2014年2月14日のシリア情勢:反体制勢力の動き(追記)

ハラブ・ニュース(2月16日付)は、14日晩、アレッポ市で集っていた反体制活動家たちが、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に傾倒する「友人」に射殺されたと報じた。

殺害されたのは、ラーヤート・ハック調整メンバー、ハラブ・ニュース特派員らで、この「友人」は同じくダーイシュに傾倒する男性2人と「食事をとりたい」と彼らのもとを訪れ、小銃で射殺したという。

Halabnews.com, February 16, 2014をもとに作成。

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2014年2月14日のシリア情勢:クルド民族主義勢力の動き

Syria-News(2月15日付)は、ハサカ県アームーダー市で民主統一党の党員や支持者がPKKのアブドゥッラ・オジャラン逮捕(1999年)から15年にあたる2月14日にデモを実施、拡声器を通じて住民に参加を強要したと報じた。

Rihab News, February 16, 2014
Rihab News, February 16, 2014

クッルナー・シュラカー(2月16日付)によると、民主統一党はまたラアス・アイン市でも同様のデモを行い、住民に参加を強要したのだという。

Rihab News, February 16, 2014、Syria-news.com, February 15, 2014、February 16, 2014などをもとに作成。

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2014年2月14日のシリア情勢:諸外国の動き

『ハヤート』(2月15日付)によると、ジョン・ケリー米国務長官は訪問先の中国で、シリア情勢に関して「バラク・オバマ大統領は我々みなに、さまざまな選択肢について考えるよう求めた…。これらの選択肢がすでに提示されているのか、いないのかについて応えるように求めている。現状を踏まえて、現在、評価プロセスが進行中だ…。これらの選択肢が明示され、大統領がそれを求めれば、それについての議論がなされるだろう」と述べ、米国の対シリア政策が手詰まりであることを示唆した。

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化学兵器禁止機関は、シリアの化学兵器廃棄プロセスに関して、危険性の低い化学物質の廃棄処理を民間委託する国際入札で、米国とフィンランドの2社を選定したと発表した。

入札には14社が応じていた。

発表によると、米企業はサリンなどの原料となる無機化学物質約160トンを、フィンランドの企業はVXガスやマスタードが図の原料となる有機化学物質約360トンを無害化するという。

AFP, February 14, 2014、AP, February 14, 2014、Champress, February 14, 2014、al-Hayat, February 15, 2014、Iraqinews.com, February 14, 2014、Kull-na Shuraka’, February 14, 2014、Naharnet, February 14, 2014、NNA, February 14, 2014、Reuters, February 14, 2014、Rihab News, February 15, 2014、SANA, February 14, 2014、UPI, February 14, 2014などをもとに作成。

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2014年2月14日のシリア情勢:レバノンの動き

サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るサアド・ハリーリー元首相は、ベイルートで行われたムスタクバル潮流による父ラフィーク・ハリーリー元首相追悼記念集会に向けてビデオ演説を行った。

演説のなかでハリーリー元首相は「ムスタクバル潮流は、ヒズブッラー、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)、シャームの民のヌスラ戦線のイメージのなかにある身を置くことを拒否する。ヒズブッラーとアル=カーイダの戦争に同潮流とレバノンのスンナ派が巻き込まれることを拒否する…。ムスタクバル潮流は、ラフィーク・ハリーリーのイメージのなかに身を置くか、さもなければその存在を止めるだろう」と述べた。

またハリーリー元首相は、ナビーフ・ビッリー国民議会議長に向けてメッセージを発し、ヒズブッラーをシリアから撤退させるよう呼びかけた。

Naharnet, February 14, 2014
Naharnet, February 14, 2014

AFP, February 14, 2014、AP, February 14, 2014、Champress, February 14, 2014、al-Hayat, February 15, 2014、Iraqinews.com, February 14, 2014、Kull-na Shuraka’, February 14, 2014、Naharnet, February 14, 2014、NNA, February 14, 2014、Reuters, February 14, 2014、Rihab News, February 15, 2014、SANA, February 14, 2014、UPI, February 14, 2014などをもとに作成。

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2014年2月14日のシリア情勢:国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ミスラーバー市、ムライハ市周辺、ザバダーニー市東部の山岳地帯、ヤブルード市、ザーキヤ町を軍が「樽爆弾」などで空爆・迫撃した。

これに関してUNHCR報道官は記者団に対して、ヤブルード市に対して軍が準備しているとされる総攻撃を前に、同市の500~600世帯がレバノン国内のアルサール村(ベカーア県)に避難していると発表した。

