カーター米国務長官は上院軍事委員会で、米軍が軍事教練を行っている「穏健な反体制派」が60人に過ぎないと証言(2015年7月7日)

アシュトン・カーター米国防長官は、ダーイシュ(イスラーム国)掃討作戦に関して、米軍が軍事教練を行っているシリアの「穏健な反体制派」の戦闘員が60人にとどまっていることを明らかにした。

カーター国防長官は、上院軍事委員会の公聴会でこの数に関して「期待していたよりも、はるかに少ない」と述べ、その主因として、軍事教練を受ける戦闘員の身元調査に「厳しい基準」を設けており、時間がかかっていることを挙げた。

また現状において、7,000人が選考課程にあり、「人数の謳歌を期待している」とも付言した。

米国防総省は、トルコ、ヨルダンで2015年にシリアの「穏健な反体制派」戦闘員5,400人に軍事教練を施す予定。

ロイター通信(7月9日付)、AFP(7月9日付)などが伝えた。

AFP, July 8, 2015、AP, July 8, 2015、ARA News, July 8, 2015、Champress, July 8, 2015、al-Hayat, July 9, 2015、Iraqi News, July 8, 2015、Kull-na Shuraka’, July 8, 2015、al-Mada Press, July 8, 2015、Naharnet, July 8, 2015、NNA, July 8, 2015、Reuters, July 8, 2015、SANA, July 8, 2015、UPI, July 8, 2015などをもとに作成。

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アル=カーイダ系組織のヌスラ戦線がイラク人牧師を誘拐(2015年7月7日)

アッシリア人権監視団など、シャームの民のヌスラ戦線は4日、イドリブ県ジスル・シュグール市郊外のヤアクービーヤ村で、イラク人キリスト教牧師ディヤー・アズィーズ氏(41歳)を誘拐した。

同監視団によると、アズィーズ氏はヌスラ戦線のエジプト人司令官の誘いを受け、この司令官と面会した後、消息が途絶え、行方不明となっているという。

AFP, July 7, 2015、AP, July 7, 2015、ARA News, July 7, 2015、Champress, July 7, 2015、al-Hayat, July 8, 2015、Iraqi News, July 7, 2015、Kull-na Shuraka’, July 7, 2015、al-Mada Press, July 7, 2015、Naharnet, July 7, 2015、NNA, July 7, 2015、Reuters, July 7, 2015、SANA, July 7, 2015、UPI, July 7, 2015などをもとに作成。

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アレッポ市西部の科学研究センターでアンサール・シャリーア作戦司令室、アレッポ・ファトフ作戦司令室がシリア軍を撃退する一方、ザフラー協会地区から撤退(2015年7月7日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市西部の科学研究センター施設一帯で、同センター奪還をめざすシリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員からなる特殊部隊が、山地の鷹旅団、ヌールッディーン・ザンキー運動、イスラーム自由運動などからなる武装集団と交戦し、またシリア軍が「樽爆弾」などで同地を空爆・砲撃した。

戦闘はまた、空軍情報部、大使徒モスク、孤児院が隣接するアレッポ市西部のザフラー協会地区でも発生、シリア軍、国防隊が、アンサール・シャリーア作戦司令室、アレッポ・ファトフ作戦司令室と交戦、シリア軍が同地を激しく空爆した。

戦闘は、6日晩に、アンサール・シャリーア作戦司令室、アレッポ・ファトフ作戦司令室を主導するアル=カーイダ系のシャームの民のヌスラ戦線が、孤児院近くで自爆攻撃を行い、シリア軍兵士25人を殺害したことをきっかけに激化、ヌスラ戦線側も19人が死亡したという。

これに関して、ドゥラル・シャーミーヤ(7月7日付)は、アンサール・シャリーア作戦司令室が、ヌスラ戦線の自爆攻撃などを通じた進撃でザフラー協会地区内の複数カ所を占拠したが、シリア軍の激しい砲撃・空爆を受け、同地から拠点から撤退したと伝えた。

クッルナー・シュラカー(7月7日付)によると、自爆攻撃を行ったのは、アブー・ウザーマ・ジャズラーウィーを名乗る戦闘員で、5トンもの爆弾を車に積んで、シリア軍拠点に特攻し、自爆したという。

しかし、これに関して、SANA(7月7日付)は、シリア軍が、大量の爆発物を積んで自爆攻撃を行うため、ザフラー協会地区に進入しようとした車を破壊し、進入を阻止した、と伝えた。


