米国の動き(2014年8月7日)

バラク・オバマ米大統領は、ホワイトハウスで声明を読み上げ、イラク国内でダーイシュ(イスラーム国)に対する限定的空爆と、スィンジャール山地で孤立する避難住民を救援するための救援物資投下を承認したと発表した。

声明でオバマ大統領は、孤立するイラク住民の保護に必要な場合や、米領事館のあるアルビル市(イラク・クルディスタン地域の主都)やバグダード県にダーイシュが迫った場合、「必要ならば、限定的な空爆を行う」と説明した。

AFP, August 8, 2014、AP, August 8, 2014、ARA News, August 8, 2014、Reuters, August 8, 2014、UPI, August 8, 2014などをもとに作成。

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諸外国の動き(2014年8月7日)

米財務省は、クウェート人2人がシャームの民のヌスラ戦線に、またアルバニア人1人がダーイシュ(イスラーム国)に資金援助を行ったとして、制裁リストに加えたと発表した。

AFP(8月7日付)が伝えた。

AFP, August 7, 2014、AP, August 7, 2014、ARA News, August 7, 2014、Champress, August 7, 2014、al-Hayat, August 8, 2014、Kull-na Shuraka’, August 7, 2014、al-Mada Press, August 7, 2014、Naharnet, August 7, 2014、NNA, August 7, 2014、Reuters, August 7, 2014、SANA, August 7, 2014、UPI, August 7, 2014などをもとに作成。

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イラクでのイスラーム国(ダーイシュ)をめぐる主な動き(2014年8月7日)

アンバール県では、マダー・プレス(8月7日付)によると、ラマーディー市西部のアーナ郡に対するイラク軍の空爆で、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員多数が死亡し、車輌12輌が大破した。

またイラク軍はカーイム郡とラトバ郡の間に位置するビヤール地方を空爆し、ダーイシュ戦闘員8人を殺害した。

このほか、ファッルージャ市北部では、軍、警察合同部隊がダーイシュの攻撃を受け、兵士7人が死傷した。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(8月7日付)によると、イラク軍ヘリコプターがサアディーヤ地方にあるダーイシュ(イスラーム国)シャリーア法廷本部を空爆し、ダーイシュ戦闘員16人以上を殺害した。

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キルクーク県では、マダー・プレス(8月7日付)によると、アーミルリー地方で、イラク軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、双方合わせて37人が死傷した。

AFP, August 7, 2014、AP, August 7, 2014、ARA News, August 7, 2014、Champress, August 7, 2014、al-Hayat, August 8, 2014、Kull-na Shuraka’, August 7, 2014、al-Mada Press, August 7, 2014、Naharnet, August 7, 2014、NNA, August 7, 2014、Reuters, August 7, 2014、SANA, August 7, 2014、UPI, August 7, 2014などをもとに作成。

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レバノンでのイスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月7日)

NNA(8月7日付)などによると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村周辺で避難生活を送ってきたシリア人約1,700人が、同地での武装集団(シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)とレバノン軍の戦闘激化を受けて、シリア国内に避難、帰国した。

AFP(8月7日付)によると、シリアに帰国した避難民の多くはダマスカス郊外県カラムーン地方の住民であり、このほかに3,000人がシリアへの帰国を望んでいるという。

なおアルサール村一帯には4万7,000人のシリア人避難民がいるという。

NNAによると、シリア人避難民の帰国は、彼らがレバノンに不法入国していたためで、武装集団とレバノン軍の衝突発生以前から散見されていたという。

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ラムズィー・ジュライジュ情報大臣は、タマーム・サラーム首相が、ジャーン・カフワジー軍総司令官、イブラーヒーム・バスブース内務治安軍総局長、アッバース・イブラーヒーム総合治安局長、ジョルジュ・カルア国家治安総局長、イマード・ウスマーン軍情報局長と会談し、軍、治安機関の志願兵・隊員数を1万2,000人に増員することを決定したと発表した。

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ジャーン・カフワジー軍総司令官は、ベカーア県バアルベック郡アルサール村への武装集団の襲撃に伴うレバノン軍と武装集団(シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘に関して、武装集団がアルサール村からシリア領内に撤退したことを確認したとタマーム・サラーム内閣に報告した。

