnet, November 12, 2015、NNA, November 12, 2015、Reuters, November 12, 2015、SANA, November 12, 2015、UPI, November 12, 2015などをもとに作成。

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ベカーア県アルサール村でレバノン軍戦車が攻撃を受け、兵士5人が負傷(2015年11月6日)

NNA(11月6日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村入口のラアス・サルジュ地区で、レバノン軍戦車の近くで爆弾が爆発し、兵士5人が負傷した。

アルサール村ではカファフ・ジャアファル地区でもレバノン軍が武装集団と交戦した。

AFP, November 6, 2015、AP, November 6, 2015、ARA News, November 6, 2015、Champress, November 6, 2015、al-Hayat, November 7, 2015、Iraqi News, November 6, 2015、Kull-na Shuraka’, November 6, 2015、al-Mada Press, November 6, 2015、Naharnet, November 6, 2015、NNA, November 6, 2015、Reuters, November 6, 2015、SANA, November 6, 2015、UPI, November 6, 2015などをもとに作成。

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レバノンでシリア人活動家の組織「カラムーン・ウラマー委員会」のウラマー4人が爆殺(2015年11月5日)

NNA(11月5日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外でシリア人活動家によって構成されるカラムーン・ウラマー委員会を狙った爆発が発生し、ウマル・ハラビー氏(副委員長)、アラー・バックール氏、アリー・ラシャク氏、ファウワーウ・ウラービー氏の4人のウラマーが死亡した。

カラムーン・ウラマー委員会委員長のウスマーン・マンスール氏は重傷を負った。

LBCI(11月5日付)は、爆発がオートバイに仕掛けられていた爆弾によるものだと報じる一方、AFP(11月5日付)は、自爆攻撃だと伝えた。

カラムーン・ウラマー委員会は、ベカーア県バアルベック郡アルサール村一帯のシリア人避難民への支援などを行う組織で、2014年8月にダーイシュ(イスラーム国)とシャームの民のヌスラ戦線からなる武装集団がレバノン軍・治安機関隊員を拉致した際は、解放に向けた交渉を仲介していた。

AFP, November 5, 2015、AP, November 5, 2015、ARA News, November 5, 2015、Champress, November 5, 2015、al-Hayat, November 6, 2015、Iraqi News, November 5, 2015、Kull-na Shuraka’, November 5, 2015LBCI, November 5, 2015、al-Mada Press, November 5, 2015、Naharnet, November 5, 2015、NNA, November 5, 2015、Reuters, November 5, 2015、SANA, November 5, 2015、UPI, November 5, 2015などをもとに作成。

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ヒズブッラーのナスルッラー書記長「我々はシリアでの戦いにおいて退くことはない…。我々は勝利する」(2015年10月23日)

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はアーシューラー最終日に合わせて演説を行った。

演説においてナスルッラー書記長はシリア情勢についても言及し、「我々はこの戦いにおいて退くことはない。誰がそうなると賭けようとだ。この戦いは、我々が(勝利を)信じている戦いであり、我々は勝利するだろう」と述べた。

ナハールネット(10月23日付)が伝えた。

AFP, October 23, 2015、AP, October 23, 2015、ARA News, October 23, 2015、Champress, October 23, 2015、al-Hayat, October 24, 2015、Iraqi News, October 23, 2015、Kull-na Shuraka’, October 23, 2015、al-Mada Press, October 23, 2015、Naharnet, October 23, 2015、NNA, October 23, 2015、Reuters, October 23, 2015、SANA, October 23, 2015、UPI, October 23, 2015などをもとに作成。

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