米軍主導の有志連合はシリア領内で10回の爆撃を実施(2016年4月22日)

米中央軍(CENTCOM)は、4月22日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して30回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は10回で、ブーカマール市近郊(1回)、フール町近郊(1回)、ラッカ市近郊(1回)、ダイル・ザウル市近郊(1回)、マンビジュ市近郊(4回)、マーリア市近郊(1回)、ワフスィーヤ村近郊(1回)に対して攻撃が行われた。

CENTCOM, April 25, 2016などをもとに作成。

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イスラーム「過激派」の25%はムスリム同胞団など「穏健派」から輩出(2016年4月22日)

英国のシンクタンク「宗教地政学センター」(the Centre on Religion and Geopolitics)は、ジハード主義者(いわゆるイスラーム過激派)の約25%が、穏健なイスラーム主義組織のムスリム同胞団によって勧誘されているとする研究結果を発表した。

宗教地政学センターはダーイシュの離反者などから入手したデーターの分析を行うシンクタンク。

「Milestones to Militancy」と題された報告書(http://tonyblairfaithfoundation.org/sites/default/files/Milestones-to-Militancy.pdf)のなかで、同センターは、1980年代にアフガニスタンでの戦闘に参加したムジャーヒディーンや、シリア国内でシャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)に参加した戦闘員のなかから100人をサンプルとして選び、ジハード主義者となった動機や移動経路などを分析、アル=カーイダの前指導者のウサーマ・ビン・ラーディン氏をはじめとするそのほとんどがシャリーアについての十分な知識を持たないまま、戦闘地域に潜入していたとが判明したと発表した。

また戦闘員の51%が、戦地に潜入する以前はムスリム同胞団をはじめとする穏健なイスラーム主義組織に所属しており、同胞団から輩出されたジハード主義者のだけで調査対象者の25%に達していることを明らかにした。

AFP, April 23, 2016、AP, April 23, 2016、ARA News, April 23, 2016、Champress, April 23, 2016、al-Hayat, April 24, 2016、Iraqi News, April 23, 2016、Kull-na Shuraka’, April 23, 2016、al-Mada Press, April 23, 2016、Naharnet, April 23, 2016、NNA, April 23, 2016、Reuters, April 23, 2016、SANA, April 23, 2016、Telegraph, April 22, 2016、UPI, April 23, 2016などをもとに作成。

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アレッポ県北西部のトルコ国境地帯でのハワール・キリス作戦司令室との戦闘でダーイシュのマンビジュ市のアミール(サウジアラビア人)が戦死(2016年4月22日)

アレッポ県では、ARA News(4月22日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)のマンビジュ市のアミール、アブー・サラーフ・マッキー氏(サウジアラビア人)が県北西部のトルコ国境に位置する反体制派の拠点の一つマーリア市をめぐる攻防戦で戦死した。

また、シャーム軍団、スルターン・ムラード旅団からなるハワール・キリス作戦司令室は、ダーイシュとの戦闘の末、バラーギーダ村、タッル・フサイン村を制圧した。


AFP, April 22, 2016、AP, April 22, 2016、ARA News, April 22, 2016、Champress, April 22, 2016、al-Hayat, April 23, 2016、Iraqi News, April 22, 2016、Kull-na Shuraka’, April 22, 2016、al-Mada Press, April 22, 2016、Naharnet, April 22, 2016、NNA, April 22, 2016、Reuters, April 22, 2016、SANA, April 22, 2016、UPI, April 22, 2016などをもとに作成。

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ダーイシュはヌスラ戦線との戦闘の末、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ(ダマスカス県)ほぼ完全制圧、ダルアー県でもヌスラ戦線らに奪われていた拠点を奪還(2016年4月22日)

PLO(パレスチナ解放機構)のアンワル・アブドゥルハーディー政治局長は、ダマスカス県ヤルムーク区(パレスチナ難民キャンプ)で続いていたダーイシュ(イスラーム国)とシャームの民のヌスラ戦線との戦闘に関して、ダーイシュがヌスラ戦線を放逐し、同区のほぼ完全に掌握したと述べた。

この戦闘で、民間人5人が死亡、20人が負傷したという。

『ハヤート』(4月23日付)が伝えた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、サフム・ジャウラーン・ダム一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団がシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。

クッルナー・シュラカー(4月22日付)などによると、この戦闘でヤルムーク殉教者旅団は、サフム・ジャウラーン・ダム一帯地域を奪還した。


AFP, April 22, 2016、AP, April 22, 2016、ARA News, April 22, 2016、Champress, April 22, 2016、al-Hayat, April 23, 2016、Iraqi News, April 22, 2016、Kull-na Shuraka’, April 22, 2016、al-Mada Press, April 22, 2016、Naharnet, April 22, 2016、NNA, April 22, 2016、Reuters, April 22, 2016、SANA, April 22, 2016、UPI, April 22, 2016などをもとに作成。

