シリア反体制勢力の動き(2014年8月10日追記)

自由シリア軍の残党で米国が「穏健な反体制武装集団」とみなすハズム運動は声明を出し、アレッポ県南部への兵站路を解放することを目的とした一連の戦闘を、アズィーザ村、シャイフ・サイード村などで開始したと発表した。

ARA News, August 11, 2014をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月10日)

シリア国内の動き

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍戦闘機が、ダーイシュ(イスラーム国)に占拠されているラッカ市のマシュラブ地区、バドウ地区を空爆し、子供5人を含む12人が死亡、23人が負傷した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がシュアイアート部族が住むアブー・ハマーム市、キシュキーヤ町、ガラーニージュ市を、数日にわたる戦闘の末に制圧した。

またシャアファ村にあるダーイシュの検問所近くで爆発が起こり、子供1人を含む2人が死亡した。

**

ハサカ県では、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊総司令部によると、ハサカ県グワイラーン地区をパトロール中の人民防衛隊が「テロ集団」の襲撃を受け、隊員7人が死亡した。

またARA News(8月10日付)によると、ハサカ市ヌシューワ地区では、爆弾が仕掛けられた車が爆発し、5人が死亡したほか、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠する同市南部郊外からタッル・ハジャル地区、ムフティー地区などに迫撃砲が打ち込まれ、4人が負傷した。

**

アレッポ県では、SANA(8月10日付)によると、バーブ市で、軍がダーイシュ(イスラーム国)の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ARA News(8月10日付)は、イラクのニナワ県スィンジャール郡へのダーイシュ(イスラーム国)の侵攻を逃れ、シリア領内に入ったイラク人(ヤズィーディー派など)数百人が、ハサカ県ダイリーク市、マーリキーヤ市、マアバダ市、カフターニーヤ市に避難し、地元NGOの保護を受けていると報じた。

しかし、ARA Newsによると、西クルディスタン移行期民政局アサーイシュは、シリア・クルディスタン民主党がカフターニーヤ市のイラク人避難民に対して行おうとした人道支援を阻止したという。

イラク国内の動き

イラク軍サーマッラー作戦司令室は、サラーフッディーン県サーマッラー郡のバグダード・ティクリート街道でダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バクダーディー氏に近いとされる司令官ムハンマド・ハルダーン・ムハンマド氏を逮捕した、と発表した。

また治安筋によると、ダルーイーヤ郡での軍・警察部隊とダーイシュ(イスラーム国)との戦闘で3人が死傷した。

マダー・プレス(8月10日付)が伝えた。

**

米国中央司令部は、アルビール市近郊のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して再び空爆を行ったと発表した。

**

イラク軍情報局は、サラーフッディーン県、キルクーク県に対する空爆で、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員多数を殺害した、と発表した。

**

ディヤラ県では、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガ第2師団司令部によると、ヤアクーバ市北東部での戦闘で、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員20人を殺害した。

マダー・プレス(8月10日付)が伝えた。

**

アンバール県では、県警察によると、軍、警察部隊、部族民兵からなる合同部隊がハディーサ郡バルワーナ地方入り口でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュの外国人戦闘員17人を殺害した。

AFP, August 10, 2014、AP, August 10, 2014、ARA News, August 10, 2014、Champress, August 10, 2014、al-Hayat, August 11, 2014、Kull-na Shuraka’, August 10, 2014、al-Mada Press, August 10, 2014、Naharnet, August 10, 2014、NNA, August 10, 2014、Reuters, August 10, 2014、SANA, August 10, 2014、UPI, August 10, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

レバノンの動き(2014年8月10日)

SANA(8月10日付)は、レバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外で避難生活を送っていたシリア人数百人が、マスナア・ジュダイダト・ヤーブース国境通行所を経由して、シリアに帰国し、ダマスカス郊外県クドスィーヤー市郊外に建設された一次避難センターに無事収容されたと報じた。

避難民の帰国は、アルサール村一帯での武装集団(シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)とレバノン軍の戦闘を受けた動き。

SANA, August 10, 2014
SANA, August 10, 2014

**

NNA(8月10日付)によると、レバノン軍はベカーア県バアルベック郡アルサール村一帯のワーディー・フスン、ワーディー・フマイド、ワーディー・アター、ラアス・サルジュ、ワーディー・ラフヤーン、サルジュ・ハサンといった戦略的要衝に展開し、厳戒態勢にあたった。

