ナウアート米国務省報道官、シリア軍によるイスラエル軍戦闘機撃墜に関して「イランによる計算された脅威の増大」を非難(2018年2月10日)

米国務省のヘザー・ナウアート報道官は、シリア軍がイスラエル軍戦闘機を撃墜したことに関して、「米国はイスラエル国境で今日発生した戦闘行為の激化を深く憂慮し、イスラエルの自衛権を強く支持する」との声明を発表した。

ナウアート報道官はまた、イスラエル軍によるシリア領内での爆撃が、イランの無人航空機のイスラエル領内への飛来に対する報復だとイスラエル側の主張に関して、「イランによる計算された脅威の増大や、絶対的な権力と優位性を誇示したいとの野望は、イエメンからレバノンまで中東すべての人々を危険にさらすものだ」とイランを非難。

そのうえで「米国は引き続き中東におけるイランの有害行動をすべて阻止する」としたうえで、イランに「平和と安定を脅かす行動」を中止するよう求めた。

AFP, February 10, 2018、ANHA, February 10, 2018、AP, February 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 10, 2018、al-Hayat, February 11, 2018、Reuters, February 10, 2018、SANA, February 10, 2018、UPI, February 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍がアフリーン市郊外の貯水場を爆撃する一方、YPG主体のシリア民主軍はトルコ軍ヘリを撃墜(2018年2月10日)

アレッポ県では、ANHA(2月10日付)によると、トルコ軍がシャッラー村近郊のマティーナー村の貯水場を砲撃した。

同貯水場への砲撃はこれが2回目(1回目は2月7日)だという。

ANHA, February 10, 2018

一方、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍広報センターによると、ラージュー町近郊のクーダ村郊外でシリア民主軍がトルコ軍ヘリコプターを撃墜した。

これに関して、アナトリア通信(2月10日付)によると、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、「オリーブの枝」作戦で任務を遂行していたトルコ軍ヘリコプター1機が墜落したと発表した。

ANHA, February 10, 2018

また、トルコのビンアリ・ユルドゥルム首相は、この墜落でヘリコプターを操縦していたトルコ軍兵士2人が死亡したと発表した。

このほか、シリア民主軍広報センターによると、トルコ軍は、ラージュ町(パン工場)、クーダ村、ジリー村、シーヤ町近郊のハッジ・ビラール村、シャクファティー村、トゥールミーシャー村、ジャンディールス市近郊のアーカジラ村、カーニー・クルカー村、ビークダール山一帯、ハーッジ・イスカンダル村、ダイル・バッルート村、ムッラー・ハリール村、バーフルーン村、アラブ・ワイラーン村、アムラー村、ブルブル町近郊のカスタル・ハドリヤー村、カリーヤ村を爆撃・砲撃、シリア民主軍がトルコ軍およびその支援を受ける反体制武装集団と交戦した。

これに対し、「オリーブの枝」作戦司令室はダイル・バッルート村を制圧したと発表した。

al-Durar al-Shamiya, February 10, 2018

**

ハサカ県では、ANHA(2月10日付)によると、ハサカ市ムシャイリファ地区で、トルコ軍によるアレッポ県アフリーン市一帯への侵攻に反対するデモが行われ、住民数千人が参加した。

ANHA, February 10, 2018

AFP, February 10, 2018、Anadolu Ajansı, February 10, 2018、ANHA, February 10, 2018、AP, February 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 10, 2018、al-Hayat, February 11, 2018、Reuters, February 10, 2018、SANA, February 10, 2018、UPI, February 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制武装集団は首都ダマスカスの変電所を砲撃(2018年2月10日)

ダマスカス県では、SANA(2月10日付)によると、ダマスカス郊外県東グータ地方で活動を続ける反体制武装集団がウマウィーイーン広場一帯を砲撃し、変電所が被弾、火災が発生した。

SANA, February 10, 2018

**

イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月10日付)によると、シャーム解放機構がウンム・ハラーヒール村でシリア軍と交戦した。

**

ラタキア県では、SANA(2月10日付)によると、シリア軍がキンサッバー町東のハッダーダ丘で反体制武装集団と交戦した。

AFP, February 10, 2018、ANHA, February 10, 2018、AP, February 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 10, 2018、al-Hayat, February 11, 2018、Reuters, February 10, 2018、SANA, February 10, 2018、UPI, February 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ヒズブッラーとイラン・イスラーム革命防衛隊は、タイフール航空基地の無人航空機がイスラエルに向かったことを否定(2018年2月10日)

ヒズブッラーとイラン・イスラーム革命防衛隊の代表者からなる「シリア同盟者作戦司令室」は声明を出し、イスラエル軍の爆撃を受けたとされるヒムス県のタイフール航空基地(T4基地)に関して、同基地に配備されている無人航空機が、ダーイシュ(イスラーム国)に関する情報収集を任務としている、と主張、イスラエルの今後の攻撃に対して「厳しい報復」を行うと述べた。

