2014年2月26日のシリア情勢:反体制勢力の動き(追記)

「東グータ統一人権局」を名乗る組織が声明を出し、26日の軍によるダマスカス郊外県東グータ地方でのジハード主義武装集団要撃と戦闘員175人の殺害に関して、殺害されたのが軍の包囲を逃れようとしていた市民だったと発表した。

Kull-na Shuraka', February 27, 2014
Kull-na Shuraka’, February 27, 2014

**

アブー・アマーラ特殊任務連帯は声明を出し、アレッポ市内で行われていた「バアス党のシャッビーハ」の葬儀を襲撃し、「シャッビーハ」5人をさらに殺害したと発表した。

**

クッルナー・シュラカー(2月27日付)によると、アレッポ・シャリーア委員会は、市民による無許可の武器携帯を禁じる布告を発した。

Kull-na Shuraka’, February 26, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

最新論考「アサド政権にさらなるフリーハンド:和平会議「破綻⼨前」の裏事情」(e-World)

青山弘之「アサド政権にさらなるフリーハンド:和平会議「破綻⼨前」の裏事情(特集II・シリアの隘路)」

e-World、2014年2月26日号 https://janet.jw.jiji.com/

■シリア政府に有利な戦況
■⾃国出⾝活動家の帰還恐れる⻄欧諸国

シリアでの紛争解決に向けた政府とシリア国⺠連合による初の直接和平交渉「ジュネーブ2会議」が、1⽉22⽇から2⽉15⽇にかけてスイスで開催された。・・・

2014年2月26日のシリア情勢:諸外国の動き

バーレーン内務省は、国営通信を通じて声明を出し、シリア情勢に関して「バーレーン国民がシリアに向かい、同地での戦闘行為に関与している」としたうえで「こうした行為に関与したすべての者に対して、勧誘者、参加者を問わず必要な法的措置を講じる」と発表した。

『ハヤート』(2月27日付)によると、バーレーンの法律では、国外に拠点を置く組織に加わり、テロ活動、ないしはその教練に関与した者には最高で禁固5年の実刑が科せられる。

**

ドイツ内務省の連邦憲法擁護庁(BfV)のハンズ=ゲオルク・マーセン長官は、シリアでの戦闘に参加したドイツ人12人が帰国し、ドイツ国内の治安への脅威となっていることを明らかにした。

マーセン長官によると、300人以上のドイツ人がシリアの戦闘員に参加しており、うち20人以上はすでに死亡しているという。

ロイター通信(2月26日付)が伝えた。

AFP, February 26, 2014、AP, February 26, 2014、ARA News, February 26, 2014、Champress, February 26, 2014、al-Hayat, February 27, 2014、Iraqinews.com, February 26, 2014、Kull-na Shuraka’, February 26, 2014、Naharnet, February 26, 2014、NNA, February 26, 2014、Reuters, February 26, 2014、SANA, February 26, 2014、UPI, February 26, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年2月26日のシリア情勢:イラクの動き

ヌーリー・マーリキー首相は「ラマーディー市は軍事作戦実行中に避難していた住民を受け入れる用意ができた」と発表し、「アンバール県、ニナワ県、スライマーン・ベーク地方で治安機関は大いなる進軍を実現した」と述べ、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の掃討作戦の成果を誇示した。

**

イラキー・ニュース(2月26日付)によると、ニナワ県作戦司令部がイラク空軍との連携のもと、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の爆弾製造基地など15カ所を破壊し、複数の戦闘員を殺傷した。

**

『ハヤート』(2月27日付)によると、ディヤーラー県で、治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、同県のアミールとその副官を殺害し、6人の戦闘員を逮捕した。

AFP, February 26, 2014、AP, February 26, 2014、ARA News, February 26, 2014、Champress, February 26, 2014、al-Hayat, February 27, 2014、Iraqinews.com, February 26, 2014、Kull-na Shuraka’, February 26, 2014、Naharnet, February 26, 2014、NNA, February 26, 2014、Reuters, February 26, 2014、SANA, February 26, 2014、UPI, February 26, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年2月26日のシリア情勢:レバノンの動き

