イスラエル軍は無人航空機でダマスカス・ベイルート街道を攻撃、ゴラン解放シリア抵抗などの民兵への資金援助を主導していたカーティルジー・インターナショナル・グループ社会長のバラー・アフマド・カーティルジー氏を暗殺(2024年7月15日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団、イナブ・バラディー(7月15日付)、シャームFM(7月15日付)などによると、サブーラ町近郊のダマスカス・ベイルート街道沿線で、イスラエル軍の無人航空機1機が、カーティルジー・インターナショナル・グループ社会長のバラー・アフマド・カーティルジー氏が乗った車1を攻撃、このビジネスマンを含む2人が殺害された。

車はレバノン・ナンバーで、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所を経由してレバノンから入国したところを狙われた。

カーティルジー氏は、1976年、ラッカ市生まれで、フサーム・カーティルジー人民議会議員のきょうだい。

アサド大統領のいとこで2020年に粛清されたラーミー・マフルーフ氏に近い人物で、カーティルジー・インターナショナル・グループ(カーティルジー機械工学産業社、アルファード石油社など)の共同創設者の1人で、会長を務めていた。

ゴラン解放シリア抵抗、バーキル旅団といった民兵に資金支援を主導していたとされるほか、フサーム・カーティルジー議員、ムハンマド・アーガー氏とともに、カーティルジー・グループ社の民兵を創設、数千人の規模を誇るとされる同民兵はアレッポ県を中心に活動、2016年のアレッポ市東部地区の解放戦などに参加した。

なお、カーティルジー・インターナショナル・グループは、ダーイシュ(イスラーム国)が勢力を拡大した2010年代半ばに、その支配地域からの石油の密輸などに関与していたと反体制派の非難を受けている。

同社は現在、北・東シリア地域シリア民主自治局の支配地域で生産される石油のシリア政府支配地への輸入を担っている。

カーティルジー氏はこのほかにも、制憲(憲法制定)委員会のメンバーを務めていた。

米財務省は、米国は2018年にカーティルジー氏も制裁対象に指定していた。

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イスラエルのチャンネル13TV(7月15日付)は、イスラエル軍の無人航空機の攻撃で2人が殺害されたと伝えた。


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シリア人権監視団によると、イスラエル軍によるシリアへの攻撃は、7月に入って5回目、今年に入って54回目(うち39回が航空攻撃、15回が地上攻撃)、これにより109あまりの標的が破壊され、軍関係者180人が死亡、96人が負傷しているという。

同監視団によると、軍関係者の死者内訳は以下の通りである。

イラン人(イラン・イスラーム革命防衛隊):23人
ヒズブッラーのメンバー:38人
イラク人:18人
「イランの民兵」のシリア人メンバー(カーティルジー・グループ社も含む):45人
「イランの民兵」の外国人メンバー:14人
シリア軍将兵:42人

また、民間人も16人(女性3人と子供1人を含む)が死亡、36人あまりが負傷している。

攻撃の県別内訳は以下の通りである。

ダマスカス県、ダマスカス郊外県:22回
ダルアー県:14回
ヒムス県:7回
クナイトラ県:6回
タルトゥース県:3回
ダイル・ザウル県:1回
アレッポ県:2回

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、Sham FM, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024、13 TV , July 15, 2024などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

 

マイケル・エリック・クリラCENTCOM司令官がヨルダンとシリア領内の司令官と部隊を訪問(2024年7月15日)

米中央軍(CENTCOM)は現地時間の午前0時4分、X(旧ツイッター)のアカウント(https://twitter.com/CENTCOM)を通じて声明を出し、マイケル・エリック・クリラCENTCOM司令官が12日と14日にヨルダンとシリア領内の司令官と部隊を訪問したと発表した。

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イエメンのアンサール・アッラー(フーシー派)は紅海で石油タンカー2隻を攻撃するとともに、地中海ではイラク・イスラーム抵抗と共同作戦を実施し、貨物船1隻を攻撃したと発表(2024年7月15日)

