諸外国の動き:オバマ大統領、ダーイシュ掃討のための具体的戦略はない(2014年8月28日追記)

バラク・オバマ米大統領は、ホワイトハウスで記者会見を開き、シリアとイラクで台頭するダーイシュ(イスラーム国)を一掃するための広範囲な戦略を策定中で、具体的な「戦略はまだない」と述べた。

The Washington Post, August 29, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月28日追記)

ハサカ県では、ARA News(8月29日付)が地元住民の話として、米軍戦闘機がイラク国境に面するヤアルビーヤ町周辺のマフムーディーヤ村、ジャズア村、ハドアーン村のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して空爆を行ったと報じた(未確認情報)。

また、この空爆直後にジュワーディーヤ(ジャッル・アーガー)村とマアバダ(カルキールキー)町の南部で巨大な爆発が起きたという。

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アレッポ県では、ARA News(8月29日付)によると、アイン・アラブ市郊外のジャブナ村、タッル・ザーグルース村、タアラク村で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュ戦闘員20人を殺害した。

ARA News, August 29, 2014をもとに作成。

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諸外国の動き:仏大統領、「テロとの戦い」でのシリア政府との連携拒否(2014年8月28日)

フランスのフランソワ・オランド大統領は、第22回大使会議で演説し、「バッシャール・アサドはテロとの戦いのパートナーになり得ないと明言したい。彼はジハード主義者とダーイシュ(イスラーム国)の同盟者だ」と述べた。

またオランド大統領は、化学兵器攻撃問題に際して軍事介入の必要をあるとしていた自身の姿勢を正当化したうえで、「行動しないことは過激派に利すると言ってきたが、残念ながらそうなってしまったことは明らかだ」と述べ、国連の対応の遅れを批判した。

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米国家安全保障会議(NSC)のケイトリン・ヘイデン報道官は、ダーイシュ(イスラーム国)に参加し、戦闘を行っていたとされる米国人のダグラス・マッカーサー・マケイン氏がシリアのアレッポ県で戦死したとの情報に関して、死亡がいまだに確認されていないと述べた。

ロイター通信(8月28日付)が伝えた。

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ARA News(8月28日付)は、ハサカ県のアームーダー市・ダルバースィーヤ市間の国境地帯からトルコに不法入国しようとしたシリア人の一団が、トルコの国境警備隊の襲撃を受け、金品を強奪されたと報じた。

AFP, August 28, 2014、AP, August 28, 2014、ARA News, August 28, 2014、Champress, August 28, 2014、al-Hayat, August 29, 2014、Kull-na Shuraka’, August 28, 2014、al-Mada Press, August 28, 2014、Naharnet, August 28, 2014、NNA, August 28, 2014、Reuters, August 28, 2014、SANA, August 28, 2014、UPI, August 28, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き:シリア軍がダーイシュ拠点をピンポイント爆撃(2014年8月28日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団、SANA(8月28日付)によると、シリア軍がムーハサン市にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、ダーイシュの司令官少なくとも6人を殺害することに成功した。

シリア軍が空爆した拠点は、自由シリア軍ダイル・ザウル軍事評議会スッカル・アフマド准将(アブー・ニダール)の自宅で、ダーイシュの司令官ら(外国人)が会合を開いており、アフマド准将、イブラーヒーム・アブドゥッラー氏らが死亡、会合に出席していた司令官のほとんどが死傷したという。

自由シリア軍ダイル・ザウル軍事評議会は、ダーイシュのカリフ制樹立を受け、アブー・バクル・バグダーディー氏に忠誠を誓っていた。

アフマド准将はダイル・ザウル航空基地を攻略するための作戦司令室司令官を務めていた。

シリア軍がダーイシュ拠点に対してピンポイント爆撃を行うのは「これが初めて」で、シリア人権監視団によると、これに先だって「シリア軍ではない外国の偵察機」が標的を設定するために旋回をしていたという。