一方、SANA(2月14日付)などは、「ヤブルード方面に対して…質的進軍」があったとし、ヤブルード市を一望できるダフラト・アカバ丘陵を制圧したと報じた。

また、ヤブルード市周辺、ダーライヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外、アーリヤ農場、アドラー市旧市街、同ウンマーリーヤ地区、ドゥーマー市、ルハイバ市郊外、ランクース市近郊、サフル村、リーマー農場、アルナ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線、シャームの民のヌスラ戦船の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、クッルナー・シュラカー(2月14日付)によると、革命家を名乗る複数の男性が、ダーライヤー市の反体制武装集団司令官3人を逮捕・拷問したほか、同市地元評議会メンバーの車に発砲し、女性1人を含む2人を殺害、また同評議会メンバー4人を一時拉致した。

ある活動家によると、政権との停戦を強いられた「革命家」がこうした犯行を行っているのだという。

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ヒムス県では、AFP(2月14日付)によると、ザーラ村で軍がレバノン人などを含む「テロリスト24人」を殲滅した。

一方、SANA(2月14日付)によると、ザーラ村、フーシュ・ディーワーニーヤ村、ナジュマ村、ムフターリーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外交人の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県ではシリア人権監視団やイフバーリーヤ(2月14日付)によると、ヤードゥーダ村のモスク近くで爆弾が仕掛けられた車が爆発し、18人(クッルナー・シュラカー(2月14日付)によると34人)が死亡した。

一方、SANA(2月14日付)によると、マターイヤ村、ダルアー市各所、マアルバ町、キヒール村、タイバ町、ヌアイマ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

Kull-na Shuraka', February 14, 2014
Kull-na Shuraka’, February 14, 2014

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がアレッポ市旧市街のカールトン・ホテルの地下にトンネルを掘り、爆弾を仕掛け爆発させ、同ホテルを拠点としてた軍の兵士5人が死亡した。しかしSANA(2月14日付)などによると、この爆発による死者は兵士2人だけだという。

またフライターン市では、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が撤退に先立って、電力研究所で市民13人(クッルナー・シュラカー(2月14日付)によると60人以上)を処刑、井戸に遺棄した。

同監視団によると、処刑されたのは、ダーイシュと戦闘しているジハード主義武装集団の親類などだという。

このほか、フライターン市、ラトヤーン村、カフルハムラ村、バーシュカウィー村、タッル・サイビーン村からのダーイシュの撤退を受け、ジハード主義武装集団が同地を制圧した。

ダーイシュはアフリーン市に後退したという。

一方、SANA(2月14日付)によると、アレッポ市旧市街、バニー・ザイド地区、カルム・マイサル地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ブスターン・カスル地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またシャイフ・ルトフィー村、ウワイジャ地区、ダーラト・イッザ市、ハイヤーン町、フライターン市、アナダーン市、ラスム・アッブード村、ハミーミーヤ村、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、アレッポ中央刑務所周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が反体制武装集団の司令官と副官の2人、クルド人戦闘員4人を殺害した。

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ダマスカス県では、SANA(2月14日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(2月14日付)によると、カフルズィーター市、ラターミナ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(2月14日付)によると、イドリブ市周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、リハーブ・ニュース(2月15日付)によると、カフターニーヤ市で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、市民4人が重傷を負った。

AFP, February 14, 2014、AP, February 14, 2014、Champress, February 14, 2014、al-Hayat, February 15, 2014、al-Ikhbariya, February 14, 2014、Iraqinews.com, February 14, 2014、Kull-na Shuraka’, February 14, 2014、Naharnet, February 14, 2014、NNA, February 14, 2014、Reuters, February 14, 2014、Rihab News, February 15, 2014、SANA, February 14, 2014、UPI, February 14, 2014などをもとに作成。

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2014年2月14日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(2月14日付)によると、ダマスカス郊外県ジャルマーナー市で、パレスチナ難民キャンプに対する「テロ集団」の包囲・犯罪、外国による内政干渉に反対するデモ行進が行われ、多数の市民が参加した。

SANA, February 14, 2014
SANA, February 14, 2014

AFP, February 14, 2014、AP, February 14, 2014、Champress, February 14, 2014、al-Hayat, February 15, 2014、Iraqinews.com, February 14, 2014、Kull-na Shuraka’, February 14, 2014、Naharnet, February 14, 2014、NNA, February 14, 2014、Reuters, February 14, 2014、Rihab News, February 15, 2014、SANA, February 14, 2014、UPI, February 14, 2014などをもとに作成。

