2014年2月4日のシリア情勢:諸外国の動き(追記)

国連の潘基文事務総長は、「シリアにおける子供と武力紛争」と題した報告書を安保理に提出、その内容が公表された。

報告書は、2011年3月から2013年11月中旬までの死者数が10万人以上に達したとしたうえで、うち1万人以上が子供だったと推測した。

また犠牲となった子供のうち、「最初の2年間は政府軍の攻撃によるものが大半」だったが、2013年は「重火器やテロ戦術」を使う反体制武装集団による殺害が増えたと指摘した。

Kull-na Shuraka’, February 5, 2014などをもとに作成。

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2014年2月4日のシリア情勢:レバノンの動き

NNA(2月4日付)によると、北部県アッカール郡のヌーラー村、カシュラク村、アンマール・ビーカート村、アイン・ティーナ村、シャーリーバー村、ドゥーサ村などの郊外に、シリア領から発射された迫撃砲弾が着弾、またウブーディーヤ村・ジンジズ村間の高速道路で銃撃があった。

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NNA(2月5日付)は、シリア軍が北部県アッカール郡のワーディー・ハーリド地方で捜索活動を行い、10代の少年3人を連行したと報じた。

連行された家族は声明を出し、レバノンの関係当局に3人の行方の調査と身柄の確保を求めた。

Naharnet, February 4, 2014, February 5, 2014、NNA, February 4, 2014をもとに作成。

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2014年2月4日のシリア情勢:諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣が、モスクワを訪問したシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長と会談した。

『ハヤート』(2月5日付)によると、会談でラブロフ外務大臣は、連立のジュネーブ2会議への出席を高く評価するとともに、シリア政府代表団との交渉を継続し、「平和的な政治的正常化を選択」するよう求めた。

またロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は会談に関して、インテルファクス(2月4日付)に「ロシアが、シリア政府と反体制勢力に対して、ジュネーブ2会議の枠内で政治的関係正常化について話し合うための特別作業チームを設置することを提案した」ことを明らかにした。

ガティロフ外務次官は、交渉の難しさを認めつつ「次回の交渉ラウンドが最後にならないようにしたい」と述べ、両者が合意に至った場合は、国連安保理に付託し、拘束力を持つ決議を採択したいとの意思を示した。

ガティロフ外務次官はまた、米国がロシアの提案の実施に向けて、反体制勢力の代表団の拡大などで協力することを誓約したことを明らかにしたが、「国内外の反体制勢力が、シリアで活動するテロ集団に影響力を行使する仕組みを持っていない」と問題点を指摘した。

一方、ラブロフ外務大臣との会談後、ジャルバー議長は記者会見を開き、ジュネーブ2会議における反体制代表団の拡大が主な争点だったことを認めたうえで、「連立は反体制勢力側のより広範な参加をめざしている」と述べた。

ジャルバー議長はしかし「連立は個人で埋め合わせることを認めない」と述べ、反体制勢力の代表団の拡大を誇示レベルではなく、組織単位で行う方針を示しつつ、「連立に対する個人的理由などで会議に参加できなかった何人かと連絡をとりあっている」と付言した。

またジャルバー議長は、アレッポ県などの現状や「樽爆弾」の問題などについても協議し、ロシア側にシリアの人道状況に対して明確な姿勢を示すよう求めたことを明らかにした。

ジャルバー議長は他方、ロシアが提案した特別作業グループについては「議論し得る問題」だと理解を示しつつ、「委員会が何かのための墓場になってはならない」と警戒感を表明した。

しかしジャルバー議長は「我々は今、ロシアと良い関係にあり、この関係はさらに発展するだろう。我々はきっと、再訪するだろう…。ロシアは連立の姿勢を良く理解するようになっている。つまり、ロシアは人道状況や我々の立場に関してゆがんだデータを持っていたということだ」と評価した。