ヒズブッラーは声明を出し、24日晩に行われたとされるイスラエル軍による空爆に関して、「抵抗運動はベカーア高原のジャンター地方近くへの空爆に報復するべく、適切な時期と場所を選ぶだろう…。この攻撃は抵抗運動の報復なしには済まされない」と発表し、空爆があったことを認めた。

**

NNA(2月26日付)などによると、ベカーア県バアルベック郡マシュルーア・カーア地区で軍治安当局がシャームの民のヌスラ戦線の司令官の一人ニダール・スワイダーン氏を逮捕した。

スワイダーン氏は、ベイルート県コルニーシュ・マズラア地区にあるイスラーム系団体のタクワー協会の幹部で、シリア・レバノン国境地帯でのヌスラ戦線の活動を指揮していたという。

またMTV(2月26日付)によると、スワイダーン氏逮捕と合わせて、ベイルート県コルニーシュ・マズラア地区でタクワー協会の別の幹部アブー・ウマイル・ヒムスィー氏と、アブドゥッラー・アッザーム大隊のナーイム・アッバース氏にイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)からの資金2万ドルを渡したとされるウマル・ジュワーイナ氏も逮捕された。

タクワー協会は、トリポリ市のサラフィー主義者イスラーム・シャッハール氏に近いアブド・アラウィーヤ氏が運営する団体。

AFP, February 26, 2014、AP, February 26, 2014、ARA News, February 26, 2014、Champress, February 26, 2014、al-Hayat, February 27, 2014、Iraqinews.com, February 26, 2014、Kull-na Shuraka’, February 26, 2014、MTV, February 26, 2014、Naharnet, February 26, 2014、NNA, February 26, 2014、Reuters, February 26, 2014、SANA, February 26, 2014、UPI, February 26, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年2月26日のシリア情勢:国内の暴力

ダマスカス郊外県では、SANA(2月26日付)によると、東グータ地方のナシャービーヤ町・マイダアー町・アドラー市工業団地地区・ドゥマイル市・ビイル・カサブ地区回廊で、軍がシャームの民のヌスラ戦線、イスラーム旅団を要撃し、サウジ人、カタール人、チェチェン人などを含む175人以上の戦闘員を殺傷した。

この戦闘は、東グータ地方への「テロリスト」の潜入を阻止するために行われた作戦の一環だという。

これに関して、シリア人権監視団は、ウタイバ村・マイダアー町間で軍とヒズブッラー戦闘員が反体制武装集団を要撃し、「イスラーム主義武装集団戦闘員が少なくとも70人死亡し、89人との連絡がとれなくなっており、死亡した模様だ」と発表した。

またシリア革命総合委員会のアーミル・カラムーニー報道官は、「革命家」が25日にヤブルード市周辺の軍の拠点複数カ所を攻撃し、150人以上の軍兵士とヒズブッラー戦闘員を殺害していたと主張した。

このほか、SANAによると、マシュラファ村北西部、リーマー農場、アタバ市、タラール・クーア・ハラス、ダーライヤー市、アルバイン市、ザマルカー町、アドラー市ウンマーリーヤ地区、ヤブルード市、タルフィーター村など、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ヌスラ戦線、イスラーム戦線などの戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、シリア人権監視団によると、ヤブルード市周辺で、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などからなるジハード主義武装集団と交戦し、後者の戦闘員4人が死亡、また軍が同市周辺を砲撃・空爆した。

他方、クッルナー・シュラカー(2月26日付)などによると、タッル市商業高等学校校長で国民和解委員会メンバーのスライマーン・サルアス氏が、何者かに頭を銃で撃たれて殺害され、タッル市で遺体が発見された。

**

ダマスカス県では、SANA(2月26日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、『ハヤート』(2月27日付)は、複数のパレスチナ消息筋の話として、ダマスカス県ヤルムーク区内で、ファタハが反体制武装集団と同地区内で治安維持活動にあたる合同治安部隊の結成に向けた交渉を行っていると報じた。

同報道によると、この合同部隊は280人の戦闘員からなっており、ファタハは、アサド政権と良好な関係にあるPFLP-GCとヤルムーク区の支配権をめぐって「激しい競争」を行っているのだという。

ヤルムーク区の反体制武装集団は約1,500人からなり、うち300人がシャームの民のヌスラ戦線、70人がイブン・タイミーヤ大隊、200人がアクナーフ・ムカッダス大隊の戦闘員だという。

