米中央軍(CENTCOM)は、4月19日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して24回の空爆を行ったと発表した。
このうちシリア領内での空爆は3回で、マンビジュ市近郊(1回)、マーリア市近郊(2回)に対して攻撃が行われた。
CENTCOM, April 20, 2016などをもとに作成。
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Detail Report on the Arab Spring in Syria: Latest Situation in Syria / アラビア語の新聞、通信社、ウェブサイトなどを通じて収集した情報をもとに、シリア情勢をより網羅的に把握・紹介することをめざします。
スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表は、スイスの首都ジュネーブで、シリア女性評議会の代表と会談、また「モスクワ・リスト」、「カイロ合意グループ」、「フマイミーム・グループ」(ラタキア県フマイミーム航空基地に駐留するロシア空軍を訪問したシリア国内の反体制派・野党の代表者)と会談した。
AFP, April 20, 2016、AP, April 20, 2016、ARA News, April 20, 2016、Champress, April 20, 2016、al-Hayat, April 21, 2016、Iraqi News, April 20, 2016、Kull-na Shuraka’, April 20, 2016、al-Mada Press, April 20, 2016、Naharnet, April 20, 2016、NNA, April 20, 2016、Reuters, April 20, 2016、SANA, April 20, 2016、UPI, April 20, 2016などをもとに作成。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がヤルムーク区(パレスチナ難民キャンプ)内の第15通りなどを制圧したことを受け、シリア軍が迫撃砲などで攻撃を加え、ダーイシュと交戦した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、サフム・ジャウラーン・ダム、カウカブ・ダム、アッラーン村、アイン・ズィクル村一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団が、シャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。
クッルナー・シュラカー(4月19日付)によると、この戦闘でヌスラ戦線側は、サフム・ジャウラーン・ダム、アッラーン村検問所などを制圧したという。
AFP, April 19, 2016、AP, April 19, 2016、ARA News, April 19, 2016、Champress, April 19, 2016、al-Hayat, April 20, 2016、Iraqi News, April 19, 2016、Kull-na Shuraka’, April 19, 2016、al-Mada Press, April 19, 2016、Naharnet, April 19, 2016、NNA, April 19, 2016、Reuters, April 19, 2016、SANA, April 19, 2016、UPI, April 19, 2016などをもとに作成。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)が19日未明にダーイシュ(イスラーム国)の拠点都市の一つバーブ市各所を空爆した。
一方、ダーイシュが撃ったと思われる迫撃砲弾3発がトルコ領内のキリス市に着弾し、複数人が負傷した。
他方、SANA(4月19日付)によると、シリア軍がマンビジュ市近郊のマフドゥーム村、アアブド村、ダイル・カーク村、マドユーナ村、アブー・タルタル村でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃、破壊した。
シリア軍はまた、アレッポ市東部のダイル・ハーフィル市にあるダーイシュ拠点に対して特殊作戦を行った。
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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がダーイシュ(イスラーム国)の中心都市ラッカ市各所を空爆した。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市工業地区でシリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦、シリア軍が同地のほか、ラシュディーヤ地区、ハウィーカ地区を空爆した。
また航空機(所属明示せず)がシリア政府の支配下にとどまる第137連隊基地に近い山岳地帯などに支援物資20コンテナをパラシュートで投下した。
一方、SANA(4月19日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市工業地区、フワイジャト・サクル、ブガイリーヤ村でダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆した。
他方、ARA News(4月19日付)によると、有志連合がダイル・ザウル市東部郊外(イラク国境地帯)に対して空爆を実施した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、タドムル市近郊のマザール山一帯でシリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。
一方、SANA(4月19日付)によると、シリア軍と「支援部隊」がダーイシュ(イスラーム国)との交戦の末、タドムル市北方のマザール山西部に位置する第806.5地点を制圧した。
シリア軍はまた、シャンダーヒーヤ村、サワーナ町一帯のダーイシュ拠点を空爆した。
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スワイダー県では、SANA(4月19日付)によると、シリア軍がアシュハイブ丘一帯でダーイシュ8イスラーム国)を攻撃し、戦闘員10人を殲滅した。