AFP, August 10, 2014、AP, August 10, 2014、ARA News, August 10, 2014、Champress, August 10, 2014、al-Hayat, August 11, 2014、Kull-na Shuraka’, August 10, 2014、al-Mada Press, August 10, 2014、Naharnet, August 10, 2014、NNA, August 10, 2014、Reuters, August 10, 2014、SANA, August 10, 2014、UPI, August 10, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国内の暴力(2014年8月10日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアレッポ市バイヤーダ地区を「樽爆弾」などで空爆し、市民2人が死亡、またマイダーン地区に反体制武装集団が撃った手製の迫撃砲が着弾した。

一方、SANA(8月10日付)によると、クワイリス村、ダイル・ハーフィル市、マスカナ市、ハンダラート・キャンプ、アレッポ市シャッアール地区、アレッポ城周辺、ハナーヌー地区、旧市街などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市各所に、ジハード主義武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、子供5人と女性1人が死亡した。

またシリア軍はマアッラト・ヌウマーン市西部および南部地区を空爆、ビンニシュ市に「樽爆弾」を投下した。

一方、SANA(8月10日付)によると、マアッルシューリーン村、マアッラト・ヌウマーン市、ダイリーニー村、ナイラブ村西部、クマイナース村、マルイヤーン村、カフルハーヤー村、シュグル村、サルマーニーヤ村、カルトゥーン村、ハーッジ・ハンムード農場、ハッルーズ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ラターミナ町各所をシリア軍が空爆し、子供1人を含む6人が死亡した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフ・キャンプ西部にシリア軍が「樽爆弾」を投下した。

また対レバノン国境のアッサール・ワルド村で軍が強制捜査を行う一方、ダイル・アサーフィール市が「樽爆弾」の空爆を受けた。

さらにガズラーニーヤ町近郊(ダマスカス国際空港街道)で軍とジハード主義武装集団が交戦した。

このほか、ティーマー農場で、シリア軍第86旅団司令官のマヒール・アフマド准将と第7師団のアースィフ・ナースィーフ大佐が戦死した。

一方、SANA(8月10日付)によると、ダイル・マクラン町、ダーライヤー市、ムライハ市北部郊外、ジスリーン町交差点、ムライハ市、ナシャービーヤ農場、アーリヤ農場、シャイフーニーヤ農場、ミスラーバー市、バイト・ティーマー村、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区でシリア軍兵士が狙撃され死亡、またシリア軍、PFLP-GC民兵が武装集団と交戦した。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市ガルズ地区にシリア軍が「樽爆弾」を投下、また同市内でシリア軍、国防隊とジハード主義武装集団が交戦し、軍兵士5人、武装集団戦闘員4人を含む11人が死亡した。

このほか東カラク村をシリア軍が砲撃し、5人が死亡、マハッジャ町で男性1人が死亡した。

一方、SANA(8月10日付)によると、サムリーン村、ジーザ町、ウンム・ワラド村、ラジャート高原一帯、ナワー市・ジャービヤ丘街道、東カラク村、ムライハト・アトシュ村・フラーク市街道、アトマーン村、スラヤー村・インヒル市交差点で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

クナイトラ県では、SANA(8月10日付)によると、ルハイヒーナ村、マジュドゥーリヤー村、アジュラフ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ヒムス県では、SANA(8月10日付)によると、ウンム・シャルシューフ村方面、ウンク・ハワー村、ウンム・リーシュ村、ラッフーム村、アイン・フサイン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 10, 2014、AP, August 10, 2014、ARA News, August 10, 2014、Champress, August 10, 2014、al-Hayat, August 11, 2014、Kull-na Shuraka’, August 10, 2014、al-Mada Press, August 10, 2014、Naharnet, August 10, 2014、NNA, August 10, 2014、Reuters, August 10, 2014、SANA, August 10, 2014、UPI, August 10, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア政府の動き(2014年8月10日)

クッルナー・シュラカー(8月10日付)は、ヒムス県シャーイル油田へのダーイシュ(イスラーム国)の襲撃事件に関して、事件直前にラーミー・マフルーフ氏が代表を務めるNGOブスターン協会が同油田の警備に関する契約を結んでいたとしたうえで、ダーイシュの襲撃を防げなかったのはマフルーフ氏の責任だと断じた。