イエメンのアンサール・アッラー(フーシー派)のヤフヤー・サリーア報道官は午後10時52分、X(旧ツイッター)のアカウント(https://twitter.com/army21ye)を通じて声明を出し、紅海で石油タンカーのベントレーIとチオス・ライオンを攻撃するとともに、地中海ではイラク・イスラーム抵抗と共同作戦を実施し、貨物船オリビアを攻撃したと発表した。

 

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラク・イスラーム抵抗はイスラエルのエイラート市を無人航空機とアルカブ・ミサイル1発で攻撃したと発表(2024年7月15日)

イラク・イスラーム抵抗は午前5時16分、テレグラムのアカウント(https://t.me/ElamAlmoqawama)を通じて声明を出し、イスラエルのエイラート市を無人航空機とアルカブ・ミサイル1発で攻撃したと発表した。

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ヒズブッラーが主導するレバノン・イスラーム抵抗はイスラエル北部(イスラエル占領下のレバノン南部)を4回攻撃する一方、戦闘員1人が死亡したと発表(2024年7月15日)

レバノン・イスラーム抵抗はテレグラムの公式アカウント(https://t.me/mmirleb)で、7月15日の戦果について以下の通り発表した。

(時刻明示せず)ビラニット軍事キャンプ一帯に集結するイスラエル軍部隊をロケット弾複数発で攻撃し、直接の損害を与える。

午前10時50分、ラーヒブ陣地のスパイ設備を地対地ロケット弾複数発で攻撃し、これを破壊。

午後5時40分、占領下カフルシューバー村丘陵地帯のサンマーカ陣地を砲撃。

(時刻明示せず)ビント・ジュバイル市に対する攻撃で民間人が死亡したことへの報復として、キリヤット・シュモナ入植地をファラク1ロケット弾とカチューシャ砲数十発で攻撃。

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レバノン・イスラーム抵抗はまた、戦闘員1人が死亡したと発表した。

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イスラエル軍はテレグラムの公式アカウント(https://t.me/idfofficial)を通じて以下の通り発表した。

午後5時34分、レバノンから飛翔体1つが飛来し、空地に着弾、午後4時15分に警報が発令された。また、午後4時45分に警報が発令され、多連装ミサイルがレバノンからの飛翔体を撃破、別の飛翔体も飛来し、イスラエル領内の空地に墜落。本日早く、マイス・ジャバル村地域のヒズブッラーの軍事施設2ヵ所に入ったテロリスト複数人を狙って攻撃。

午後9時36分、ビント・ジュバイル市地域にあるヒズブッラーの武器貯蔵施設と、カフルカラー村地域の軍事施設を先ほど攻撃。

午前12時00分(16日午前0時00分)、キリヤット・シュモナ入植地地域に約10発の飛翔体がレバノンから飛来し、午後11時30分に警報が発令され、多連装ミサイルがこれを迎撃。また、11時39分にも警報が発令され、約10発の飛翔体が飛来。

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Qanat al-Manar, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024などをもとに作成。

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ダルアー県ジャースィム市でフサーム・ハルキーを名乗る人物の地元武装集団と、ワーイル・ジャラムを名乗る人物の軍事情報局傘下の民兵の衝突が続く(2024年7月15日)

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ジャースィム市で「フサーム・ハルキー」(ブージー、グバイニー)を名乗る人物の地元武装集団と、「ワーイル・ジャラム」を名乗る人物の軍事情報局傘下の民兵の衝突が続いた。

また、ナフジュ村で治安当局に協力する女性の呪術師が正体不明の武装集団によって銃で撃たれて死亡した。

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024などをもとに作成。

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シリア軍がシャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県アルバイーン山東のルワイジュ村、ルワイハ村、マンタフ村、マアッルザーフ町などを多数の自爆型無人航空機で攻撃(2024年7月15日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャーム解放機構の支配下にあるアルバイーン山東のルワイジュ村、ルワイハ村、マンタフ村、マアッルザーフ町などを自爆型無人航空機7機で攻撃した。

これに対して「決戦」作戦司令室が迎撃、機関銃で1機を撃墜した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

