ホワイト・ヘルメット:シリア・ロシア軍の爆撃で民間人は「未曾有の危機」に晒されている(2019年8月22日)

ホワイト・ヘルメットは声明を出し、イドリブ県やハマー県に対するシリア・ロシア軍の爆撃により、民間人が「未曾有の危機」に晒されていると警鐘を鳴らした。

ホワイト・ヘルメットは声明で「ハマー県北部および北西部、イドリブ県南部一帯での断続的な爆撃と軍事作戦に警鐘を鳴らす。これによって今や、多くの民間人が避難民となり、最低限の生活必需品もないままに農地の木陰に身を寄せざるを得ない状態に置かれている…。シリアの民間人は今や未曾有の危機のもとにある…。そのほとんどが少なく見積もっても2度、3度は避難している」と警鐘を鳴らした。

そのうえで、「シリア・ロシア連合軍にこうした悲劇の直接の責任がある。ホワイト・ヘルメットの病院、医療拠点、支援救急センターが爆撃を受けている」と非難、国際社会の諸機関に対して、自らの責任を全うし、こうした攻撃を停止させるよう呼びかけた。

AFP, August 22, 2019、ANHA, August 22, 2019、AP, August 22, 2019、al-Durar al-Shamiya, August 22, 2019、Reuters, August 22, 2019、SANA, August 22, 2019、SOHR, August 22, 2019、UPI, August 22, 2019などをもとに作成。

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アル・モニター:シリア北東部でのトルコと米国による安全地帯設置は3段階からなる(2019年8月22日)

アル・モニター(8月22日付)は、トルコと米国がシリア北東部の国境地帯で設置に向けて準備を続けている「安全地帯」に関して、詳細な設置の手順を明らかにした。

同サイトによると、設置の手順は以下3段階からなるという:

1. 国境線から幅5キロの安全地帯を設置し、米・トルコ両軍が合同パトロールを実施する。同地に駐留している人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍は撤退する一方、合同パトロールを行うトルコ軍部隊は、シリア民主軍に傘下で活動していた各地の軍事評議会が支配する居住地域に進入しない旨遵守する。
2. この安全地帯の南側に幅9キロの安全ベルトを設置し、シリア民主軍は同地から重火器を撤去する。トルコ軍は同地への進駐は行わない。
3. 幅9キロの安全ベルトをさらに南側に4キロ拡大する。これにより安全地帯の総幅を18キロとする。

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YPG主体のシリア民主軍は、米・トルコによる安全地帯設置に向けた準備が加速するなか、トルコ国境で進めていた塹壕、土塁の建設を中止(2019年8月22日)

シリア人権監視団が信頼できる複数の消息筋の情報として発表したところによると、人民防衛部隊(YPG)主体のシリア民主軍が、トルコ国境に面するハサカ県ラアス・アイン市一帯での塹壕、土塁の建設作業を中止した。

建設作業は19日に停止され、トルコと米国の合意に基づいて、ユーフラテス川東岸からティグリス川西岸にいたる全長約400キロの国境地帯に幅約20キロ、30キロとも言われる「安全地帯」が設置されるのに備えた動きだという。

同監視団によると、この動きと並行して、米主導の有志連合の部隊が、ハサカ県タッル・アルカム村から、マブルーカ村、ラッカ県スルーク町を経由し、タッル・アブヤド市にいたる対トルコ国境地帯でパトロールを行った。

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シリア軍は反体制派支配下のイドリブ県内に設置されているトルコ軍監視所を砲撃(2019年8月22日)

イドリブ県では、シリア人権監視団やANHA(8月22日付)によると、シリア軍戦闘機は、マアッラト・ヌウマーン市東のサルマーン村近郊にあるトルコ軍監視所(第8監視所)を爆撃した。

爆撃で基地に物的被害が出たという。

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ロイター通信(8月22日付)は、トルコの高官2人の話として、シリア軍が北西部に設置されているトルコ軍の監視所1カ所に向けて発砲したと伝えた。

シリア軍が発砲したとされる監視所は明らかにされなかったが、2人の高官によると、死傷者は出なかったという。

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北・東シリア自治局の支配下にあるシュハイル村(ダイル・ザウル県)で何者かが車を襲撃し、住民2人死亡(2019年8月22日)

アレッポ県では、アフリーン解放軍団がトルコ占領下のヴィーラート・カーディー村、キーマール村で20日と21日にトルコの支援を受ける反体制武装集団の拠点を爆破し、戦闘員2人を殺害したと発表した。

