『ウォール・ストリート・ジャーナル』:2015年5月に米特殊部隊がダイル・ザウル県でのアブー・サイヤーフ氏暗殺作戦時に押収したデータはダーイシュ幹部と親政権ビジネスマンの石油密売買が行われていたことを示している(2016年4月24日)

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月24日付、http://www.wsj.com/articles/the-rise-and-deadly-fall-of-islamic-states-oil-tycoon-1461522313)は、2015年5月に米軍特殊部隊がダイル・ザウル県内のダーイシュ(イスラーム国)拠点を急襲し、「石油大臣」と目されていたチュニジア人幹部アブー・サイヤーフ氏(ファトヒー・ムラード・トゥーニスィー)を暗殺し、その妻を拘束した一件に関して、作戦遂行時に押収したデータが、ダーイシュ幹部らとシリア政府に近いビジネスマンとの間で石油密売買が行われていたことを示している、と伝えた。

The Wall Street Journal, April 24, 2016をもとに作成。

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米軍主導の有志連合はシリア領内で3回の爆撃を実施(2016年4月24日)

米中央軍(CENTCOM)は、4月24日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して14回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は3回で、マンビジュ市近郊(1回)、マーリア市近郊(2回)に対して攻撃が行われた。

CENTCOM, April 25, 2016などをもとに作成。

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ハワール・キリス作戦司令室がトルコ国境のタッル・フサイン村をダーイシュから奪還(2016年4月24日)

アレッポ県では、ARA News(4月24日付)によると、ハワール・キリス作戦司令室がダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、トルコ国境に近いタッル・フサイン村を奪還した。

これに対してダーイシュは、トルコ領内のキリス市を砲撃、迫撃砲弾2発が着弾し、10人が負傷した。

一方、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)が、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点都市の一つバーブ市を空爆した。

このほか、アレッポ県北西部でダーイシュ(イスラーム国)と戦う武装集団が共同声明を出し、ハムザ特殊部隊師団として完全統合すると発表した。

ハムザ特殊部隊師団(サイフ・アブー・バクル中尉が司令官)は、ハムザ旅団、ズィー・カール旅団、北部の雷旅団、マーリア抵抗旅団、特殊任務旅団からなる。

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ヒムス県では、SANA(4月24日付)によると、シリア軍がカルヤタイン市東方、タドムル市東方のアーラーク油田街道および同市北部の山岳地帯でダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆した。

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ハマー県では、SANA(4月24日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともに、アカーリブ村南部のパイプライン地区でダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

AFP, April 24, 2016、AP, April 24, 2016、ARA News, April 24, 2016、Champress, April 24, 2016、al-Hayat, April 25, 2016、Iraqi News, April 24, 2016、Kull-na Shuraka’, April 24, 2016、al-Mada Press, April 24, 2016、Naharnet, April 24, 2016、NNA, April 24, 2016、Reuters, April 24, 2016、SANA, April 24, 2016、UPI, April 24, 2016などをもとに作成。

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アレッポ県、ハマー県で、シリア軍とアル=カーイダ系のシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなる反体制派が爆撃・砲撃を応酬し、住民多数が犠牲に(2016年4月24日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)が、アレッポ市サーフール地区の市場、ムワーサラート地区、マルジャ地区、シャッアール地区を空爆し、子供3人を含む9人が死亡した。

また空爆はアターリブ市に対しても行われ、1人が死亡した。

これに対して、反体制武装集団は、シリア政府支配下のアレッポ市ハラブ・ジャディーダ地区、ムーカンムブー地区、ザフラー地区などを砲撃し、子供2人を含む6人が死亡した。

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ハマー県では、ARA News(4月24日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線とシャーム自由人イスラーム運動は、シリア政府支配下のスカイラビーヤ市を砲撃し、住民複数人が死傷した。

SANA(4月24日付)によると、シリア軍はこれに対する報復として、カフルヌブーダ町、ジャービリーヤ村にあるシャームの民のヌスラ戦線やシャーム自由人イスラーム運動などの反体制武装集団拠点を攻撃した。

このほか、ARA News(4月24日付)によると、シリア軍がマルカバ村一帯で反体制武装集団と交戦した。

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ヒムス県では、ARA News(4月24日付)によると、シリア軍がハウラ地方を空爆した。

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ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(4月24日付)によると、シリア軍ヘリコプターがザバダーニー市を「樽爆弾」で空爆し、「革命家」3人を殺害した。