イナブ・バラディー(7月15日付)によると、攻撃に使用された無人航空機は12機。

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県の治安委員会が、政府の支配下にあるダイル・ザウル市、ブーカマール市、マヤーディーン市でシリア軍部隊以外の個人による武器の所持を禁止する決定を発出(2024年7月15日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、治安委員会が、政府の支配下にあるダイル・ザウル市、ブーカマール市、マヤーディーン市でシリア軍部隊以外の個人による武器の所持を禁止する決定を発出した。

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024などをもとに作成。

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シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県各所で、ジャウラーニー指導者の打倒、逮捕者の即時釈放を訴える抗議デモ(2024年7月15日)

イドリブ県では、テレグラムの「シリア革命の咆哮者たち」(https://t.me/s/mzmgr_syria)によると、シャーム解放機構の支配下にあるビンニシュ市、アルマナーズ市、イドリブ市、タフタナーズ市、カラーマ国内避難民(IDPs)キャンプ群、アビーン・サムアーン村、カフルタハーリーム町、ハーリム市、サルキーン市で、アブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者の打倒、逮捕者の即時釈放を訴える抗議デモを行った。









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一方、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ市で、同機構の総合治安機関が抗議デモを主導したとして3人を逮捕、連行した。

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024などをもとに作成。

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トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア地域民主自治局の共同支配下にあるマンビジュ市近郊を複数回にわたって砲撃(2024年7月15日)

アレッポ県では、ANHA(7月15日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア地域民主自治局の共同支配下にあるマンビジュ市近郊のトゥーハール村、ダラジュ村、アラブ・ハサン村、ジャッラード村、アブー・ジュルード村、アウン・ダーダート村を複数回にわたって砲撃した。

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024などをもとに作成。

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スワイダー県で人民議会選挙拒否を訴える活動家らに警察が発砲し1人が負傷する一方、ラッカ県では投票所近くに爆発物が仕掛けられる(2024年7月15日)

スワイダー県では、スワイダー24(7月15日付)、ANHA(7月15日付)、イナブ・バラディー(7月15日付)、シリア人権監視団などによると、スワイダー市のサイル広場(カラーマ広場)や県庁周辺などで、活動家らが抗議デモを行い、自由、体制打倒、国連安保理決議第2254号の履行、逮捕者釈放、そして人民議会拒否を訴えた。

参加者らは「腐敗した者は腐敗した者しか選ばない」、「あなたの票はあなたの尊厳だ、だから安売りするな」、「血の議会の選挙反対」などと連呼して、抗議の意思を示した。


これに対して、スワイダー県警察の建物内からデモ参加者に向けて発砲があり、1人が負傷し、病院に搬送された。









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シリア人権監視団は、複数筋から得た情報だとして、ダイル・ザウル県で多くの市民が投票を拒否する一方、一部立候補者は有権者に5万シリア・ポンドを賄賂として払い、票を買収していると発表した。

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シリア人権監視団はまた、ヒムス県で投票開始後数時間、有権者が投票にほとんど訪れなかったと発表した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、マアダーン町の学校に設置されている投票所近くに武装集団によって仕掛けられたと見られる爆弾が発見され、シリア軍がこれを撤去した。

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イナブ・バラディー(7月15日付)によると、ハサカ県での投票は、ハサカ市とカーミシュリー市の治安厳戒地区に限定された。

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024、、Suwayda 24, July 15, 2024などをもとに作成。

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アサド大統領は第4期人民議会選挙の投票を行う:「シリア領からの撤退とテロとの戦いは条件でも要求でもなく、トルコと正常な関係を築く上での要件」(2024年7月15日)

