イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月18日追記)

ダイル・ザウル県では、クッルナー・シュラカー(8月19日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、マヤーディーン市で女性歯科医師のルアー・ディヤーブ氏を処刑した。

男性患者の治療を禁じたダーイシュの指示に従わず、男性、女性、子供らを治療していたのが処刑の理由だという。

これに関して、ダイル・ザウル市の活動家ファーイズ・アブドゥルアズィーズ氏はARA News(8月19日付)に、ズィヤーブ氏が1週間前にマヤーディーン市で同僚4人(いずれも女性)とともにダーイシュに拘束され、「政府軍に協力していた」との罪で処刑されたと述べた。

Kull-na Shuraka', August 19, 2014
Kull-na Shuraka’, August 19, 2014

ARA News, August 19, 2014、Kull-na Shuraka’, August 19, 2014などをもとに作成。

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諸外国の動き(2014年8月18日)

バラク・オバマ米大統領は声明を出し、シリアの化学兵器廃棄問題に関して、危険度の高い化学兵器関連物質約600トンの廃棄作業が「予定よりも数週間早く」、米国船籍MVケープ・レイ(MV Cape Ray)で完了した、と発表した。

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米連邦航空局(FAA)は、米航空各社に対してシリア上空の飛行を禁止する措置を発表した。

FAAは声明で「シリアの過激派はさまざまな対空兵器を保有していることが知られており、それらの兵器は民間航空機の脅威となるだけの性能を持っている」と指摘。FAAはこれまでシリア上空の飛行を回避するよう勧告していたが、これを禁止に格上げした。

共同通信(8月19日付)が伝えた。

al-Hayat, August 20, 20144、共同通信、2014年8月19日などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月18日)

シリア国内の動き

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の一大拠点ラッカ市に対して、少なくとも14度にわたって空爆を行った。

空爆では、政治治安部、カルナク観光ホテル、県立競技場、マカッス・アラム交差点地区、アブー・ハイフ・ガソリン・スタンド、ハラーミーヤ地区、スィナーナ地区が標的となった。

シリア軍はまた、タブカ市に対して3度、タブカ航空基地周辺に4度空爆を行うとともに、同飛行場に近いアジール村、ハズナ村周辺で、シリア軍地上部隊がダーイシュと交戦した。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、この空爆に関して、シリア軍による反体制武装集団への空爆は通常、「樽爆弾」が使用されるが、今回のラッカ市などへの空爆はミサイルが使用されていると述べた。

一方、SANA(8月18日付)は、シリア軍消息筋の話として、ラッカ市に対する17日の空爆が米空軍によるものだとの一部報道・主張について、事実無根だとしてこれを否定した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、スーラーン・アアザーズ町の東部(アフティームッラート村)方面、ハウル・ナフル村周辺で、ダーイシュ(イスラーム国)が、クルド人戦線旅団(自由シリア軍)およびイスラーム戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

ダーイシュはイスラーム戦線などが拠点とするマーリア市に進軍を続けているが、対するイスラーム戦線などは、ダーイシュによって占拠されているダービク村を砲撃した。

一方、シリア軍は、イスラーム戦線などが拠点とするマーリア市北東部を空爆するとともに、ダーイシュによって制圧されちえるスルサーナ村、クワイリス航空基地近郊のアブー・ジャッバール村、バーブ市、マンビジュ市に対して空爆を行った。

また、ARA News(8月18日付)によると、アイン・アラブ市西部のシュユーフ・タフターニー地方で深夜、クルド人戦線旅団とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

ARA Newsによると、ダーイシュは、タアラク村の西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の検問所を砲撃するとともに、バイヤーディーヤ村、ジャブナ村への侵攻を試みたが、人民防衛隊によって撃退された。

他方、SANA(8月18日付)によると、ダービク村、アルシャーフ村、マンビジュ市で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月18日付)によると、ダイル・ザウル市バアス橋近くで、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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シャームの民のヌスラ戦線元メンバーでシャリーア学者のアブー・マーリヤー・カフターニー氏(本名マイサラ・ジャッブーリー氏)はツイッターを通じて、アル=カーイダ指導者のアイマン・ザワーヒリー氏に対し、「バグダーディー一味(ダーイシュ(イスラーム国)のこと)の不正や犯罪…に対するあなたの明確な姿勢をシャームの民は目にしていない」と述べ、「ハワーリジュ派」(ダーイシュのこと)への法的姿勢を示すとともに、シリアの現状に対して謝罪するよう同氏に求めた。

