2014年2月20日のシリア情勢:諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、欧米諸国が採決をめざすシリアへの人道支援物資搬入に関する安保理決議案に関して、訪問中のイラクで記者団に対し「人道支援搬入に関する姿勢は我々がシリア政府など何らかの国の政府を満足させたいかどうかではなく国際法に基づくかどうかにかかっている。我々は、人道支援が…国際法の枠組みに沿って行われ、それに違反しないことを望んでいる」と述べた。

またラブロフ外務大臣は「10月の決議(議長声明)は、国境を経由した物資の搬入が、国際人道法に沿って行われねばならないと定めている。なぜ、今になってこれを追認できないという理由が分からない。しかも我々には、食糧や医薬品ではなく、武器などが武装集団に国境経由で供与されている多くの証拠を握っている」と付言した。

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中国外交部報道官は、欧米諸国が採決をめざすシリアへの人道支援物資搬入に関する安保理決議案に関して、「現状において、安保理がシリアの問題を政治的に解決するため建設的に行動しなければならないと考えている…。また安保理の行動は、国連が人道支援に関して定めた崇高な原理を尊重するかたちでなければならない」と述べた。

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デンマークのヘレ・トーニング=シュミット首相は、シリアの化学兵器廃棄プロセスに関して訪問先のキプロスで「猶予期間(廃棄修了日程)が尊重されることを慎重ではあるが楽観している…。しかしシリアが合意…を尊重するように我々が圧力をかけることが重要」と述べた。

AFP(2月20日付)が伝えた。

AFP, February 20, 2014、AP, February 20, 2014、Champress, February 20, 2014、al-Hayat, February 22, 2014、Iraqinews.com, February 20, 2014、Kull-na Shuraka’, February 20, 2014、Naharnet, February 20, 2014、NNA, February 20, 2014、Reuters, February 20, 2014、Rihab News, February 21, 2014、SANA, February 20, 2014、UPI, February 20, 2014などをもとに作成。

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2014年2月20日のシリア情勢:イラクの動き

イラク国防省は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を含むアル=カーイダ戦闘員を捕捉、ないしは殺害した者に報奨金を与えると告知した。

報奨金はダーイシュなどアル=カーイダの戦闘員を殺害した場合は、1人につき2,000万イラク・ディーナール、捕捉した場合は1人につき3,000万イラク・ディーナールが与えられる。

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合同作戦司令部は声明を出し、アンバール県で軍がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦、10人の戦闘員を殲滅、車輌などを破壊したと発表した。

またイラキー・ニュース(2月20日付)は、イラク空軍がバービル県ヒッラ市北部にあるダーイシュの拠点2カ所を空爆したと報じた。

さらにニナワ県では、イラーキーヤ・チャンネル(2月20日付)によると、軍がモスル市南東部でダーイシュの司令官2人を含む5人を殺害した。

AFP, February 20, 2014、AP, February 20, 2014、Champress, February 20, 2014、al-Hayat, February 21, 2014、Iraqinews.com, February 20, 2014、Kull-na Shuraka’, February 20, 2014、Naharnet, February 20, 2014、NNA, February 20, 2014、Qanat al-‘Iraqiya, February 20, 2014、Reuters, February 20, 2014、Rihab News, February 21, 2014、SANA, February 20, 2014、UPI, February 20, 2014などをもとに作成。

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2014年2月20日のシリア情勢:レバノンの動き

軍事裁判所のサクル・サクル長官は19日にベイルート南部郊外で発生した同時自爆テロに関して、DNA鑑定の結果、容疑者の1人を特定したと発表した。

DNA鑑定で特定された容疑者は、ニダール・ムガイヤル氏(パレスチナ人)で、犯行現場から同氏の顔写真が張られた偽造IDカードも発見されたという。

NNA(2月20日付)は、ムガイヤル氏に関して、サイダー市のサラフィー主義シャイフ、アフマド・アスィール師を支持していたと報じた。

Naharnet, February 20, 2014
Naharnet, February 20, 2014

またLBCI(2月20日付)は、ムガイヤル氏が、厳格なサラフィー主義者で、ヒズブッラーと戦うためにアスィール師によってシリアに送り込まれ、同地でシャームの民のヌスラ戦線に加入した、と伝えた。

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AFP(2月20日付)は、保健省からの情報として、19日のベイルート県南部郊外での同時自爆テロによる死者が10人に増加したと報じた。

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ナハールネット(2月20日付)によると、北部県トリポリ市ミナー地区で、アラブ民主党幹部のアブドゥッラフマーン・ディヤーブ氏が何者かに銃で撃たれ死亡した。