ナハールネット(8月7日付)が伝えた。

なお『サフィール』(8月7日付)によると、アルサール村には約2,000人の武装集団が侵入し、停戦交渉はアブー・タラールを名乗るイマード・アフマド・ジュムア氏(8月3日に逮捕)の副官が行っていたという。

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ナハールネット(8月7日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村での武装集団(シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)とレバノン軍の停戦を仲介しているウラマー委員会の使節団は、レバノン軍兵士らを拉致した武装集団との連絡が途絶えたと発表した。

連絡が途絶えたのは、彼らがアルサール村一帯から撤退し、「彼らが携帯電話の電源を切った」ためだという。

その後、シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、アルサール村一帯から撤退したことを明らかにした。

アルサール村での戦闘継続で、ダマスカス郊外県カラムーン地方の戦闘員やシリア人避難民の移動が制限され、そのことが「イスラームの敵」に資することになるというのが撤退の理由。

またヌスラ戦線は、アルサール村で拉致したレバノン軍兵士が「特別な待遇を受けている」と発表し、無事であることを強調した。

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『サフィール』(8月7日付)は、ベカーア県バアルベック郡アルサール村への武装集団(シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)の襲撃に関して、治安当局が、武装集団の指導者らと、ルーミヤ刑務所収監者の政治犯、北部県トリポリ市のジハード主義者、アイン・フルワ・パレスチナ難民キャンプ(南部県サイダー市)のジハード主義者の間で先週末に交わされた電話での会話を傍受していた、と報じた。

AFP, August 7, 2014、AP, August 7, 2014、ARA News, August 7, 2014、Champress, August 7, 2014、al-Hayat, August 8, 2014、Kull-na Shuraka’, August 7, 2014、al-Mada Press, August 7, 2014、Naharnet, August 7, 2014、NNA, August 7, 2014、Reuters, August 7, 2014、al-Safir, August 7, 2014、SANA, August 7, 2014、UPI, August 7, 2014などをもとに作成。

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シリアでのイスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月7日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イスラーム国(ダーイシュ)がシリア軍との戦闘の末、アイン・イーサー市近郊のシリア軍第93旅団基地を「完全制圧」、同基地に駐留していたシリア軍はタブカ航空基地方面に撤退した。

同監視団によると、ダーイシュ戦闘員3人が、第93旅団基地入り口で自爆攻撃を行い、第17師団基地から敗走していたシリア軍兵士27人を殺害し、最終的にダーイシュが基地を制圧したという。

自爆攻撃を行った3人のうち2人はシリア人(アブー・フザイファ・スーリー氏、アブー・アブドゥー・スーリー氏)、1人はアブー・ハージルを名乗る外国人戦闘員だったという。

なお、この戦闘でシリア軍兵士36人、ダーイシュ戦闘員(ほとんどが外国人)15人が死亡したという。

また親政権の複数の消息筋によると、シリア軍司令部が、約500人が駐留していた第93旅団基地からの撤退を命じ、複数の活動家によると、ダーイシュは基地に残された戦車53輌、大砲18門などを捕獲したという。また複数の活動家によると、シリア軍将兵約150人がダーイシュによって捕捉されたという。

ダーイシュの第93旅団基地により、ラッカ県におけるシリア軍の拠点はタブカ航空基地を残すのみとなった。

 

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、アブー・ハマーム市周辺で、ダーイシュ(イスラーム国)とシュアイタート部族民兵が交戦し、ダーイシュ戦闘員5人が死亡した。

またスマート・ニュース(8月7日付)によると、救援物資を積んでダマスカス・ダイル・ザウル街道を移動していたシリア赤新月社の車輌3台をシリア軍戦闘機が誤爆し、ボランティア隊員4人が死亡、5人が負傷した。

一方、ダーイシュ(イスラーム国)ハイル州(ダイル・ザウル県のこと)広報局がフェイスブックやツイッターを通じて、マヤーディーン市で行った市民20人の公開処刑の画像を公開した。

