国連安保理でシリアでの化学兵器使用疑惑のための新調査団設置をロシアが提案、米国は猛反発(2018年2月5日)

国連安保理事会では、シリアでの化学兵器使用疑惑への対応を協議するための会合が開かれた。

『ハヤート』(2月6日付)によると、会合では、ロシアが、2017年11月に任期終了となった国連とOPCWの合同査察機構(JIM)に代わる新たな調査委員会の設置を提案した。

しかし、ニッキー・ヘイリー国連米大使は、「信頼できる調査の基礎を完全に無視している…。提案は調査の信頼性をなくすために策定されている…。これにより、ロシアは調査員を選別し、安保理に報告書が提出される前に、その内容に制限を加えようとしている」と非難、シリアのアサド政権がサリン・ガスを使用した「明白な証拠がある」と主張、ロシアに対してこうした攻撃を非難するために「正しい決定」を行うよう迫った。

また、英国、フランス、オランダ、ポーランドも米国に同調した。

これに対して、ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使は、「米国と英国は、ソチでのシリア国民対話大会の成功に懸念し、ロシアを非難するための口実として(化学兵器の問題を)利用している」と反論した。

また、ムンズィル・ムンズィル国連シリア副代表は、「自らが支援してきたテロリストが座礁に乗り上げ、シリア軍を前に後退する度に、米英は嘘を流している…。テロ集団にこそ化学兵器使用の責任がある」と発言した。

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一方、『ハヤート』(2月8日付)によると、米国は、2月1日にダマスカス郊外県東グータ地方のドゥーマー市でシリア軍が塩素ガスを使用したとの情報に基づき、この攻撃を国連が「もっとも厳しい表現で非難」し、「塩素ガスを含む化学兵器使用に責任を負う者への制裁」を科すとした声明の採択をめざした。

これに対して、ロシア側が「グータ地方」の削除を求めたが、米国はこれを拒否したという。

AFP, February 5, 2018、ANHA, February 5, 2018、AP, February 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018、al-Hayat, February 6, 2018、February 7, 2018、Reuters, February 5, 2018、SANA, February 5, 2018、UPI, February 5, 2018などをもとに作成。

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ダマスカス郊外県ルハイバ市で停戦合意が成立(2018年2月5日)

ダマスカス郊外県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月5日付)によると、シリア軍の包囲を受けるルハイバ市の交渉委員会が、同地で籠城を続ける反体制派とシリア軍が停戦に合意したと発表した。

停戦合意は、兵役忌避者の免罪、免罪希望者のリスト提出、ルハイバ市からの中・重火器の撤去、反体制武装集団の拠点閉鎖などを骨子とする。

AFP, February 5, 2018、ANHA, February 5, 2018、AP, February 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018、al-Hayat, February 6, 2018、Reuters, February 5, 2018、SANA, February 5, 2018、UPI, February 5, 2018などをもとに作成。

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ダーイシュはダイル・ザウル県東部でYPG主体のシリア民主軍拠点を攻撃(2018年2月5日)

ダイル・ザウル県では、ダーイシュ(イスラーム国)に近いアアマーク通信(2月5日付)によると、ダーイシュがハジーン市北西のバフラ村近郊にある西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の拠点を爆弾を仕掛けた車で攻撃し、戦闘員15人を殺害した。

al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018

AFP, February 5, 2018、ANHA, February 5, 2018、AP, February 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018、al-Hayat, February 6, 2018、Reuters, February 5, 2018、SANA, February 5, 2018、UPI, February 5, 2018などをもとに作成。

 

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トルコ軍は再びアレッポ県西のアイン丘に進入、「イランの民兵」がこれを砲撃(2018年2月5日)

アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月5日付)、アナトリア通信(2月5日付)、シリア人権監視団によると、戦車、装甲車、兵員輸送車など約65輌からなるトルコ軍の車列が、イドリブ県のカフル・ルーサイン村に設置された仮設の国境通行所を経由して、シリア領内に進入、県西部のアイス丘近郊に集結、新たな監視所を設営した。

トルコ軍がシリア領内に監視所を設置するのはこれが4カ所目。

ロシア、トルコ、イランによるイドリブ県での緊張緩和地帯設置にかかる合意に基づく設営だという。

al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018

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しかし、ドゥラル・シャーミーヤ(2月5日付)によると、これに対してハーディル村一帯に展開する「イラン人民兵」が、アイス丘一帯に集結した車列を砲撃、トルコ軍が応戦した。

