2014年2月28日のシリア情勢:諸外国の動き

化学兵器禁止機関(OPCW)・国連合同派遣団は国連安保理にシリアでの化学兵器廃棄プロセスに関する月例報告書を提出、そのなかで1月27日に、反体制武装集団が2度にわたって化学物質を積んだ車列を襲撃しようとしたとシリア政府から報告を受けていたことを明らかにした。

襲撃についての詳細は明らかにされていない。

5ページからなる報告書ではまた、シリア政府が反体制武装集団との交戦によって、化学兵器関連施設に依然として近づくことができないでおり、そのことがインプロパノールなどの化学物質の廃棄プロセスを遅らせていると指摘している。

**

報告書に関して、潘基文事務総長は、廃棄プロセスに「重要な進展があった」としつつ、「シリア政府は化学兵器の全廃に向けて早急に努力すべきだ」と述べた。

**

米国務省は、ロバート・フォード駐シリア米大使を解任したと発表した。

フォード大使は半年前にジョン・ケリー米国務長官に対して「私的理由」により辞意を申し出ていた。

AFP, February 28, 2014、AP, February 28, 2014、ARA News, February 28, 2014、Champress, February 28, 2014、al-Hayat, March 1, 2014、Iraqinews.com, February 28, 2014、Kull-na Shuraka’, February 28, 2014、Naharnet, February 28, 2014、NNA, February 28, 2014、Reuters, February 28, 2014、SANA, February 28, 2014、UPI, February 28, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年2月28日のシリア情勢:レバノンの動き

NNA(2月28日付)によると、ベカーア県バアルベック郡ブリータール村に、シリア領から発射された迫撃砲弾3発が着弾し、3人が負傷した。

この砲撃に関して、ナハールネット(2月28日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が「ウタイバにおける我らが民への要撃とスンナ派に対する「悪魔の党」(ヒズブッラー)の行いへの報復として、イスラーム国の獅子たちは、ブリータール地方にある党の陣地をロケット弾3発で攻撃した」との犯行声明を出したと伝えた。

またバアルベック郡アルサール地方(ザマラーニー渓谷)を、シリア軍戦闘機が数回にわたって越境空爆した。

**

NNA(2月28日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方郊外で、シャームの民のヌスラ戦線が、「アサド政権に協力した」との罪状でシリア人2人を処刑した。

**

NNA(2月28日付)によると、ベカーア県バアルベック市で、レバノン軍がシリア人複数名を逮捕、所持していた武器・装備を押収した。

AFP, February 28, 2014、AP, February 28, 2014、ARA News, February 28, 2014、Champress, February 28, 2014、al-Hayat, March 1, 2014、Iraqinews.com, February 28, 2014、Kull-na Shuraka’, February 28, 2014、Naharnet, February 28, 2014、NNA, February 28, 2014、Reuters, February 28, 2014、SANA, February 28, 2014、UPI, February 28, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年2月28日のシリア情勢:国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が県北部の農村からの撤退を開始、マアッルスィッタ村、マーイル町、カッファイン村、ダイル・ジャマール村、タッル・リフアト市発電所、マンナグ航空基地、アアザーズ市からの撤退が確認された。

ハラブ・ニュース(2月28日付)によると、これを受け、シャームの民の作戦司令室が、マーイル町、ダイル・ジャマール村、カッファイン村、タッル・リフアト市、マンナグ航空基地、ダイル・ジャマール村、カフルカラバイン村を制圧したと発表した。

同作戦室はまた、タウヒード旅団がアアザーズ市に入り、同市および同市周辺の農村を制圧するとともに、バーブ・サラーマ国境通行所が再開されたと付言した。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(2月28日付)に、ダーイシュがラッカ県に近い農村地帯に撤退したと述べる一方、ジャラーブルス市、マンビジュ市の守備を固めていると指摘した。

一方、シリア人権監視団によると、アレッポ中央刑務所周辺などを軍が砲撃した。

他方、SANA(2月28日付)によると、アレッポ市ハナーヌー地区、ジャンドゥール地区、ハーウーズ交差点地区、旧市街、アルバイド村、クワイリス村、ラスム・アッブード村、アッザーン村、タッル・ジュバイン村、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、バーブ市北部、アナダーン市、フライターン市東部、バヤーヌーン町、アレッポ中央刑務所周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ヤブルード市周辺および同市郊外のリーマー農場を軍が空爆・砲撃、また軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などからなる反体制武装集団と交戦した。

アラビーヤ(2月28日付)によると、軍によるカラムーン地方への空爆は22回に及び、NNA(2月28日付)によると、カラムーン地方で死亡した男女2人の遺体がベカーア県バアルベック郡アルサール地方の病院に搬送された。

一方、SANA(2月28日付)によると、東グータ地方とカラムーン地方を結ぶ支線道路で、軍が反体制武装集団を要撃し、アンサール・ハリーファ旅団、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員20人以上を殲滅した。