AFP, February 10, 2018、ANHA, February 10, 2018、AP, February 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 10, 2018、al-Hayat, February 11, 2018、Reuters, February 10, 2018、SANA, February 10, 2018、UPI, February 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア、イラン、レバノンのヒズブッラー、パレスチナのハマースはシリア軍によるイスラエル軍戦闘機撃墜を支持(2018年2月10日)

ロシア外務省は声明を出し、シリア軍部隊によるイスラエル軍戦闘機の撃墜に関して、「重大な懸念」を表明、シリア軍が緊張緩和地帯設置にかかる合意を遵守しているなかで、シリア領内の緊張緩和地帯内、あるいはその一帯で事態を悪化させようとする動きに「特別な関心を喚起する」としたうえで、「主権、領土安全を尊重する必要があると考えている」と強調した。

また、ロシア軍も進駐するタイフール航空基地に対してイスラエル軍が(報復)爆撃を行ったことを踏まえ、「テロとの戦いへの支援という合法的政府の呼びかける基づいてシリア領内で駐留しているロシア軍兵士の声明と安全を脅かすことは受け容れられない」と警鐘を鳴らすとともに、「我々はすべての当事者に自制と、事態悪化をもたらすようないかなる措置を回避するよう求める」と強調した。

また、ロシア大統領府は声明を出し、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会談を行い、イスラエル側に事態悪化を回避するよう求めたと発表した。

**

イランのアリー・アクバル・ヴェラーヤティー最高指導者顧問は、シリア軍によるイスラエル軍機撃墜に関して、地域の平和や国民主権を尊重すべきとしたうえで、イランは、シリア、イラク、レバノンでのテロとの戦いを支援し続けると強調した。

またイラン外務省のブラハーム・カーセミー報道官も声明で、シリア軍には自衛権があると述べ、撃墜を支持した。

カーセミー報道官は「独立国であるシリアには領土の主権を防衛し、いかなる外敵であってもこれと対決する権利がある」としたうえで、イスラエルの無人航空機がイスラエル領に飛来したとのイスラエル側の発表について「嘲笑」せざるを得ない一蹴、「イランには、この国の合法的な政府の要請を受け、顧問を駐在させる根拠がある」と述べた。

さらに、イラン・イスラーム革命防衛隊のホセイン・サラーミー副司令官は報道声明で「イスラエル側からのいかなる報道も事実確認はしない。なぜなら、イスラエル人どもは嘘つきだからだ…。我々はシリア国内に駐留しておらず、顧問として駐在しているだけだ。シリアは十分自国領を防衛できる」と述べた。

**

レバノンのヒズブッラーは声明を出し、シリア軍防空部隊によるイスラエル軍機撃墜に関して、「シリアの領空、領土への侵犯を抑止するための新たな戦略的段階の始まり」と位置づけたうえで、テロやタクフィール主義集団へのあからさまな支援に拒否の姿勢を示した。

**

パレスチナのハマースのイスマーイール・ラドワーン報道官は、シリア軍防空部隊によるイスラエル軍戦闘機撃墜に関して、「シリアはイスラエルの攻撃に応戦する権利がある…。我々はこの応戦を称賛する。我々はパレスチナがシオニストの卑劣مな攻撃や海賊行為に対抗するシリアとともにあることを確認する」と述べるとともに、イスラエルの占領に抵抗する取り組みを強化する必要を強調した。

AFP, February 10, 2018、ANHA, February 10, 2018、AP, February 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 10, 2018、al-Hayat, February 11, 2018、Reuters, February 10, 2018、SANA, February 10, 2018、Tasnim News Agency, February 10, 2018、UPI, February 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍によるイスラエル軍戦闘機撃墜の数時間後、イスラエル軍はタイフール航空基地内のイランの拠点などに12回の爆撃を実施(2018年2月10日)

イスラエル軍のアヴィハイ・アドライ(Avichay Adraee)報道官は、シリア軍によるイスラエル軍戦闘機撃墜に関して、「複数の戦闘機がシリア領内におけるイランの複数の標的とシリアの防空システムに対して大規模な爆撃を行った」と発表した。

爆撃は「12の標的に対して行われ、うち3回はシリアの防空ミサイル発射台、4回はシリアにおけるイランの勢力伸長の一環とみなし得るイランの標的に対して行われた」という。

アドライ報道官はまた「イスラエルが今日行った作戦は、イスラエルの主権を侵害しようとしたイランに対抗する自衛のための作戦である。我々の任務は、我々が選択した地点で無人航空機を撃墜することだった。我々はこれに成功し、無人航空機は現在、我々の手中にある…。イランの航空機が離陸したタドムル(市)の施設を攻撃している際に、シリア軍部隊が(イスラエル軍の)複数の戦闘機に対して地対空重火器を発砲し、イスラエル軍機1機がイスラエル領空で損害を受けた」と述べた。

報道官はさらに「シリア軍はイスラエル軍航空機部隊に対して約20発のミサイルを発射し、そのうちの4発の残骸が地上に落下した…。これに対する報復として、イスラエル軍戦闘機は空対地ミサイルシステムで爆撃を行ったほか、イランの標的4カ所を攻撃した」と述べた。