砲撃により、トルコ軍兵士2人が負傷したという。

トルコ軍は攻撃再発を抑止する目的で、同地に偵察機を派遣したという。

syria.liveuamap.com, February 5, 2018

AFP, February 5, 2018、Anadolu Ajansı, February 5, 2018、ANHA, February 5, 2018、AP, February 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018、al-Hayat, February 6, 2018、Reuters, February 5, 2018、SANA, February 5, 2018、UPI, February 5, 2018などをもとに作成。

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反体制武装集団は首都ダマスカスを砲撃し民間人2人が死亡(2018年2月5日)

ダマスカス県では、SANA(2月5日付)によると、ダマスカス郊外県東グータ地方で活動を続ける反体制武装集団が、バーブ・トゥーマー地区を砲撃し、乗合タクシー1台、乗合マイクロバス1台、そして停留所が被弾し、民間人1人が死亡、7人が負傷した。

また迫撃砲弾は、バーブー・トゥーマー地区の聖マリア教会にも着弾し、女性1人が死亡、4人が負傷した。

さらに、シャーグール地区、ドゥワイラア地区の民家にも迫撃砲弾が着弾し、物的被害が出た。

SANA, February 5, 2018

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ダマスカス郊外県では、SANA(2月5日付)によると、反体制武装集団がハラスター市郊外を砲撃し、民家が被害を受けた。

AFP, February 5, 2018、ANHA, February 5, 2018、AP, February 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018、al-Hayat, February 6, 2018、Reuters, February 5, 2018、SANA, February 5, 2018、UPI, February 5, 2018などをもとに作成。

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シリア軍はイドリブ県、ハマー県でシャーム解放機構などからなる反体制武装集団との戦闘の末18カ村を制圧(2018年2月5日)

イドリブ県では、SANA(2月5日付)によると、シリア軍が県南東部でシャーム解放機構などからなる反体制武装集団に対する掃討作戦を継続し、6カ村を新たに制圧した。

シリア軍が制圧したのは、ガイタル村、ヒルバト・マラーディーシュ村、ヒルバト・ウンム・ルジューム村、ラスム・マシュアル村、ブトゥーシーヤ村、ガズィーラ村。

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ハマー県では、SANA(2月5日付)によると、シリア軍が予備部隊とともに県北東部でダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦を継続し、12カ村を新たに制圧した。

シリア軍が制圧したのは、ナクルーシュ村、南タラール村、東ラジュム・アビール村、西ラジュム・アビール村、小マーリハ村、ムスタリーハ村、ラスム・マフカル村、北アブー・ハナーディク村、ワサーナート・ハムラー村、タッル・シュール村、大マーリハ村、ダビーイーヤ村、ワーディー・ジャハンナム。

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ダマスカス郊外県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月5日付)によると、「彼らが不正を働いた」作戦司令室のラフマーン軍団がアイン・タルマー村前線でシリア軍を要撃した。

AFP, February 5, 2018、ANHA, February 5, 2018、AP, February 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018、al-Hayat, February 6, 2018、Reuters, February 5, 2018、SANA, February 5, 2018、UPI, February 5, 2018などをもとに作成。

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イドリブ県、ダマスカス郊外県でロシア・シリア軍が攻撃を激化させるなか、サラーキブ市でシリア軍が塩素ガスを使用か?(2018年2月5日)

イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月5日付)が複数の現地消息筋の話として伝えたところによると、シリア軍ヘリコプター複数機が夜間にサラーキブ市に飛来し、塩素ガスを装填した爆弾を投下、民間人11人が呼吸困難などの中毒症状を訴えた。

中毒症状を訴えた11人のなかには、ホワイト・ヘルメットの隊員3人も含まれていたという。

シリア人権監視団によると、サラーキブ市ではシリア軍のヘリコプターが爆撃した直後、異臭が拡がったという。

また、ロイター通信(2月6日付)は、3日にロシア軍戦闘爆撃機がシャーム解放機構によって撃墜されたことを受けるかたちで、5日夜、シリア・ロシア両軍がイドリブ県に対して激しい攻撃を加えるなか、シリア米医療協会(SAMS)など複数の医療グループ、救急隊員の話として、化学物質が投下され、11人が「塩素ガスが使用されたことを示す」呼吸困難などの症状を訴えたと伝えた。

また、ホワイト・ヘルメットの救急隊に所属するラーディー・サアド氏は、化学物質を装填した「樽爆弾」2発がヘリコプターから投下されたと証言した。

一方、シリア人権監視団によると、ロシア・シリア両軍の戦闘機がサラーキブ市、マアッラト・ヌウマーン市、イドリブ市、カフルナブル市、ムアスラーン村を爆撃、この2日で17人が死亡した。