またリーマー農場、ヤブルード市、サフル村、ダーライヤー市、ドゥーマー市、ナシャービーヤ町、ヒジャーリーヤ農場、アーリヤ農場、ダイル・アティーヤ市、アドラー市ウンマーリーヤ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ヌアイマ村、ダルアー県ダム街道地区を軍が「樽爆弾」などで空爆した。

**

イドリブ県では、Syria-News(2月28日付)によると、スィンジャール町で、爆弾が仕掛けられた車が爆発し、市民15人が死亡、20人が負傷した。

活動家らは、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の攻撃だと疑っているという。

**

ダマスカス県では、SANA(2月28日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またバーブ・シャルキー地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、女性・子供ら18人が負傷した。

**

ハマー県では、SANA(2月28日付)によると、ハマー市郊外で軍がスーラーン自由人軍事部門を名乗る武装集団を軍が殲滅した。

**

ヒムス県では、SANA(2月28日付)によると、ダール・カビーラ村、ガースィビーヤト・ナイーム村、サムアリール村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また東ドゥワイアル村、西ドゥワイアル村では、治安当局に投降した反体制武装集団メンバー60人が釈放された。

**

ハサカ県では、ARA News(2月28日付)によると、ハサカ市タッル・ハジャル地区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、複数の市民が負傷した。

爆発はアサーイシュの車輌を狙ったものだという。

AFP, February 28, 2014、 Alarabia, February 28, 2014、AP, February 28, 2014、ARA News, February 28, 2014、Champress, February 28, 2014、Halabnews.com, February 28, 2014、al-Hayat, March 1, 2014、Iraqinews.com, February 28, 2014、Kull-na Shuraka’, February 28, 2014、Naharnet, February 28, 2014、NNA, February 28, 2014、Reuters, February 28, 2014、SANA, February 28, 2014、Syria-news.com, February 28, 2014、UPI, February 28, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年2月28日のシリア情勢:シリア政府の動き

『ハヤート』(3月1日付)は、信頼できる消息筋の話として、2014年7月に実施予定の大統領選挙に、シリア民族社会党マハーイリー派(進歩国民戦線加盟政党)が大統領候補擁立に向けた準備を進めていると報じた。

同報道によると、民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表も大統領選挙出馬を検討しているという。

アサド政権は最近になって、各地で「軍によるテロとの戦い支持」を求める大規模なデモ実施を後押しするなどして、大統領選挙に向けた準備を本格化させている。

**

SANA(2月28日付)によると、ダマスカス県マッザ区で、軍による「テロとの戦い」支持を訴えるデモが行われ、数千人の市民が参加した。

AFP, February 28, 2014、AP, February 28, 2014、ARA News, February 28, 2014、Champress, February 28, 2014、al-Hayat, March 1, 2014、Iraqinews.com, February 28, 2014、Kull-na Shuraka’, February 28, 2014、Naharnet, February 28, 2014、NNA, February 28, 2014、Reuters, February 28, 2014、SANA, February 28, 2014、UPI, February 28, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年2月28日のシリア情勢:反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(2月28日付)は、西クルディスタン移行期民政局が、イラク・クルディスタン自治区でのクルド政党統一大会(シリア・クルド民主政治連合、3月3日開催予定)への参加を予定していたクルド民族主義政党各党の使節団のスィーマルカー国境通行所(ハサカ県)通過での出国を拒否したと報じた。

西クルディスタン移行期民政局が発行する通行許可書を所持してなかったのが理由。

出国を拒否されたのは、シリア・クルド民主党(アル・パールティ)アブドゥルハキーム・バッシャール派、シリア・クルドディスタン・イェキーティー党、シリア・クルド・アーザーディー党ムスタファー・ジュムア派、同ムスタファー・ウースー派の使節団。

**

イスラーム戦線報道官のイスラーム・アッルーシュ大尉は、26日のダマスカス郊外県での軍の要撃(戦闘員175人殺害)に関して、アナトリア通信(2月28日)に対し、民間人と戦闘員45人ほどが殺害されただけだと述べるとともに、殺害された戦闘員が、軍に包囲されていた民間人を安全な場所に避難させていたと主張した。

AFP, February 28, 2014、Anadolu Ajansı, February 28, 2014、AP, February 28, 2014、ARA News, February 28, 2014、Champress, February 28, 2014、al-Hayat, March 1, 2014、Iraqinews.com, February 28, 2014、Kull-na Shuraka’, February 28, 2014、Naharnet, February 28, 2014、NNA, February 28, 2014、Reuters, February 28, 2014、SANA, February 28, 2014、UPI, February 28, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

最新論考「紛争下のシリアにおける政治構造の若干の変容(試論):「権力の二層構造」持続に向けた抜本的制度改革」『国際情勢 紀要』

青山弘之「紛争下のシリアにおける政治構造の若干の変容(試論):「権力の二層構造」持続に向けた抜本的制度改革」『国際情勢 紀要』第84号、2014年2月(世界政治経済調査会国際情勢研究所出版)、pp. 183-196。

Ⅰ はじめに
Ⅱ 紛争前の政治構造
Ⅲ 紛争下の政治構造
Ⅳ 結びに代えて

http://www.sekaiseikei.or.jp/kokusaijyosei.htm