2014年2月5日のシリア情勢:反体制勢力の動き(追記2)

シリア革命家戦線は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)にシリアからの退去を求めた。

声明では、ダーイシュがあらゆる和解のイニシアチブを拒否し、アサド政権による「樽爆弾」投下を援護し、あたかも政権と「合同作戦室」を設けているようだと批判した。

 

Kull-na Shuraka', February 7, 2014
Kull-na Shuraka’, February 7, 2014

Kull-na Shuraka’, February 7, 2014をもとに作成。

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2014年2月5日のシリア情勢:反体制勢力の動き(追記)

シリア革命反体制勢力国民連合は、ラッカ県に執行機関「地元評議会総合委員会」を設置したと発表した。

ラッカ地元評議会総合委員会は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が掌握するラッカ市、タブカ市、タッル・アブヤド市、カラーマ村の自治を行うのだという。

議長は、ラッカ県地元評議会副議長のウマル・ハムリー氏が務める。

Kull-na Shuraka', February 5, 2014
Kull-na Shuraka’, February 5, 2014

Kull-na Shuraka’, February 5, 2014をもとに作成。

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2014年2月5日のシリア情勢:諸外国の動き

シリアの化学兵器廃棄プロセスをめぐる2013年9月の米露合意および国連安保理決議2118号が定めた危険度の低い化学物質の国外搬出作業完了の期限(2月5日付)が終了した。

2013年12月31日が期限だった危険度の高い化学物質の国外搬出作業と同様、作業未完了のまま期限を迎えたことになる。

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ジェニファー・サキ米国務省報道官は、ミュンヘン安保会議でイランのムハンマド・ホセイン・ザリーフ外務大臣がジョン・ケリー米国務長官に対して、シリアの紛争をめぐる協議にイランは何らの「権威もない」ことを了承した、と発表した。

サキ報道官によると、ケリー国務長官が、シリア国外への化学物質搬出や同国内での人道状況に対して懸念を表明したのに対して、ザリーフ外務大臣は、シリアをめぐる協議や交渉に対して何らの権威もないと明言した」という。

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ロイター通信(2月5日付)は、バラク・オバマ米政権が、シリア人避難民の受け入れを制限すると発表したと報じた。

米国がこれまでに受け入れたシリア人避難民の数は31人だという。

AFP, February 5, 2014、AP, February 5, 2014、Champress, February 5, 2014、al-Hayat, February 6, 2014、Iraqinews.com, February 5, 2014、Kull-na Shuraka’, February 5, 2014、Naharnet, February 5, 2014、NNA, February 5, 2014、Reuters, February 5, 2014、Rihab News, February 5, 2014、SANA, February 5, 2014、UPI, February 5, 2014などをもとに作成。

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2014年2月5日のシリア情勢:イラクの動き

米国務省高官は米下院の外交委員会で「イラク政府は、イラク領空を経由したイランによるシリアへの武器・戦闘員の供与を阻止するためさらなる努力を行う必要がある」と証言した。

ロイター通信(2月5日付)が伝えた。

AFP, February 5, 2014、AP, February 5, 2014、Champress, February 5, 2014、al-Hayat, February 6, 2014、Iraqinews.com, February 5, 2014、Kull-na Shuraka’, February 5, 2014、Naharnet, February 5, 2014、NNA, February 5, 2014、Reuters, February 5, 2014、Rihab News, February 5, 2014、SANA, February 5, 2014、UPI, February 5, 2014などをもとに作成。

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2014年2月5日のシリア情勢:国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市マイサル地区、バニー・ザイド地区、アンサーリー地区を軍が空爆し、少なくとも5人が死亡した。

また同監視団は、アレッポ市スッカリー地区、カラム・タッハーン地区、マルジャ地区に対して、軍は「樽爆弾」を投下したと発表した。

さらにマサーキン・ハナーヌー地区では爆弾が仕掛けられた車が爆発し、2人が死亡した。

アレッポ市郊外では、ナイラブ航空基地周辺で、軍とジハード主義武装集団が交戦、軍が空爆した。

軍はまたジハード主義武装集団が展開するアレッポ中央刑務所周辺に対して砲撃を行う一方、アレッポ市南部のブルジュ・ルンマーン村で、ジハード主義武装集団が軍を襲撃し、兵士14人を殺害したという。