このうち9人(子供4人を含む)カフルナブル市に対するロシア軍と思われる戦闘機の爆撃で死亡したという。

また、ムアスラーン村では子供2人が、イドリブ市では3人が死亡、マアッラト・ヌウマーン市では、地対地ミサイルの攻撃で2人が死亡した。

さらに、ロシア軍戦闘機がマアッラト・ヌウマーン市の中央病院を夜間爆撃し、利用不能になった。

al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018

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ダマスカス郊外県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月5日付)によると、シリア軍はバイト・サワー村の大衆市場を爆撃し、民間人9人を殺害、アルバイン市の大衆市場も爆撃、民間人9人を殺害、ハッザ町の住宅街を爆撃し、民間人6人を殺害、ザマルカー町を爆撃し、民間人5人を殺害した。

シリア人権監視団によると、シリア軍の爆撃で子供4人を含む28人(バイト・サワー村で10人、アルバイン市で9人、ハッザ町で6人、ザマルカー町で2人、ハムーリーヤ市で1人が死亡したという。

AFP, February 5, 2018、ANHA, February 5, 2018、AP, February 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018、al-Hayat, February 6, 2018、Reuters, February 5, 2018、SANA, February 5, 2018、UPI, February 5, 2018などをもとに作成。

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アフリーン市一帯でYPG主体のシリア民主軍とトルコ軍の一進一退の攻防続く(2018年2月5日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ブルブル町近郊のシャイフ・フールズ村一帯で西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がトルコ軍およびその支援を受ける反体制武装集団と交戦し、シリア民主軍が複数拠点を奪還した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(2月5日付)によると、トルコ軍の支援を受ける反体制武装集団が、シリア民主軍との戦闘の末にディークマダーシュ(ディクム・ターシュ)村、同村近郊のディークマダーシュ山、サルガーヤー山、スールカ村を制圧した。

ANHA(2月5日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊(YPG)がシーヤ(シャイフ・ハディード)村近郊のハッジ・ビラール村でトルコ軍戦車を、ムーバーター村近郊のハリール村でトルコ軍の装甲車を攻撃、これらを破壊した。

ANHA, February 5, 2018


また、シャッラー村近郊のディークマダーシュ村でYPG主体のシリア民主軍がトルコ軍およびその支援を受ける反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

シリア民主軍広報センターによると、シーヤ町近郊の(シャイフ・)ビラール村、ラージュー町および同地近郊のハラールカー村、ブルブル町近郊のシールタアティー(シャルターフ)村、ジューラーカー村、ブーキー村、ブーキー丘、シャッラー村近郊のカスタル・ジャンドゥー村一帯、ディクマダーシュ村、ディークマダーシュ丘、ジャンディールス市近郊のフサイリカ村を、トルコ軍およびその支援を受ける反体制武装集団が爆撃・砲撃を行い、シリア民主軍と交戦した。

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ハーブール(2月5日付)によると、ハサカ県に展開する西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の部隊が、トルコ軍が侵攻しているアレッポ県アフリーン市一帯とユーフラテス川右岸の拠点都市マンビジュ市一帯に増援部隊を派遣した。

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SANA(2月5日付)は、トルコ軍が「オリーブの枝」作戦を開始した1月20日以降、トルコ軍の攻撃により死亡した民間人の数が142人に達した、と伝えた。

また負傷者も345人に達しているという。

一方、シリア人権監視団によると、「オリーブの枝」作戦開始以降の、反体制武装集団戦闘141人、シリア民主軍114人、民間人68人(うち女性21人)が死亡した。

また、トルコ軍によると、戦闘で死亡したトルコ軍兵士は16人に達したという。

al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018

AFP, February 5, 2018、ANHA, February 5, 2018、AP, February 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018、al-Hayat, February 6, 2018、al-Khabur, February 5, 2018、Reuters, February 5, 2018、SANA, February 5, 2018、UPI, February 5, 2018などをもとに作成。

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ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは10件の停戦違反を、トルコ側は3件の違反を確認(2018年2月5日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(2月5日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を10件(アレッポ県7件、ラタキア県3件)確認したと発表した。

またトルコ側の監視チームも3件(イドリブ県1件、ダマスカス県・ダマスカス郊外県2件)の停戦違反を確認したという。

ほとんどの停戦違反は、シャーム解放機構の支配地域として登録されている地域で発生したという。

一方、過去24時間にイドリブ県の2カ村の代表がシリア政府との停戦合意に署名した。

これにより、シリア政府との停戦に応じた自治体は2,350市町村、武装組織の数は234組織に達したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 5, 2018をもとに作成。

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