2014年2月12日のシリア情勢:諸外国の動き

ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は、人道回廊設置を定めた安保理決議案の提出をめざす西側諸国に関して、「シリア政府に対する軍事的行動に道を開くことが目的だ…。我々にとって現在、準備がなされていることは容認できない。我々がそれを承認させないのは当然」と非難、安保理で採決がなされた場合、ロシアは反対票を投じると述べた。

RIAノーヴォスチ通信(2月12日付)などが伝えた。

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ロシア外務省報道官は、人道回廊設置を求める国連安保理決議案の審議をめざす欧米諸国、とりわけ米国の批判に関して「こうして逸脱したやり方で、なぜシリアに対するロシアの姿勢をゆがめようとするのか?」と反論した。

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ヨルダンのアブドゥッラー国王がワシントンDCでジョー・バイデン米副大統領と会談し、シリア情勢などについて協議した。

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バレリー・アモス人道問題担当事務次長は「24万人以上のシリア人が(都市部で)包囲されている」と警鐘を鳴らすとともに、政府、反体制勢力の双方が国際法に違反して民間人の安全を守っていないと批判、国連安保理に対して、シリアでの人道に対する犯罪を国際刑事裁判所に訴追するための行動を求めた。

AFP, February 12, 2014、AP, February 12, 2014、Champress, February 12, 2014、al-Hayat, February 13, 2014、Iraqinews.com, February 12, 2014、Kull-na Shuraka’, February 12, 2014、Naharnet, February 12, 2014、NNA, February 12, 2014、Reuters, February 12, 2014、RIA Novosti, February 13, 2014、Rihab News, February 12, 2014、SANA, February 12, 2014、UPI, February 12, 2014などをもとに作成。

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2014年2月12日のシリア情勢:イラクの動き

合同作戦司令部は声明を出し、アンバール県アスィーバ地方の対シリア国境地帯で治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国の戦闘員1人を逮捕したと発表した。

また内務省報道官も声明を出し、アンバール県タッル・スクーフ地方で警察部隊が、シリア領から潜入したイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、大量の武器弾薬が積まれていた車輌複数台を破壊した、と発表した。

さらに、イラキー・ニュース(2月12日付)によると、アンバール県ラマーディー市東部のハルディーヤ地区で、治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の司令官アブー・マージド・サウーディー氏を殺害した。

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フサイン・シャフルスターニー国民議会議員は、イラク政府がアンバール県ファッルージャ市の反体制武装集団(イラク・シャーム・イスラーム国)を完全に包囲していると発表、暴力の停止と武装解除を求めた。

リハーブ・ニュース(2月12日付)が伝えた。

AFP, February 12, 2014、AP, February 12, 2014、Champress, February 12, 2014、al-Hayat, February 13, 2014、Iraqinews.com, February 12, 2014、Kull-na Shuraka’, February 12, 2014、Naharnet, February 12, 2014、NNA, February 12, 2014、Reuters, February 12, 2014、Rihab News, February 12, 2014、SANA, February 12, 2014、UPI, February 12, 2014などをもとに作成。

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2014年2月12日のシリア情勢:レバノンの動き

レバノン軍は声明を出し、ベイルート県の軍諜報機関が、自爆テロを計画していたパレスチナ人のナーイム・アッバース氏を逮捕、100キロの爆発物などが積まれた車をベイルート県コルニーシュ・マズラア地区で押収したと発表した。

NNA(2月12日付)によると、アッバース氏はベイルート県南部郊外で自爆テロを計画していたという。

またMTV(2月12日付)などは、コルニーシュ・マズラア地区にあるアッバース氏の自宅で自爆未遂犯のムハンマド・マフムード氏も逮捕されたと報じた。

AFP, February 12, 2014、AP, February 12, 2014、Champress, February 12, 2014、al-Hayat, February 13, 2014、Iraqinews.com, February 12, 2014、Kull-na Shuraka’, February 12, 2014、Naharnet, February 12, 2014、NNA, February 12, 2014、Reuters, February 12, 2014、Rihab News, February 12, 2014、SANA, February 12, 2014、UPI, February 12, 2014などをもとに作成。