なお、ヤルムーク区では、2月22日にハマースを除くパレスチナ諸派の使節団50人が地区内での武装解除の状況を確認する作業を行う一方、人道支援物資の流出を防ぐため、ヤルムーク区とダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市、タダームン区の境界に諸派合同治安部隊が展開した(https://syriaarabspring.info/wp/?p=3897)。

**

アレッポ県では、SANA(2月26日付)によると、アレッポ市サラーフッディーン地区、ブスターン・カスル地区、ハッダーディーン地区、ムスリミーヤ村、ワディーヒー村、畜産農場地区、シャイフ・ナッジャール市および同工業団地地区、自由貿易地区、アレッポ中央刑務所周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ダイル・ザウル県では、SANA(2月26日付)によると、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、ハウィーカ地区、マリーイーヤ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、アッバース大隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市ムーカンブー地区で、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、子供1人を含む市民4人が死亡した。

**

イドリブ県では、SANA(2月26日付)によると、アブー・ズフール航空基地周辺、タラブ村、マジュダリヤー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ラタキア県では、SANA(2月26日付)によると、シャフルーラ村、ラウダ村、ザーヒヤ村、スーダ村、ダブラ村、ドゥーリーン村、マルジュ・フーハ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、サウジ人、リビア人の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ダルアー県では、SANA(2月26日付)によると、ダルアー市ヨルダン通り、技術研究所周辺、ジャフラ村、サムリーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ハサカ県では、ARA News(2月26日付)が、民主統一党人民防衛隊によって制圧されたタッル・タムル町での「平穏」に乗じて、窃盗団による犯罪(商店などへの強盗)が横行し、アサーイシュが事態への対処に尽力している、と報じた。

AFP, February 26, 2014、AP, February 26, 2014、ARA News, February 26, 2014、Champress, February 26, 2014、al-Hayat, February 27, 2014、Iraqinews.com, February 26, 2014、Kull-na Shuraka’, February 26, 2014、Naharnet, February 26, 2014、NNA, February 26, 2014、Reuters, February 26, 2014、SANA, February 26, 2014、UPI, February 26, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年2月26日のシリア情勢:シリア政府の動き

アサド大統領はイラン・シューラー議会(国会)のアラーッディーン・ボルージェルディー国家安全保障外交委員長が団長を務めるイラン使節団とダマスカスで会談し、二国間関係やシリア情勢について協議した。

SANA(2月26日付)によると、アサド大統領は会談で、地域各国の協力が過激派やテロに対抗するうえでの基礎をなすとしたうえで、地域諸国およびその友好国の国会の連携の重要性を強調した。

SANA, February 26, 2014
SANA, February 26, 2014

またアサド大統領は、イランによるシリアへの全面支援を高く評価する一方、イランによる核快活プロジェクト実現が同国の主権と自決権を強化する効果をもたらすだろうとの見方を示したという。

これに対して、ボルージェルディー国家安全保障外交委員長は、「思想面、活動面での抵抗運動の最前線」をなすシリアへの全面支援を確認し、帝国主義列強の対決におけるシリア国民の成功がシリア史だけでなく地域全体の諸国民の未来における転換点になるだろうと述べたという。

大統領との会談後、ボルージェルディー国家安全保障外交委員長ら一行は、ワーイル・ハルキー首相、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣らと会談し、二国間通商関係、ジュネーブ2会議などへの対応について協議した。

**

SANA(2月26日付)によると、ダマスカス郊外県のダイル・アリー町、アルトゥーズ町、ジュダイダト・アルトゥーズ町、ダルアー県のサナマイン市で、軍による「テロとの戦い」への支持を表明するデモが行われ、各会場に数千人の市民が参加した。

SANA, February 26, 2014
SANA, February 26, 2014

AFP, February 26, 2014、AP, February 26, 2014、ARA News, February 26, 2014、Champress, February 26, 2014、al-Hayat, February 27, 2014、Iraqinews.com, February 26, 2014、Kull-na Shuraka’, February 26, 2014、Naharnet, February 26, 2014、NNA, February 26, 2014、Reuters, February 26, 2014、SANA, February 26, 2014、UPI, February 26, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年2月26日のシリア情勢:反体制勢力の動き