そのうえで、イスラエル軍の爆撃の戦果は不明だとしつつ「しかし、おそらくイランは我々が(爆撃した)拠点を選んだことに驚いているだろう。なぜなら、イランは、イスラエルがこの拠点について知っているなどとは思っていなかったからだ…。シリア人とイラン人は火遊びをしている。シリア人は、イランがシリア領内でイスラエルに対して行動する余地を与えている」と警告した。

**

一方、イスラエル軍のジョナサン・コンリカス報道官(中佐)はツイッターのアカウント(https://twitter.com/LTCJonathan)を通じて、作戦の経緯を時系列的に示したインフォグラフィアを公開した。

それによると、①4時25分にイスラエル軍は攻撃ヘリコプターでイランの無人航空機を撃破、②5時34分にイスラエル軍は戦闘機でシリア領内のイランの標的を爆撃、③6時00分に、イスラエル軍戦闘機1機がイスラエル領空で地対空ミサイルを被弾、パイロットは脱出、④8時45分にイスラエル軍戦闘機がシリア領内のシリア軍防空システムとイランの標的に対して大規模な爆撃を実施、⑤8時55分にシリア軍の地対空ミサイルがイスラエル軍戦闘機に対して発射されたことを受け、イスラエル北部で警報発令、という経緯で事件は推移したという。

**

これに関して、ドゥラル・シャーミーヤ(2月10日付)によると、イスラエル軍戦闘機は、イランの無人航空機がヒムス県のタイフール航空基地(T4)を離陸してイスラエルに向かったことへの報復として、同基地を爆撃、同基地内の管制塔やイラン・イスラーム革命防衛隊の拠点を破壊したという。

**

シリア人権監視団によると、爆撃はヒムス県東部のタイフール航空基地一帯、ダマスカス郊外県北西部のディーマース市一帯、南部のダルアー県との県境に対して行われ、親政権外国人民兵の戦闘員6人が死亡した。

**

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、アヴィグドール・リーベルマン国防大臣、イスラエル軍のガディ・エイゼンコット参謀総長らと緊急の安全保障会議を開き、イスラエル北部での事態悪化を回避するため、ロシアに早急に介入するよう要請することを決定し、その旨文書っで伝えた。

会議では、ロシアに対し、シリア領内でのイランの影響力拡大へのイスラエル側の警戒感を示す一方、さらなる緊張であなく「今は事件を幕引きする」ことに関心がある旨、ロシアに伝えた。

『ハヤート』(2月11日付)が伝えた。

AFP, February 10, 2018、ANHA, February 10, 2018、AP, February 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 10, 2018、al-Hayat, February 11, 2018、Reuters, February 10, 2018、SANA, February 10, 2018、UPI, February 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍は領空侵犯したイスラエル軍戦闘機少なくとも1機を撃墜(2018年2月10日)

SANA(2月10日付)は、シリア軍消息筋の話として、シリア領空を侵犯し、シリア軍の拠点に対して爆撃を行ったイスラエル軍戦闘機4機をシリア軍が迎撃し、少なくとも1機を撃墜し、1機に損害を与えたと伝えた。

SANAによると、イスラエル軍戦闘機が領空侵犯したのは10日早朝で、まずはシリア南部(ヒムス県)を侵犯し、シリア軍拠点複数カ所を爆撃、シリア軍はこれに対して迎撃を行い、少なくとも1機を撃墜、1機に損害を与えた。

イスラエル軍はその直後、シリア南部(ダマスカス郊外県)にも侵犯し、爆撃を試みたが、シリア軍防空部隊がこれを撃退したという。

ドゥラル・シャーミーヤ(2月10日付)によると、2度目の爆撃は、ダマスカス郊外県で行われ、キスワ市西のシリア軍武器庫、ディーマース町、マーニア村、ドゥライジュ村、第90旅団の拠点が標的となったという。

**

これに対して、イスラエルの複数のメディアは、占領下パレスチナのガリラヤ地方上空でF-16戦闘機1機がシリア軍の攻撃を受け、墜落し、パイロット2人が負傷したと伝えた。

SANA, February 10, 2018
SANA, February 10, 2018
SANA, February 10, 2018
SANA, February 10, 2018
SANA, February 10, 2018

AFP, February 10, 2018、ANHA, February 10, 2018、AP, February 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 10, 2018、al-Hayat, February 11, 2018、Reuters, February 10, 2018、RT, February 10, 2018、SANA, February 10, 2018、UPI, February 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは10件の停戦違反を、トルコ側は8件の違反を確認(2018年2月10日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(2月10日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を10件(アレッポ県3件、ラタキア県5件、ダマスカス県・ダマスカス郊外県1件、ヒムス県1件)確認したと発表した。

またトルコ側の監視チームも8件(イドリブ県5件、ダマスカス県・ダマスカス郊外県2件、ヒムス県1件)の停戦違反を確認したという。

ほとんどの停戦違反は、シャーム解放機構の支配地域として登録されている地域で発生したという。

一方、過去24時間にアレッポ県の1カ村の代表がシリア政府との停戦合意に署名した。

これにより、シリア政府との停戦に応じた自治体は2,357市町村、武装組織の数は234組織に達したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 10, 2018をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.