一方、ヌールッディーン・ザンキー運動広報局長のアフマド・ハマーヒル氏はクッルナー・シュラカー(7月7日付)に対し、科学研究センター施設一帯での戦闘でシリア軍がサリン・ガスを装填した「樽爆弾」3発を投下し、施設内にいた「革命家」らが呼吸困難の症状を訴えた、と主張した。

Kull-na Shuraka', July 7, 2015
Kull-na Shuraka’, July 7, 2015

他方、SANA(7月7日付)によると、アレッポ市ラーシディーン地区、ライラムーン地区、ザイディーヤ地区、ブスターン・カスル地区、カーディー・アスカル地区、ジュダイダ地区で、シリア軍が「テロ組織」の拠点を正確に空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、マンスーラ村、バンーン・フッス村、ヒルバト・マアースィル村で反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はさらに、ナイラブ航空基地西部、クワイリス町などを重点的に空爆した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市内で、シリア軍第4師団、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、シャーム自由人イスラーム運動などジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(7月7日付)によると、ザバダーニー市一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、マガル・ミール村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がマダーヤー村を空爆し、子供3人を含む11人が死亡した。

シリア軍はまた、タマーニア町を「樽爆弾」などで空爆した。

一方、SANA(7月7日付)によると、アブー・ズフール航空基地一帯、バシュラームーン村、ジスル・シュグール市、カンスフラ村をシリア軍が空爆し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、ARA News(7月7日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線は、シリア軍、ヒズブッラー戦闘員との戦闘の末にザバダーニー市のジャムイーヤート地区を奪還したと発表した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がヨルダン国境に面するナスィーブ村を空爆し、女性、子供を含む6人が死亡した。

また、ジハード主義武装集団はダルアー市マンシヤ地区でシリア軍戦車を攻撃、同市東部一帯で交戦した。

シリア軍は、ヌアイマ村などに対しても「樽爆弾」で空爆を行った。

一方、SANA(7月7日付)によると、ダルアー市カラク地区など各所、ヌアイマ村、ガラズ刑務所一帯、ナスィーブ村、ウンム・マヤーズィン町、ハッラーブ・シャフム村、アトマーン村、シャイフ・マスキーン市などで、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム・ムサンナー運動の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(7月7日付)によると、マスハラ村、ハミーディーヤ村北部で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、フルカーン旅団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(7月7日付)によると、ダルーシャーン村、ダッラ村、ラビーア町で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(7月7日付)によると、タッルドゥー市、ハウラ地方、ラスタン市、ワアラ村、アブー・ジャリース村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、ヒムス軍団、ファールーク旅団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, July 7, 2015、AP, July 7, 2015、ARA News, July 7, 2015、Champress, July 7, 2015、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2015、al-Hayat, July 8, 2015、Iraqi News, July 7, 2015、Kull-na Shuraka’, July 7, 2015、al-Mada Press, July 7, 2015、Naharnet, July 7, 2015、NNA, July 7, 2015、Reuters, July 7, 2015、SANA, July 7, 2015、UPI, July 7, 2015などをもとに作成。

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有志連合がシリア北部でダーイシュ(イスラーム国)に対して集中的に爆撃を実施し、78人を殲滅(2015年7月7日)

シリア人権監視団は、有志連合が、アレッポ県スィッリーン町一帯からラッカ県アイン・イーサー市を経由し、ハサカ県ハサカ市郊外のアブドゥルアズィーズ山にいたる一帯で進軍を続けるダーイシュ(イスラーム国)に対して集中的な空爆を行い、ダーイシュ戦闘員78人が死亡したと発表した。

また西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊は、有志連合の空爆の援護を受けて、ラッカ県のシャルシャラーク村などアイン・イーサー市郊外の10カ村を制圧した。

人民防衛隊はまた、6日にダーイシュが完全制圧したアイン・イーサー市に再突入し、ダーイシュと交戦し、多数の戦闘員(シリア人権監視団によると、人民防衛隊が収容した戦闘員の遺体数は32体、ダーイシュがラッカ市に搬送した遺体が数十体)を殲滅したという。

しかし、クッルナー・シュラカー(7月7日付)は、ダーイシュのアアマーク通信の情報として、ダーイシュがアブドゥルアズィーズ山一帯での人民防衛隊との戦闘で、複数の検問所など拠点を制圧した、と伝えた。

なお、米中央軍(CENTCOM)は、7月7日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して25回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は11回におよび、ハサカ市近郊(2回)、ラッカ市近郊(1回)、アイン・アラブ市近郊(3回)、タッル・アブヤド市近郊(5回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