一方、ハラブ・ニュース(2月5日付)は、「自由シリア軍」が占拠するアレッポ市東部一帯での軍との戦闘激化を受け、多くの住民がシリア政府が支配する同市西部へと避難していると伝えた。

シリア赤新月社によると、この1週間でアレッポ市では1,500世帯以上が避難したという。

他方、SANA(2月5日付)によると、アレッポ市のカーディー・アスカル地区、カルム・マイサル地区、マルジャ地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ハーディル地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またハンダラート・キャンプ、ファーフィーン村、マアスラーナ村、クワイリス村、ナスルッラー村、フマイマ村、フライターン市、アウラム・クブラー町、カフル・カルミーン村、アレッポ中央刑務所周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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Kull-na Shuraka', February 5, 2014
Kull-na Shuraka’, February 5, 2014

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(2月5日付)、SANA(2月5日付)によると、ハサカ市サーリヒーヤ地区の薬局に手榴弾が投げ込まれ、店主が負傷した。

この薬局は医師の診断書を持参しない顧客に薬を販売することを断っていたという。

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ダイル・ザウル県では、シリア革命総合委員会によると、マズアル油田地帯を軍が空爆し、3人を殺害する一方、ダイル・ザウル市郊外の航空基地近くで軍と「自由シリア軍」が交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市近郊の防空局周辺、シャブアー農場、リカービーヤ農場、ドゥーマー市、ダーライヤー市、アドラー市ウンマーリーヤ、バイト・サービル町で、軍が「樽爆弾」などで空爆・砲撃を行った。

一方、SANA(2月5日付)によると、アドラー市ウンマーリーヤ地区、アルバイン市、ドゥーマー市、ムライハ市、ダーライヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプおよび同市周辺、ザーキヤ町、アーリヤ農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またハラスター市では、反体制武装集団が市民を狙撃し、2人が負傷した。

さらにジャルマーナー市では、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、複数の市民が負傷した。

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ダマスカス県では、SANA(2月5日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またバーブ・トゥーマー地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、建物などが被害を受けた。

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ラタキア県では、SANA(2月5日付)によると、ワーディー村、バイト・アブリク村、ダッラ村、ラウダ村、シャフルーラ村、マルジュ・フーハ村、アイドゥー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ユーヌスィーヤ大隊、マーリク大隊の外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(2月5日付)によると、県北部のアースィー川(オロンテス川)岸、ムーリク市郊外のヒーサ陸橋一帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(2月5日付)によると、ヒムス市クスール地区、ダール・カビーラ村、ラスタン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, February 5, 2014、AP, February 5, 2014、Champress, February 5, 2014、Halabnews.com, February 5, 2014、al-Hayat, February 6, 2014、Iraqinews.com, February 5, 2014、Kull-na Shuraka’, February 5, 2014、Naharnet, February 5, 2014、NNA, February 5, 2014、Reuters, February 5, 2014、Rihab News, February 5, 2014、SANA, February 5, 2014、UPI, February 5, 2014などをもとに作成。

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2014年2月5日のシリア情勢:シリア政府の動き

外務在外居住者省は、国連・化学兵器禁止機関の合同調査団の法務センターと、調査団メンバーへの医療および救急に関する覚書に署名した。

署名式にはファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣、バッシャール・ジァアファリー駐国連シリア代表が出席した。

SANA, February 5, 2014
SANA, February 5, 2014

SANA(2月5日付)が伝えた。

 

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SANA(2月5日付)は、ハマー市のバアス大学分校の殉教者バースィル・アサド寮で、学生らがデモを行い、ラビーア村の高校に対する反体制武装集団の砲撃(3日)で犠牲となった生徒5人に哀悼の意を示すとともに、軍によるテロとの戦いへの支持を訴えたと報じた。

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クッルナー・シュラカー(2月5日付)は、ダマスカス大学芸術学部の試験で、手榴弾を投げようとしているシリア・アラブ軍兵士の姿や、シリア・アラブ軍の存在に安堵する自画像を描くことを求める試験が突然実施されたと伝えた。