AFP, April 19, 2016、AP, April 19, 2016、ARA News, April 19, 2016、Champress, April 19, 2016、al-Hayat, April 20, 2016、Iraqi News, April 19, 2016、Kull-na Shuraka’, April 19, 2016、al-Mada Press, April 19, 2016、Naharnet, April 19, 2016、NNA, April 19, 2016、Reuters, April 19, 2016、SANA, April 19, 2016、UPI, April 19, 2016などをもとに作成。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線やシャーム自由人イスラーム運動が主導するファトフ軍の支配下にあるマアッラト・ヌウマーン市、カフルヌブル市をシリア軍が空爆し、住民8人が死亡した。
空爆はカフルナブル市に対するシリア軍の空爆では市場が標的となり、子供1人を含む5人が死亡した。
マアッラト・ヌウマーン市での空爆でも、「シャリーア法廷」が所在する市場が狙われ、住民3人が死亡したという。
同監視団によると、死数はさらに増える模様。
これに関して、シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、空爆を「虐殺」と非難、カフルナブル市では40人以上が死亡し、60人近くが負傷、マアッラト・ヌウマーン市でも10人以上が死亡したと主張した。
一方、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市では、ファトフ軍の治安委員会に所属する車輌に仕掛けられた爆弾が爆発し、戦闘員2人が死亡した。
このほかにも、ジスル・シュグール市、イシュタブリク村、サラーキブ市に対してシリア軍が「樽爆弾」で空爆を実施した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハーン・シャイフ・キャンプ一帯、バーラー村を砲撃、バーラー村では、女性2人と子供1人を含む住民7人がシリア軍の砲撃で死亡した。
シリア軍はまたアルバイン市一帯を空爆した。
なお、バーラー村での空爆に関して、反体制活動家や反体制メディアは「虐殺」と形容した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ハムダーニーヤ地区(シリア政府支配地域)にジハード主義武装集団が打った迫撃砲弾多数が着弾した。
これに対して、シリア軍はアレッポ市南部郊外のアイス村一帯を空爆する一方、アレッポ市北部に位置するアナダーン市、ハイヤーン町一帯を空爆した。
なお、アレッポ県各所でのシリア軍の空爆に関して、反体制活動家や反体制メディアは「虐殺」と形容した。
一方、SANA(4月19日付)によると、シリア軍はアイス村一帯でシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。
他方、ARA News(4月19日付)によると、ジハード主義武装集団がアレッポ市シャイフ・マクスード地区(西クルディスタン移行期民政局支配地域)を砲撃した。
このほか、シャーム戦線は声明を出し、マフムード・ハルクーシュ(アブー・ウマル・サフィーラ)司令官の辞表を受理するとともに、後任の司令官にフサーム・ヤースィーン氏を任命したと発表した。
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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、カッバーニー村、マリク峰、アックー村など県北部一帯で、シリア軍、国防隊、外国人戦闘員が、「不正への報復」作戦司令室に参加した第1沿岸師団、シャーム自由人イスラーム運動、アンサール・シャーム、トルキスターン・イスラーム党、そして「不正への報復」作戦司令室への参加表明を行っていないシャームの民のヌスラ戦線、第2沿岸師団などと交戦した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハウラ地方各所を戦闘機(所属明示せず)が15回にわたり空爆し、1人が死亡した。
またシリア軍がティールマアッラ村を「樽爆弾」で空爆したほか、タルビーサ市を砲撃した。
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ダルアー県では、SANA(4月19日付)によると、シリア軍がダルアー市内のマンシヤ地区、ビイル・シヤーフ街道などでシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。
一方、南部戦線に所属する武装集団3組織が共同声明を出し、ハスム師団として完全統合すると発表した。
ハスム師団を結成したのは、タウヒードの曉師団、ウムード・ハウラーン師団、自由殉教者旅団。
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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、4月18日に7件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。
停戦違反はラタキア県で発生、リヤド最高交渉委員会を脱会したシャーム自由人イスラーム運動、同委員会に依然として所属するイスラーム軍などによる攻撃などが確認されたという。
米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は401件。
AFP, April 19, 2016、AP, April 19, 2016、ARA News, April 19, 2016、Champress, April 19, 2016、al-Hayat, April 20, 2016、Iraqi News, April 19, 2016、Kull-na Shuraka’, April 19, 2016、al-Mada Press, April 19, 2016、Naharnet, April 19, 2016、NNA, April 19, 2016、Reuters, April 19, 2016、SANA, April 19, 2016、UPI, April 19, 2016などをもとに作成。
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バラク・オバマ米大統領は、CBS(4月19日付)のインタビューに応じ、18日のロシアのヴラジミール・プーチン大統領との電話会談で、米国とロシアが見解を一致させ、シリア情勢を進展させなければ、シリアは「急速に崩壊する」だろうと伝えたことを明らかにした。
オバマ大統領の発言は、アレッポ県などでの戦闘激化やリヤド最高交渉委員会によるジュネーブ3会議の協議参加中止決定を受けたもの。