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ロシア日刊紙『コメルサント』(2月4日付)は、米国がロシアに対して、シリアの紛争和解をめぐる新たな交渉形態を提案したと報じた。

同紙によると、新提案は、シリア人どうしの交渉を原則とするジュネーブ2会議の交渉に代えて、サウジアラビア、トルコ、イラン、ロシア、米国が交渉プロセスに参加し、シリアでの政治的関係正常化をめざすことを骨子としており、ロシアはこれに支持を表明したという。

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AFP(2月4日付)は、国連WFP(世界食糧計画)がイラク北部からハサカ県カーミシュリー市への食糧物資の空輸を再開したと報じた。

これにより3万人の1ヶ月分の食糧が搬入される。

WFPは2013年12月にも6万2,000人分の食糧を空輸していた。

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ドイツのアンゲラ・メルケル首相がトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相と会談し、シリア情勢への対応などについて協議した。

会談後の共同記者会見で、メルケル首相は「約3年におよぶシリアの紛争を逃れてきた人々を支援するため、ロシア、中国、さらにはイランと対話しなければならない…。我々は国際社会が一つになることを望んでいる…。先月のジュネーブでの和平会合は、必要とされる人道支援に対応していない」と述べた。

これに対し、エルドアン首相は「常任理事国が必要な行動を阻まれないような安保理改革」が必要だと述べた。

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AFP(2月4日付)によると、イランの首都テヘランで、シリア、イラン、スイスの高官らがシリアへの人道支援状況の改善に向けた協議を行った。

al-Hayat, February 5, 2014
al-Hayat, February 5, 2014

 

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AFP(2月4日付)は、反体制武装集団が包囲するヒムス市旧市街にとどまるイエズス会のオランダ人修道士、フランス・ヴァン・デル・ルフト(Frans van der Lugt)氏(75歳)にスカイプで電話取材を行い、その近況を報じた(http://www.youtube.com/watch?v=MEo43I6F6D4&feature=player_embeddedなどを参照)。

 

AFP, February 4, 2014、AP, February 4, 2014、Champress, February 4, 2014、al-Hayat, February 5, 2014、Interfax, February 4, 2014、Iraqinews.com, February 4, 2014、Kommersant, February 4, 2014、Kull-na Shuraka’, February 4, 2014、Naharnet, February 4, 2014、NNA, February 4, 2014、Reuters, February 4, 2014、Rihab News, February 4, 2014、SANA, February 4, 2014、UPI, February 4, 2014などをもとに作成。

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2014年2月4日のシリア情勢:イラクの動き

リハーブ・ニュース(2月4日付)によると、イラク・クルディスタン地域のスライマーニーヤ市でアサーイシュ本部に爆弾を仕掛けようとしていた男性1人をアサーイシュが逮捕した。

この男性は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のアミールの命令で工作活動を行っていたという。

AFP, February 4, 2014、AP, February 4, 2014、Champress, February 4, 2014、al-Hayat, February 5, 2014、Iraqinews.com, February 4, 2014、Kull-na Shuraka’, February 4, 2014、Naharnet, February 4, 2014、NNA, February 4, 2014、Reuters, February 4, 2014、Rihab News, February 4, 2014、SANA, February 4, 2014、UPI, February 4, 2014などをもとに作成。

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2014年2月4日のシリア情勢:国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市マルジャ地区、ダウワール・ハーウーズ地区、ジャズマーティー地区、カターナ地区、シャッアール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、アンサーリー地区、ダウワール・ハイダリーヤ地区などを軍が「樽爆弾」で空爆し、多数の市民が死傷した。

アレッポ情報センター(2月4日付)によると、このうちの1発はマサーキン・ハナーヌー地区の児童学校内にあるウスマーン・ブン・アッファーン・モスクに着弾し、子供を含む複数名が死亡したという。シリア人権監視団はモスク攻撃によって、子供と女性が5人、身元不明者が3人の計8人が死亡したと発表している。