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2014年2月12日のシリア情勢:国内の暴力

ヒムス県では、タラール・バラーズィー県知事がAFP(2月12日付)に対し、ヒムス市旧市街から新たに217人の民間人を退避させる一方、人道支援物資を搬入することに成功したと発表した。

一方、SANA(2月12日付)によると、マシュラファ村、ラッジュ村、ハッターブ村、サラーム・ガルビー村、アルシューナ村、ラスタン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアイン・ダナーニール村を反体制武装集団が迫撃砲で攻撃した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍が少なくとも20度にわたってヤブルード市および同市周辺を空爆、複数の活動家は、軍がカラムーン地方の反体制武装集団制圧地域への軍の攻勢が始まったと主張した。

しかしシリア軍筋は、AFP(2月12日付)に対して、ヤブルード市一帯への空爆が「武装テロ集団に対する通常の活動」だと一蹴した。

シリア人権監視団によると、ヤブルード市北部のナバク陸橋近くでも、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がジハード主義武装集団と交戦する一方、軍が対レバノン国境に近いジャラージール町を制圧した。

ジャラージール町はレバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール村に面した村。

一方、SANA(2月12日付)によると、軍がジャラージール町および周辺の農村地帯で、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線を殲滅し、同地を制圧した。

またサフル村、ザバダーニー市郊外、ダーライヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプ、ムライハ市、アドラー市ウンマーリーヤ地区、リーマー農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ヌスラ戦線、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団が制圧しているアレッポ市サーフール地区を軍が「樽爆弾」で攻撃し、子供複数を含む27人が死亡した。

一方、SANA(2月12日付)によると、アレッポ市ハミーディーヤ地区、マルジャ地区、スッカリー地区、カーディー・アスカル地区、マサーキン・ハナーヌー地区、カルム・マイサル地区、カラム・タッハーン地区、ラーシディーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ中央刑務所周辺、ヒーラーン村、ムスリミーヤ村、マーイル町、マンスーラ村、ザバディーヤ村、バーブ市、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、クッルナー・シュラカー(2月12日付)などによると、ラーイー村でイラク・シャーム・イスラーム国のアミール、アブー・ライス・アンサーリー氏が殺害された。

同報道によると、アンサーリー氏は殺害時に、ラーイー村の統轄と「背教者」の通行を阻止することを指示されたウマル・シーシャーニー氏直筆とされる命令書を所持していたという。

Kull-na Shuraka', February 12, 2014
Kull-na Shuraka’, February 12, 2014

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タファス市を軍が空爆し、子供6人を含む9人が死亡した。

一方、SANA(2月12日付)によると、ジャムラ村、ダルアー市各所、アトマーン村、フラーク市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、マアルカバ村、ラハーヤー村を軍が空爆する一方、スーラーン市に近いグルバール検問所周辺およびムーリク市周辺で、軍、国防隊がシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(2月12日付)によると、カフルズィーター市、タマーニア町、ムーリク市、カッバーリーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、マルカダ町周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、シャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦し、後者の戦闘員1人が死亡した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、タブニー村の制圧をめざすシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦した。

一方、SANA(2月12日付)によると、ダイル・ザウル市クスール地区を反体制武装集団が迫撃砲で攻撃し、市民2人が死亡した。

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クナイトラ県では、SANA(2月12日付)によると、小ダワーヤ村をシャームの民のヌスラ戦線を名乗る武装集団が襲撃し、村人8人を惨殺した。

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ダマスカス県では、SANA(2月12日付)によると、ジャウバル区、カーブーン区、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(2月12日付)によると、サルマー町一帯、スーダー村、ヌーバ山で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(2月12日付)によると、シュワイヒナ村、カフルタハーリーム町、サラーキブ市、ファイルーン村、カフルラーター村、アブー・ズフール航空基地北部などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, February 12, 2014、AP, February 12, 2014、Champress, February 12, 2014、al-Hayat, February 13, 2014、Iraqinews.com, February 12, 2014、Kull-na Shuraka’, February 12, 2014、Naharnet, February 12, 2014、NNA, February 12, 2014、Reuters, February 12, 2014、Rihab News, February 12, 2014、SANA, February 12, 2014、UPI, February 12, 2014などをもとに作成。