一方、米ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は、オバマ大統領がプーチン大統領に対して、アサド政権による違反によって停戦違反の継続が脅かされているとしたうえで、アサド政権に対して影響力を行使するよう呼びかけたことを明らかにした。
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一方、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、18日のヴラジミール・プーチン大統領とバラク・オバマ米大統領の電話会談に関して、「協議を継続し、停戦を維持することを改めて確認した」と述べた。
会談では、ジュネーブ3会議の協議を継続することが「重要」であることで意見が一致、両国の治安、国防担当者の協力を強化するとともに、停戦違反に対処するための追加措置を検討することになると付言した。
AFP, April 19, 2016、AP, April 19, 2016、ARA News, April 19, 2016、Champress, April 19, 2016、CBS, April 19, 2016、al-Hayat, April 20, 2016、Iraqi News, April 19, 2016、Kull-na Shuraka’, April 19, 2016、al-Mada Press, April 19, 2016、Naharnet, April 19, 2016、NNA, April 19, 2016、Reuters, April 19, 2016、SANA, April 19, 2016、UPI, April 19, 2016などをもとに作成。
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ジュネーブ3会議に参加するシリア政府代表団の団長を務めるバッシャール・ジャアファリー国連シリア代表は滞在中のジュネーブでロイター通信(4月19日付)のインタビューに応じ、そのなかでリヤド最高交渉委員会による協議参加中止決定に関して、ほかの反体制派との協議を継続する意向を示した。
ジャアファリー国連シリア代表は「反体制派は、サウジアラビアで作り出されたリヤド最高交渉委員会によって独占されている訳ではない…。彼らがボイコットしたいのなら、そうしてもよい。このことは我々にとって大きな問題ではない。なぜなら彼らはシリアの反体制派唯一の代表者ではないからだ」と述べた。
ジャアファリー国連シリア代表はまた、「リヤド最高交渉委員会はジュネーブ・プロセスの当初から問題を作り出し、協議を中止、ないしは延期すると脅迫してきた。なぜなら、支援者であるサウジアラビア、トルコ、カタールからの支持を待っているからだ…。これは政治的な拒否だ」と批判した。
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ジャアファリー国連シリア代表はまた、AFP(4月19日付)に対して、アサド大統領による副大統領3名の任命に関するスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表の提案に関して、「デミストゥラ氏とは議論していないし…、今後のいかなる協議でも議論することはない。なぜなら、ジュネーブで協議を行う者には権限がないからだ」と述べた。
ジャアファリー国連シリア代表はさらに「国連共同特別代表は我々にそうした提案すら行っていない。この問題について協議したとの一部情報断固として否定する…。この問題に立ち入ったことは事実だが、それは簡単且つ表面的なものだった」と付言した。
またアサド大統領の進退に関しては、「我々はデミストゥラ氏に、我々の権限は…挙国一致内閣が発足することで停止し、挙国一致内閣こそが主要な議題であると伝えた。また、シリア大統領の将来を議論することが我々の権限外、専門外でるとも伝えた」と述べた。
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リヤド高等交渉委員会の委員長を務めるリヤード・ヒジャーブ元首相は、ジュネーブ3会議(第3ラウンド)での協議を監督するために滞在していたジュネーブで記者会見を開き、アサド大統領が残留するかたちでの移行プロセスはあり得ないとの従来通りの立場を改めて強調した。
ヒジャーブ元首相は記者会見で「私は今日出国する。同胞の一部は昨日出国し、残りは今日、そして金曜日までには出国する…。ただし一部のメンバーは既に計画されている活動に参加するためにジュネーブにとどまる予定だ」と述べた。
元首相によると、ジュネーブに残留するメンバーは、人道問題への対応をめぐって関係当局と会談するとともに、シリアでの逮捕者、人道問題、戦争犯罪に関するシンポジウムに参加するという。
ヒジャーブ元首相はまた、国際社会、とりわけ国連の対応に関して「(包囲されている地域に)ミルク缶1つさえも搬入できない者が、シリアでの政治プロセスや政治移行を推進できるのか?」と批判、「包囲解除、逮捕者釈放、人道支援物資搬入、そして民間人への砲撃停止に向けた措置が講じられない限り、我々はこのプロセスに身を置くことはない」と、ジュネーブ3会議への参加拒否の意思を改めて示した。
そのうえで「我々はバッシャール・アサド体制を作るためにジュネーブに来たのではない。この体制を終わらせるために来たのだ」と強調、ロシアが「この体制を再生産しようとしている」と批判した。
一方、米国に対しては「米国の友人を大いに非難したい」としたうえで、「停戦の維持は、革命家の武装阻止や自衛阻止を通じてなされるものではない…。現地で停戦などと言うものはない」と批判した。
また「イランは数千という戦闘員を動員している…。我々は戦闘員に対してアサドとの戦いを停止しないよう呼びかける…。アサド残留をもたらすいかなる取引、選択肢も受け入れられない」と強調した。
AFP, April 19, 2016、AP, April 19, 2016、ARA News, April 19, 2016、Champress, April 19, 2016、al-Hayat, April 20, 2016、Iraqi News, April 19, 2016、Kull-na Shuraka’, April 19, 2016、al-Mada Press, April 19, 2016、Naharnet, April 19, 2016、NNA, April 19, 2016、Reuters, April 19, 2016、SANA, April 19, 2016、UPI, April 19, 2016などをもとに作成。
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