ディヤーブ氏はジャバル・フムスィン地区在住のアラウィー派宗徒で、息子のユースフ・ディヤーブ氏は、トリポリ市内のモスク2カ所で8月に発生した爆破事件の容疑者として身柄拘束されている。

AFP, February 20, 2014、AP, February 20, 2014、Champress, February 20, 2014、al-Hayat, February 21, 2014、Iraqinews.com, February 20, 2014、Kull-na Shuraka’, February 20, 2014、LBCI, February 20, 2014、Naharnet, February 20, 2014、NNA, February 20, 2014、Reuters, February 20, 2014、Rihab News, February 21, 2014、SANA, February 20, 2014、UPI, February 20, 2014などをもとに作成。

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2014年2月20日のシリア情勢:国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、「国民和解」が実現したバービッラー市で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)戦闘員が市庁舎に掲げられたシリア国旗を引きずり下ろして焼き払った。

しかし、政権との停戦に同意した同市内の名望家たちは、「和解」を継続し、人道支援物資を搬入したことを明らかにしたという。

またシリア人権監視団によると、ドゥーマー市・アルバイーン市間一帯を空爆する軍戦闘機がジハード主義武装集団の応戦によって損傷した。

このほか、同監視団によると、軍はサフル村、ダーライヤー市などに対しても「樽爆弾」で空爆を行う一方、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がヤブルード市、リーマー農場、ワーフィディーン・ゴラン高原難民キャンプなどで反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(2月20日付)によると、リーマー農場、ヤブルード市北部および南東部一帯、フライラ市郊外の山岳地帯、ダーライヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプおよび同市郊外、ザマルカー町、ハッザ町、ハラスター市、ムライハ市郊外、アーリヤ農場、ランクース市郊外などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、リハーブ・ニュース(2月21日付)によると、イスラーム軍がドゥマイル市郊外にある軍の電子戦争大隊本部を制圧した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、旧市街のザーヒラ地区で軍の退役准将とその妻娘の3人の他殺体が発見された。

一方、SANA(2月20日付)によると、ジャウバル区、カダム区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、バーブ・サラーマ国境通行所近くで大きな爆発があり、複数の負傷者が救急車両でトルコのキリス市に搬送された。

クッルナー・シュラカー(2月21日付)によると、爆発を受けて、トルコ当局は国境通行所を閉鎖した。

またシリア人権監視団によると、アレッポ中央刑務所の正門前と刑務所内の施設近くで、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員が爆弾を仕掛けた車などで自爆攻撃を行い、兵士8人を殺害した。

クッルナー・シュラカー(2月21日付)によると、これを受け、軍は刑務所周辺に「樽爆弾」16発を投下した。

これに関して、SANA(2月20日付)は、反体制武装集団がアレッポ中央刑務所を襲撃したが、軍がこれを撃退したと報じた。

このほか、アレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区が軍による「樽爆弾」の攻撃を受ける一方、旧市街などで軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(2月20日付)によると、アレッポ市スッカリー地区、インザーラート地区、旧市街、サーフール地区、シャイフ・サイード地区、ハナーヌー地区、ブスターン・カスル地区、サイフ・ダウラ地区、シャイフ・ヒドル地区、ジュダイダ地区、クワイリス村、ブライジュ村、ラスム・アッブード村、工業団地地区、アターリブ市、アウラム・クブラー町、アッザーン村、ハッダーディーン村、アイン・ジャマージマ村、アレッポ中央刑務所周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市ナイル通りに反体制武装集団が打った迫撃砲弾1発が着弾し、子供1人が死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ワアル地区に人道支援物資が搬入された。

またシャーム自由人イスラーム運動がヒムス・タドムル街道で軍の士官(少尉)1人を含む兵士6人を要撃・殺害する一方、カルヤタイン市住民が身柄拘束中に軍の拷問を受けて死亡した。

さらにラスタン市が軍の砲撃を受けるとともに、クマイリー村検問所などで軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員とジュンド・シャーム大隊が交戦した。

一方、SANA(2月20日付)によると、ムシャイリファ村、ヒムス市クスール地区、旧市街灌漑水路近く、サアン村、バイト・ハッジュー村、ウユーン・フサイン村、タルビーサ市、タイバ村、クマイリー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ジュンド・シャーム大隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ジャースィム市、インヒル市が軍の「樽爆弾」による攻撃を受けた。

一方、SANA(2月20日付)によると、ヨルダン領内からマターイヤ村に潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

またズィムリーン村、サムリーン村、ダルアー市旧税関地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、リハーブ・ニュース(2月21日付)によると、「自由シリア軍」がナワー市郊外の軍検問所2カ所を制圧した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団との戦闘で、軍の兵士12人が死亡した。