アサド大統領は首都ダマスカスに設置された投票所で第4期人民議会選挙の投票を行った。










投票を終えたアサド大統領は記者らの質問に対して以下の通り述べた。

(人民議会選挙において何か期待されているかとの質問に対して)我々が人民議会という組織について話したいのなら、我々はそれにすべての希望を託すことができる。なぜなら、国会はどの国においても国権の最高機関だからだ。我々が希望を託したり、期待を寄せたりすることができないのなら、それ以外の何ものにも希望はない。期待があるのは当然だ。だが、希望と夢、そして期待とを分けて考えたい。市民は、行政府にも、立法府にもすべての希望を託すことができる。これに対して、期待は、特定の事実に基づいていなければならない。今から何を意図しているかを明らかにしていきたい。大多数のシリア人、市民でも、高官でもいい、彼らに質問して、現人民議会、前期の人民議会、さらにその前の人民議会をどう評価するか訊いたら、彼らは議員について話すだろう。だが、それは間違いだ。我々が期待するものにはいかなる交代も見られない。組織は個々人のうえに作られているのではない。組織とは制度のもとに作られているのだ。個人は重要だが、制度があってこそであり、個人がまずありきなのではない。時期人民議会の制度を発展させられるか否か? つまり、質問の後半部分に戻ると、交代などないのだ。数十年にわたってこの問いを自問したとしたら、名前、顔ぶれ、考え方は変わっていくだろう。なぜなら、どんな人間であれ、社会のどこか一部に所属しているからだ。だが、何も変わることはないのだ。なぜか? なぜなら、制度が変わらないからだ。ここに問題がある。もちろん、交代と発展は生じる。だが、一定の範囲内でだ。人民議会という組織は、三つの制度によって律せられている。第1は憲法だ。憲法は人民議会の役割を明確にしている。第2は法だ。法もまた明確だ。どんな法も若干の修正が必要となることもあるだろうが、このことは何ら問題ではない。問題は法のなかにあるのではない。私の考えでは、変革と問題は人民議会の細則のなかにある。なぜなら、それが議会の役割を管理する仕組みを決定しているからだ。私は、いつも人民議会はその役割を果たしていないと言ってきた。では、どのように役割を果たすべきなのか? それは細則を通じてだ。つまり、我々は議会の個々人を評価するのか? ふさわしい人もいれば、そうでない人もいる。誰にでもある個人の意見だ。誰がふさわしく、誰がふさわしくないのかについての合意に至ることは困難だ。適任だとの合意があれば、その人に任せることができるというのが制度の利点だ。たとえ、こうした発言が理論的なものに過ぎないとしても、適任の人材には組織とその活動を向上させることが許され、不適任な人材が組織の業務を妨害するのを阻止できる。人に対して期待を寄せている限り、私はそれを期待とは言いたくない。つまり、我々はシリア人としてきわめて重要な問いをしている。この組織を実効的な組織へと変革する細則とは何か? 人材を客観的に評価できる時、人は言うだろう。優れた人材は制度にとって代わる、と。だが、私はこう言いたい。人民議会が、評価方法、追及方法、政府監視方法についてのヴィジョンを持っていなければ、あるいは、我々市民が人民議会議員を評価、追及する方法、そして時期議会で選出するか否かについてのヴィジョンを持っていなければ…。問題は国民全体にかかわるものだ。我々は、細則についてのヴィジョンを持っていなければならなかった。こうしたヴィジョンを持つことができれば、期待を持つことができる。人民議会に対して最初に抱く期待とは何か? 個人として、つまり一シリア市民として話すなら、私が最初に人民議会に望むものは、政策を監視することだ。今日、我々は市民として、政府、そして党に対するのと同じように、人民議会に対処している。我々は彼ら(人民議会)に政策を改善して欲しい。これは、人民議会の役目ではない。我々が人民議会に本来の役割以外の役目を求める時、我々は何も期待してはならない。政府についても同じだ。与党についてもだ。つまり、我々はまず、細則を発展させ、次に政策を立案する。そうすることで、我々は期待に対する結果を目にすることができる。また、希望は期待の一部となり、夢を遠ざけることができる。

(前回の選挙との違いは何かとの質問に対して)現状において、(前回の人民議会選挙との)違いは、人材が変わったこととは関係ない。今日存在する真の違いは、与党であり、最大の会派であるバアス党が果たした仕組みだ。