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2014年2月14日のシリア情勢:反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(2月14日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立アフマド・トゥウマ暫定内閣筋の話として、アスアド・ムスタファー国防大臣が辞任したと報じた。

同サイトが転載した辞任声明によると、「現地での困難な状況…では、暫定政府が役割を果たすことができない」のが理由だという。

Kull-na Shuraka', February 14, 2014
Kull-na Shuraka’, February 14, 2014

 

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シリア・ムスリム同胞団のハッサーン・ハーシミー政治局長は声明を出し、ジュネーブ2会議が「政治的解決に失敗した」と断言し、「この会議が失敗したことを糾弾する研究評価」が行われることへの期待を表明した。

AFP, February 14, 2014、AP, February 14, 2014、Champress, February 14, 2014、al-Hayat, February 15, 2014、Iraqinews.com, February 14, 2014、Kull-na Shuraka’, February 14, 2014、Naharnet, February 14, 2014、NNA, February 14, 2014、Reuters, February 14, 2014、Rihab News, February 15, 2014、SANA, February 14, 2014、UPI, February 14, 2014などをもとに作成。

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2014年2月14日のシリア情勢:ジュネーブ2会議第2ラウンド

スイスのジュネーブでジュネーブ2会議第2ラウンドの直接会合が開かれ、『ハヤート』(2月15日付)などによると、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が、政府、シリア革命反体制勢力国民連立の代表団に議題についての合意を求めた。

しかし、「テロとの戦い」と移行期統治機関のどちらを最優先議題にするかをめぐって両代表団が対立し、西側外交筋によると「何らの進展もなかった」。

シリア革命反体制勢力国民連立のバドル・ジャームース氏は、米国のウェンディー・シャーマン政治担当国務次官との会談後、AFP(2月14日付)に「事態は好転していない…。今後何が起きるかは、ブラーヒーミー氏次第だが、金曜日(14日)が最終日になるだろう」と述べた。

また連立のルワイユ・サーフィー報道官は記者会見で「手詰まりになった。ダムが分厚い壁にならなければと思っている。我々はどんな躓きや困難も克服できる…。交渉は躓いた。これは秘密ではない。政治的解決に専念したいと考える別のチームがなければ、乗り越えられない地点にまで来てしまった…。政府が派遣した現在のチームは何の反応も示そうとしない…。事態が改善せずに、こうした状況が続けば、交渉は政治的解決実現に向けて描かれている道筋をたどることはない」と述べた。

一方、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、記者会見で「今日は、我々の代表団と国際仲介者(ブラーヒーミー氏)との会合から始まったが、残念ながら何の進展も実現しなかった…。我々はテロを阻止したいという率直な望みをもってジュネーブに来た。先方は、テロの存在を認めようとしていないが、我々は引き続きこのプロセスを続ける…。我々はテロとの戦いが最優先だと感じている。移行期政府についての審議が始まっても、テロを支援することしか耳に入ってこない…。先方は非現実的な議題を持ち込んでいる。彼らは移行期政府以外のいかなる問題についても話すつもりはない。これに対して我々はいかなる問題についても話す用意がある…。テロとの戦いについて合意したうえで移行期政府の問題について話す用意がある」と述べた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、モスクワでドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイアー外務大臣と会談した。

会談後の記者会見で、ラブロフ外務大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立に関して「このプロセス(ジュネーブ2会議)の参加を受けて、彼らはジュネーブ合意の完全実現に向けた話し合いに集中することを呼びかけているような印象があったが、実際には体制転換にしか関心がない…。彼らがしたいことは、移行期統治機関について話すことだけだ」と批判した。

AFP, February 14, 2014、AP, February 14, 2014、Champress, February 14, 2014、al-Hayat, February 15, 2014、Iraqinews.com, February 14, 2014、Kull-na Shuraka’, February 14, 2014、Naharnet, February 14, 2014、NNA, February 14, 2014、Reuters, February 14, 2014、Rihab News, February 15, 2014、SANA, February 14, 2014、UPI, February 14, 2014などをもとに作成。

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最新論考「ヒズブッラーとは何か――抵抗と革命の30年」(Synodos)

ヒズブッラーとは何か――抵抗と革命の30年
末近浩太 / 中東地域研究
http://synodos.jp/international/7006
中東情勢をめぐる報道のなかでしばしば登場する「ヒズボラ」。最近では、とくに2011年からのシリア「内戦」において、バッシャール・アサド政権を支持・支援する勢力として、新聞やテレビのニュースで取り上げられている。かつては、自爆攻撃や欧米人の誘拐を繰り返す「イスラーム原理主義」や「テロ組織」として、その名がたびたび報じられたこともある。・・・