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2014年2月12日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(2月12日付)によると、ダマスカス県マイダーン地区、ダイル・ザウル市ジャウラ地区、アレッポ市聖イフラーム教会広場、そしてダルアー市で、軍による「テロとの戦い」を支持するデモが行われ、多数の市民が参加した。

マイダーン地区でのデモには数千人、ダイル・ザウル市のデモには数百人、アレッポ市のデモには数百人の市民が参加したという。

また、ダルアー県タッル・シハーブ町では、住民がデモを行い、「武装テロ集団」による野営地設営を阻止した。

 

SANA, February 12, 2014
SANA, February 12, 2014

 

SANA, February 12, 2014
SANA, February 12, 2014

 

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クッルナー・シュラカー(2月12日付)は、ファールーク・シャルア副大統領が国外への渡航を禁じられていると断じたうえで、その警護がイラン・イスラーム革命防衛隊によって行われていると報じた。

シャルア副大統領は、アサド大統領の命令によって国外への渡航を禁じられており、共和国護衛隊を含むシリア軍・治安機関のメンバーがその脱出・離反を幇助しないよう、イラン・イスラーム革命防衛隊がその監視にあたっているのだという。

AFP, February 12, 2014、AP, February 12, 2014、Champress, February 12, 2014、al-Hayat, February 13, 2014、Iraqinews.com, February 12, 2014、Kull-na Shuraka’, February 12, 2014、Naharnet, February 12, 2014、NNA, February 12, 2014、Reuters, February 12, 2014、Rihab News, February 12, 2014、SANA, February 12, 2014、UPI, February 12, 2014などをもとに作成。

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2014年2月12日のシリア情勢:反体制勢力の動き

レバノンから陸路でシリアに入国した直後(10日)に治安当局によって身柄を拘束された民主的変革諸勢力国民調整委員会メンバーで共産主義行動党幹部のサフワーン・アッカーシュ氏が釈放された。

アッカーシュ氏はハサン・アブドゥルアズィーム代表とともにカイロを訪問し、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長らと、ジュネーブ2会議の反体制勢力代表団拡大をめぐって協議を行ったのち、レバノン経由でシリアに帰国、その際、2012年に軍事情報局ハマー支部が発行した逮捕状に基づき、一時身柄を拘束されたのだという。

Kull-na Shuraka', February 12, 2014
Kull-na Shuraka’, February 12, 2014

アッカーシュ氏によると身柄拘束中の治安当局の対応は穏やかで、嫌がらせを受けることもなく、所持品も釈放時に返還されたという。

 

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が撤退したとされるダイル・ザウル県で、「自由シリア軍」の複数の武装集団が「ダイル・ザウル・ムジャーヒディーン連合」を結成した。

ダイル・ザウル・ムジャーヒディーン連合は約30の武装集団からなり、自由シリア軍参謀委員会に対して、武器庫を開放し、武器・弾薬を供与するよう求めた。

クッルナー・シュラカー(2月12日付)が伝えた。

 

Kull-na Shuraka', February 12, 2014
Kull-na Shuraka’, February 12, 2014

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シリア人権監視団は、ジュネーブ2会議が始まった1月22日からジュネーブ2会議第2ラウンド2日目にあたる2月11日にかけての死者数が4,959人に達していると発表した。

うち515人が女性と子供だという。

AFP, February 12, 2014、al-Ahram, February 12, 2014、AP, February 12, 2014、Champress, February 12, 2014、al-Hayat, February 13, 2014、Iraqinews.com, February 12, 2014、Kull-na Shuraka’, February 12, 2014、Naharnet, February 12, 2014、NNA, February 12, 2014、Reuters, February 12, 2014、Rihab News, February 12, 2014、SANA, February 12, 2014、UPI, February 12, 2014などをもとに作成。

