民主的変革諸勢力国民調整委員会「シリア国民連合とはブリュッセルで合意に達していない」(2015年7月29日)

民主的変革諸勢力国民調整委員会(執行委員会)は声明を出し、ベルギーのブリュッセルで先週行われたシリア革命反体制勢力国民連立代表との会合で「シリア救済のための行程表」に関して合意は成立していないと発表し、6月にエジプトで開催された「第2回カイロ大会」と、そこで採択された「民主的シリアのための交渉による政治的解決への行程表」を堅持するとの意思を表明した。

声明ではまた、ブリュッセルの会合への委員会メンバーにかかる規則違反を特定するための委員会を設置すると付言した。

複数の消息筋によると、エジプト政府が民主的変革諸勢力国民調整委員会に対して、ブリュッセルの会合に参加しないよう、強い圧力があったという。

AFP, August 1, 2015、AP, August 1, 2015、ARA News, August 1, 2015、Champress, August 1, 2015、al-Hayat, August 2, 2015、Iraqi News, August 1, 2015、Kull-na Shuraka’, August 1, 2015、al-Mada Press, August 1, 2015、Naharnet, August 1, 2015、NNA, August 1, 2015、Reuters, August 1, 2015、SANA, August 1, 2015、UPI, August 1, 2015などをもとに作成。

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イスラエル軍機偵察機がシリア領内(クナイトラ県)で車輌とPFLP-GC拠点を爆撃し、ヒズブッラー・メンバーら5人が死亡(2015年7月29日)

クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、ゴラン高原のハドル村で、イスラエル軍機がヒズブッラー・メンバーと地元の人民諸委員会メンバーが乗った車を空爆し、ヒズブッラー・メンバー3人と人民諸委員会メンバー2人が死亡した。

マナール・チャンネル(7月29日付)は、この空爆に関して、イスラエル軍偵察機がハドル村入口で車を攻撃し、国防諸委員会(人民諸委員会)のメンバー2人が死亡したと伝えた。

ハドル村は、ゴラン高原の兵力引き離し線上、クナイトラ市の北約10キロに位置する村で、ドゥルーズ派が多く暮らしている。

イスラエル軍報道官はこの攻撃に関するコメントを今のところ差し控えている。

一方、シリア・アラブ・テレビ(7月29日付)は、軍消息筋の話として、イスラエル軍機が、シリア・レバノン国境地帯にあるPFLP-GC(パレスチナ人民解放戦線総司令部派)の拠点の一つを空爆した、と伝えた。

また、SANA(7月29日付)は、シャームの民のヌスラ戦線などのタクフィール主義組織へ支援の一環として、イスラエル軍機がハドル村近郊で自動車1台とシリア・レバノン国境地帯のPFLP-GC拠点を空爆したと伝えた。

SANAによると、ハドル村近郊への空爆は午前10時45分頃に行われ、シリア軍とともにヌスラ戦線と対決してきたハドル村住民3人が死亡し、またPFLP-GC拠点に対する空爆は、午後3時15分頃に行われ、PFLP-GCメンバー6人が負傷したという。

SANA, July 29, 2015
SANA, July 29, 2015

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シリア人権監視団によると、イスラエル軍による攻撃の直後、ハドル村近郊のハムリーヤ丘一帯で、シリア軍、国防隊が、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(7月29日付)によると、ジャバーター・ハシャブ村、ハミーディーヤ村などで、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, July 29, 2015、AP, July 29, 2015、ARA News, July 29, 2015、Champress, July 29, 2015、al-Hayat, July 30, 2015、Iraqi News, July 29, 2015、Kull-na Shuraka’, July 29, 2015、al-Mada Press, July 29, 2015、Naharnet, July 29, 2015、NNA, July 29, 2015、Qanat al-Manar, July 28, 2015、Reuters, July 29, 2015、SANA, July 29, 2015、UPI, July 29, 2015などをもとに作成。

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イドリブ県、ハマー県北部でシリア軍とファトフ軍の攻防続く(2015年7月29日)

イドリブ県では、クッルナー・シュラカー(7月29日付)によると、フーア市の国防隊が、フーア市とビンニシュ市間のファトフ軍支配地域に侵攻を試みたが、ファトフ軍がこれを撃退した。

