イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き:ダーイシュが「ユーフラテス州」設置を発表(2014年8月31日)

ダーイシュ(イスラーム国)は、シリアのハサカ県ブーカマール市とイラクのアンバール県カーイム市、および両市周辺のシリア・イラク国境地帯を「ユーフラテス州」とすると発表した。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はこれに関して、ダーイシュがサイクス・ピコ条約での英仏による国境確定を打破しようとする意思の表れとの見方を示した。

なお、ダーイシュは、ラッカ県を「ラッカ州」、ハサカ県を「ハイル州」と称しているが、州の設立を公に発表するのはこれが初めて。

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ダイル・ザウル県では、『ハヤート』(9月1日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、大学教授を「人民議会議員、バアス党員で、大学で法律を教授している」との罪で処刑、またバアス党支部の書記長を「背教者とヌサイル派体制に忠誠を尽くしている」との罪でそれぞれ処刑したという。

処刑された議員、支部長の身元は不明。

一方、シリア人権監視団によると、シリア軍はダーイシュが集結しているダイル・ザウル航空基地周辺を空爆した。

他方、SANA(8月31日付)によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ラシュディーヤ地区、アルディー地区、工業地区、ジュバイラ地区で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦、複数の戦闘員を殺傷した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がラッカ市内のダーイシュ(イスラーム国)拠点を7回にわたって空爆した。

空爆はダーイシュが「イスラーム警察」本部を置いている国立競技場、政治治安部、国立病院一帯、アキールシー村一帯(ウサーマ・ビン・ラーディン基地一帯)、スィバーヒーヤ村一帯、サブハ村一帯に対して行われ、スィバーヒーヤ村一帯への空爆で子供5人が死亡した。

またスルーク町では、ダーイシュがタブカ航空基地で捕捉したシリア軍兵士2人を処刑した。

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アレッポ県では、ARA News(9月2日付)によると、イスラーム国(ダーイシュ)がアイン・アラブ市西部のアーシャミー村を襲撃しようとしたが、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がこれを撃退、ダーイシュ戦闘員10人を殲滅した。

またARA News(8月31日付)によると、クルド人戦線旅団がマーリア市近郊でダーイシュ(イスラーム国)メンバー2人を拘束した。

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ハサカ県では、ARA News(8月31日付)によると、ハサカ市グワイラーン地区に対してシリア軍が砲撃を行う一方、同地区入り口で「イスラーム国」(ダーイシュ)と交戦した。

AFP, August 31, 2014、AP, August 31, 2014、ARA News, August 31, 2014、September 2, 2014、Champress, August 31, 2014、al-Hayat, September 1, 2014、Kull-na Shuraka’, August 31, 2014、al-Mada Press, August 31, 2014、Naharnet, August 31, 2014、NNA, August 31, 2014、Reuters, August 31, 2014、SANA, August 31, 2014、UPI, August 31, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き:ヌスラ戦線がレバノン軍兵士ら5人を解放(2014年8月31日)

アナトリア通信(8月31日付)は、8月初めにベカーア県バアルベック郡アルサール村で武装集団(シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)に拘束された内務治安軍総局隊員らのうち、軍兵士4人と内務治安軍総局隊員1人を釈放したとヌスラ戦線の司令官が発表したと報じた。

釈放したのはイスラーム教スンナ派の兵士・隊員で、キリスト教徒の捕虜については釈放しなかった。

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シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、「数日中」にダマスカス郊外県のカラムーン地方を「解放」するための作戦を開始すると発表、ヒズブッラーがこれに介入した場合、ベカーア県バアルベック郡アルサール村で武装集団(ヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)が拘束したレバノン内務治安軍総局隊員らを処刑すると脅迫した。

AFP, August 31, 2014、Anadolu Ajansı, August 31, 2014、AP, August 31, 2014、ARA News, August 31, 2014、Champress, August 31, 2014、al-Hayat, September 1, 2014、Kull-na Shuraka’, August 31, 2014、al-Mada Press, August 31, 2014、Naharnet, August 31, 2014、NNA, August 31, 2014、Reuters, August 31, 2014、SANA, August 31, 2014、UPI, August 31, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力:シリア軍によるダマスカス県ジャウバル地区攻略続く(2014年8月31日)

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区をシリア軍が15回にわたって空爆した。

一方、SANA(8月31日付)によると、ジャウバル区で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアターリブ市郊外のイッビーン村を空爆した。

一方、SANA(8月31日付)によると、航空士官学校一帯、ナイラブ航空基地周辺、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区周辺、ハーン・アサル村、アレッポ市シュカイフ地区、カーディー・アスカル地区、ブスターン・カスル地区で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、スマート・ニュース(8月31日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が、ムハルダ市内の軍拠点を砲撃した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市各所をシリア軍が砲撃し、子供2人を含む17人が死亡した。

一方、SANA(8月31日付)によると、ハーン・シャイフ・キャンプ一帯、マガッル・ミール村、フサイニーヤ町郊外、アドラー市旧市街、ハジャーリーヤ農場、スィンディヤーナ農場、アーリヤ農場、ザバダーニー市、ダーライヤー市で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハビート町各所をシリア軍が「樽爆弾」で空爆し、女性2人、子供5人を含む10人が死亡した。