我々はさまざまな結果を目にしてきた。それに満足する者もいれば、満足しない者もいる。その結果は党内では「刷新」と呼ばれた。だが、私はこの点に着目したいのではない。現段階に注目したいのだ。この数年間、我々は、選挙による信任は憲法に基づく信任だと言ってきた。闘争は戦争であり、憲法の紛争でもあった。国家の本質をなす憲法を維持することが現在、後回しになってしまっている。我々は今日、移行期にある。国家や国家機関全般の役割、政策全般、方針をめぐるヴィジョンにかかわる移行期だ。人民議会は、この時期、発展期の一部でなければならない。私が話しているこの時期、あるいはヴィジョンは、戦争によってもたらされた新たな状況のもとで課せられた部分もあれば、戦争という現実によらずに課せられた部分もある。だが、我々は戦争以前、変革を拒んできた。我々は今、変革期、発展期、移行期に突入した。この時期をどう呼ぶかは重要ではないが、シリア、地域、そして世界の困難な状況のもとで、国民対話がなければ、我々はスムーズに移行することはできない。人民議会は国民対話を行うためのもっとも重要な機関だ。細則の問題に戻ると、細則とはこうしたプロセス、対話のプロセスを動かすものだ。議会内でのさまざまな潮流どうしの対話、議会とそれ以外の国家機関との対話、議会と議員との対話をだ。これこそが国民対話であり、人民議会こそが最重要機関なのだ。それゆえ、質問は最初の質問と結びついている。我々がこの困難な移行期において重要な役割に至るための制度的な仕組みを持てるようにする細則の問題と結びついているのだ。

(トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が会談の意志を示していることに関して)それぞれの国の権力のピラミッドの頂点にいる首脳としての私の立場、そして彼の立場からすると、会談が成果をもたらすのなら、抱擁、非難が成果をもたらすのなら、あるいは俗語で言うように、「ひげにキスをする」で成果が得られるなら、私はそうするだろう。だが、問題はそういうことではない。会談に問題があるのではなく、会談の内容にあるのだ。会談が提案されることは、それが目的実現の手段を表すものであることを踏まえれば、重要なことかもしれない。だが何が目的なのか? 我々は何が目的なのかを聞いてはいない。問題解決、関係改善、正常化…。我々はしている最初の質問とは、なぜ13年前に関係が正常な軌道から逸れてしまったのか、というものだ。この点について、トルコの首脳が率直に話していることを耳にしたことはない。これまで多くの機会や生命において言ってきたように、我々は関係改善にむけたいかなるイニシアチブにも前向きだ。これは当然のことだ。隣人と問題を作ろうなどと考える者はいない。だが、このことは、我々が原則なしに進むことを意味しない。会談は手段だ。手段には、結果に向けて行動するための原則とよりどころが必要だ。結果が出なければ、関係は悪化してしまう。この手段がどこかの段階で挫折すれば、我々はさらに悪い方向へと向かってしまい、より多くの代償を支払わされることになる。対話がレベルにかかわらず必要だとシリアがこだわってきたのはそのためだ。首脳どうしの会談全般について話しているのではない。会談は間断なく続けられるものであり、一部仲介者らによって治安レベルでの会談が用意されることもある。我々はそうしたものに前向きに対応してきた。トルコの外務大臣は、極秘会談が行われてきたと述べたが、我々シリアにとって秘密などない。すべてが公然たるものだ。会談が行われれば、そのことを公表する。秘密などない。だが、我々はまだ成果を目にしていない。なぜなら、政治的な意志がないからだ。そこで、我々は問いたい。会談の原則とは何か? この原則はテロ支援に代表されるような問題の原因を解消し、終わらせることになるのか、シリア領内からの撤退になるのか? このことが問題の本質であり、それ以外に理由はない。この本質についての議論がなければ、会談に何の意味があるのか? 我々は結果を実現するために行動したいのだ。会談を行うことであれ、それ以外のことであれ、何にも反対はしていない。重要なのは、シリアの国益とトルコの国益を同時に実現する前向きな成果に至ることだ。