一方、SANA(7月29日付)によると、シリア軍がタッル・ワースィト村、ヒルバト・ナークース村、マンスーラ村などを空爆、ファトフ軍と交戦し、同地を制圧した。

シリア軍はまたザーウィヤ山からガーブ平原にいたる反体制武装集団の兵站路上に位置するダイル丘、バクリー丘を制圧した。

このほか、シリア軍はダブシーヤ村、フライジャート村、ウンム・ジャリーン村、タッル・サラムー村、ハシール北部、ハミーディーヤ村、マルジュ・アフダル村、サルマーニーヤ村、ムシャイリファ村、アアワル丘、フライカ村、カンスフラ村、ジューズィーフ村、バズィート村、ラッジュ村、カストゥーン村、シャーグーリート村、ハーン・シャイフーン市、ハウワーシュ村を空爆し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(7月29日付)によると、ファトフ軍がスカイラビーヤ市を砲撃した。

これに対して、シリア軍ヘリコプターがカルアト・マディーク町に「樽爆弾」、さらには機雷16発を投下、これにより1人が死亡した。

一方、SANA(7月29日付)によると、シリア軍がカルアト・マディーク町で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、マラーナ村、カーヒラ村、アミーカ村、バーブ・ターカ村を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、『ハヤート』(7月30日付)によると、アブー・アマーラ特殊任務大隊がアレッポ大学理学部数学長のムハンマド・ジャマール・ハマンドゥーシュ博士を暗殺した。

ハマンドゥーシュ博士はバアス党シリア地域指導部メンバーで、アレッポ市治安組織のメンバーだったという。

一方、SANA(7月29日付)によると、アレッポ市旧市街、ライラムーン地区、シャッアール地区、バニー・ザイド地区、ハーリディーヤ地区、ラーシディーン地区、スッカリー地区、シャイフ・サイード地区、シャイフ・ルトフィー村、バーシュカウィー村、ハーン・トゥーマーン村、マンスーラ村、フライターン市、アナダーン市、ヌッブル市およびザフラー町一帯、ナイラブ村近郊で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(7月29日付)によると、ザバダーニー市南部のバラダー街道一帯、北部のカルアト・ザフラー一帯で、シリア軍がレバノンのレジスタンス(ヒズブッラー戦闘員)とともに反体制武装集団と交戦し、戦闘員30人を殲滅した。

また東グータ地方では、アルバイン市、ハムーリーヤ市で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(7月29日付)によると、アイン・フサイン村、ヒムス市ワアル地区で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、ファールーク大隊の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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NNA(7月29日付)によると、レバノンのベカーア県バアルベック郡ラブワ村のアイン・シャアブ検問所で、レバノン軍情報局がシリア軍離反兵10人を拘束した。

AFP, July 29, 2015、AP, July 29, 2015、ARA News, July 29, 2015、Champress, July 29, 2015、al-Hayat, July 30, 2015、Iraqi News, July 29, 2015、Kull-na Shuraka’, July 29, 2015、al-Mada Press, July 29, 2015、Naharnet, July 29, 2015、NNA, July 29, 2015、Reuters, July 29, 2015、SANA, July 29, 2015、UPI, July 29, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ(イスラーム国)は、アレッポ県北部でヌスラ戦線拠点などを自爆攻撃(2015年7月29日)

アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(7月29日付)によると、マーリア市で、自爆ベルトを着用したダーイシュ(イスラーム国)のメンバー2人が自爆し、反体制武装集団戦闘員3人が死亡した。

自爆現場はマーリア市の「市民防衛センター」近くでだったという。

またARA News(7月29日付)によると、イスラーム国は、マンナグ航空基地に近いマーリキーヤ村にあるシャームの民のヌスラ戦線の拠点の一つを爆弾を積んだ車で攻撃し、ヌスラ戦線戦闘員6人が死亡、9人が負傷した。

ダーイシュとヌスラ戦線はまた、ウンム・フーシュ村、スーラーン・アアザーズ町などで交戦したという。

一方、SANA(7月29日付)によると、アレッポ市東部の航空士官学校一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)やシャームの民のヌスラ戦線が占拠を続けるヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ一帯をシリア軍が砲撃した。

