イドリブ県南部のダーイシュ残党がアル=カーイダ系のシャーム解放機構と「侵略者撃退」作戦司令室に投降し、シリア北部のダーイシュ支配地域は消滅(2018年2月13日)

イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月13日付)によると、シリア軍との戦闘で敗走し、同県のフワイン村に逃れていたダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員全員とその家族合わせて約400人が、アル=カーイダ系組織のシャーム解放機構および同組織と共闘する「侵略者撃退」作戦司令室に武器を引き渡し、投降した。

シャーム解放機構と「侵略者撃退」作戦司令室は、投降した約400人に対して、身柄は保証せず、交渉のうえ裁判にかけることを誓約させたという。

シャーム解放機構に近いイバー通信(2月13日付)は、投降したダーイシュ戦闘員の写真を、「侵略者撃退」作戦司令室はダーイシュ戦闘員らが持っていた硬貨の写真などを公開した。

Wikalat al-Iba’ al-Ikhbariya, February 13, 2018
Wikalat al-Iba’ al-Ikhbariya, February 13, 2018
Wikalat al-Iba’ al-Ikhbariya, February 13, 2018
al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018

ドゥラル・シャーミーヤも搬送されるダーイシュ戦闘員の映像を公開した。

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シャーム解放機構は声明を出し、ダーイシュ戦闘員とその家族約400人の投降により、イドリブ県南部においてダーイシュは消滅したと宣言した。

al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018

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ドゥラル・シャーミーヤ(2月13日付)が(反体制派)軍消息筋の話として伝えたところによると、ダーイシュ戦闘員の投降は、①反体制派との戦闘を継続するための指揮系統、士気の欠如、②一部司令官の裏切りと、反体制派やシリア軍への投降、③シリア軍との要撃(11日)での甚大な被害(70人の戦闘員が死亡)、④反体制派との戦闘を受けた戦闘員の投降、が主因だという。

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なお、シリア軍は2月9日、イドリブ県南東部、ハマー県北東部、アレッポ県南西部でダーイシュの孤立支配地域を完全制圧したと発表、同地を逃れたダーイシュ戦闘員がイドリブ県ウンム・ハラーヒール村一帯でシャーム解放機構などと戦闘を激化させていた。

AFP, February 13, 2018、ANHA, February 13, 2018、AP, February 13, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018、al-Hayat, February 14, 2018、Reuters, February 13, 2018、SANA, February 13, 2018、UPI, February 13, 2018、Wikalat al-Iba’ al-Ikhbariya, February 13, 2018などをもとに作成。

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トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団はYPG主体のシリア民主軍との戦闘の末、ジャンディールス市近郊の要衝を制圧(2018年2月13日)

アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月13日付)によると、トルコ軍の支援を受ける「オリーブの枝」作戦司令室は、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍との戦闘の末、ブルブル町近郊のウマル・スィームー村、アルシュリー村、そして同地一帯の丘陵地帯を制圧した。

ANHA, February 13, 2018

ジャンディールス市を見下ろすことができる丘陵地帯を手に入れたことになる。

なお、シリア人権監視団によると、トルコ軍側の砲撃によって、住民1人が死亡、4人が負傷した。

『ハヤート』(2月14日付)によると、戦闘はまたブルブル町近郊のシャイフ・フールズ村一帯で激しく行われた。

一方、ANHA(2月13日付)によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が、ラージュー町近郊のハーッジ・ハリール村を砲撃した。

また、SANA(2月13日付)によると、トルコ軍が西クルディスタン移行期民政局の拠点都市アフリーン市各所を砲撃し、4人が死亡、市内の病院が被弾した。

AFP, February 13, 2018、ANHA, February 13, 2018、AP, February 13, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018、al-Hayat, February 14, 2018、Reuters, February 13, 2018、SANA, February 13, 2018、UPI, February 13, 2018などをもとに作成。

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米主導の有志連合による12日の爆撃で、ロシア人死亡の発表が相次ぐが、ロシア大統領府はこれを否定(2018年2月13日)

ロシアのカリーニングラードに拠点を持つバルト・コーカサス連合は12日、声明(http://www.kazak39.com/news/vechnaya-pamyat-0)を出し、2月7日の米主導の有志連合によるダイル・ザウル県東部のシリア軍に対する爆撃で、ヴラジミール・L・ロヴィノヴ(Vladimir N. Loginov)氏(51歳)が非対称戦で戦士した、と発表した。
また、野党連合「もう一つのロシア」のアレクサンドル・アヴェリン(Aleksandr Averin)氏も、1年前にシリアに向かったメンバーの一人が、ダイル・ザウル県での有志連合の爆撃によって死亡したと証言した。

なお、この爆撃では、ロシア人少なくとも4人が死亡したとの情報があるが、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、「ロシア軍部隊の要員がいたということ以外は承知していない」と述べ、これを否定した。