またシリア軍はサルキーン町各所に対しても空爆を行い、男性2人が死亡した。

一方、SANA(8月31日付)によると、ムハムバル村、サラーキブ市、サルジャ村、マアッラト・ヌウマーン市、タッル・サラムー村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(8月31日付)によると、ヒムス市ワアル地区、スルターニーヤ村、東サラーム村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月31日付)によると、ダルアー市Syriatelビル一帯、ヤルムーク学校一帯、ウマリー・モスク周辺、イズラア市、ハッラーブ・シャフム村・ヤードゥーダ村街道、タッル・フドル一帯、ダーイル町、ヒルバト・ムライハ村交差点、サムリーン村・ズィムリーン村交差点、インヒル市、アトマーン村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(8月31日付)によると、西サムダーニーヤ村、ウンム・バーティナ村、ブライカ村、アイン・ダルブ村東部、クルーム丘、マジュドゥーリヤー村、アジュラフ村、ビイル・アジャム村、ルワイヒーナ村・ウンム・バーティナ村街道で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 31, 2014、AP, August 31, 2014、ARA News, August 31, 2014、Champress, August 31, 2014、al-Hayat, September 1, 2014、Kull-na Shuraka’, August 31, 2014、al-Mada Press, August 31, 2014、Naharnet, August 31, 2014、NNA, August 31, 2014、Reuters, August 31, 2014、SANA, August 31, 2014、SMART News, August 31, 2014、UPI, August 31, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力:ヌスラ戦線がUNDOF隊員を拘束(2014年8月31日)

シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、UNDOFフィージー部隊の拘束に関して、「シリア人に対する国連が犯した罪への制裁」だと主張した。

声明において、ヌスラ戦線は、「国連が犯罪者の体制(シリア政府)に対するシャームの民の革命と闘争を支持するふりをしていたが、シャームの民に与えられたのは、単なる声明…だけだった」と非難した。

そのうえで「これに対して、国連は革命家に対して様々な決議を合意し…、ヌスラ戦線に制裁を科し…、テロリストのブラックリストに追加し…、ついにはヌスラ戦線を国連憲章第7章のもとに置いた」と述べ、国際社会による包囲網を厳しく指弾した。

なお声明によると、拘束されているフィージー部隊隊員44人は、「イスラームの教え」に従って安全な場所で丁重に扱われており、ヌスラ戦線は声明を合わせてフィージー部隊隊員の集合写真を公開した。

またフィージー部隊司令官のモセス・ティコイトガ(Mosese Tikoitoga)准将によると、隊員解放に向けた交渉が継続されているもの、拘束場所なども特定できていない、という。

Kull-na Shuraka', August 31, 2014
Kull-na Shuraka’, August 31, 2014

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イスラエル軍は声明を出し、シリア領内から占領下のゴラン高原に飛来した無人航空機をイスラエル軍が撃墜した、と発表した。

AFP, August 31, 2014、AP, August 31, 2014、ARA News, August 31, 2014、Champress, August 31, 2014、al-Hayat, September 1, 2014、Kull-na Shuraka’, August 31, 2014、al-Mada Press, August 31, 2014、Naharnet, August 31, 2014、NNA, August 31, 2014、Reuters, August 31, 2014、SANA, August 31, 2014、UPI, August 31, 2014などをもとに作成。

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シリア政府の動き:第2次ハルキー内閣発足後初の閣議(2014年8月31日)

8月27日に発足した第2次ワーイル・ハルキー内閣の閣僚がアサド大統領の前で就任宣誓を行った。

またアサド大統領は、就任宣誓式に同内閣の第1回の閣議を主催し、治安対策、テロ対策、復興政策などに関する指示を閣僚らに行った。

SANA(8月31日付)が伝えた。

SANA, August 31, 2014
SANA, August 31, 2014

AFP, August 31, 2014、AP, August 31, 2014、ARA News, August 31, 2014、Champress, August 31, 2014、al-Hayat, September 1, 2014、Kull-na Shuraka’, August 31, 2014、al-Mada Press, August 31, 2014、Naharnet, August 31, 2014、NNA, August 31, 2014、Reuters, August 31, 2014、SANA, August 31, 2014、UPI, August 31, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き:自由シリア軍参謀長が米国によるシリア爆撃支持(2014年8月31日)

自由シリア軍参謀委員会のアブドゥルイラーフ・バシール参謀長はCNN(8月31日付)に対して、「米国の空爆は、ダーイシュ(イスラーム国)を破壊し、後退させようとしている革命家に資する」としたうえで、「自由シリア軍は大いなる圧力のもとにあり、崩壊しつつある」と危機感を表明、「米軍によるダーイシュ拠点の砲撃実施が重要」と述べた。

またバシール参謀長は「我々はダーイシュがシリア政府の一部をなしており、この政府と完全に強調し合っている」と主張した。

AFP, August 31, 2014、AP, August 31, 2014、ARA News, August 31, 2014、Champress, August 31, 2014、CNN, August 31, 2014、al-Hayat, September 1, 2014、Kull-na Shuraka’, August 31, 2014、al-Mada Press, August 31, 2014、Naharnet, August 31, 2014、NNA, August 31, 2014、Reuters, August 31, 2014、SANA, August 31, 2014、UPI, August 31, 2014などをもとに作成。

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