イラク国内の動き

ニナワ県では、CNN(8月18日付)などによると、米空軍の支援を受けたイラク・クルディスタン地域ペシュメルガが、モスル・ダムを完全制圧した。

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サラーフッディーン県では、治安筋によると、ティクリート市南部のブー・ハビーブ村をダーイシュ(イスラーム国)が襲撃し、中学生5人が殺害された。

またダーイシュは、覚醒評議会司令官のカリーム・ザイダーン氏をブージャワーリー村で斬首した。

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バグダード県では、内務省筋によると、ユースフーヤ地区(アラブ・ジャースィム村)で、イラク治安部隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦、治安部隊隊員1人とダーイシュ戦闘員2人が死亡した。

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アンバール県では、県警察によると、イラク軍・警察、部族民兵は、ラマーディー市西部の18キロ地区、アクダ地区でダーイシュ(イスラーム国)を追撃、同地を制圧した。

AFP, August 18, 2014、AP, August 18, 2014、ARA News, August 18, 2014、Champress, August 18, 2014、CNN, August 18, 2014、al-Hayat, August 19, 2014、Kull-na Shuraka’, August 18, 2014、al-Mada Press, August 18, 2014、Naharnet, August 18, 2014、NNA, August 18, 2014、Reuters, August 18, 2014、SANA, August 18, 2014、UPI, August 18, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き(2014年8月18日)

ナハールネット(8月18日付)によると、内務治安郡総局はベカーア県バアルベック郡アルサール村で、シリア人女性ジャミーラ・マシュハダーニー氏が率いる強盗グループのメンバー4人を逮捕した、と発表した。

AFP, August 18, 2014、AP, August 18, 2014、ARA News, August 18, 2014、Champress, August 18, 2014、al-Hayat, August 19, 2014、Kull-na Shuraka’, August 18, 2014、al-Mada Press, August 18, 2014、Naharnet, August 18, 2014、NNA, August 18, 2014、Reuters, August 18, 2014、SANA, August 18, 2014、UPI, August 18, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年8月18日)

ダマスカス県では、SANA(8月18日付)、『ハヤート』(8月19日付)によると、カダム区で反体制武装集団とシリア当局の間で「公民和解合意」(停戦合意)が成立し、発効した。

一方、シリア人権監視団によると、ジャウバル区をシリア軍が砲撃した。

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アレッポ県では、イスラーム戦線が「県立会館の狙撃手」などと呼ばれてきたシリア軍狙撃手を殺害したと発表した。

「県立会館の狙撃手」は、カラージュ・ハジャズ通行所(ブスターン・カスル地区・マシャーリカ地区間)の通行する市民数十人を殺害したことで知られていたという。

一方、SANA(8月18日付)によると、アナダーン市、ズィルバ村、アブラ村、バーリフ村、ハーン・トゥーマーン村、アルド・マッラーフ地区、アレッポ市ハイダリーヤ地区、ジスル・ハッジ地区、旧市街で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、サッラージ・ネットワークによると、ハマー航空基地近郊のティーズィーン村で、「自由シリア軍」が熱誘導式ミサイルでシリア軍戦闘機を撃墜し、パイロット1人を捕捉、またジャムラ村を制圧し、シリア軍兵士3人を拘束したという。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダイル・アサーフィール市郊外、ザバディ0ン市などに対してシリア軍が6度にわたって空爆を行った。

一方、SANA(8月18日付)によると、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月18日付)によると、ヤードゥーダ村、シャイフ・サアド村、ナワー市、インヒル市、ラジャート高原、ウンム・アウサジュ村、アトマーン村、シャイフ・マスキーン市、ダルアー市各所で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(8月18日付)によると、ハッジャ村、ハリーマ村、アイン・バイダー村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(8月18日付)によると、ジャッブーリーン村、ウンム・シャルシューフ村、アブー・サナースィル丘、ラスタン市、タッルドゥー市、ラッフーム村、アブー・ハワーディート村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(8月18日付)によると、アルバイーン山周辺、クマイナース村、アブー・ズフール裏、タッル・サラムー村南部で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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SANA(8月18日付)によると、ダルアー県、スワイダー県、ダマスカス郊外県、ヒムス県、クナイトラ県、ハマー県、ラタキア県、ダイル・ザウル県、イドリブ県、ラッカ県で当局に投降していた反体制武装集団元メンバー525人が、釈放された。