同監視団によると、シリア軍は「外国の偵察機」が収集した情報を、ロシアとイラクを通じて入手し、空爆に踏み切ったものと思われるという。

一方、SANA(8月28日付)によると、シリア軍は、ムーハサン市の他、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、サーア地区、マリーイーヤ村、シュマイティーヤ町、フライジーヤ村のダーイシュ拠点に対しても、空爆などの攻撃を行った。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がラッカ市のサキーナ学校で、タブカ航空基地から撤退中に捕虜となったシリア軍兵士約50人を処刑し、そのビデオ、画像をインターネットを通じて公開した。

公開されたビデオのなかには、ダーイシュ戦闘員にあしざまにされているシリア軍兵士数百人が写っているが、彼らの多くの消息は不明で、また複数の活動家によると、すでにシリア軍兵士250人が処刑されたという。

またタブカ航空基地での戦闘では、シリア軍兵士200人、ダーイシュ戦闘員246人が死亡、飛行場から撤退したシリア軍兵士のうち数百人が依然として消息不明だという。

Kull-na Shuraka', August 28, 2014
Kull-na Shuraka’, August 28, 2014
Kull-na Shuraka', August 28, 2014
Kull-na Shuraka’, August 28, 2014
Kull-na Shuraka', August 28, 2014
Kull-na Shuraka’, August 28, 2014

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シリア人権監視団は、ダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏が、結婚を希望するすべてのダーイシュ・メンバーに、1,200米ドルの奨励金、家具付き住居を支給することを命じたと発表した。

AFP, August 28, 2014、AP, August 28, 2014、ARA News, August 28, 2014、Champress, August 28, 2014、al-Hayat, August 29, 2014、Kull-na Shuraka’, August 28, 2014、al-Mada Press, August 28, 2014、Naharnet, August 28, 2014、NNA, August 28, 2014、Reuters, August 28, 2014、SANA, August 28, 2014、UPI, August 28, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き:レバノン軍がシリア人・レバノン人武装集団と交戦(2014年8月28日)

NNA(8月28日付)によると、ベカーア県ラーシャイヤー郡のアイン・アター村郊外でシリア領内からミニバスで潜入しようとしたシリア人・レバノン人の武装集団に対して、レバノン軍が発砲、シリア人戦闘員1人が死亡、2人が負傷した。

またバアルベック郡アルサール村郊外では、レバノン軍がジハード主義武装集団と交戦し、兵士1人が死亡した。

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ベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外で8月3日に逮捕されたイスラームの暁大隊司令官でシリア人のイマード・アフマド・ジュムア容疑者に対する取り調べがレバノンの軍事裁判所で行われた。

ナハールネット(8月28日付)によると、ジュムア容疑者は取り調べて、ダーイシュ(イスラーム国)への所属を否定しているという。

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クッルナー・シュラカー(8月28日付)は、レバノン・タウヒード潮流(ウィアーム・ワッハーブ代表(ドゥルーズ派)のシリア国内での活動休止に関して、2014年4月のスワイダー県サフワ村での騒動(https://syriaarabspring.info/wp/?p=7136)で軍事情報局スワイダー支局長解任を求めるデモを主導したドゥルーズ派シャイフ、アブー・ファフド・ワヒード・バルウース師の活動によるものだと報じた。

レバノン・タウヒード潮流広報局は27日に声明を出し、シリア国内の当事務所を閉鎖し、同国内での活動を休止すると発表していた。

AFP, August 28, 2014、AP, August 28, 2014、ARA News, August 28, 2014、Champress, August 28, 2014、al-Hayat, August 29, 2014、Kull-na Shuraka’, August 28, 2014、al-Mada Press, August 28, 2014、Naharnet, August 27, 2014、August 28, 2014、NNA, August 28, 2014、Reuters, August 28, 2014、SANA, August 28, 2014、UPI, August 28, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力:ヌスラ戦線がUNDOF隊員を拉致(2014年8月28日)