ARA News, August 7, 2014
ARA News, August 7, 2014

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ダマスカス郊外県カラムーン地方で武装闘争を続ける反体制武装集団11組織が、共同声明を出し、レバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール村への武装集団(シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)の襲撃に伴うレバノン軍と武装集団の戦闘に関する見解を示した。

声明のなかで、武装集団は、ヌスラ戦線などによるアルサール村襲撃を「無責任な行為」と批判した。

またレバノン政府に対しては、シリア人避難民保護への謝意を示しつつ、ヒズブッラーのシリア内政への干渉を許していると批判した。

共同声明を出した武装集団は以下の通り

1. イスラーム戦線イスラーム軍

2. クサイル師団

3. クサイルの鷹アサーラ・ワ・タンミヤ旅団

4. ハムド旅団

5. ラバート中隊ハーリド・ブン・ワリード大隊

6. 「備えよ」旅団

7. トルクメン第1旅団

8. 第1特殊任務連隊

9. ヒムス自由人旅団

10. ファトフの鷹旅団

11. 殉教者バクル・バッカール大隊

Kull-na Shuraka', August 7, 2014
Kull-na Shuraka’, August 7, 2014

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また、ダマスカス郊外県で活動するカラムーン地方合同軍事作戦司令室も声明を出し、レバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール村への武装集団(シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)の襲撃に伴うレバノン軍と武装集団の戦闘に関する見解を示した。

声明で作戦司令室は、アルサール村での戦闘に反対の意思を示す一方、ヒズブッラー戦闘員のシリアからの撤退を求めた。

Kull-na Shuraka', August 7, 2014
Kull-na Shuraka’, August 7, 2014

AFP, August 7, 2014、AP, August 7, 2014、ARA News, August 7, 2014、Champress, August 7, 2014、al-Hayat, August 8, 2014、August 11, 2014、Kull-na Shuraka’, August 7, 2014、al-Mada Press, August 7, 2014、Naharnet, August 7, 2014、NNA, August 7, 2014、Reuters, August 7, 2014、SANA, August 7, 2014、SMART News, August 7, 2014、UPI, August 7, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年8月7日)

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区を軍が空爆した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町、ダイル・アサーフィール市郊外、カラムーン地方無人地帯(対レバノン国境)を軍が空爆、またダーライヤー市で軍、国防隊とジハード主義武装集団が交戦した。

またアルバイン市出身の男性が当局の拘置所で拷問を受けて死亡した。

一方、SANA(8月7日付)によると、軍はバイト・ティーマー村周辺で反体制武装集団を撃退、またワーディー・ブハイラーン村周辺の丘陵地帯、カフルフール村一帯、バイト・サービル町、ワーディー・バルア村、ハラル村一帯の反体制武装集団の拠点複数カ所を攻撃し、戦闘員200人を殺害した。

さらにハーン・シャイフ・キャンプ郊外、ザバダーニー市西部および東部山岳地帯、カラムーン地方無人地帯(対レバノン国境)、ムライハ市郊外、ナシャービーヤ農場、アイン・タルマー警告、シャイフーニーヤ農場でも、軍は反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、インヒル市をシリア軍が空爆、また同地一帯でシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(8月7日付)によると、ダルアー市バジャービジャ地区、ビイル・ダラジュ地区周辺、旧税関地区、ヨルダン通り周辺、Syriatel塔、インヒル市などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハッターブ町、ムーリク市をシリア軍が空爆する一方、ムーリク市一帯で軍、国防隊がシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

またビージュー検問所とマジュダル検問所周辺では、軍、国防隊がジュンド・アクサーなどからなるジハード主義武装集団と交戦し、武装集団が撤退した。

しかし、スマート・ニュース(8月7日付)によると、反体制武装集団はハマー市西部の缶工場を攻撃し、同地に駐留していた軍を撤退させるとともに、シャルユート検問所の軍も撤退させたという。

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ヒムス県では、SANA(8月7日付)によると、タルビーサ市、ウンム・シャルシューフ村、ガジャル村、イッズッディーン町、アイン・フサイン村、ラッフーム村、マスアダ村、タドムル市北東部の農場地帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アンジャーラ村北部のカースィミーア村を軍が空爆し、女性3人を含む一家4人が死亡した。

