イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月16日)

シリア国内の動き

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がイスラーム戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦の末、トルコ国境に近いマーリド村を制圧、アレッポ県北部におけるイスラーム戦線の本拠地マーリア市を包囲、同市への砲撃を開始した。

またダーイシュは、スーラーン・アアザーズ町、サーリヒーヤ村周辺、ハウル・ナウル村でイスラーム戦線などと交戦した。

一方、シリア軍は、ダーイシュとの戦闘のためマーリア市に向かっていたイスラーム戦線などからなるジハード主義武装集団の車列を、県北部のミスカーン村近郊で空爆した。

またシリア軍はダーイシュが占拠するアフタリン市、ダービク村、アアザーズ市を空爆した。

他方、ダーイシュは、バーブ市の肉取引業者に対して、「イスラーム法が定める方法に基づいてと殺がなされていない」との理由で、トルコからの鶏肉の輸入を禁止した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が、ダーイシュ(イスラーム国)によって占拠されているタブカ市第2地区、第1地区ミルアーブ地域などを空爆、またラッカ市とアレッポ市を結ぶ国際幹線道路のタブカ市分岐点一帯を砲撃した。

これに対して、ダーイシュはタブカ航空基地一帯を砲撃した。

一方、クッルナー・シュラカー(8月16日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)ラッカ州の教育局は、学校で化学、哲学、音楽の3科目を教えることを振起することを決定し、初等、中等教育関係者に通達した。

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ダイル・ザウル県では、キシュキーヤ町、アブー・ハマーム市のシュアイタート部族の名士40人がビデオ声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏の指導を賛美するとともに、同氏に対して、ダーイシュと戦闘を続ける部族戦闘員の「裏切り行為」を放免するよう誓願した。

一方、SANA(8月16日付)によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ウルフィー地区で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の追撃を続け、チュニジア人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

ARA News, August 16, 2014
ARA News, August 16, 2014

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ハサカ県では、SANA(8月16日付)によると、シリア軍がシャッダーディー市のダーイシュ(イスラーム国)拠点を攻撃し、車輌2輌を破壊した。

イラク国内の動き

ニナワ県では、治安筋によると、米軍がモスル・ダム近郊のダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆し、ダーイシュ戦闘員12人が死亡した。

また米軍は、スィンジャール町南部のクージャル村(ヤズィード教徒の村)を襲撃しようとしたダーイシュを空爆した。

マダー・プレス(8月16日付)が伝えた。

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バービル県では、イラク軍の軍事諜報局によると、ジュルフ・サフル地方へのイラク軍の空爆で、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員22人が死亡した。

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サラーフッディーン県では、ダルーイーヤ郡警察によると、イラク軍と部族民兵からなる合同部隊が、ダーイシュ(イスラーム国)を撃退し、ダーイシュ戦闘員12人を殺害した。

AFP, August 16, 2014、AP, August 16, 2014、ARA News, August 16, 2014、Champress, August 16, 2014、al-Hayat, August 17, 2014、Kull-na Shuraka’, August 16, 2014、al-Mada Press, August 16, 2014、Naharnet, August 16, 2014、NNA, August 16, 2014、Reuters, August 16, 2014、SANA, August 16, 2014、UPI, August 16, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国内の暴力(2014年8月16日)

スワイダー県では、シリア人権監視団によると、ダーマー村の人民諸委員会(自警団)が、ダーマー村周辺のベドウィン、ジハード主義武装集団と交戦し、ドゥルーズ派のシャイフ2人と同村の人民諸委員会(自警団)メンバー6人の計8人が死亡、ドゥルーズ派のシャイフ2人と人民諸委員会メンバー3人を含む20人が負傷した(その後SANA(8月17日付)は、この戦闘で、市民9人が死亡、20人が負傷したと報じ、シリア人権監視団は、戦闘で15人が死亡したと発表した)。

また、レバノン・タウヒード潮流(ウィアーム・ワッハーブ代表(ドゥルーズ派)は、スワイダー県ダーマー村での戦闘で、シリア人党員のナージー・アブー・シャクラー氏が死亡したと発表した。

