イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月19日追記)

ダーイシュ(イスラーム国)は、2012年11月22日に不法入国したシリアでの取材中に身元不明の武装集団に拘束されていた米国人ジャーナリストのジェームズ・フォーリー氏を後ろ手に縛り、ナイフで殺害する映像を公開した。

al-Hayat, August 21, 2014
al-Hayat, August 21, 2014

AFP, August 20, 2014、AP, August 20, 2014、ARA News, August 20, 2014、Champress, August 20, 2014、al-Hayat, August 21, 2014、Kull-na Shuraka’, August 20, 2014、al-Mada Press, August 20, 2014、Naharnet, August 20, 2014、NNA, August 20, 2014、Reuters, August 20, 2014、SANA, August 20, 2014、UPI, August 20, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月19日)

シリア国内の動き

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、過去1ヶ月間で、ダーイシュ(イスラーム国)に新たに6,000人の戦闘員が加わったと発表した。

うち1,000人強が外国人で、残りがシリア人だという。

アブドゥッラフマーン代表によると、ダーイシュ戦闘員の数は現在5万人に達し、うち2万人以上が外国人で、その割合は2013年春以降もっとも高い値だという。

ロイター通信(8月19日付)などが伝えた。

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シリア人権監視団は、ダマスカス郊外県カラムーン地方で18日、ヒズブッラー戦闘員が仕掛けた爆弾の爆発により、ダーイシュ(イスラーム国)の司令官が死亡したと発表した。

これに関して、マナール(8月19日付)が、シリア軍がカラムーン地方無人地帯で行った「特殊作戦」によってこのダーイシュ司令官が殺害されたと報じた。

マナールによると、この司令官は「アブー・アブドゥッラー・イラーキー」を名乗るイラク人で、自爆作戦、自動車爆弾による攻撃を統括していたという。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カラムーン地方無人地帯では、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団戦闘員14人がシリア軍、国防隊との戦闘で殺害された。

一方、ハラスター市郊外のシリア軍検問所をアジュナード・シャーム・イスラーム連合が襲撃し、兵士5人を殺害、またシリア軍による東グータ地方一帯への空爆で女性1人、子供3人を含む7人が死亡した。

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アイン・アラブ市郊外で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

またスーラーン・アアザーズ町周辺(アフティームッラート村方面)では、進軍を続けるダーイシュがクルド人戦線旅団、ジハード主義武装集団と交戦した。

ジハード主義武装集団は、ダーイシュによって占拠されたハウル・ナフル村、サーリヒーヤ村、アフティームッラート村、アルシャーフ村に対して砲撃を行ったという。

一方、シリア軍は、イスラーム戦線タウヒード旅団の本拠地マーリア市各所、ダーイシュによって制圧されたダービク村、アルシャーフ村、アフタリーン市、バーブ市を空爆した。

他方、SANA(8月19日付)によると、タラーリーン村、スーラーン・アアザーズ町、ハンダラート・キャンプ、ウワイジャ地区、フサーミーヤ村、アルシャード村、ターディフ市、アブラ村、アレッポ市シュカイイフ地区、カスタル・ハラーミー地区、ハーン・アサル村、アナダーン市で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市などダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対してシリア軍が空爆を続けた。

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ダイル・ザウル県では、ARA News(8月19日付)によると、ヒサーン村で住民2人を石打の刑に処し、遺体を村の広場で晒した。

イラク国内の動き

ダーイシュ(イスラーム国)はビデオ声明を出し、米軍によるニナワ県モスル・ダム一帯などへの空爆に対して、「イラク北部での空爆を止めなければ、あらゆる場所で米国人を攻撃し…、合衆国を血の海に沈める」と発表した。

マダー・プレス(8月19日付)が伝えた。

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サラーフッディーン県では、サラーフッディーン作戦司令室によると、イラク治安部隊がティクリート市中心の3地区を、ダーイシュ(イスラーム国)との交戦の末に制圧した。

またダルーイーヤ郡では、イラク軍がダーイシュの車列を空爆し、ダーイシュ戦闘員23人を殲滅した。

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バービル県では、治安筋によると、ジュルフ・サフル地方に対するイラク軍の空爆で、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員20人が死亡した。

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ディヤラ県では、イラク軍第5師団司令部によると、ヤアクーバ市北部に対するイラク軍の空爆で、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員4人が死亡した。

AFP, August 19, 2014、AP, August 19, 2014、ARA News, August 19, 2014、Champress, August 19, 2014、al-Hayat, August 20, 2014、Kull-na Shuraka’, August 19, 2014、Qanat al-Manar, August 19, 2014、al-Mada Press, August 19, 2014、Naharnet, August 19, 2014、NNA, August 19, 2014、Reuters, August 19, 2014、SANA, August 19, 2014、UPI, August 19, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年8月19日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、カムハーナ町をジハード主義武装集団(自由シリア軍)が砲撃し、女児1人が死亡した。

またサラミーヤ市郊外のタイバ村一帯、クバイバート村でシリア軍とジハード主義武装集団(自由シリア軍)が交戦、女性1人、女児2人を含む4人が死亡した。

さらにスマート・ニュース(8月19日付)によると、ムーリク市北部および東部郊外で、シリア軍と「自由シリア軍」が交戦し、軍兵士6人が死亡、また「自由シリア軍」がハマー航空基地を砲撃し、軍兵士多数が死亡したという。

