イスラエルはロシア空軍IL-20の撃墜事件の責任がイランとヒズブッラーにもあると反論(2018年9月18日)

ロシアのヴラジミール・プーチン大統領はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会談し、IL-20撃墜事件について意見を交わした。

電話会談で、ネタニヤフ首相は、事件に対して遺憾の意を示しつつ、「イスラエルはシリアにおけるイランの軍事拠点化を阻止することを決意している。イランはイスラエルの破壊を主唱しており、ヒズブッラーに最終兵器を供与しようとしている」と述べた。

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イスラエル軍のアヴィハイ・アドライ報道官は、ロシア側の非難に対して「この残念な事件の責任は、イランとレバノンのヒズブッラーの民兵にもある」と反論した。

アナトリア通信(9月18日付)が伝えた。

AFP, September 18, 2018、Anadolu Ajansı, September 18, 2018、ANHA, September 18, 2018、AP, September 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, September 18, 2018、al-Hayat, September 18, 2018、Reuters, September 18, 2018、SANA, September 18, 2018、UPI, September 18, 2018などをもとに作成。

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シリア軍が17日夜、ロシア空軍のIL-20を誤って撃墜、ロシア国防省はイスラエル軍戦闘機がロシア軍機を装ってラタキア市一帯を爆撃したことが原因と非難、フランス海軍もミサイルを発射(2018年9月18日)

ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、モスクワ時間で17日深夜23時にシリア沖の地中海上でロシア空軍のIL-20が消息を絶ったと発表、シリア軍がイスラエル軍戦闘機と誤ってミサイルで撃破したことを明らかにした。

また、イスラエル軍戦闘機の攻撃と合わせて、フランス海軍のフリゲート艦オーヴェルニュもミサイルを発射していたと付言した。

この誤射により、IL-20に乗っていたロシア軍将兵15人が死亡した。

コナシェンコフ報道官によると、IL-20は偵察任務を終えてラタキア県のフマイムーム航空基地に帰還しようとしていたが、消息を絶つ約1時間前、イスラエル軍戦闘機F-16がラタキア市一帯をミサイル攻撃しており、シリア軍の防空部隊は、これへの報復としてミサイルを発射、これによってIL-20が撃墜された。

コナシェンコフ報道官はそのうえで、イスラエル軍戦闘機がロシア軍機を装い、IL-20を盾として攻撃を行ったことが、今回の事件の原因となったと指摘、こうした行為を厳しく非難するとともに、「イスラエルの挑発行為に対する相応の報復措置を取る権利を持つ」と表明した。

al-Durar al-Shamiya, September 17, 2018

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ロシア上院(連邦会議)国防委員会のフランツ・クリンツェヴィチ委員はスプートニク・ニュース(9月18日付)の取材に対して、撃墜されたIL-20が「あらかじめ計画にそって試験飛行を行っていた」ことを明らかにしたうえで、「イスラエル軍のパイロットらはロシア軍機を装い、IL-20をシリア対空防衛の砲火にさらした」と述べた。

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ロシア国防省はその後、声明でロシア海軍の捜索船が墜落現場付近を捜索し、タルトゥース県バーニヤース市沖約27キロの地点でIL-20の残骸や乗組員の遺体を回収したと発表した。

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セルゲイ・ショイグ国防大臣は国防省での会合で、イスラエルのアヴィグドール・リーベルマン国防大臣と電話会談を行い、イスラエルによるこうした行為を放置しないと抗議、事件の全責任がイスラエル側にあると追究したことを明らかにした。

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ヴラジミール・プーチン大統領は事件に関して「悲劇的な偶然の連鎖だ」と指摘し、「特にこのような悲劇的な状況で人々が非業の死を遂げるとき、これは常に不幸であり、不幸は我々全員にとって、国々にとって、そして非業の死を遂げた我々の同志の近しい人々にとって不幸である。これを受け、私はもちろん命を落とした人々の近親者に哀悼の意を表明する」と述べた。