AFP, August 18, 2014、AP, August 18, 2014、ARA News, August 18, 2014、Champress, August 18, 2014、al-Hayat, August 19, 2014、Kull-na Shuraka’, August 18, 2014、al-Mada Press, August 18, 2014、Naharnet, August 18, 2014、NNA, August 18, 2014、Reuters, August 18, 2014、SANA, August 18, 2014、UPI, August 18, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年8月18日)

スワイダー県ダーマー村に対するベドウィンとジハード主義武装集団の襲撃(16日)に関して、反体制活動家50人以上が共同声明を出し、「アサド政権が、ダルアー県とスワイダー県の住民の間で内紛」を煽ろうとしていると主張、ベドウィンとドゥルーズ派に対して連帯を呼びかけた。

一方、レバノン・ディベート(8月18日付)は、この襲撃に関して、シャームの民のヌスラ戦線による犯行だと断じた。

Kull-na Shuraka', August 18, 2014
Kull-na Shuraka’, August 18, 2014

AFP, August 18, 2014、AP, August 18, 2014、ARA News, August 18, 2014、Champress, August 18, 2014、al-Hayat, August 19, 2014、Kull-na Shuraka’, August 18, 2014、Lebanon Debate, August 18, 2014、al-Mada Press, August 18, 2014、Naharnet, August 18, 2014、NNA, August 18, 2014、Reuters, August 18, 2014、SANA, August 18, 2014、UPI, August 18, 2014などをもとに作成。

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シリアで日本人が拉致(2014年8月18日)

MSN産経ニュース(8月18日付)などによると、駐シリア日本大使館(ヨルダン)の馬越正之臨時代理大使は、シリア国内で日本人が拘束されたとの情報が入り、16日夕、館内に現地対策本部を設置、事実確認を進めていることを明らかにした。

拘束されたとみられる日本人の性別や年齢、職業などについては「事案の性質上、コメントを差し控える」として明言を避けた。

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シリア国内で拘束されたとされる日本人男性の動画がユーチューブ(8月17日)に投稿された(http://www.youtube.com/watch?v=i2ZzO2Ncipo、現在は削除)。

2分弱の動画で、撮影場所はアレッポ県北部と思われる。

拉致された日本人男性は英語で「どこから来たのか?」と尋ねられ、「日本」と返答したが、「ウソをつくな」と応じられ、その後、名前を聞かれたこの男性は「ハルナ・ユカワ」と答えている。

また、この場所にいた理由を問われると、この男性はまず「仕事だ」と応じ、職業については最初に「写真家」だと返答したが、「写真家はこんな格好をしていない」、「なぜお前は銃を持っているのか?」と責められ、「医者とジャーナリストの半分半分だ」などと答えを代えている。

さらに、「戦闘員か?」、「お前は戦闘員を殺したのか?」との質問に対して、この男性は否定した。

拘束されたこの男性のものと思われるフェイスブックのページ(https://www.facebook.com/haruna.pmc?fref=ts)には、アレッポ県で銃器を構えた写真などが投降され、職業欄には「民間軍事会社(PMC)CEO」と記載されている。

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ツイッターでは、ダーイシュの支持者と思われるアカウント「フリー・ジャーナリスト@DrA12325665」(https://twitter.com/DrA12325665)が、日本時間の17日深夜から、拉致されたこの男性について、「日本人スパイがイスラーム国の支配地域で拘束、武器とカメラを携帯し、写真家だと主張」、「馬鹿なスパイのユーチューブでの動画」、「スパイと写っているに写っているのは元航空幕僚長だ」といった書き込みを行い、この男性がユーチューブなどにアップした動画(https://www.youtube.com/watch?v=K9-aChHGxPE&list=UUWNsh_PsmBZvV-MtgpQT1Ggなど)、写真(https://twitter.com/DrA12325665/status/501077177899577344など)を転載した。image

Twitter、Youtube、Facebook、「NSN産経ニュース」2014年8月18日などをもとに作成。

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