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ダルアー県では、SANA(8月19日付)によると、シリア軍がアトマーン村周辺のガズラーン農場、ビータール農場などを制圧、「テロリスト」(シャームの民のヌスラ戦線)の拠点複数カ所を破壊し、同村を完全包囲した。

またシリア軍はヤードゥーダ村でもヌスラ戦線の拠点複数カ所を破壊したという。

これに関して、ダルアー市の活動家のムハンマド・ヒサーン氏は、ARA News(8月19日付)に対して、シリア軍がアトマーン村で毒ガスを使用し、「自由シリア軍」戦闘員5人が呼吸困難などを訴えたと主張した。

SANAによると、シリア軍は、このほかにもダルアー市ビラール・ハバシー・モスク北部、サジュナ地区、バジャービジャ地区で反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

SANA, August 19, 2014
SANA, August 19, 2014

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クナイトラ県では、SANA(8月19日付)によると、アイン・ダルブ村からクムーナ村に潜入しようとした武装テロ集団がシリア軍が撃退した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、サアサア町、フサイニーヤ町郊外の農場で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区パレスチナ通りで、シリア軍、国防隊が反体制武装集団が交戦し、軍が同地を砲撃した。

この戦闘で、国防隊隊員多数が死亡したという。

一方、SANA(8月19日付)によると、「国民和解合意」(停戦合意)が発効を受け、カダム区でのインフラ復旧作業が開始された。

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ヒムス県では、SANA(8月19日付)によると、ヒムス市ワアル地区、バルグーティーヤ村、ウンム・リーシュ村、ワディーヒー村、ウンク・ハワー村・ラッフーム村間、アクラブ町、ガジャル村などで、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 19, 2014、AP, August 19, 2014、ARA News, August 19, 2014、Champress, August 19, 2014、al-Hayat, August 20, 2014、Kull-na Shuraka’, August 19, 2014、al-Mada Press, August 19, 2014、Naharnet, August 19, 2014、NNA, August 19, 2014、Reuters, August 19, 2014、SANA, August 19, 2014、SMART News, August 19, 2014、UPI, August 19, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年8月19日)

自由シリア軍のシリア革命家戦線(ジャマール・マアルーフ司令官)は声明を出し、シャームの民のヌスラ戦線がアレッポ県、ハマー県、イドリブ県(ワーディー・ダイフ軍事基地周辺)でのシリア軍との戦闘を放棄し、イドリブ県ザーウィヤ山方面に兵力を集中させている、と批判した。

AFP, August 19, 2014、AP, August 19, 2014、ARA News, August 19, 2014、Champress, August 19, 2014、al-Hayat, August 20, 2014、Kull-na Shuraka’, August 19, 2014、al-Mada Press, August 19, 2014、Naharnet, August 19, 2014、NNA, August 19, 2014、Reuters, August 19, 2014、SANA, August 19, 2014、UPI, August 19, 2014などをもとに作成。

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シリアで日本人が拉致(続報、2014年8月19日)

アレッポ県でダーイシュ(イスラーム国)に拘束されたとされる日本人男性に関して、『ハヤート』(8月19日付)は、ツイッター上の情報などをもとに、この人物がイスラーム教に改宗し、「アブー・ムジャーヒド」を名乗り、イスラーム戦線のもとでカメラマンとして活動していたと報じた。

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『読売新聞』(8月18日付夕刊)、NHK(8月18日付)などは、「自由シリア軍」関係者(28歳)の話として、この男性が、イスラーム戦線の拠点であるアレッポ県マーリア市でダーイシュ(イスラーム国)に拘束されたとの情報があると伝えた。

また「自由シリア軍」に同行していたとされるこの男性が、マーリア市を拠点とするイスラーム戦線と行動をともにしていたとの情報も出ていると付言した。

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さらに『読売新聞』(8月19日付朝刊)は、この男性と行動をともにしていたイスラーム戦線メンバーの話として、同男性の足取りについて詳しく報じた。

それによると、この男性は、約2ヶ月前に「シリア内戦の記事を書きたい」とこのメンバーを訪れ、6~7人の他のメンバーとともに行動、7月28日にトルコの検問所を経由し、シリアに不法入国した。

この男性は、戦場や破壊された町の様子を撮影するなどしていたという。

その後、アフタリーン市、マーリア市、アアザーズ市一帯にダーイシュ(イスラーム国)が進軍し、イスラーム戦線との戦闘が激化したため、このメンバーは男性に避難するよう促したが、男性は同行を希望したという。

8月14日午後3時頃、マーリア市西部のハウラ・ナフル村で、男性は写真を撮ろうと車を降りたが、同村から約2キロ離れたアルシャーフ村で、ダーイシュ戦闘員に包囲、拘束されたという。

ダーイシュは13日にアフタリーン市などを、14日にはアルシャーフ村、ダービク村一帯を制圧(無血入城)していた(https://syriaarabspring.info/wp/?p=11952)。

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一方、NHK(8月19日付)は、この男性が、トルコのキリス市の国境通行所から(バーブ・サラーマ国境通行所)に入国したと報じた。

AFP, August 18, 2014、al-Hayat, August 19, 2014、NHK, August 18, 2014、August 19, 2014、読売新聞2014年8月18日、19日などをもとに作成。

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