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ダルアー県では、SANA(4月24日付)によると、シリア軍がシャイフ・フサイン丘、ハリーフ丘、ダルアー市内の電力会社一帯、ブスラー広場一帯、マンシヤ地区でシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、4月23日に13件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス郊外県、ラタキア県でのリヤド最高交渉委員会を脱会したアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍による砲撃だという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は435件。

AFP, April 24, 2016、AP, April 24, 2016、ARA News, April 24, 2016、Champress, April 24, 2016、al-Hayat, April 25, 2016、Iraqi News, April 24, 2016、Kull-na Shuraka’, April 24, 2016、al-Mada Press, April 24, 2016、Naharnet, April 24, 2016、NNA, April 24, 2016、Reuters, April 24, 2016、SANA, April 24, 2016、UPI, April 24, 2016などをもとに作成。

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カーミシュリー市(ハサカ県)での停戦発効を受け、双方が逮捕者・捕虜を釈放(2016年4月24日)

ハサカ県では、カーミシュリー市を訪問した西クルディスタン移行期民政局ジャズィーラ地区内務委員会(内務省に相当)のカナアーン・バラカート委員長(内務大臣に相当)が記者会見を開き、シリア政府代表と西クルディスタン移行期民政局代表によるカーミシュリー市での停戦合意の内容について明らかにした。

カーミシュリー市内で20日に発生した国防隊、シリア軍と、西クルディスタン移行期民政局アサーイシュ、人民防衛隊の戦闘は、22日に停戦が実現、その後もダマスカスから派遣されたシリア政府高官と西クルディスタン移行期民政局高官がカーミシュリー国際空港(シリア政府支配下)で停戦合意の詳細について協議を重ねていた。

バカラート内務委員長によると、両者の停戦合意は、国防隊、シリア軍と西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊、アサーイシュ双方の戦闘停止に加えて、①カーミシュリー市内の国防隊解体に向けて、その組織の再編を行うこと、②双方が拘置・捕捉している逮捕者・捕虜の釈放すること、③シリア軍の砲撃で損害を被った住民に対して補償を行うこと、④市内の非常事態を解除すること、⑤西クルディスタン移行期民政局ジャズィーラ地区の青年に対してシリア政府当局は徴兵を行わないこと、⑥シリア政府はカーミシュリー市の公務員への給与支払いを停止しないこと、また公務員の兵役を免除すること、などを骨子としている。

クルド治安筋がAFP(4月24日付)に明らかにしたところによると、これにより、最近の戦闘で人民防衛隊、アサーイシュが掌握した市内アラヤー地区のカーミシュリー中央刑務所、市内のシリア軍、国防隊の拠点の西クルディスタン移行期民政局への移譲がなされ、カーミシュリー市の大部分は西クルディスタン移行期民政局の支配下に入り、シリア政府は市内中心街とカーミシュリー国際空港一帯を維持するのみとなった。

また、ARA News(4月24日付)によると、シリアの治安当局は2011年以前からのクルド人逮捕者を釈放する一方、アサーイシュもまた最近の戦闘で捕捉していたシリア軍兵士および国防隊隊員102人を解放した。

なお、バラカート内務委員長によると、3日間に及ぶ戦闘で民間人17人、アサーイシュ隊員7人、人民防衛隊隊員3人が死亡したことを明らかにした。

一方、シリア人権監視団によると、シリア軍側は22人が死亡、80人が捕捉され、またシリア軍による砲撃で23人が死亡したという。

ARA News, April 24, 2016
ARA News, April 24, 2016

AFP, April 24, 2016、AP, April 24, 2016、ARA News, April 24, 2016、Champress, April 24, 2016、al-Hayat, April 25, 2016、Iraqi News, April 24, 2016、Kull-na Shuraka’, April 24, 2016、al-Mada Press, April 24, 2016、Naharnet, April 24, 2016、NNA, April 24, 2016、Reuters, April 24, 2016、SANA, April 24, 2016、UPI, April 24, 2016などをもとに作成。

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オバマ米大統領「地上部隊を派遣し、アサド政権を転覆するのは誤りだ」(2016年4月24日)

バラク・オバマ米大統領はBBC(4月24日付)のインタビューに応じ、そのなかでシリア情勢に関して「地上部隊を派遣し、アサド政権を転覆するのは、米国や英国にとって誤りとなろう」と述べた。