一方、アンサール・イスラーム戦線報道官を名乗る活動家が、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ一帯で、同戦線およびパレスチナ・ムジャーヒディーン大隊がPFLP-GCと激しく交戦し、PFLP-GCの拠点などがあるキャンプに隣接するタダームン区のビル複数棟を制圧したと発表した。

クッルナー・シュラカー(7月31日付)が伝えた。

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ハサカ県では、ARA News(7月29日付)によると、シリア軍、国防隊がハサカ市南部のパノラマ交差点一帯、経済学部、土木工学一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)との戦闘を続けた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(7月29日付)によると、ブカイン村近郊で、ダーイシュ(イスラーム国)を名乗る武装集団のメンバー、ムアーッズ・アブダ氏をシリア軍が殺害した。

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ヒムス県では、SANA(7月29日付)によると、タドムル市郊外のワーディー・アブヤド・ダム一帯、ジャズル・ガス採掘所一帯、タドムル市および北部郊外、ムーザ城一帯、ワーディー・マースィクで、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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米中央軍(CENTCOM)は、7月29日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して31回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は9回におよび、ハサカ市近郊(8回)、ラッカ市近郊(1回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, July 29, 2015、AP, July 29, 2015、ARA News, July 29, 2015、Champress, July 29, 2015、al-Hayat, July 30, 2015、Iraqi News, July 29, 2015、Kull-na Shuraka’, July 29, 2015、July 31, 2015、al-Mada Press, July 29, 2015、Naharnet, July 29, 2015、NNA, July 29, 2015、Reuters, July 29, 2015、SANA, July 29, 2015、UPI, July 29, 2015などをもとに作成。

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デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表がジュネーブ合意履行に向けた「作業委員会」設置を提唱(2015年7月29日)

スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表は、ニューヨークでの国連安保理会合で、シリア政府と反体制派の和平会議「ジュネーブ3」開催に向けた準備の進捗を報告した。

このなかで、デミストゥラ共同特別代表は、シリア人および諸外国の当事者約300人と面談し、「ダーイシュ(イスラーム国)やシャームの民のヌスラ戦線の支配の拡大、シリア分裂への懸念増大、過激派や宗派主義への懸念増大を踏まえたかたちで、危機の深刻さへの共通の新式が生じているとの結論に達した」としたうえで、ジュネーブ合意(2012年6月)履行に向けた新たな「作業委員会」の設置を提唱した。

この「作業委員会」は、包囲解除、医療物資の配給、逮捕者釈放などを通じた治安・安全の確保、移行期統治機関の設置や選挙実施など治安・憲政上の問題への対処、テロとの戦い、停戦、武装勢力の統廃合など軍事・治安上の問題への対処などを目的とし、ジュネーブ合意履行に向けた枠組み合意文書の策定をめざすものだという。

『ハヤート』(7月30日付)が伝えた。

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なお、『ハヤート』(7月31日付)によると、安保理会合では、ロシアと米国が、シリア紛争の政治的解決や「テロとの戦い」をめぐって歩み寄りが感じられるとともに、スペイン、ニュージーランドといった国から、サウジアラビア、イラン、トルコといった国を紛争解決に向けて直接関与させるべきだとの主張が見られたという。

西側外交筋によると、サマンサ・パワー米国連代表大使は、「新たな政府」を樹立する必要を強調したもの、「アサド政権は正統性を失った」といった表現は避けていたようだという。

AFP, July 29, 2015、AP, July 29, 2015、ARA News, July 29, 2015、Champress, July 29, 2015、al-Hayat, July 30, 2015、July 31, 2015、Iraqi News, July 29, 2015、Kull-na Shuraka’, July 29, 2015、al-Mada Press, July 29, 2015、Naharnet, July 29, 2015、NNA, July 29, 2015、Reuters, July 29, 2015、SANA, July 29, 2015、UPI, July 29, 2015などをもとに作成。

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米軍主導の有志連合がイドリブ県各所でヌスラ戦線車輌、拠点を爆撃し、メンバー4人に加えて、子供2人を含む住民4人が死亡(2015年7月29日)