また軍はアレッポ市アイン・タッル地区、アナダーン市、タッル・リフアト市を「樽爆弾」で空爆した。

対するジハード主義武装集団は、アレッポ市ラームーサ地区の軍事アカデミー一帯の軍拠点を手製の迫撃砲で攻撃した。

一方、スマート・ニュース(8月8日付)によると、シャイフ・ルトフィー村で軍とジハード主義武装集団が交戦し、軍兵士20人が死亡、また軍がカースィミーヤ町を空爆し、市民8人が死亡したという。
他方、SANA(8月7日付)によると、アレッポ市バーブ・ハディード地区、サーリ

ヒーン地区、インザーラート地区、カーディー・アスカル地区、シャイフ・ファーリス地区、カフルジューム村、マンスーラ村、アルバイド村、アイン・ジャマージマ村、カスキース村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(8月7日付)によると、ウーファーニヤー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(8月7日付)によると、サルマーニーヤ村、カルクース村、スィンディヤーン村、カスタル・ブルジュ村、アルバイーン山周辺、バイト・スィーニー村、フータ村、カラア・ガザール村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 7, 2014、AP, August 7, 2014、ARA News, August 7, 2014、Champress, August 7, 2014、al-Hayat, August 8, 2014、Kull-na Shuraka’, August 7, 2014、al-Mada Press, August 7, 2014、Naharnet, August 7, 2014、NNA, August 7, 2014、Reuters, August 7, 2014、SANA, August 7, 2014、SMART News, August 7, 2014、August 8, 2014、UPI, August 7, 2014などをもとに作成。

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シリア政府の動き(2014年8月7日)

ウムラーン・ズウビー情報大臣は、レバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール村に対する武装集団(シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)襲撃に関するサアド・ハリーリー元首相の言動に関して、「サアド・ハリーリー氏はサウジ政府が言うことを繰り返すだけのオウムで、彼の発言は反論するに値しない単なるつぶやきだ…。ハリーリー氏はサウジ政府の報道官になった方がいい」と酷評した。

SANA(8月7日付)が伝えた。

SANA, August 7, 2014
SANA, August 7, 2014

AFP, August 7, 2014、AP, August 7, 2014、ARA News, August 7, 2014、Champress, August 7, 2014、al-Hayat, August 8, 2014、Kull-na Shuraka’, August 7, 2014、al-Mada Press, August 7, 2014、Naharnet, August 7, 2014、NNA, August 7, 2014、Reuters, August 7, 2014、SANA, August 7, 2014、UPI, August 7, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年8月7日)

ダマスカス郊外県カラムーン地方で活動する反体制武装集団12組織が共同声明を出し、「カラムーン軍」を結成すると発表した。

カラムーン軍への参加を表明した武装集団は以下の通り:

1. カラムーン特殊任務旅団
2. 特攻中隊
3. ハンダク突撃中隊
4. マッカ戦車中隊
5. バドル対機甲中隊
6. 殉教者アブー・サイフ大隊
7. 殉教者ディヤー・シャイフ大隊
8. イスラームの鷹防空大隊
9. 殉教者アフマド・ワヒード・トルクメン大隊
10. 殉教者マフムード・アルヤーン大隊
11. 殉教者アイマン・サブーフ大隊
12. 殉教者アナス・サーミン大隊

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イスラーム戦線所属のイスラーム軍は声明を出し、6日付で「空港包囲の戦い」を開始したと発表、ダマスカス郊外県にあるダマスカス国際空港を封鎖し、諸外国からのアサド政権への軍事支援を寸断する意思を示した。

AFP, August 7, 2014、AP, August 7, 2014、ARA News, August 7, 2014、Champress, August 7, 2014、al-Hayat, August 8, 2014、Kull-na Shuraka’, August 7, 2014、al-Mada Press, August 7, 2014、Naharnet, August 7, 2014、NNA, August 7, 2014、Reuters, August 7, 2014、SANA, August 7, 2014、UPI, August 7, 2014などをもとに作成。

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