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ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、IL-20の撃墜事件がイドリブ県情勢に影響を及ぼすかとの記者の質問に対して「この事件の影響はまったくない」と述べた。

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スプートニク・ニュース(9月18日付)などが伝えた。

AFP, September 18, 2018、ANHA, September 18, 2018、AP, September 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, September 18, 2018、al-Hayat, September 18, 2018、Reuters, September 18, 2018、SANA, September 18, 2018、Sputnik News, September 18, 2018、UPI, September 18, 2018などをもとに作成。

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ヨルダン内閣報道官はシリア政府と国境再開にかかる技術的な措置を完了させることで合意したと発表(2018年9月18日)

ヨルダンのジュマーナ・グナイマート内閣報道官は、シリア・ヨルダン両政府が国境再開にかかる技術的な措置を完了させることで合意したことを明らかにした。

グナイマート報道官はしかし、2015年以降閉鎖されている両国間の国境通行所を再開する時期は定められていないと付言した。

AFP, September 18, 2018、ANHA, September 18, 2018、AP, September 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, September 18, 2018、al-Hayat, September 18, 2018、Reuters, September 18, 2018、SANA, September 18, 2018、UPI, September 18, 2018などをもとに作成。

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米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域で活動する革命特殊任務軍はカルヤタイン殉教者旅団のシリア北部への転戦に不満を表明(2018年9月18日)

米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)で活動を続ける革命特殊任務軍の広報局は報道向け声明を出し、カルヤタイン殉教者旅団がシリア北部への転戦を決定したことに関して「他の武装勢力や有志連合が承知しないまま、ロシアと政権と連絡をとり、拠点を放棄し、北部に去った」と不満を表明した。

AFP, September 18, 2018、ANHA, September 18, 2018、AP, September 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, September 18, 2018、al-Hayat, September 18, 2018、Reuters, September 18, 2018、SANA, September 18, 2018、UPI, September 18, 2018などをもとに作成。

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シリア民主軍を構成するロジャヴァのアサーイシュとサナーディード軍が逮捕合戦(2018年9月18日)

ハサカ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(9月18日付)によると、シリア民主軍を主導する西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)のアサーイシュが、ヤアルビーヤ町で同じくシリア民主軍に参加しているサナーディード軍のメンバー8人を拘束した。

拘束した理由は不明。

これに対して、サナーディード軍もジュワーディーヤ村とカフターニーヤ市を結ぶ街道でアサーイシュを要撃し、20人を拘束した。

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アレッポ県では、ANHA(9月18日付)によると、トルコ軍がアイン・アラブ(コバネ)市近郊のガリーブ村、カルバナーフ村の民家に発砲した。

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「イランの民兵」がYPG主体のシリア民主軍とダーイシュの砲撃戦の流れ弾で負傷し反撃(2018年9月18日)

ダイル・ザウル県では、ANHA(9月18日付)によると、「テロ駆逐の戦い」を続行中の西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、上バーグーズ村とブーカマール市を結ぶ橋を制圧した。

シリア民主軍はまた、ダーイシュによって拉致されていたヤズィード教徒女性2人を解放することに成功した。

ANHA, September 17, 2018

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一方、ドゥラル・シャーミーヤ(9月18日付)によると、シリア軍を支援し、ブーカマール市で活動するヒズブッラー、クドス旅団、ファーティミーユーン旅団、イマーム・アリー旅団の戦闘員多数が、シリア民主軍とダーイシュの砲撃戦の流れ弾を被弾し負傷した。

これを受け、ヒズブッラー、クドス旅団、ファーティミーユーン旅団、イマーム・アリー旅団は、シリア民主軍とダーイシュが交戦するユーフラテス川左岸の上バーグーズ村に対して激しい砲撃を加えた。

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ヒムス県では、SANA(9月18日付)によると、シリア軍特殊部隊が、タドムル市の西30キロの地点に位置するアブタル山一帯でダーイシュ(イスラーム国)を要撃し、戦闘員2人を逮捕、武器弾薬を押収した。