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シリア軍はアレッポ市内の反体制派支配地域を激しく爆撃(2016年4月22日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(クッルナー・シュラカー(4月22日付)などによるとシリア軍戦闘機)がアレッポ市アンサーリー地区、ブスターン・カスル地区、スッカリー地区、サーリヒーン地区、バーブ・ナイラブ地区、マシュハド地区、ハイダリーヤ地区など反体制武装集団支配地域を空爆し、19人が死亡した。

シリア軍はまた、アナダーン市やアレッポ市南部郊外一帯を「樽爆弾」などで空爆した。

これに対して、ジハード主義武装集団がシリア政府支配下のアレッポ市サラーフッディーン地区を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍、国防隊、外国人戦闘員が、カッバーニー村一帯で、第一沿岸師団、シャーム自由人イスラーム運動、アンサール・シャーム、第二沿岸師団、トルキスターン・イスラーム党、シャームの民のヌスラ戦線などと交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)が、マルジュ・スルターン村一帯を13回にわたり空爆、バーラー村一帯でシリア軍、国防隊がジハード主義武装集団と交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がウカイリバート町、ハマーダト・ウマル村、カンバル村、カスタル村、ジャンディーヤ村、ジュッブ・アブヤド村、ムライジブ村などを空爆する一方、ジハード主義武装集団によるシャトハ町(シリア政府支配地域)への砲撃で子供1人が死亡した。

一方、SANA(4月22日付)によると、シリア軍がタマーニア町、スカイク村、アトシャーン村一帯でジュンド・アクサー機構と交戦し、戦闘員28人を殲滅した。

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イドリブ県では、ARA News(4月22日付)によると、シリア軍がアブーラフース村を空爆し、同地で避難生活を送るアレッポ県郊外の住民4人が死亡した。

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ダルアー県では、SANA(4月22日付)によると、シリア軍がダルアー市内のアッバースィーヤ地区、カラク地区などでシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、4月21日に7件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はラタキア県、アレッポ市サラーフッディーン地区で発生、違反のほとんどはリヤド最高交渉委員会を脱会したアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動によるものだという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は413件。

AFP, April 22, 2016、AP, April 22, 2016、ARA News, April 22, 2016、Champress, April 22, 2016、al-Hayat, April 23, 2016、Iraqi News, April 22, 2016、Kull-na Shuraka’, April 22, 2016、al-Mada Press, April 22, 2016、Naharnet, April 22, 2016、NNA, April 22, 2016、Reuters, April 22, 2016、SANA, April 22, 2016、UPI, April 22, 2016などをもとに作成。

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ダーイシュはダマスカス郊外県でシリア軍戦闘機を撃墜か?(2016年4月22日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍とダーイシュ(イスラーム国)の戦闘が続く、ダクワ丘一帯で戦闘機(所属明示せず)1機が墜落した。

ダーイシュによって撃墜されたのか、技術的トラブルで墜落したのかは不明だが、パイロットは行方不明のままだという。
これに関して、ダーイシュの広報機関アアマーク通信は、ダクワ丘30キロの地点でシリア軍航空機を撃墜、そのパイロットを捕捉したと伝えた。

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ヒムス県では、SANA(4月22日付)によると、シリア軍が県東部(806.5地点以東)のダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆した。

また人民防衛諸集団がジュッブ・ジャッラーブ村方面から、マクサル・ヒサーン村方面に進軍したダーイシュと交戦し、これを撃退した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(4月22日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市工業地区、労働者住宅地区でダーイシュ(イスラーム国)に対して特殊作戦を行った。

AFP, April 22, 2016、AP, April 22, 2016、ARA News, April 22, 2016、Champress, April 22, 2016、al-Hayat, April 23, 2016、Iraqi News, April 22, 2016、Kull-na Shuraka’, April 22, 2016、April 23, 2016、al-Mada Press, April 22, 2016、Naharnet, April 22, 2016、NNA, April 22, 2016、Reuters, April 22, 2016、SANA, April 22, 2016、UPI, April 22, 2016などをもとに作成。

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カーミシュリー市(ハサカ県)でのシリア軍・国防隊と西クルディスタン移行期民政局人民防衛部隊・アサーイシュの戦闘停止に向け、両者高官が会談し、停戦が発効(2016年4月22日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、カーミシュリー市内で、西クルディスタン移行期民政局の人民防衛隊、アサーイシュ、対テロ部隊が、シリア軍、国防隊と激しく交戦した。

同監視団によると、21日以降の戦闘で、シリア軍は複数カ所で進軍、また西クルディスタン移行期民政局の支配下にある地区がシリア軍の砲撃を受けた。

この砲撃で、女性1人と子供1人を含む5人が死亡、子供2人と女性5人を含む22人が負傷した。

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一方、『ハヤート』(4月23日付)によると、3日目となるカーミシュリー市内での戦闘を収束させるため、カーミシュリー国際空港で、シリア政府高官と西クルディスタン移行期民政局高官会合を開き、対応を協議した。

クルド側の高官によると、会合は首都ダマスカスから派遣されたシリア政府および治安機関の高官と西クルディスタン移行期民政局高官の間で開かれ、カーミシュリー市での戦闘停止と事態沈静化(停戦)の方途をめぐって意見が交わされたという。