AFP, February 13, 2018、ANHA, February 13, 2018、AP, February 13, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018、al-Hayat, February 14, 2018、Reuters, February 13, 2018、SANA, February 13, 2018、UPI, February 13, 2018などをもとに作成。

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ダマスカス郊外県東グータ地方でシリア軍と「彼らが不正を働いた」作戦司令室が交戦を続ける(2018年2月13日)

ダマスカス郊外県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月13日付)によると、シャーム自由人イスラーム運動、ラフマーン軍団、シャーム解放機構などからなる「彼らが不正を働いた」作戦司令室が、ハラスター市近郊の国際幹線道路(ダマスカス・ヒムス街道)一帯でシリア軍(第4機甲師団、共和国護衛隊)と交戦した。

al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018

一方、SANA(2月13日付)によると、東グータ地方で活動を続ける反体制武装集団が、ハラスター市郊外のダーヒヤト・アサド町を砲撃し、子供4人が負傷した。

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ダマスカス県では、SANA(2月13日付)によると、ダマスカス郊外県東グータ地方で活動を続ける反体制武装集団が、カッサーア地区の旧ダマスカス展示場を砲撃した。

AFP, February 13, 2018、ANHA, February 13, 2018、AP, February 13, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018、al-Hayat, February 14, 2018、Reuters, February 13, 2018、SANA, February 13, 2018、UPI, February 13, 2018などをもとに作成。

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ロシアのラヴロフ外務大臣「米国はシリア東部に准国家を創ろうとしている」(2018年2月13日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ベルギー外務大臣との会談後の共同記者会見で、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍への米国の支援継続に関して、米国はユーフラテス川東岸(左岸)に「准国家」を創ろうとしている、と批判した。

ラブロフ外務大臣は「米国は、すべての当事者によって受け容れられる安定的な政治移行が始まるまでシリアに駐留を続けると考えている…。だがこれは、政権交代、すなわち体制転換を意図している…。米国は危険な一方的行動に出ている。それは、ユーフラテス川東岸からイラク国境に至るシリア領内の広範な領域に准国家を建設する計画の一環に思える」と述べた。

AFP, February 13, 2018、ANHA, February 13, 2018、AP, February 13, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018、al-Hayat, February 14, 2018、Reuters, February 13, 2018、SANA, February 13, 2018、UPI, February 13, 2018などをもとに作成。

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シリアのスーサーン外務在外居住者省次官「イスラエルは再び侵犯すれば、より大きなサプライズに直面するだろう」(2018年2月13日)

シリアのアイマン・スーサーン外務在外居住者省次官は、「敵(イスラエル)は、今度はより大きなサプライズに直面するということをしっかりと認識すべきだ。なぜなら、シリアが行うであろう消耗戦に対して、イスラエルは抗うことなどできないからだ」と述べた。

この発言は、イスラエルのアヴィグドール・リーベルマン国防大臣が、10日のシリア軍によるイスラエル軍戦闘機撃墜に関して、「今は言葉ではなく、行動が求められいる時だ…。我々は、断固として、そして力をもって、あらゆる挑発に対しても報復を行う。すべてが正確に遂行され、我々は国益を守り続ける」と述べたことを受けたもの。

スーサーン次官はまた、1月末のソチでのシリア国民対話大会で設置合意された制憲委員会に関して、「議長、メンバーがシリア人でないいかなる委員会に対しても、我々は関与しないし、我々には関係ない」と述べ、国連でのジュネーブ大会の仲介者を務めるスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表を仲介者の介入に難色を示した。

スーサーン次官はまた、「(制憲)委員会の任務、任期、メンバーの数は、ソチ(での大会)の参加者によって判定されねばならない」と述べ、大会に参加しなかった最高交渉委員会などの反体制派の参画に拒否の姿勢を示した。

そのうえで、デミストゥラ氏に関しては「混乱の原因は歪んだ(彼の)解釈にある…。(ソチでの)大会は彼に何の権能を与えていない。彼は単なるファシリエーターであって、仲介者でもない」と批判した。

ロイター通信(2月13日付)が伝えた。

AFP, February 13, 2018、ANHA, February 13, 2018、AP, February 13, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018、al-Hayat, February 14, 2018、Reuters, February 13, 2018、SANA, February 13, 2018、UPI, February 13, 2018などをもとに作成。

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米国防総省「ロシア軍、トルコ軍、イスラエル軍の戦闘機は撃墜されたが、米軍の危険レベルはあげない」(2018年2月13日)

米国防総省は声明を出し、この2週間で、ロシア軍戦闘爆撃機、トルコ軍ヘリコプター、そしてイスラエル軍戦闘機が相次いで撃墜されたことに関して、「シリア国内で活動する米軍の危険レベルをあげることはない」と発表した。