イドリブ県では、ムハンマド・サッルームを名乗るイドリブ市の活動家がARA News(7月29日付)に明らかにしたところによると、有志連合の戦闘機が、サルキーン市郊外のカフルヒンド村でシャームの民のヌスラ戦線の車を空爆し、近くのガソリン・スタンドが爆発、乗っていたヌスラ戦線メンバー4人に加えて、子供2人を含む住民4人が死亡した。

この活動家によると、有志連合はまた、アブー・タルハ村やイドリブ市ジャムイーヤート地区のヌスラ戦線拠点に対しても空爆を行ったという。

AFP, July 29, 2015、AP, July 29, 2015、ARA News, July 29, 2015、Champress, July 29, 2015、al-Hayat, July 30, 2015、Iraqi News, July 29, 2015、Kull-na Shuraka’, July 29, 2015、al-Mada Press, July 29, 2015、Naharnet, July 29, 2015、NNA, July 29, 2015、Reuters, July 29, 2015、SANA, July 29, 2015、UPI, July 29, 2015などをもとに作成。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のアブドゥルアズィーム代表「シリア北部に緩衝地帯を設置しようとするトルコ政府のいかなる試みも拒否する」(2015年7月29日)

シリア国内で活動する反体制組織の民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表は、イラク北部およびシリア北部に対するトルコの空爆に関して親政府系日刊紙『ワタン』(7月29日付)に対して、西クルディスタン移行期民政局とともに、シリア北部に緩衝地帯を設置しようとするトルコ政府のいかなる試みも拒否すると述べた。

アブドゥルアズィーム代表は「我々は、民主的自治勢力(西クルディスタン移行期民政局のこと)における我らが同胞や同盟者、人民防衛隊と連帯し、ダーイシュ(イスラーム国)によるものであれ、トルコ軍によるものであれ、彼らへの攻撃を非難する」としたうえで、「トルコ軍の空爆をダーイシュ、そして蛮行を続けるその姉妹組織に向けることを支持する」と訴えた。

また「委員会は、シリア領内に緩衝地帯を設置しようとするトルコの試みに与せず、クルド人に対するものであれ、北部地域の住民に対するものであれ、あらゆる攻撃を非難し、外国の軍事介入を実質的にもたらす飛行禁止空域の設置も拒否する」と強調した。

そのうえで「シリアを殺戮、破壊、国内外への避難から救済すべく、今年中にジュネーブ3大会を開催する必要がある」と述べた。

AFP, July 29, 2015、AP, July 29, 2015、ARA News, July 29, 2015、Champress, July 29, 2015、al-Hayat, July 30, 2015、Iraqi News, July 29, 2015、Kull-na Shuraka’, July 29, 2015、al-Mada Press, July 29, 2015、Naharnet, July 29, 2015、NNA, July 29, 2015、Reuters, July 29, 2015、SANA, July 29, 2015、UPI, July 29, 2015、al-Watan , July 29, 2015などをもとに作成。

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シリア外務省は国連宛書簡で「シリア人の犠牲と苦しみの直接の責任は、テロを支援するトルコ政府にある」と訴える(2015年7月29日)

外務在外居住者省は国連事務総長および安保理議長に宛てて書簡を送り、そのなかでイラク北部およびシリア北部に対するトルコの空爆に関して、シリア人の犠牲と苦しみの直接の責任は、テロを支援するトルコ政府にあると訴え、国連に対して責任をもって「テロとの戦い」に関する諸決議を実施し、テロ支援国の行動を抑止するための措置を講じるよう求めた。

書簡のなかで、外務在外居住者省は「4年半におよぶシリアの危機において、トルコはテロリストへの支援を通じたシリアへの陰謀を止まることなく行ってきた。テロリストは100以上の国からトルコ領を経由し、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動など、アル=カーイダとつながりのある組織に加わっている」と非難、「トルコや近隣諸国が、関連する安保理決議を履行していれば、シリアに危機をもたらしている要因の70%は解決する」と主張した。

AFP, July 29, 2015、AP, July 29, 2015、ARA News, July 29, 2015、Champress, July 29, 2015、al-Hayat, July 30, 2015、Iraqi News, July 29, 2015、Kull-na Shuraka’, July 29, 2015、al-Mada Press, July 29, 2015、Naharnet, July 29, 2015、NNA, July 29, 2015、Reuters, July 29, 2015、SANA, July 29, 2015、UPI, July 29, 2015などをもとに作成。