クッルナー・シュラカー(4月23日付)によると、この会合を受けるかたちで、アサーイシュ総司令部は声明を出し、カーミシュリー市内でシリア軍との戦闘を停止し、停戦合意したと発表した。

また、戦闘が激しかった地区の名士と部族長が共同声明を出し、15:30に停戦を発効すると発表、シリア軍側、西クルディスタン移行期民政局側の双方に戦闘停止を呼びかけた。

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『ハヤート』(4月23日付)は、クルド消息筋の話として、3日間におよぶ戦闘ではシリア軍兵士15人を含む25人が死亡、アサーイシュによると、戦闘ではシリア軍兵士31人が死亡、102人が捕捉されたという。

また西クルディスタン移行期民政局の保健局(保健省に相当)のスライマーン・アフマド副局長によると、3日におよぶ両者の戦闘で、民間人23人が死亡、68人が負傷した。


AFP, April 22, 2016、AP, April 22, 2016、ARA News, April 22, 2016、Champress, April 22, 2016、al-Hayat, April 23, 2016、Iraqi News, April 22, 2016、Kull-na Shuraka’, April 22, 2016、al-Mada Press, April 22, 2016、Naharnet, April 22, 2016、NNA, April 22, 2016、Reuters, April 22, 2016、SANA, April 22, 2016、UPI, April 22, 2016などをもとに作成。

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ロシアのラヴロフ外務大臣はリヤド最高交渉委員会からの「テロ組織」の離反を歓迎(2016年4月22日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、イスラーム軍やシャーム自由人イスラーム運動が米露による戦闘停止合意(2月27日発効)を破棄したことに関して、ジュネーブ3会議での「交渉プロセスの復活」を意味すると高く評価した。

イスラーム軍とシャーム自由人イスラーム運動は、リヤド最高交渉委員会に所属していたが、前者はシリア軍への抗戦を主唱、またシャーム自由人イスラーム運動は脱会を宣言している。

ラブロフ外務大臣はこの二つの組織を「テロ組織」に指定することを求めてきたとしたうえで、「イスラーム軍とシャーム自由人イスラーム運動の戦闘員はダーイシュ(イスラーム国)やシャームの民のヌスラ戦線が採用しているような反人道主義的な敵対姿勢を持っている」と改めて断じた。

そのうえで「国連安保理で承認され、シリア人自身による対話を通じた問題解決を確認している戦略の受諾を拒否するこうした組織が去ったことは、彼ら以外の誰にも損失とはならない」と述べる一方、「リヤド最高交渉委員会を離反したメンバー(民主的変革諸勢力国民調整委員会のムンズィル・ハッダーム氏らを意図)が無所属として交渉に参加することを支持する」と表明した。

AFP, April 22, 2016、AP, April 22, 2016、ARA News, April 22, 2016、Champress, April 22, 2016、al-Hayat, April 23, 2016、Iraqi News, April 22, 2016、Kull-na Shuraka’, April 22, 2016、al-Mada Press, April 22, 2016、Naharnet, April 22, 2016、NNA, April 22, 2016、Reuters, April 22, 2016、SANA, April 22, 2016、UPI, April 22, 2016などをもとに作成。

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シリア政府代表団はデミストゥラ国連特別代表との協議を継続(2016年4月22日)

シリア政府代表団はジュネーブの国連本部で、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表と会談した。

代表団長を務めるバッシャール・ジャアファリー国連シリア代表は会談後の記者会見で、国連安保理決議第2254号においても言及がなされているシリア国内の人道状況について協議したと述べる一方、25日に予定されている次回会合では、デミストゥラ国連特別代表による12項目の質問状に対して、シリア政府代表団が18日に提出した8項目文書における修正提案についての協議が行われることを明らかにした。

AFP, April 22, 2016、AP, April 22, 2016、ARA News, April 22, 2016、Champress, April 22, 2016、al-Hayat, April 23, 2016、Iraqi News, April 22, 2016、Kull-na Shuraka’, April 22, 2016、al-Mada Press, April 22, 2016、Naharnet, April 22, 2016、NNA, April 22, 2016、Reuters, April 22, 2016、SANA, April 22, 2016、UPI, April 22, 2016などをもとに作成。

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米主導の有志連合は2015 年9月から2016年2月にかけてのシリア領内での爆撃で民間人3人が死亡していたと発表(2016年4月22日)

米中央軍(CENTCOM)は、有志連合が2015 年9月10日から2016年2月2日までの5ヶ月間にイラクとシリア領内で行われたダーイシュ(イスラーム国)掃討を目的とした空爆で、民間人20人が死亡、11人が負傷していたことを確認したと発表した。

シリア領内では、2015年12月10日のラッカ市近郊に対する空爆で民間人1人が、12月24日にマンビジュ市近郊に対する空爆で民間人1人が、2016年2月2日のアイン・イーサー市近郊に対する空爆で民間人1人が死亡したという。

CENTCOM, April 22, 2016などをもとに作成。

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