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2014年2月12日のシリア情勢:ジュネーブ2会議第2ラウンド

スイスのジュネーブでジュネーブ2会議第2ラウンド3日目の交渉(直接交渉)が行われた。

シリア革命反体制勢力国民連立の代表団は、移行期統治機関の設置などを骨子とする5ページ22項目からなる文書をアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表に提出した。

この文書には、移行期に関する連立のヴィジョン、移行期統治機関の権能(全権委任)、暴力停止、国家機関、軍改革、選挙実施のあり方などが記されていたが、『ハヤート』(2月13日付)によると、アサド大統領の進退に関する言及はなかった。

シリア革命反体制勢力国民連立がアサド大統領および政権幹部の退陣を明言しなかったのはこれが初めて。

ルワイユ・サーフィー報道官は会談後の記者会見で、この文書に関して「自由と民主主義の体制に向けた政治的移行プロセスの基本原則」が示されているとしたうえで、同プロセスが「移行期統治機関の設置をもって始まる」点を強調、この機関が「暴力停止に責任を負うとともに、政府および反体制勢力の合意に基づくメンバーによって構成される」と述べた。

同文書によると、移行期統治機関は行政権、司法権などの全権を有し、その任務は「シリア国民の意思に沿った政治的移行プロセスを可能とするための中立的な環境の創出」にあるという。

また文書では、ジュネーブ2会議での当事者間の合意が「暫定憲法宣言」のような役割を果たすと定め、移行期統治機関が、シリアの主権、独立、領土保全を担うとともに、外国人戦闘員の排除、戦闘停止を推進・監視するという。

またムンズィル・アークビーク氏は「我々はアサドとその側近が移行期統治機関の一部をなさない、と明記する必要がないと考えている。なぜならこの機関は、現在大統領の手にある行政権のすべてを享受するからだ…。すなわち、彼は移行期統治機関設置結成をもって大統領ではなくなり、移行期の一部をなすことなく処罰されるだろう」と述べた。

『ハヤート』(2月13日付)などが伝えた。

これに対して、SANA(2月12日付)などによると、政府代表団を率いるバッシャール・ジャアファリー駐国連シリア大使は、テロ問題の審議を強く求め、「テロとの戦い」と移行期統治機関設置を並行審議することを拒否した。

ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立が提出した文書に関して、外国人戦闘員を排除するとした点に着目し、シリア政府がこの点に関して審議する用意があると述べた。

しかしミクダード副大臣は「反体制勢力は声明(文書)を示したが、我々は耳を傾けなかった。なぜなら、審議しなければならず、またジュネーブ合意において承認されていない議題に含まれていないからだ…反体制勢力は議題を改悪し、移行期政府の審議を始め、ジュネーブ合意が定めている優先事項を拒否している」と強調した。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は滞在中のジュネーブでロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官と会談し、シリア情勢について協議した。

会談後の共同記者会見で、ムアッリム外務在外居住大臣は、ジュネーブ2会議の対話をどのように進めるかなどについて協議したとしたうえで、「テロとの戦い」がすべてのシリア人にとって必要不可欠だと強調した。

SANA(2月12日付)が伝えた。

 

SANA, February 12, 2014
SANA, February 12, 2014

 

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シリア革命反体制勢力国民連立のハイサム・マーリフ法務委員長はカイロで『アフラーム』(2月12日付)の取材に応じ、ジュネーブ2会議第2ラウンドでの交渉に関して、移行期統治機関発足の審議が行われなければ、停戦に関する協議に応じないと述べた。

AFP, February 12, 2014、AP, February 12, 2014、Champress, February 12, 2014、al-Hayat, February 13, 2014、Iraqinews.com, February 12, 2014、Kull-na Shuraka’, February 12, 2014、Naharnet, February 12, 2014、NNA, February 12, 2014、Reuters, February 12, 2014、Rihab News, February 12, 2014、SANA, February 12, 2014、UPI, February 12, 2014などをもとに作成。

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