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エジプト外務省がトルコによるイラク、シリアへの爆撃を暗に批判(2015年7月29日)

エジプト外務省報道官は声明を発表し、イラク北部のPKK(クルディスタン労働者党)拠点やシリア北部への空爆に関して、「シリア国内でのテロ組織に対する戦いを支持する」としつつ、「本件に関して、国際法の基本原則や決定が伴われる」べきと表明し、トルコの独断的な軍事介入を暗に批判した。

『ハヤート』(7月30日付)が伝えた。

AFP, July 29, 2015、AP, July 29, 2015、ARA News, July 29, 2015、Champress, July 29, 2015、al-Hayat, July 30, 2015、Iraqi News, July 29, 2015、Kull-na Shuraka’, July 29, 2015、al-Mada Press, July 29, 2015、Naharnet, July 29, 2015、NNA, July 29, 2015、Reuters, July 29, 2015、SANA, July 29, 2015、UPI, July 29, 2015などをもとに作成。

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トルコ軍はイラク北部のPKK拠点などに「最大規模の爆撃」を行う一方、シリア北部のダーイシュ(イスラーム国)攻撃は後退(2015年7月29日)

ロイター通信(7月29日付)は、トルコ軍はシリア北部およびイラク北部への空爆を開始して以降最大規模となる空爆をイラク北部に対して行ったと伝えた。

空爆は、イラク北部の6カ所におよび、クルディスタン労働者党(PKK)の避難施設、倉庫などを標的とした。

これに関して、『ハヤート』(7月30日付)は「トルコはPKKに空爆を集中させ、ダーイシュ(イスラーム)への攻撃は減退」との見出しを掲げ、批判的に報じた。

AFP, July 29, 2015、AP, July 29, 2015、ARA News, July 29, 2015、Champress, July 29, 2015、al-Hayat, July 30, 2015、Iraqi News, July 29, 2015、Kull-na Shuraka’, July 29, 2015、al-Mada Press, July 29, 2015、Naharnet, July 29, 2015、NNA, July 29, 2015、Reuters, July 29, 2015、SANA, July 29, 2015、UPI, July 29, 2015などをもとに作成。

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サーリフ・ムスリム民主統一党(PYD)党首が『ハヤート』の単独インタビューに応じる「ダーイシュ(イスラーム国)は、他の誰かが目的を実現するために利用している破壊の道具だ」(2015年7月25~28日)

『ハヤート』は、7月25から28日までの4日間にわたり、西クルディスタン移行期民政局を主導するクルド民族主義政党「民主統一党」(PYD)のサーリフ・ムスリム共同党首に行った独占インタビューを連載した。

インタビューにおけるムスリム共同党首の主な発言は以下の通り:

al-Hayat, July 25, 2015
al-Hayat, July 25, 2015

7月25日付

「我々は、ダーイシュ(イスラーム国)が、他の誰かが目的を実現するための破壊活動に利用している道具そのものだと考えている…。ダーイシュのやり方は、イスラーム教にもカリフ制にも寄与しない。ダーイシュをはじめとする組織は、現状を破壊し、別の何かを作ろうとする計画の一部をなしている…。我々の経験から明らかなのは、ダーイシュが一日たりとも、一つの頭、一つの体の組織であったことはない、ということだ。クルド人に対抗するために利用されているダーイシュは当然、クルド時の敵がそれを動かしている。つまり、クルド人を根絶し…、クルド人が暮らす地域の人口動態を変更しようとしている者たちがである」。

「ダーイシュを指導、支援している主要な当事者とは以下の二つである。第1にクルド人地域の人口動態を変更し、クルド人を根絶しようとしている当事者、第2にシリアのクルド人地域で民主的に問題が解決することを恐れている当事者」。

「我々はこの問題(トルコとダーイシュの関係)に大いなる疑いを抱いている。(トルコがダーイシュを操っていることについて)多くの証拠もある。とりわけ、コバネ(アイン・アラブ)市へのダーイシュの攻撃に関して、国境監視を通じて、トルコ国境を渡ってダーイシュに参加した者がいるという証拠が出ている。トルコ軍とダーイシュが国境地帯で会合を持っていたという証拠もある…。タッル・アブヤド地域はトルコとラッカのダーイシュを結ぶ主要な通行所となっている」。