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スイスの国営テレビSRFは、元キック・ボクシングの世界王者でアルバニア系ドイツ人のヴァルデト・ガシ氏(29歳)が4日にシリアで死亡したと報じた。

ガシ氏は家族とともにシリアに入り、ジハード主義武装集団に参加していたとされる。

ロイター通信(7月7日付)などが伝えた。

AFP, July 7, 2015、AP, July 7, 2015、ARA News, July 7, 2015、Champress, July 7, 2015、al-Hayat, July 8, 2015、Iraqi News, July 7, 2015、Kull-na Shuraka’, July 7, 2015、al-Mada Press, July 7, 2015、Naharnet, July 7, 2015、NNA, July 7, 2015、Reuters, July 7, 2015、SANA, July 7, 2015、UPI, July 7, 2015などをもとに作成。

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シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の支配下にあるタドムル市を集中的に爆撃(2015年7月7日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がタイフール航空基地にいたる街道のシリア軍検問所を攻撃し、制圧した。

これに対して、シリア軍は、タドムル市およびその周辺のダーイシュ支配地域に対して空爆を行った。

空爆は過去48時間で90回以上に及び、これを受け、数十世帯がタドムル市から避難したという。

また、クッルナー・シュラカー(7月7日付)によると、6日早朝、シリア軍はタドムル市一帯を60回以上にわたって「樽爆弾」で空爆し、25人が負傷したという。

一方、SANA(7月7日付)によると、タドムル市内のダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対してシリア軍が集中的に空爆を行い、ダーイシュ戦闘員35人を殲滅、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がハサカ市南西部でダーイシュ(イスラーム国)と交戦する一方、シリア軍、国防隊も同市西ヌシューワ地区でダーイシュと交戦した。

一方、SANA(7月7日付)によると、シリア軍がシャッダーディー市、アリーシャ町のダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(7月7日付)によると、アレッポ市東部の航空士官学校一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, July 7, 2015、AP, July 7, 2015、ARA News, July 7, 2015、Champress, July 7, 2015、al-Hayat, July 8, 2015、Iraqi News, July 7, 2015、Kull-na Shuraka’, July 7, 2015、al-Mada Press, July 7, 2015、Naharnet, July 7, 2015、NNA, July 7, 2015、Reuters, July 7, 2015、SANA, July 7, 2015、UPI, July 7, 2015などをもとに作成。

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オバマ米大統領、ロシア、GCC首脳と「アサド抜きの包括的なシリア政府」の樹立を検討、ロシア大統領府は「周知の姿勢を確認した」と発表(2015年7月7日)

『ハヤート』(7月8日付)は、バラク・オバマ米大統領がロシアのヴラジミール・プーチン大統領やGCC諸国首脳らと、「アサド抜きの包括的なシリア政府」の樹立に向けて意見を交わしている、と報じた。

しかし、ロシア大統領府(大統領付報道官)は7日、オバマ大統領とシリア情勢をめぐって意見を交わしたことを認めつつ、「ロシアの周知の姿勢が確認された」と述べた。

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バラク・オバマ米大統領は、国防総省での会見でシリア情勢に関して、ダーイシュ(イスラーム国)壊滅に向けてシリアの「穏健な反体制派」への支援を強化すると述べた。

オバマ大統領は、イラク軍・治安部隊への対戦車兵器などの装備供与を行うとの意思を示す一方、シリア情勢については「シリアの「穏健な反体制派」にさらなる教練と支援を行うつもりだということを私のチームに明言したい」と述べた。

しかし、「教練と支援」の具体的な内容について言及しなかった。

ロイター通信(7月7日付)などが伝えた。

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一方、在アンカラ米大使館は7日、ダーイシュ(イスラーム国)殲滅に向けた有志連合を指揮するジョン・アレン退役大将がトルコの首都アンカラで、シリアでのダーイシュへの対応を協議するため、トルコ政府高官と会談したと発表した。

ARA News(7月7日付)が伝えた。

『ハヤート』(7月9日付)によると、会談では、シリアからの避難民流入を抑止するための「安全保障地域」の設置について議論が集中したという。

AFP, July 7, 2015、AP, July 7, 2015、ARA News, July 7, 2015、Champress, July 7, 2015、al-Hayat, July 8, 2015、July 9, 2015、Iraqi News, July 7, 2015、Kull-na Shuraka’, July 7, 2015、al-Mada Press, July 7, 2015、Naharnet, July 7, 2015、NNA, July 7, 2015、Reuters, July 7, 2015、SANA, July 7, 2015、UPI, July 7, 2015などをもとに作成。

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