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シャーム解放機構はトルコの実質占領下にあるアフリーン郡(アレッポ県)でシャーム軍団の検問所を襲撃し制圧(2018年9月18日)

アレッポ県では、ANHA(9月18日付)によると、トルコの実質占領下にあるアフリーン郡ジンディールス町近郊のダイル・バッルート村でシャーム解放機構がシャーム軍団の検問所を襲撃し、戦闘の末にこれを制圧した。

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カタール外務省はロシア・トルコ首脳によるイドリブ県での非武装地帯設置にかかる合意を支持(2018年9月18日)

カタール外務省は声明を出し、17日のソチでのロシア・トルコ首脳会談で交わされたイドリブ県での非武装地帯設置にかかる合意に関して「この合意が重要で、無垢な市民の流血を止め、人道的悲劇を回避することに資すると見ている」と発表し、支持を表明した。

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トルコのチャヴシュオール外務大臣「イドリブ県の非武装地帯で穏健な反体制派は軽火器を所持し留まる」(2018年9月18日)

トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は記者会見で、17日のソチでのロシア・トルコ首脳会談で交わされたイドリブ県での非武装地帯設置にかかる合意に言及、「テロ組織だけが退去させられ、この地域(非武装地帯)から重火器は排除されるだろう」としたうえで、「しかし、穏健な反体制派は軽火器は所持し…、住民、そして彼らの居場所はイドリブ県の非武装地帯内に残され、停戦が実現するだろう」と述べた。

また「トルコとロシアの無人航空機がシリア政府支配地域と反体制派支配地域の間に設置される非武装地帯で連携パトロールを行う」と付言した。

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ムウタスィム旅団幹部はロシア・トルコ首脳によるイドリブ県での非武装地帯設置にかかる合意を「偉大なる勝利」と絶賛(2018年9月18日)

トルコの実質占領下にあるアレッポ県北部で活動するムウタスィム旅団の政治局長を務めるムスタファー・スィージャリー氏は、17日のソチでのロシア・トルコ首脳会談で交わされたイドリブ県での非武装地帯設置にかかる合意に関して、ツイッターのアカウント(https://twitter.com/mustafasejari)で「偉大なる勝利だ。約言すると、シリア北部は反体制派が手中にあり、武器は自由シリア軍の手中にある」と絶賛した。

スィージャリー氏はまた「トルコの監視所を常設基地とすることが、政治移行を保証し、アサド(政権)を再生産し、シリア全土を掌握する力を与えるという占領国ロシアとイランの夢を終わらせる唯一の策だ」と付言した。

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シリア外務省はロシア・トルコ首脳によるイドリブ県での非武装地帯設置にかかる合意を歓迎(2018年9月18日)

外務在外居住者省の高官筋は、17日のソチでのロシア・トルコ首脳会談で交わされたイドリブ県での非武装地帯設置にかかる合意に歓迎の意を示し、「シリアとロシアの集中協議と完全な調整の成果」だと称賛した。

SANA(9月18日付)が伝えた。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民97人が新たに帰国、避難民155人が新たに帰宅(2018年9月18日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(9月18日付)を公開し、9月17日に難民97人(うち女性29人、子供50人)が新たに帰国したと発表した。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は13,634人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者13,316人(ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者318人(ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日に帰国した難民の数は24万2,914人(うち女性7万2,873人、子供12万3,887人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は699万7,467人(うち女性216万9,215人、子供349万8,734人)。

一方、国内避難民155人が9月17日に新たに帰宅した。

これにより、2018年1月以降に帰宅した国内避難民の数は14万9,023人(うち女性4万5,207人、子供7万5,845人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は123万1,385人となった。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(9月17日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を13件(アレッポ県9件、ハマー県1件、ラタキア県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームも3件(イドリブ県)の停戦違反を確認した。

Ministry of Defence of the Russian Federation, September 18, 2018をもとに作成。

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