「正規軍(シリア軍、イラク軍)はダーイシュと戦うことができない。正規軍はラッカ、アイン・イーサー、そしてハサカでダーイシュに敗北してきた…。これに対して、人民防衛隊(YPG)は、イデオロギーや戦闘経験、そして士気といった点で、ダーイシュをしのぐ戦術を持っている…。シリア軍は恥ずべき状態だ…。ハサカ周辺の戦略的要衝を維持することもできなかった。もちろん、シリア軍には空軍や重火器があるが…、多くの場合、ダーイシュの攻撃には持ちこたえられない」。

「シリア軍との間で調整はなされていない…。時には交戦があり、犠牲者は出るが…、シリア軍はクルド人部隊を標的とはしない…。我々が一つの敵と戦っているのは事実だが、我々の存在、権利を未だに承認しようとしないシリア政府と一致協力することはあり得ない」。

「シリア軍の一部がダーイシュに武器を供与していることは疑う余地がない…。士官が関与しているかどうかは分からないが、ダーイシュの手に武器が渡るようにしている者がいる…。こうしたことが行われていなければ、なぜダーイシュはこれほどの武器を手にできようか」。

「トルコは、コバネが陥落するだろうと考えていた…。レジェップ・タイイップ・エルドアン首相(当時)は、「今日コバネが陥落しないとしても、明日陥落するだろう」とさえ言っていた…。彼らは…クルド人地域の人口動態を変更したいと思っているのだと思う。コバネはシリア国内のクルド人地域の中枢だからだ」。

「(コバネでの戦いにおいて)自由シリア軍は、ユーフラテス火山作戦司令室、ラッカ革命家戦線、北の太陽大隊などがいた。彼らはYPGとともに戦う小規模な部隊だった」。

「(西クルディスタン移行期文民局に関して)我々は、ジャズィーラ地区、コバネ、アフリーン地区という三つの地区を「強制的」に発足すると宣言した。なぜ「強制的」なのか?… それは、シリア情勢がどこに向かうかのイメージが存在しなかったからだ…。我々は住民が決め、合意することを尊重したい…。彼らが統合したいと決めれば、彼らの希望を尊重したい」。

「(YPGによる)民族浄化などまったく存在しない…。シリア革命反体制勢力国民連立はダーイシュを支持していた。この組織はダーイシュがどこかで敗北する度に、ダーイシュよりも前に悲鳴を上げてきた…。(民族浄化を調査するために)シリア革命反体制勢力国民連立が設置した委員会は、現地を訪問する前に民族浄化についての声明や非難を発表している…。エルドアンが疑いをかけた数時間後に、彼らが疑いかけてくる…。連立はイスタンブールにとどまっている限り、自由な見解を持つことはないだろう」。

「YPGの隊員の数は約5万人いる…。アサーイシュは数千人いる…。外国人隊員の存在はシンボリックなものに過ぎない」。

7月26日付

「YPGについて言うと、彼らは数ヶ月にわたって訓練を受け、自らの生活を自衛活動と結びつけているプロである。彼らは志願して隊員となっている。徴兵されている者もいるが、そうした者はYPGには所属せず、「自衛隊」と呼ばれている。すべての世帯から、1人が徴兵され、6ヶ月間教練を受け、武器を与えられ、その後、自分たちの村が攻撃に曝された場合に、村を守るため、家に戻されているのが「自衛隊」である。

「問題は、ダーイシュが自爆を選択しているということではない。問題は、彼らが近代的な兵器で攻撃するようになったということだ。彼らは近代的な兵器を持ってはいるが、遅れた知能ゆえに、何をするかの予測が困難なのだ…。剣で戦っていたような者が、知的・人間的な発展を身を委ねないままに、戦車、TOWミサイルで戦っている」。

「過激なイスラーム主義者が釈放されたため、ダーイシュは拡大したのだろう。シリアのムハーバラートがこれら過激派…とともに工作員を送り込み、ダーイシュを作り出したことは疑う余地がない。ムハーバラートはこうした活動の経験を持っているからだ…。ダーイシュ、そしてその姉妹組織もそうだ。シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、タウヒード旅団もある…。シリアの工作機関がおそらく危険なゲームをしているのだ」。