イスラーム戦線のザフラーン・アッルーシュ司令官は、フッラー・チャンネル(2月26日付)のインタビュー(http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=XnNpKvt6feo)に応じ、シリア国内の反体制武装集団どうしの戦闘は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の組織の間で行われているだけで、ダーイシュ以外の武装集団間での衝突は存在しないと断じた。

Youtube
Youtube

アッルーシュ司令官は、ダーイシュがほかの組織に自らの支配を押しつけ、忠誠を誓わせようとしていると非難したうえで、その事実上の司令官が「イランのパスポートを所持したハッジー・バクルを名乗る人物(大佐)」で、アレッポ県ジャラーブルス市のアミールがシリアの共和国護衛隊の中尉だと主張した。

一方、ダーイシュによる市民や反体制武装集団への背教宣告については、シリア北部に密入国したジョン・マケイン米上院議員と面会した北の嵐旅団に代表されるすべての組織、人物に背教宣告を下したと言った例を示した。

さらに、ダーイシュの外国人戦闘員(ムハージリーン)については、ダーイシュを離反するよう呼びかけ、見ず知らずの人物に従ってはならないと警鐘を鳴らした。

最後に、アッルーシュ司令官は、ジャズィーラの討論番組「イッティジャーフ・ムアーキス」の名物司会者でシリア人のファイサル・カースィム氏をまねるかのように、「ダーイシュはなぜ虐殺を犯すのか…? 政府軍はなぜダーイシュの拠点への砲撃を停止しているのか…? ダーイシュの司令官はなぜ無名のイラク人なのか?」といった自問を繰り返した。

**

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)指導者のアブー・バクル・バグダーディー氏は声明を出し、ラッカ州(ウィラーヤト・ラッカ)の「キリスト教徒の生命、財産、教会などの安全を約束する」と発表した。

声明によると、「修道院、教会…を建設せず…、十字架を見せず…、ミサに際して拡声器を使用せず…、イスラーム国家にいかなる敵対行為を行わないこと」が条件になるという。

**

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)司令官の一人アブー・アブドゥッラー・アフガーニー氏はSNSを通じて声明を出し、戦闘停止の最後通告を出したシャームの民のヌスラ戦線指導者のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏の声明に対し「死によって悟らないよう、悟るべきだ。すべてのイスラーム教徒が建設を望むイスラーム国家の夢を試すな…。ジャウラーニー師よ、あなたはイラクでのジハードを裏切るためにジハードの道を進み始めたのか?」と述べ、撤回を求めた。

**

民主統一党人民防衛隊総司令部は声明を出し、西クルディスタン移行期民政局における「軍事掃討作戦」を終了し、「合法的な自衛権に則った自衛活動」に活動を限定すると発表した。

ARA News, February 26, 2014
ARA News, February 26, 2014

人民防衛隊は声明で「民主的自治機関の高官とジャズィーラ地方の防衛委員会(国防省)顧問の指示に従い、人民防衛隊(YPG)は三地域(ジャズィーラー、コバネ、アフリーン)、およびクルド人が暮らすアレッポ、ラッカ各地で、軍事掃討作戦を停止し、合法的な自衛権に則った自衛活動を行うことを遵守する」と発表した。

**

シリア人権監視団は、1月3日に本格化したイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の反体制武装集団と戦闘による死者数が、2月25日深夜の段階で約3,300人に達していると発表した。

同監視団によると、アレッポ県、イドリブ県、ラッカ県、ハマー県、ダイル・ザウル県、ヒムス県、ハサカ県での両者の戦闘により、ダーイシュの戦闘員924人(うち自爆は34人、処刑されたのは54人)、それ以外のジハード主義武装集団戦闘員1,380人(うち処刑されたのは128人)、民間人259人が死亡しているという。

AFP, February 26, 2014、Alhurra, February 26, 2014、AP, February 26, 2014、ARA News, February 26, 2014、Champress, February 26, 2014、al-Hayat, February 27, 2014、Iraqinews.com, February 26, 2014、Kull-na Shuraka’, February 26, 2014、Naharnet, February 26, 2014、NNA, February 26, 2014、Reuters, February 26, 2014、SANA, February 26, 2014、UPI, February 26, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.