ANHA(8月22日付)が伝えた。

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ダイル・ザウル県では、ドゥラル・シャーミーヤ(8月22日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるシュハイル村で何者かが車を襲撃し、乗っていた住民2人が死亡、多数が負傷した。

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シリア政府は反体制派が放棄したハマー県北部やイドリブ県南部の住民の避難を促すための人道回廊を設置(2019年8月22日)

外務在外居住者省公式筋は、「テロ集団」の活動に対する市民の苦難を鑑み、その軽減のため、ハマー県北部のスーラーン町に人道回廊を設置したと発表した。

同公式筋によると、人道回廊を通じてシリア政府支配地域に避難する市民には避難住居、食糧、医療などのすべてが提供されるという。

人道回廊は、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構、トルコの支援を受ける国民解放戦線、「穏健な反体制派」と目されているイッザ軍などからなる「必勝」作戦司令室がイドリブ県南部の要衝ハーン・シャイフーン市およびハマー県北部から撤退したことを受けた措置。

設置された人道回廊には、同地域からシリア政府支配地域に避難する住民を収容・移送するため、大型旅客バス多数やシリア赤新月社の救援チームが派遣された。

SANA(8月22日付)が伝えた。

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シリア・ロシア軍はイドリブ県などへの爆撃を続ける(2019年8月22日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が爆撃を激化させてから113日目を迎えた8月22日、シリア・ロシア軍は同地への攻撃を継続、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦した。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は90回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」100発を投下、ロシア軍も45回の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は700発におよんだ。

シリア人権監視団によると、シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より23人(民間人4人(うち女性1人、子供1人)、シリア軍兵士11人、反体制武装集団戦闘員8人)増えて3,758人となった。

うち、976人が民間人(女性174人、子供243人を含む)、1,281人がシリア軍兵士、1,499人が反体制武装集団戦闘員。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でマアッルシューリーン村、タッル・マンス村、ダイル・シャルキー村、ジャルジャナーズ町、ハルバ村、サルマーン村一帯、カフルサジュナ村、タッフ村、タマーニア町、ハーミディーヤ村、カフルナブル市に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでカフルルーマー村、ファッティーラ村、ヒーシュ村、タッフ村、タフターヤー村、ダイル・ガルビー村、タッル・マンス村、ガドファ村、ジャルジャナーズ町、サフヤーン村、カフルサジュナ村、ラッファ、ハルバ村に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が県南東部の戦闘地域を砲撃した。

ロシア軍もガドファ村、ハーミディーヤ一帯、タマーニア町、サルマーニーヤ村、ドゥワイル・アクラード村を爆撃した。

一方、SANA(8月22日付)によると、シリア軍はハーン・シャイフーン市東のタルイー丘一帯で制圧地域を拡大した。

なお、ドゥラル・シャーミーヤ(8月22日付)によると、この2日間のロシア軍の爆撃で、ジャルジャナーズ町のラフマーン・モスクとアリー・ブン・アビー・ターリブ・モスク、タッフ村のナスル・モスク、ダイル・シャルキー村の大モスク、ウマル・ブン・アブドゥルアズィーズ・モスクが破壊され、シリア軍の「樽爆弾」投下により、タッル・マンス村の大モスクとガドファ村の大モスクが被害を受けた。

このほか、シャーム解放機構に近いイバー・ネット(8月22日付)によると、シャーム解放機構の治安機関が、アーフィス村近郊での爆発物敷設に関与していた諜報機関の工作員グループを摘発した。

また、ドゥラル・シャーミーヤ(8月22日付)によると、国民解放戦線はハーン・シャイフーン市内の民家から家財道具などを略奪し、持ち出そうとしていたシリア軍の車輌1台を重火器で攻撃し、兵士多数を殺傷した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカッバーナ村一帯に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターで同地に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が同地を砲撃した。

ロシア軍も同地を爆撃した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(8月22日付)によると、シリア軍とロシアの支援を受けた親政権民兵がクバイナ丘一帯に進軍を試みたが、シャーム解放機構がこれを撃退した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でバウワービーヤ村に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊が県南部および西部の戦闘地域を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を31件(ラタキア県14件、アレッポ県12件、イドリブ県4件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を7件(イドリブ県)確認した。

AFP, August 22, 2019、ANHA, August 22, 2019、AP, August 22, 2019、al-Durar al-Shamiya, August 22, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 22, 2019、Reuters, August 22, 2019、SANA, August 22, 2019、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, August 22, 2019、SOHR, August 22, 2019、UPI, August 22, 2019などをもとに作成。

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