アレッポ市カースティール街道をめぐる攻防戦が続くなか、シャーム自由人イスラーム運動はアルド・マッラーフ地区一帯でのシリア軍との戦闘を「自殺行為」と評し、不参加を表明(2016年7月13日)

アレッポ県では、SNN(7月13日付)によると、アレッポ市北部のアルド・マッラーフ地区一帯で、シャームの民のヌスラ戦線、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室(ヌールッディーン・ザンキー運動など)からなる反体制武装集団がカースティールー街道封鎖解除をめざしてシリア軍を攻撃、拠点複数カ所を一時制圧したが、ロシア軍の空爆とシリア軍の砲撃により撤退をされた。

また、戦闘機(所属明示せず)がアレッポ市北西部のアナダーン市、フライターン市、マアーッラト・アルティーク村、カフルハムラ村、アレッポ市バニー・ザイド地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ジュルーム地区、ハムダーニーヤ地区、シュカイイフ地区を空爆、シリア軍がアレッポ市バニー・ザイド地区、ハーリディーヤ地区、サイフ・ダウラ地区で反体制武装集団と交戦した。

さらに、ARA News(7月13日付)によると、シリア軍戦闘機はアレッポ市フィルドゥース地区、スッカリー地区を空爆した。

こうしたなか、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室に参加するシャーム自由人イスラーム運動のアブー・フースフ・ムハージル報道官はツイッターで、アルド・マッラーフ地区一帯でのシリア軍との戦闘が「軍事的自殺行為」だとし、ヌスラ戦線やアレッポ・ファトフ軍作戦司令室に所属するほかの武装集団とそもそも共闘していなかったと主張した。

ムハージル報道官によると、「マッラーフでの最近の戦いにおいて、シャーム自由人は撤退などしていない。なぜなら、そもそも参加していなかったからだ。幹部たちはこの戦いで成功する確率が極めて低いと判断した」という。

また「大敗する確率が高いにもかかわらず、一部の組織が(戦闘への)参加に固執していることは、武勇や男らしさではなく、軍事的自殺行為で、その背後には損害と士気低下しかない」、「シャーム自由人はすべての戦いに参加しているが…、効果がない戦いには介入しない」と付言した。

Kull-na Shuraka', July 14, 2016

Kull-na Shuraka’, July 14, 2016

一方、SANA(7月13日付)によると、アレッポ市中心街にあるアレッポ国立博物館に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、博物館の屋根、外壁、事務室、発電室などが損壊した。

AFP, July 13, 2016、AP, July 13, 2016、ARA News, July 13, 2016、Champress, July 13, 2016、al-Hayat, July 14, 2016、Iraqi News, July 13, 2016、Kull-na Shuraka’, July 13, 2016, July 14, 2016、al-Mada Press, July 13, 2016、Naharnet, July 13, 2016、NNA, July 13, 2016、Reuters, July 13, 2016、SANA, July 13, 2016、SNN, July 13, 2016、UPI, July 13, 2016などをもとに作成。

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