(トルコとの関係改善における友好国の役割は何かとの質問に対して)我々はこの数年間、関係正常化という用語について、それを支持するという場合においても、反対するという場合においても、誤って用いてきた。我々は、正常な関係に至るために正常化すると言ってきた。だが、これは無人した言葉であり、それ自体うまく行くことはない。なぜなら、正常化とは強制的なものであるのに対して、正常な関係は自発的なものだからだ。つまり、正常化は正常な関係に反しており、並存し得ない。我々は、イスラエル、つまりはシオニスト政体のような物事の論理から外れた異常な敵との間で正常化という用語を用いることはできる。つまり、我々が「正常化する」という時、それは強制的なプロセスを意味するのだ。なぜなら、我々は、存在しない正常な関係をもたらすことを欲しているからだ。一方、我々が隣国、近隣の国家について話す時、そこには数世紀にわたる関係がある。それゆえ、関係は完全に正常なものでなければならない。正常化という用語は誤りだ。我々が正常な関係に至りたいのなら――もちろん、我々シリアは、何が起ころうとも、それをめざしているのだが――、占領が国家間の正常な関係の一部であり得ようか? テロ支援が国家間の正常な関係の一部であり得ようか? それは不可能だ。正常な関係について話すのであれば、我々はこうした状況についてやりとりをすることから身を引かねばならない。それはまったくもって異常だ。占領は異常だ。テロも異常だ。国際法違法は異常だ。隣国の主権を尊重いないことは異常だ。異常な事柄が解消される時、関係は、正常化や強制措置、さらには政府の見解を伴わずとも正常になり、戦前の状態にむけて自然と進んでいくだろう。特に、こうした正常な関係が立証してきたのは、トルコの首脳らが言及する国境の安全が、国境が平穏だった状況と同じように、そうした関係によってもたらされるものだということだ。シリアは常に四半世紀以上にわたり、両国国境の安全保障とテロとの戦いに関して、遵守すべきものを遵守してきた。このように、我々はトルコとの正常な関係という問題を見ている。

友好国は我々が話していることを完全に理解している。5年前に最初のイニシアチブが立ち上げられた時から、こうした姿勢について承知してくれている。ところで、イニシアチブについては最近になって言及されるようになったが、イニシアチブは5年間に始まっていた。この5年間、我々は同じ姿勢を繰り返してきた。原因を取り除ければ、結果が見えてくる。政治的な戦術や曲芸も、メディアも必要ない。こうした関係は、我々が至るであろう正常なものであり、友好国はこれを支援してくれている。とりわけ、我々とトルコの間の問題の解決のためにイニシアチブを発揮してくれている友好国は、国際法を遵守している。つまり、我々が求めているのは、シリアの権利だ。それは国際法であり、何人もそれを覆すことはできない。時には何らかの措置を求めてくることもあろうが、それは対話や議論が可能なものだ。だが、措置を講じることと、原則を逸脱することは別問題だ。我々が原則を逸脱することなどあり得ず、それに基づいて自らの国益を生み出そうとしている。

(シリア側が示す条件は原則なのかとの問いに対して)条件について言及する者がいるが、我々には条件はない。条件よりも軽い言葉で言うと、要求について言及する者もいるが、我々には要求もない。我々が話していることは条件でも要求でもない。それは要件なのだ。用語が異なっているのだ。世界のいかなるものでも、そこから健全な結果をもたらしたいと考えるのであれば、適切な環境を整備しなければならない。それがいわゆる要件というものだ。政治関係であれば、結果をもたらすための特定の要件が必要となる。経済的な協力関係であれば、集団であれ、企業であれ、国家の間で行われる共同プロジェクトには要件が必要となる。要件が伴われなければ、プロセスは成功しない。我々が話しているのは、国家間の関係の本質が課してくる要件だ。国際法はこうした要件を表現してくれている。ここにおいて、我々は根本的な点に立ち返ることができる。こうした関係は国際法なしに進み得るものか? 過去について率直に話すことなく、地域に完全な破壊をもたらし、数十万人を死に至らしめた政治的過ちについて話すことなく進むものなのか? 過去の教訓から学び、基礎を築いて次世代が罠に落ちないようにすることなく、我々は未来に向かって進むことができるのか?