クナイトラ県では、イスラエルが占領するゴラン高原の非武装地帯で兵力引き離しのための監視活動を行うUNDOFの隊員43人が、クナイトラ市一帯でシリア軍と交戦中のシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団によって拘束された。

国連は43人が早朝に武装集団によって拘束されたと発表したが、隊員の国籍については明らかにせず、また拉致された43人以外にも、81人の隊員がルワイヒーナ村・ブライカ村間で身動きがとれない状態だと付言した。

UNDOFには、フィージー、インド、アイルランド、ネパール、オランダ、フィリピンから1,223人が派遣されている。

AP(8月28日付)によると、ヌスラ戦線などは27日にクナイトラ検問所などを制圧し、現在はシリア軍が同地奪還のために空爆などを行っており、シリア人権監視団によると、27日からの戦闘で、シリア軍兵士20人、ヌスラ戦線側の戦闘員14人が死亡したという。

一方、なお、クッルナー・シュラカー(8月28日付)によると、27日からの戦闘では、イスラエル軍兵士1人と民間人1人が警鐘を負い、イスラエル軍は27日にシリア軍の陣地2カ所を砲撃したという。

Kull-na Shuraka', August 28, 2014
Kull-na Shuraka’, August 28, 2014

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ダマスカス県では、SANA(8月28日付)によると、シリア軍がジャウバル区(製材所交差点一帯など)において反体制武装集団の掃討を重点的に行い、イスラーム軍の戦闘員らを殺傷した。

Kull-na Shuraka', August 28, 2014
Kull-na Shuraka’, August 28, 2014

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がジャウバル区各所を空爆、またヤルムーク区で、シリア軍とジハード主義武装集団が交戦した。

また、SANA(8月28日付)によると、シリア軍が、ジャウバル区での掃討作戦と並行して、ザマルカー町・アルバイン市交差点、アイン・タルマー渓谷、ハティータト・ジャルシュ町、ザブディーン村、ジスリーン町、タルフィーター村郊外の無人地帯、ハーン・シャイフ・キャンプで反体制武装集団の掃討を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(8月28日付)によると、アレッポ市ライラムーン地区、旧市街、シャッアール地区、ジャービリーヤ地区、ウンム・クラー町、タッル・リフアト市、カフル・カルミーン村、タッル・アラム村、ハンダラート・キャンプ、ハーン・アサル村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(8月28日付)によると、ザーウィヤ山一帯、タッラト・マアッラ一帯で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、シリア革命家戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(8月28日付)によると、ウンム・シャルシューフ村、ヒムス市ワアル地区、ガジャル村、タッラト・バドウ、マスアダ村、ウンム・サフリージュ村、タドムル市近郊のシャジャラ農場で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月28日付)によると、シャイフ・マスキーン市、ラジャート高原、ヒルバト・ガザーラ町周辺、ダーイル町、サイダー町周辺、ダルアー市各所で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クッルナー・シュラカー(8月28日付)は、ダルアー県ラジャート高原一帯で反体制活動を行ってきたウマリー旅団(自由シリア軍)司令官のカイス・カターイナ大尉が、ハイト村近郊で負傷し、搬送先のヨルダン国内の病院で死亡したと報じた。

カターイナ大佐は、「5番目に離反した」シリア軍元士官で、2011年からダルアー県、スワイダー県で反体制武装闘争を続けてきた。

Kull-na Shuraka', August 28, 2014
Kull-na Shuraka’, August 28, 2014

AFP, August 28, 2014、AP, August 28, 2014、ARA News, August 28, 2014、Champress, August 28, 2014、al-Hayat, August 29, 2014、Kull-na Shuraka’, August 28, 2014、al-Mada Press, August 28, 2014、Naharnet, August 28, 2014、NNA, August 28, 2014、Reuters, August 28, 2014、SANA, August 28, 2014、UPI, August 28, 2014などをもとに作成。

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