**

アサド大統領は2014年布告第257号を発し、ワーイル・ナーディル・ハルキー首相を改めて首相に任命し、組閣を命じた。

SANA(8月10日付)が伝えた。

SANA, August 10, 2014
SANA, August 10, 2014

**

ダイル・ザウル県選出の人民議会議員、地元名士らがダマスカス郊外県シャバーブ市で会合を開き、ダーイシュ(イスラーム国)によるテロ反対と、シリア軍への全面支持を訴えた。

SANA(8月10日付)が伝えた。

SANA, August 10, 2014
SANA, August 10, 2014

AFP, August 10, 2014、AP, August 10, 2014、ARA News, August 10, 2014、Champress, August 10, 2014、al-Hayat, August 11, 2014、Kull-na Shuraka’, August 10, 2014、al-Mada Press, August 10, 2014、Naharnet, August 10, 2014、NNA, August 10, 2014、Reuters, August 10, 2014、SANA, August 10, 2014、UPI, August 10, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア反体制勢力の動き(2014年8月10日)

シリア国民変革潮流代表のアンマール・カルビー氏(在イスタンブール)は、イダーア(8月10日付)に対し、ダーイシュ(イスラーム国)の台頭が、反体制勢力の汚職に乗じたものだと指摘、自由シリア軍参謀委員会やシリア革命反体制勢力国民連立を批判した。

カルビー氏は「自由シリア軍なるものは事実上存在していない。これは、シリア政府への軍事的抵抗運動に対して与えられた名前だったが、次第に原理主義的なジハード主義組織が台頭した。その結果、自由シリア軍という呼称は穏健なイスラーム主義組織を指すものに変化してしまった。参謀委員会やいわゆる連立は、シリア人ではない外国が作り出した幻想に過ぎない」と述べた。

Kull-na Shuraka', August 10, 2014
Kull-na Shuraka’, August 10, 2014

**

反体制武装集団のラバート中隊司令官のイッザト・ムスリマーニー氏は、クッルナー・シュラカー(8月10日付)に対して、アジュナード・シャーム・イスラーム連合が行っているダマスカス県などに対する砲撃について「パワー・バランスに何らの変化を及ぼさないので…断固拒否する」と述べた。

ラバート中隊はダマスカス県、ダマスカス郊外県カラムーン地方、イドリブ県などで活動しているという。

Kull-na Shuraka', August 10, 2014
Kull-na Shuraka’, August 10, 2014

**

『ハヤート』(8月11日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立のハーディー・バフラ議長が、連立の総合委員会の委員を務める自由シリア参謀委員会メンバーの15人全員が9日に脱会を発表したのを受け、トルコのハタイ県レイハンル市で参謀委員会と会談し、脱会の撤回を説得したと報じた。

これを受け、自由シリア軍参謀委員会(最高軍事評議会)は、委員24人のうち19人が署名した声明を発表し、連立からの脱会を宣言した15人の解任を決定したと発表した。

解任された15人は、1. イブラーヒーム・ムハンマド・ハンムード氏、2. アフマド・ムハンマド・アリー・ジャクル氏、3. ハーリド・ヤフヤー・アリー氏、4. スライマーン・ファウワーズ・ウバイド氏、5. スィーバーン・ヒクマト・アフマド氏、6. アブドゥッサラーム・ナジーブ氏、7. アブドゥルムトリブ・アフマド・マルイー氏、8. アンマール・カッルート氏、9. フアード・アッルーシュ氏、10. カースィム・アフマド・シャイフ氏、11. ムハンマド・マハーミード氏、12. ムスタファー・ムハンマド・スフタ氏、13. マムドゥーフ・ラーカーン・タッハーン氏、14. ムハンナド・アブドゥッラフマーン・イーサー氏、そして15. すでに辞表を提出していたルワイユ・ミクダード氏。

なお声明によると、後任の15人は参謀委員会での協議により早急に選出されるという。

連立からの脱会した15人は、連立が反体制運動の意思決定を独占していると批判していた。

AFP, August 10, 2014、AP, August 10, 2014、ARA News, August 10, 2014、Champress, August 10, 2014、al-Hayat, August 11, 2014、al-Ida’a, August 10, 2014、Kull-na Shuraka’, August 10, 2014、al-Mada Press, August 10, 2014、Naharnet, August 10, 2014、NNA, August 10, 2014、Reuters, August 10, 2014、SANA, August 10, 2014、UPI, August 10, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.