(仲介国の保証が要件の解決をもたらすかとの質問に対して)我々はいかなる保証も提示されていない。だから、我々は、前向きに、しかし明確な原則を踏まえつつ進んでいる。原則だけではない。原則が国際法と主権であることは明白だ。だが、我々の行動が前向きな結果をもたらすことを保証するための明確な方法も踏まえて進んでいる。先ほど述べた通り、前向きな結果を実現しなければ、結果は否定的なものとなるだろう。失うものなどないという者もいる。それは違う。現状において、我々には、勝つか負けるかしかない。我々、トルコ、そして同盟国は同じレベルにおり、すべてが勝つか、すべてが負けるかしなかい。中間はないし、グレーゾーンもない。だから、原則と要件を強調する時、それは、我々がプロセスの成功をめざしていることを基本としている。それは、厳格さでも躊躇いでもない。我々には躊躇いはなく、一部の人のように虚栄心にも苛まれていない。我々は一義的にみずからの利益を追及している。我々の原則は、この我々の利益から発するものであり、それ原則と切り離されてはおらず、結びついているのだ。

https://youtu.be/hwGL2Esf9ag

SANA(7月15日付)が伝えた。

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア政府の支配地全域で第4期人民議会選挙の投票が実施される(2024年7月15日)

シリア政府の支配地全域で第4期人民議会選挙の投票が行われ、各県の支部委員会が設置した投票所8,151ヵ所で有権者らが投票を行った。

投票日まで選挙活動を続けた立候補者数は1,516人、うちA部門が409人、B部門が1,107人だった。

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アレッポ県

ラタキア県

ヒムス県

ハマー県

ラッカ県

クナイトラ県

イドリブ県

ダルアー選挙区

ダイル・ザウル県

スワイダー県

ダマスカス郊外県

ダマスカス県

タルトゥース県

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フサイン・アルヌース内閣の閣僚もダマスカス県の内閣・外務在外居住者省合同の投票所で投票を行った。





















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SANA(7月15日付)が報じた各選挙区についての詳細情報は以下の通り。

アレッポ市選挙区:投票所450ヵ所
アレッポ県諸地域選挙区:投票所655ヵ所
ラタキア選挙区:立候補者数160人(うちA部門58人、B部門102人)、投票所889ヵ所、ラタキア県在住のラッカ県有権者のための投票所2ヵ所、イドリブ県有権者のための投票所13か所
ヒムス選挙区:投票所1.062ヵ所
ハマー選挙区:立候補者数81人(うちA部門19人、B部門62人)、投票所955ヵ所
ラッカ選挙区:立候補者数36人
クナイトラ選挙区:投票所170ヵ所
イドリブ選挙区:投票所56ヵ所
ダルアー選挙区:353ヵ所
ダイル・ザウル選挙区:立候補者数43人(うちA部門23人、B部門20人)
スワイダー選挙区:立候補者数34人(うちA部門17人、B部門17人)、投票所268ヵ所
ダマスカス郊外選挙区:立候補者数148人、投票所874ヵ所
ダマスカス選挙区
タルトゥース選挙区:投票所818ヵ所、タルトゥース県在住のラッカ県有権者のための投票所も別途設置

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最高司法選挙委員会の議長を務めるジハード・ムラード判事は声明を出し、ダマスカス郊外県のジュダイダト・ワーディー村に設置されている投票所の選挙委員会メンバーを交代すると発表した。

交代の詳細な理由は明らかにされなかったが、ムラード判事は「高等選挙委員会に寄せられた情報に基づき、ジュダイダト・ワーディー村の選挙委員会のメンバーを交代させるという指示が出された」としたうえで、「クドスィーヤー市の検察に対して、法律に従って必要な調査と対処を行う旨要請が出された」と述べた。

ムラード判事はまた、ハマー県のハマー市で刑事治安当局が、投票所で複数の身分証明書を所持していた2人を逮捕したことを明らかにした。

AFP, July 15, 2024、ANHA, July 15, 2024、‘Inab Baladi, July 15, 2024、Reuters, July 15, 2024、SANA, July 15, 2024、SOHR, July 15, 2024などをもとに作成。

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