また同センターおよび監視団によると、「樽爆弾」の攻撃により、多数の市民がジハード主義武装集団が制圧する地区からシリア政府の支配地域に避難し、マイサル地区、マルジャ地区、ジャズマーティー地区、マアスラーニーヤ地区などは「ゴーストタウン」と化しているという。

一方、ジハード主義武装集団は、軍が拠点としているカールトーン・ホテル一帯、アレッポ城周辺、スライマーニーヤ地区の学校、県庁ビルなどを砲撃し、兵士らが死傷したという。

このほか軍は、クワイリス航空基地周辺、カフルハムラ村近郊、フライターン市などを空爆した。

他方、SANA(2月4日付)によると、アレッポ市カーディー・アスカル地区、カルム・マイサル地区、カルム・ジャズマーティー地区、ジャンドゥール地区、ハナーヌー地区、ダウワール・ジャーウーズ地区、カラム・ダマーン地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市マイダーン地区や県庁舎ビルに反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、子供1人と女性1人の合わせて2人が死亡、複数の市民が負傷した。

さらに、クワイリス村、アルバイド村、シュワイハ村・マアーッラト・アルティーク村回廊、アレッポ中央刑務所周辺、アッザーン村、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、Syria-news(2月4日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の武装集団の戦闘激化を受け閉鎖されていたバーブ・サラーマ国境通行所が再開された。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町、ザバダーニー市、ムライハ市周辺、アイン・タルマー渓谷、ドゥッハーニーヤ市などで、軍、国防隊が反体制武装集団と交戦し、双方に死傷者が出た。

またダーライヤー市などを軍が「樽爆弾」で空爆したという。

一方、SANA(2月4日付)によると、ダーライヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプおよび同市周辺、ヤブルード市一帯、マアルーラー市周辺、ジャブアディーン町近郊、マッラーハ村、マアラカ村、アーリヤ農場、アッブ農場、アドラー市ウンマーリーヤ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、クッルナー・シュラカー(2月4日付)は、ムライハ市郊外の防空総局近くにある軍と「シャッビーハ」の拠点にラフマーン軍団の戦闘員が潜入し、手製の地雷を爆発させ数十人を殺害したと報じた。

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クナイトラ県では、SANA(2月4日付)によると、マアラカ村で軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(2月4日付)によると、ヤルムーク区に人道支援物資4,300ケースが搬入されるとともに、人道状況が懸念されていた住民約2,500人が同地区から移送された。

また、アマーラ地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民2人が負傷した。

一方、シリア人権監視団によると、ジャウバル区が軍の砲撃を受ける一方、アマーラ地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、カルアト・ヒスン市、ザーラ村を軍が空爆する一方、クサイル市近郊の軍検問所で反体制武装集団が爆弾を仕掛けた車を爆破し、複数の兵士を死傷させた。

一方、SANA(2月4日付)によると、ヒムス市バーブ・スィバーア地区に潜入しようとした反体制武装集団を軍が殲滅した。

またヒムス市カラービース地区、クスール地区、ワアル地区、ジャウラト・シヤーフ地区、ダール・カビーラ村、ハーリディーヤ村、ガースィビーヤ村、ザーラ村、カルアト・ヒスン市、シャワーヒド村、クーム村(タドムル市郊外)で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

さらにジャッブーリーン村、カフルナーン村に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、建物などが被害を受けた。

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ダルアー県では、SANA(2月4日付)によると、ダルアー市各所(旧税関地区など)、アトマーン村、ヌアイマ村、ヤードゥーダ村、サムリーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(2月4日付)によると、ダイル・ザウル市工業地区、ジュバイラ地区、旧空港地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(2月4日付)によると、ナフラ村、カフルラーター村、アブー・ズフール町、ウンム・ジャリーン村、ナイラブ村近郊で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、ハラブ・ニュース(2月4日付)は、複数の消息筋の話として、イドリブ県ダーナー市に隣接するダイル・ハッサーン村で、民間人、自由シリア軍、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員45人が遺棄されている集団墓地が発見されたと報じた。