「ダーイシュは一つの頭、一つの体を持つだけの組織ではないと思っている。例えば、クルド人を攻撃するダーイシュは、トルコの当事者と関係がある」。

「シリアが前の時代、つまり、一党支配、一民族…の支配に戻るとは思っていない…。我々は、民主的で分権的なシリアのために努力している…。ドゥルーズ派、アラウィー派、イスマーイーリー派、トルクメン、キリスト教徒…、これらすべての集団が自分たちで表現すべきだ」。

「一国民の運命を一個人(アサド大統領)の運命と結びつけることは完全に間違っている。この人物(アサド大統領)は、解決策を生み出す移行期のなかで周縁に追いやることができる。シリア革命反体制勢力国民連立は2011年に、アサド大臣を条件とした。これは解決を望んでいないことを実質的に意味する。我々はカイロでの会合で反体制派に、大統領を6ヶ月間残留させたかたちでの移行期を6ヶ月設けるとの文言を提案した。しかし、一部の反体制派がこれを拒否した。勢力バランス、解決策の実行可能性を踏まえて現実的に対処しなければならない」。

「こんな状況が起きてしまった今となっては、アサドがシリアの未来を担うとは思っていない。しかしこうしたことを決める権利は国民にあると言わせて欲しい。個人的にはアサドが残留することは不可能だと思っている。シリア国民がそれを受け入れるとは思っていない。あるいは、彼が残留することで戦争が終わるとは思っていない」。

「(もしシリア軍が)新たなメンタリティと新たな条件をもって(クルド人地域に)戻ってきたら、なぜそれを拒否するのか? YPGはシリア軍の一部だ。しかし、軍がバアス主義的、ムハーバラート的なメンタリティのまま戻ってきたら、決して受け入れることはできない」。

「シリア・アラブ共和国は我々にこれほどまでの苦難を与えてしまった。すべての社会成員を包摂するようなシリア民主共和国を試してみたい」。

(クルディスタン労働者党(PKK)に所属していたか、との問いに対して)「私は支持者のままだった…。しかし、イデオロギー的な面でPKKの影響はもちろん受けている。世界が変わったということは留意すべきだが、我々は社会民主主義を主唱している。我々は民主主義の欠如が社会主義陣営衰退の原因の一つだと考えている」。

7月27日付

(欧米諸国の支援はあるか、との問いに対して)「直接支援はない。しかし、欧州のNGOが我々を支援してくれている。多くの場合、それは人道支援だ…。武器はブラック・マーケット、そしてクルド組織、ペシュメルガ、PKKから手に入れている」。

「我々は、トルコの当局がダーイシュと協力し合っていると思っている…。トルコとダーイシュの関係は一貫して曖昧なものだ…。一方、シリア政府は、我々がダーイシュの攻撃に曝されていても、介入しないことがある…。シリア政府はおそらく目を反らしているのであろう。しかし、シリア政府に正統性があるのなら、市民を守らねばならないはずだ…。私はこの点が重要だと思っている。なぜなら、我々は、シリア政府が市民を守ることができないのなら、正統性はないと考えているからだ…。私はシリア政府が正統性を失っていると思っている。政府は我々のために何も守ってはくれなかったし、何もしてくれなかった」。

「シリア政府との間に政治的な関係は皆無だ」。

「我々は分離を主唱しているのではない。我々がシリア政府と戦ったとしても、分離はしない…。我々は国民の利益を考えており、国民のためになることを実践する。我々は自分たちの考え、データに基づいて行動するのであって、他人から命令を受けることはない」。

「トルコは、自国の隣に民主的なシリアが成立することを望んでいない。トルコはまた、シリアのすべての社会集団が民主主義を享受することを望んでいない。だから、自らの利益に従って指示を下すため、これらの反体制派(シリア革命反体制勢力国民連立)を保護したのだ…。陰謀はシリア革命当初、すなわち2011年6月のアンタルヤでの会合以来存在していた…。トルコは民主的体制がシリアに広まることを恐れている…。それは、クルド人、シリア正教徒、アラウィー派…、ドゥルーズ派、キリスト教徒…が民主的権利を得ること、そしてこれらの宗派が自由になること…を意味するが…、トルコでは、シリア正教徒、アルメニア教徒…、クルド人…の文化が禁止され、権利が禁止されている」。