Kull-na Shuraka', February 5, 2014
Kull-na Shuraka’, February 5, 2014

AFP, February 5, 2014、AP, February 5, 2014、Champress, February 5, 2014、al-Hayat, February 6, 2014、Iraqinews.com, February 5, 2014、Kull-na Shuraka’, February 5, 2014、Naharnet, February 5, 2014、NNA, February 5, 2014、Reuters, February 5, 2014、Rihab News, February 5, 2014、SANA, February 5, 2014、UPI, February 5, 2014などをもとに作成。

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2014年2月5日のシリア情勢:反体制勢力の動き

リハーブ・ニュース(2月5日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイスラーム戦線のシャームの鷹旅団が停戦に合意したと報じた。

同報道によると、停戦合意は、アブー・バクル・バグダーディー氏とシャームの鷹旅団のアミール、アブー・イーサー・シャイフ氏によって署名され、戦闘停止のほかに、合同法廷の設置を定めているという。

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クッルナー・シュラカー(2月5日付)によると、ハサカ県シャッダーディー市の中心街で、シャームの民のヌスラ戦線が、地元評議会の協力のもと、1年以上に停電した街灯を復旧した。

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クッルナー・シュラカー(2月5日付)によると、ダルアー県で活動していると思われる反体制武装集団14組織が糾合し、「ヤルムーク師団」を結成した。

ヤルムーク師団に参加した組織は以下の通り:

1. ウマル・ブン・ハッターブ旅団

2. アッバース・ブン・アブドゥルムトリブ旅団

3. 南部の盾旅団

4. バッラー・ビン・マーリク旅団

5. ウサーマ・ブン・ザイド旅団

6. ブスラー・シャーム旅団

7. ヤルムークの稲妻旅団

8. ラジャー・タウヒード旅団

9. 迫撃ミサイル連隊

10. 防空連隊

11. 機甲大隊

12. アクナーフ・ウマリー大隊

13. ムザイラート殉教者大隊

14. 工学偵察大隊

Kull-na Shuraka', February 5, 2014
Kull-na Shuraka’, February 5, 2014

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シリア革命反体制勢力国民連立メンバーで、ジュネーブ2会議第1ラウンド代表団を率いてきたハーディー・バフラ氏は、第2ラウンドにアサド政権が参加することを期待しているとしたロシア側の発言に関して、「アサド政権には最終的な決定がなく、ロシアによって参加を強いられていることを示す」と批判する一方、第1ラウンド終了時に第2ラウンドへの参加を表明した連立について「独立した決定権を持ち、政治解決に真摯に取り組もうとしている」と自賛した。

また、反体制勢力代表団の拡大を求めるロシア側の姿勢に関しては、「これは連立に関わる決定で、連立のみが代表団の規模、参加者を決定する」と述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、国連安保理に対して、国連憲章第7章に基づき、アサド政権に行程に従った化学兵器全廃を義務づける決議の採択を呼びかけた。

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ドイツを拠点とする反体制組織のシリア近代民主主義党は声明を出し、「ジュネーブ2会議の第1ラウンドが何らかの前進をもたらすなどとは期待していなかった」としたうえで、国内の暴力に関して、アサド政権だけでなく、反体制勢力にも責任があると批判した。

AFP, February 5, 2014、AP, February 5, 2014、Champress, February 5, 2014、al-Hayat, February 6, 2014、Iraqinews.com, February 5, 2014、Kull-na Shuraka’, February 5, 2014、Naharnet, February 5, 2014、NNA, February 5, 2014、Reuters, February 5, 2014、Rihab News, February 5, 2014、SANA, February 5, 2014、UPI, February 5, 2014などをもとに作成。

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最新論考「せめぎ合いのなか友好的敵対に軟着陸したシリア和平会議」(Synodos)

せめぎ合いのなか友好的敵対に軟着陸したシリア和平会議
青山弘之 / アラブ地域研究

http://synodos.jp/international/6953
1月22日からスイスのモントルーとジュネーブで、シリアでの紛争の解決に向けた国際和平会議「ジュネーブ2会議」が始まり、シリア政府と在外反体制組織のシリア国民連合(正式名シリア革命反体制勢力国民連立)が3年余りに及ぶ紛争の政治解決に向けて初の直接交渉に臨んだ。