一方、SANA(2月20日付)によると、ジュバーター・ハシャブ村街道で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(2月20日付)によると、カフルズィーター市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(2月20日付)によると、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、ハウィーカ地区、ジュバイラ地区、マリーイーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(2月20日付)によると、ハサカ県マサーキン・マハッタ地区で反体制武装集団が手榴弾を投げ、市民1人が負傷した。

AFP, February 20, 2014、AP, February 20, 2014、Champress, February 20, 2014、al-Hayat, February 21, 2014、Iraqinews.com, February 20, 2014、Kull-na Shuraka’, February 20, 2014, February 21, 2014、Naharnet, February 20, 2014、NNA, February 20, 2014、Reuters, February 20, 2014、Rihab News, February 21, 2014、SANA, February 20, 2014、UPI, February 20, 2014などをもとに作成。

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2014年2月20日のシリア情勢:シリア政府の動き

バアス党シリア地域指導部機関紙(日刊紙)『サウラ』(2月20日付)は社説で、米国が反体制武装集団を教練し、シリア南部に投入しようとしているとの情報に関して、ヨルダン政府が荷担しようとしているとの話を聞くとしたうえで、「火遊びをする者は、指を火傷する」と警鐘を鳴らした。

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SANA(2月20日付)によると、ダマスカス郊外県クドスィーヤー市郊外で、軍による「テロとの戦い」を支持するデモ行進が行われ、クドスィーヤー市民、ディーマース町民、サッブーラ市民など数万人が参加した。

SANA, February 20, 2014
SANA, February 20, 2014

また同県ズィヤービーヤ町郊外のマサーキン・ナジュハー地区でも住民が同様のデモを行った。

一方、タルトゥース県でも、タルトゥース市コルヌーシュ地区で、軍による「テロとの戦い」支持と外国の内政干渉拒否を訴える「百万人行進」が行われた。

また同県ミスヤーフ市でも同様のデモが行われ、数万人の市民が参加した。

このほか、ラタキア県でも、ハッファ市で軍による「テロとの戦い」を支持するデモが行われ、多数の市民が参加した。

AFP, February 20, 2014、AP, February 20, 2014、Champress, February 20, 2014、al-Hayat, February 21, 2014、Iraqinews.com, February 20, 2014、Kull-na Shuraka’, February 20, 2014、Naharnet, February 20, 2014、NNA, February 20, 2014、Reuters, February 20, 2014、Rihab News, February 21, 2014、SANA, February 20, 2014、al-Thawra, February 20, 2014、UPI, February 20, 2014などをもとに作成。

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2014年2月20日のシリア情勢:反体制勢力の動き

ダマスカス郊外県東グータ地方で活動するジハード主義武装集団や地元評議会は共同声明を出し、政権とのいかなる休戦をも望んでいないとしたうえで、政権とのいかなる交渉も拒否すると発表した。

共同声明に署名しているのは、ムライハ地元評議会、ダマスカス郊外県シャリーア委員会、サアド・ビン・イバーダ旅団(自由シリア軍)、アブドゥッラー・ビン・アッバース旅団(イスラーム軍)。

Kull-na Shuraka', February 20, 2014
Kull-na Shuraka’, February 20, 2014

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アレッポ市シャリーア委員会は声明を出し、統一司法評議会がシャリーア委員会に参加・編入したと発表した。

Kull-na Shuraka', February 20, 2014
Kull-na Shuraka’, February 20, 2014

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)ラッカ州(ウィラーヤト・ラッカ)は声明を出し、休日を金曜日と土曜日から、木曜日と金曜日に変更すると発表した。

Kull-na Shuraka', February 20, 2014
Kull-na Shuraka’, February 20, 2014

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イスラーム戦線司令官の一人アブー・イーサー・シャイフ氏は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の活動に関して『クドス・アラビー』(2月20日付)に対し、「政権が過去3年できなかったこと(殺戮)を行った」と批判した。

またシャイフ氏は、ダーイシュによるシャームの鷹旅団のムハンマド・ディーク司令官拉致・殺害への復讐を行うと述べた。

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クッルナー・シュラカー(2月20日付)は、複数の消息筋の話として、シリア革命反体制勢力国民連立がハイサム・マーリフ法務委員長をアラブ連盟代表大使に任命し、連盟から認証を受けたと報じた。

AFP, February 20, 2014、AP, February 20, 2014、Champress, February 20, 2014、al-Hayat, February 21, 2014、Iraqinews.com, February 20, 2014、Kull-na Shuraka’, February 20, 2014、Naharnet, February 20, 2014、NNA, February 20, 2014、al-Quds al-‘Arabi, February 20, 2014、Reuters, February 20, 2014、Rihab News, February 21, 2014、SANA, February 20, 2014、UPI, February 20, 2014などをもとに作成。

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