国防総省はまた、「有志連合はアフリーンでのクルド人部隊に武器を供与していない…。彼らを教練もしていないし、支援もしていない…。(西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体の)シリア民主軍や同盟部隊との協力はダーイシュ(イスラーム国)を打ち負かすのが目的である」と強調した。

AFP, February 13, 2018、ANHA, February 13, 2018、AP, February 13, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018、al-Hayat, February 14, 2018、Reuters, February 13, 2018、SANA, February 13, 2018、UPI, February 13, 2018などをもとに作成。

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トランプ米政権は2019会計年度予算で、YPG主体のシリア民主軍の教練と「国境警備隊」創設のため5億5,000万米ドルを計上、トルコはテロ支援を非難(2018年2月13日)

アナトリア通信(2月13日付)は、ドナルド・トランプ米政権が議会に提出した2019会計年度(2018年10月~2019年9月)の予算教書で、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍を教練し、同組織を軸に「国境警備隊」を創設するための予算として、5億5,000万米ドルを計上した、と伝えた。

2,019年会計年度の予算教書では、約7,160億ドルが国防費として計上され、最新鋭のF35ステルス戦闘機77機の取得、バージニア旧攻撃型原子力潜水艦2隻の新造、地上配備型ミッドコース防衛(GMD)増強などに充てられている。

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これに関して、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、与党公正発展党(AKP)党員との会合で、「ダーイシュ(イスラーム国)はもう終わった。なぜクルド人組織を支援し、武器を供与し続けるのか? なぜテロリストどもに、米国民の税金から5億5,000万ドルも与えるのか…?」と非難した。

AFP, February 13, 2018、Anadolu Ajansı, February 13, 2018、ANHA, February 13, 2018、AP, February 13, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018、al-Hayat, February 14, 2018、Reuters, February 13, 2018、SANA, February 13, 2018、UPI, February 13, 2018などをもとに作成。

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有志連合を主導する米軍は無人航空機でロシア製のT-72戦車を破壊(2018年2月13日)

米主導の有志連合のライアン・ディロン報道官(大佐)は、有志連合が2月10日、ダイル・ザウル県のユーフラテス川左岸に位置するタービヤ村近郊で爆撃を実施し、ロシア製のT-72戦車1輌を破壊したと発表した。

ディロン報道官によると、破壊された戦車は、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍や有志連合に対して砲撃を行っており、爆撃は「自衛」のためのものだったという。

アナトリア通信(2月13日付)が伝えた。

なおミリタリー・コム(2月13日付)によると、T-72に対する爆撃を行ったのは、米空軍の無人航空機MQ-9リーパー。

Military.com, February 13, 2018

AFP, February 13, 2018、Anadolu Ajansı, February 13, 2018、ANHA, February 13, 2018、AP, February 13, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018、al-Hayat, February 14, 2018、Reuters, February 13, 2018、SANA, February 13, 2018、UPI, February 13, 2018などをもとに作成。

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シリア駐留ロシア軍司令部「ホワイト・ヘルメットがイドリブ県サラーキブ市でヌスラ戦線による化学物質使用の準備を支援している」(2018年2月13日)

ラタキア県フマイミーム軍事飛行場のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターは声明を出し、イドリブ県サラーキブ市の住民から通報があり、ホワイト・ヘルメットが「化学物質を使用し、その様子を外国のテレビ・チャンネルを通じて放映することで、シャームの民のヌスラ戦線(シャーム解放機構)が市民の間で行ってきた扇動」を支援する準備をしていると発表した。

通報をした住民によると、ヌスラ戦線のテロリストは、塩素ガスのボンベ20本以上をサラーキブ市に運び込み、いわゆるホワイト・ヘルメットのメンバーがこれに先立って住民を救助するリハーサルを行ったという。

このリハーサル中、救出シーンをどのように撮影・放映するのが効果的なのかが衛星電話の通話を利用して英語で話し合われていたという。

SANA, February 13, 2018

RT(2月13日付)、スプートニク・ニュース(2月13日付)などが伝えた。

AFP, February 13, 2018、ANHA, February 13, 2018、AP, February 13, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2018、al-Hayat, February 14, 2018、Reuters, February 13, 2018、RT, February 13, 2018、SANA, February 13, 2018、Sputnik News, February 13, 2018、UPI, February 13, 2018などをもとに作成。

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ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは7件の停戦違反を、トルコ側は3件の違反を確認(2018年2月13日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(2月13日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を7件(アレッポ県3件、ラタキア県4件)確認したと発表した。

またトルコ側の監視チームも3件(イドリブ県1件、ダマスカス県・ダマスカス郊外県2件)の停戦違反を確認したという。

ほとんどの停戦違反は、シャーム解放機構の支配地域として登録されている地域で発生したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 13, 2018をもとに作成。

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