オバマ大統領は、紛争の解決に向けた国際社会の取り組みに関して「私は、(シリア国内の)すべての当事者に国際社会が圧力をかけ、対話のテーブルに就かせ、移行期に向けた交渉のために行動できると考えている…。軍事的対話では長期的には問題を解決できない」と述べた。

一方、ダーイシュに対する「テロとの戦い」に関しては「その一方で、我々はラッカなどでダーイシュへの空爆を続け…、欧州に外国人戦闘員が送り込まれる地域を包囲する」と述べた。

AFP, April 24, 2016、AP, April 24, 2016、ARA News, April 24, 2016、BBC, April 24, 2016、Champress, April 24, 2016、al-Hayat, April 25, 2016、Iraqi News, April 24, 2016、Kull-na Shuraka’, April 24, 2016、al-Mada Press, April 24, 2016、Naharnet, April 24, 2016、NNA, April 24, 2016、Reuters, April 24, 2016、SANA, April 24, 2016、UPI, April 24, 2016などをもとに作成。

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オバマ米大統領は「シリア領内での「安全地帯」設置は現実問題として難しい」と述べ、メルケル独首相の発言に異論(2016年4月24日)

バラク・オバマ米大統領は訪問先のドイツのアンゲラ・メルケル首相と会談し、シリア情勢などについて意見を交わした。

会談後の記者会見で、オバマ大統領は、メルケル首相がシリア領内での「安全地帯」の設置を支持する意向を示したことに対し、「シリア領内での「安全地帯」設置に関する問題に、私は思想的な反対している訳ではないし…、私が支援を望んでおらず、また多くの人々を保護したくないという訳でもない…。しかし、残念ながら、現実問題として、我々にはシリアの一部を軍事的に掌握する意思がないため、それ(安全地帯)がどう機能するのかを考えるのは難しい」と述べた。

これに関して、メルケル首相は、自身が従前的な「安全地帯」の設置を支持しているのではないとしたうえで、ジュネーブ3会議での協議が難民を人道的に支援できるような地域の設置への道を切り開くと考えているとの曖昧な態度を表明した。

AFP, April 24, 2016、AP, April 24, 2016、ARA News, April 24, 2016、Champress, April 24, 2016、al-Hayat, April 25, 2016、Iraqi News, April 24, 2016、Kull-na Shuraka’, April 24, 2016、al-Mada Press, April 24, 2016、Naharnet, April 24, 2016、NNA, April 24, 2016、Reuters, April 24, 2016、SANA, April 24, 2016、UPI, April 24, 2016などをもとに作成。

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ドイツのメルケル首相「シリア領内に難民保護のための「安全地帯」を設置すべき」(2016年4月24日)

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、訪問中のガジアンテップ市(トルコ)で、シリア領内に国外難民を押し返すための「安全地帯」を設置すべきだと述べた。

ガジアンテップ市内での記者会見で、メルケル首相は「停戦が維持され、治安が十分に保障されている地域」があってしかるべきだとしたうえで、「住民らが安全だと感じれば、故郷を離れる必要はなくなる」と語った。

「安全地帯」(ないしは「飛行禁止空域」は、トルコ政府が兼ねてからシリアのアレッポ県北部に設置することを主唱しており、2015年半ばには米政府との間で、アフリーン市とジャラーブルス市間の国境地帯に設置することで合意した。

しかし、これにより同地で「穏健な反体制派」と共闘していたシャームの民のヌスラ戦線が有志連合との協力を嫌い撤退、これに代わって勢力を増したダーイシュ(イスラーム国)が残された「穏健な反体制派」に対して攻勢をかけた。

またロシア軍、米軍の支援を受けた西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍、そしてシリア軍が2016年に入って、アフリーン市とアレッポ市を結ぶ回廊を奪還し、ヌスラ戦線を含む「穏健な反体制派」の兵站路を遮断、アアザーズ市方面へと後退させた。

AFP, April 24, 2016、AP, April 24, 2016、ARA News, April 24, 2016、Champress, April 24, 2016、al-Hayat, April 25, 2016、Iraqi News, April 24, 2016、Kull-na Shuraka’, April 24, 2016、al-Mada Press, April 24, 2016、Naharnet, April 24, 2016、NNA, April 24, 2016、Reuters, April 24, 2016、SANA, April 24, 2016、UPI, April 24, 2016などをもとに作成。

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