この衝突を受け、SMO(8月16日付)は、スワイダー市でドゥルーズ派のシャイフと住民数百人が県庁前でデモを行い、アサド政権を非難した、と報じた。

スワイダー県のドゥルーズ派住民とベドウィンの衝突は2000年以来、14年ぶり。

このときは、ムスタファー・トゥラース国防大臣(当時)が現地に向かい、両者の仲裁を行った。

これに対して、シリアのドゥルーズ派シャイフ・アクル府は、SANA(8月16日付)を通じて、住人に煽動に乗らないよう呼びかけ、自制を促した。

また、シリア軍は、クライヤー町周辺を2度にわたり空爆した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハッターブ町各所、アルザ村を空爆する一方、アルザ村を制圧したシャームの民のヌスラ戦線、ジュンド・アクサーなどからなるジハード主義武装集団と交戦し、ヌスラ戦線らは、シーハ村から撤退した。

またスマート・ニュース(8月16日付)によると、マアッルシュフール村の「シャッビーハ」拠点を「自由シリア軍」(ヌスラ戦線などのジハード主義武装集団)がGRADミサイルで攻撃する一方、シーハ村でTOW対戦車ミサイルを使用し、シリア軍戦車を撃破、シャルアーヤー村では爆弾で、軍車輌を破壊したという。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市でシリア軍とジハード主義武装集団が交戦、同日にダマスカス県で予定されていたダーライヤー市の「正常化」(戦闘終結)をめぐる当局と反体制武装集団の交渉が中止された。

一方、SANA(8月16日付)によると、シャイフーニーヤ農場、ザバディーン市郊外、フタイタト・ジャラス農場、ジスリーン町郊外、カラムーン地方無人地帯(マシュラファ市、ラアス・マアッラ町方面)、ザバダーニー市郊外、ダイル・マーキル村、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(8月16日付)によると、ジャウバル区で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月16日付)によると、ダルアー市Syriatelビル南部、ヨルダン通り周辺、カルク地区、ミスリー交差点周辺、ビラール・ハバシー・モスク周辺、カタキート工場東部、ナワー市、インヒル市、フラーク市、タスィール町、ダイル・アダス村、カフル・ナースィジュ村、ジュムーア丘、アトマーン村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(8月16日付)によると、西ズバイダ村、ムムティナ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 16, 2014、AP, August 16, 2014、ARA News, August 16, 2014、Champress, August 16, 2014、al-Hayat, August 17, 2014、Kull-na Shuraka’, August 16, 2014、al-Mada Press, August 16, 2014、Naharnet, August 16, 2014、NNA, August 16, 2014、Reuters, August 16, 2014、SANA, August 16, 2014、SMART News, August 16, 2014、SMO, August 16, 2014、UPI, August 16, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年8月16日)

シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、国連安保理決議第2170号採択を歓迎し、シリア国内のイスラーム(ダーイシュ)拠点に対する空爆と、「自由シリア軍」への高性能兵器の供与を国際社会に求めるとともに、アサド政権を支援するレバノンのヒズブッラーやイラク人民兵に対しても同様の決議を採択するよう呼びかけた。

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自由シリア軍に属す武装集団6組織がビデオ声明を出し、サバート戦線を結成すると発表した。

サバート戦線に参加したのは、射線旅団、自由殉教者旅団、東部特殊部隊旅団、エリート旅団大隊連合、ウマル・ファールーク大隊、バヤーリク・ナスル旅団。

司令官はムーサー・アクル大佐が、副司令官はアフマド・アブドゥッラー中佐が務め、ハマー県、イドリブ県を中心に活動を行うという。

Kull-na Shuraka', August 16, 2014
Kull-na Shuraka’, August 16, 2014

AFP, August 16, 2014、AP, August 16, 2014、ARA News, August 16, 2014、Champress, August 16, 2014、al-Hayat, August 17, 2014、Kull-na Shuraka’, August 16, 2014、al-Mada Press, August 16, 2014、Naharnet, August 16, 2014、NNA, August 16, 2014、Reuters, August 16, 2014、SANA, August 16, 2014、UPI, August 16, 2014などをもとに作成。

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