同報道によると、遺体の中には、ダーイシュのアミールの一人、アブー・ウマル・クワイティー氏も含まれており、同氏がイラン人であることが確認されたという。

AFP, February 4, 2014、AMC, February 4, 2014、AP, February 4, 2014、Champress, February 4, 2014、Halabnews.com, February 4, 2014、al-Hayat, February 5, 2014、Iraqinews.com, February 4, 2014、Kull-na Shuraka’, February 4, 2014、Naharnet, February 4, 2014、NNA, February 4, 2014、Reuters, February 4, 2014、Rihab News, February 4, 2014、SANA, February 4, 2014、UPI, February 4, 2014などをもとに作成。

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2014年2月4日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(2月4日付)によると、ダマスカス郊外県ムウダミーヤト・シャーム市での戦闘激化を受けて長らく避難生活を送ってきた住民数百世帯が、同市での「国民和解」(反体制武装集団との12月の停戦合意)を受けて、帰宅した。

 

SANA, February 4, 2014
SANA, February 4, 2014

 

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SANA(2月4日付)によると、アレッポ市のサアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)で、軍による「テロとの戦い」を支持するデモ集会が開かれ、多数の市民が参加した。

デモ集会には、ムハンマド・ワヒード・アッカード県知事、アフマド・サーリフ・イブラーヒーム・バアス党アレッポ支部書記長、アブドゥルカーディル・ハリーリー・アレッポ大学学長、イスラーム教およびキリスト教の宗教関係者も参加した。

また集会に合わせて、バアス党アレッポ支部は「ジュネーブから戻った代表団に向けてアレッポから」と銘打ったシンポジウムを開催し、主権尊重、外国の介入拒否、テロ根絶などが確認された。

 

SANA, February 4, 2014
SANA, February 4, 2014

 

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クッルナー・シュラカー(2月4日付)は、大統領府筋の話として、アサド大統領が、2013年までバアス党シリア地域指導部党出版情報局長を勤めていたハイサム・サターイヒー氏を大統領府政治情報補佐官に任命したと報じた。

大統領府政治情報補佐官は現在、ブザイナ・シャアバーン女史が務めている。

AFP, February 4, 2014、AP, February 4, 2014、Champress, February 4, 2014、al-Hayat, February 5, 2014、Iraqinews.com, February 4, 2014、Kull-na Shuraka’, February 4, 2014、Naharnet, February 4, 2014、NNA, February 4, 2014、Reuters, February 4, 2014、Rihab News, February 4, 2014、SANA, February 4, 2014、UPI, February 4, 2014などをもとに作成。

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2014年2月4日のシリア情勢:反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(2月4日付)は、シリア人権監視団が発表する犠牲者数に関して、「ラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、政権が拷問によって殺害した犠牲者の数、都市部への砲撃での犠牲者数を…入手したのか」と批判し、その正確さに関して疑義を呈した。

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シリア・クルド左派党のサーリフ・カッドゥー書記長は声明を出し、シリア・クルド国民評議会による除名措置に関して「民主的な自治区がクルド人民に資するとしてきたシリア・クルド国民評議会の姿勢に矛盾しており、正しくない」と批判した。

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クッルナー・シュラカー(2月4日付)は、アレッポ県アターリブ市で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が略奪した自動車、大型家電を転売している、と報じた。

AFP, February 4, 2014、AP, February 4, 2014、Champress, February 4, 2014、al-Hayat, February 5, 2014、Iraqinews.com, February 4, 2014、Kull-na Shuraka’, February 4, 2014、Naharnet, February 4, 2014、NNA, February 4, 2014、Reuters, February 4, 2014、Rihab News, February 4, 2014、SANA, February 4, 2014、Syria-news.com, February 4, 2014、UPI, February 4, 2014などをもとに作成。

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