「トルコは、ダーイシュをシリア、さらには地域全体で破壊のための道具として利用し、破壊後に自分たちが作りたい者を作ろうとしている。ただ、ダーイシュを作り出し、その活動に影響力を行使している当事者は一つだけではない…。シリア政府とダーイシュとの関係は曖昧だが、ダーイシュの活動の一部がシリア政府に資していることだけは疑う余地はない…。例えば…ダーイシュとその姉妹組織との紛争がそうだ」。

「シリア革命反体制勢力国民連立の一部がダーイシュを支援していることは明らかだ。クルド人と戦うダーイシュは、連立の一部から全面支援を受けている」。

(自由シリア軍が終わったと思うか、との問いに対して)「いいえ、自由シリア軍は存在する。しかし、非常に弱小だ。彼らはもともとは、国民のために民主主義、世俗主義、自由をめざす離反兵からなっていた。しかし、現地でこのような勢力はあまりいない。小規模な部隊、グループの一部が我々と共闘しており、我々は彼らと調整の用意がある…。自由シリア軍が皿フィー主義者、ヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などになることはあり得ない。自由シリア軍はこうしたサラフィー・ジハード主義イデオロギーを遠ざけている諸部隊だ」。

(イスラーム教スンナ派のアラブ人との間に問題はあるか、との問いに対して)「我々は誰との間にも問題は抱えていない。宗教を政治に利用するすることを遠ざければ、すべての問題は解決する」。

7月28日付

「イランのクルド人は抑圧されており…、自らの伝統、文化を自由に実践できない。彼らの政治的関係も抑圧されている…。もし問題が民主的に解決されなければ、事態は暴発するだろう…。トルコでも問題は同じだ」。

(これまで暗殺未遂に遭ったことはあるか、との問いに対して)「いいえ。なぜなら私は貧乏人なので、暗殺される理由などないです…。しかし犠牲になってきた国民が、シリアにおいて役割を演じているのです」。

「私の息子のシャルファー(アラビア語で戦闘員の意味)は、コバネで戦死した。彼はYPGに従軍しており、狙撃手としての訓練を受け、コバネで活躍していた。10月9日に、狙撃され22歳で戦死した…。私には息子が4人、娘1が人いる。今は息子3人と娘1人です」。

(シリア国内に行くことはあるのか、との問いに対して)「もちろんです。1ヶ月前もそこにいました…。私はトルコには正式に招聘されなければ行きません。私は通常はイラク・クルディスタン地域を経由してシリアに入ります」。

「バアス党にすべての責任がある。バアス党に、シリア、イラク、そして中東全体の破壊の責任がある…。私は誇張して言っているのではない…。アラブ世界におけるバアス党の実験は悲劇だ…。バアス党にはまた、ダーイシュのような潮流が出現したことの責任がある。ダーイシュとは過激な宗教思想と民族主義的ショービニズムの結節点だ。その証拠にサッダーム・フセインの軍の士官らがダーイシュにおいて指導的な地位を占めている。サッダームの士官少なくとも80人がダーイシュの戦闘に参加していると聞いたことがある…。シリアでは…、バアス党は国を刑務所にしてしまった。国をスローガンやムハーバラートの力で運営した。バアス党は国家という考え方を破壊し、社会的な調和を破壊した」。

(2012年6月のジュネーブ合意が問題解決の基礎をなすか、との問いに対して)「はい、問題はジュネーブ合意に基づいて解決され得る」。

「ロシアは政治的解決を呼びかけるその言葉を何ら変えてはおらず、そのなかでクルド人の権利を保障するように言っている。しかし、政権はロシアの忠告に耳を貸さず、その手法を変えることなく、力に頼ろうとした」。

「イランを訪問して、イラン外務省の高官とあったが、我々を政権側につかせようとしていることは、彼らの話から明らかに思えた…。しかしこれは無理だ。我々を承認しない政権をなぜ支持できるのか?」

al-Hayat, July 26, 2015、July 27, 2015、July 28, 2015、July 29, 2015をもとに作成。

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