ヒズブッラーのナスルッラー書記長「今後もイスラエルのあらゆる敵対行為に対抗する」(2019年8月25日)

レバノンのヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、レバノン東部の無人地帯でのシャームの民のヌスラ戦線(シャーム解放機構)やダーイシュ(イスラーム国)の掃討完了から2年が経ったのを記念して、マナール・チャンネルを通じてテレビ演説を行い、そのなかで首都ベイルート郊外のダーヒヤ地区にイスラエル軍の無人航空機(ドローン)2機が侵入し、ヒズブッラーに撃破されたことに言及、今後もイスラエルのあらゆる敵対行為に対抗すると表明した。

ナスルッラー書記長は、ドローンの飛来に関して「非常に重大」な事件だったとしたうえで、「(1機目のドローンは)低空で旋回し、標的の画像を提供しようとしていたが、墜落し、機体は我々のもとにある。メディアに公開するつもりだ。またその後、爆発物を積載した自爆攻撃型の2機目のドローンが飛来したが、ダーヒヤ地区の某所で爆発した」ことを明らかにした。

そのうえで「イスラエルの攻撃に沈黙すべきでない…。主権を侵害しているだけでなく、爆破、自爆作戦、殺戮を行うこうしたドローンを…我々はこれからは撃墜する…。私は占領国イスラエルの軍に言おう。1日、2日、3日、4日と我々の報復を待つがよい。入植者どもに言おう。ベンジャミン・ネタニヤフは、あらゆるところから浴びせられる砲火のなかにお前達を追いやるだろう。砲かはイラク、シリア、レバノンから撃ち込まれる。お前達を奈落の底に導き、突き落とすだろう」と述べた。


一方、24日にイスラエル軍戦闘機がダマスカス郊外県アクラバー町一帯に対して行ったミサイル攻撃に関して、「イスラエルの爆撃はヒズブッラーの拠点を狙ったもので、イランのゴドス軍団の拠点ではない。ネタニヤフは自らを勇敢で大胆な国民的英雄に見せようとしているが、自国民を欺いている」と述べた。

また、「シリアで標的となった場所には、ヒズブッラーに所属するレバノンの若者しかいなかった。そのうちの2人が殺された。私は世界に次の約束を改めて思い起こさせたい。イスラエルがシリアで我が国同胞を一人でも殺害したら、我々はレバノンで報復する。それはシャブアー農場ではない」と付言した。

このほか、シリア情勢については「シリアは最終勝利に向かっている。イドリブ県、そしてユーフラテス川東部はシリアの国家に復帰するだろう」と述べた。

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イスラエル軍報道官:24日のダマスカス郊外県アクラバー町へのミサイル攻撃は、イラン・イスラーム革命防衛隊ゴドス軍団によるドローンでの攻撃を防ぐために行われた(2019年8月25日)

イスラエル軍のアヴィハイ・アドライ(Avichay Adraee)報道官は、24日のイスラエル軍戦闘機によるダマスカス郊外県アクラバー町一帯へのミサイル攻撃に関して、ツイッターのアカウント(https://twitter.com/avichayadraee)を通じて、無人航空機(ドローン)開発発着センターを含むイラン・イスラーム革命防衛隊ゴドス軍団の拠点複数カ所を攻撃したと発表したうえで、攻撃の詳細を明らかにした。


アドライ報道官のツイートの概要は以下の通り:

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イスラエル軍は先週、ゴドス軍団が武装した無人航空機(ドローン)を使用してイスラエル国内の複数の標的に対する破壊工作を実施しようとしているのを確認した。ドローンは自爆型、ないしは爆発物搭載型が使用されると見られた。

この破壊工作を行うために選ばれたのは、シーア派民兵のメンバーで、ゴドス軍団とガーセム・ソレイマーニー司令官がシリアに送り込んだ「テロ要員」が教練にあたった。

このテロ細胞の装備が先週、イランの要員とともにダマスカス国際空港に到着し、任務遂行に選ばれたメンバーらと首都ダマスカス南のアクラバー町(ダマスカス郊外県)にあるゴドス軍団の特別施設で合流した。

イラン人とシーア派民兵からなるこの破壊工作グループが先週木曜日(22日)、ゴラン高原に近いアルナ村(ダマスカス郊外県)で目撃された。彼らは作戦を遂行しようとしており、ドローン複数機を持っているしていることが確認された。だが、彼らの試みは妨害され、作戦は実行されずに終わった。

昨晩、このグループが数時間以内にシリア領内からイスラエル国内の標的に向かって作戦を再び実効するとの結論にいたり、彼らがいるアクラバー町の拠点を攻撃することが決定された。

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また、アドライ(Avichay Adraee)報道官は先週木曜日(22日)に作戦を行おうとしていたとする画像を公開した。

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ダマスカス郊外県のサイイダ・ザイナブ廟で24日のイスラエル軍戦闘機によるミサイル攻撃で死亡したレバノン人2人の仮葬儀が行われる(2019年8月25日)

ダマスカス郊外県では、サウト・アースィマ(8月25日付)などによると、24日のイスラエル軍戦闘機によるアクラバー町一帯へのミサイル攻撃で死亡したレバノン人2人の仮葬儀が、サイイダ・ザイナブ町にあるサイイダ・ザイナブ・モスク(廟)で行われた。

ヒズブッラーの発表によると、仮葬儀が行われたのは、ハサン・ユースフ・ザイナブ氏(ナバティーヤ県ナバティーヤ郡ヌマイリーヤ村出身)とヤースィル・アフマド・ダーヒル氏(詳細不明)の2人。

遺体はレバノンに移送され、本葬儀が行われたのちに、埋葬されるという。

https://www.facebook.com/damv011/videos/1329707680530488/?__xts__%5B0%5D=68.ARC52ev-npxo1hAzeXy-9WTPL4t02chyR02FuKm185KLxJLZZCHwvGgcrmATHU_3y3Ruk78HwFvuFltzMOV4U8yEnbcEgHm7drqh37k7bsEzQlbkVqAFJpcqxKPVST1LxbuvR4lFCnVYeYTnDzeFD7EaD0NxQvy36fs4Kj7E4X0L7BZ1734e2hzpdJ1RAMDRXhgWxRbMfQHoLwl8NV7bzbXcuhizv-sM5Ztt64As-yhI8AbCbcNICFDghuK2zdFQt-m_Z4xEoGhmqXgkAnjy-h1cf-RRPbd0ELWNz7slej-G7K_TgYdl5xtjxUjZrij59u7aTLiruTJqYnA7nTHnNwmnMSD2iuHhIU50pmxP&__tn__=-R

なお、シリア人権監視団によると、ミサイル攻撃では、この2人のほかに、イラン人1人、身元不明者2人が死亡したという。

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シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構に自治を委託されているシリア救国内閣はトルコとの国境地帯にIDPsを収容するため、居住ユニット20万戸を新たに建設することを決定(2019年8月25日)

イドリブ県を中心とする反体制派支配地域の軍事・治安権限を掌握するシリアのアル=カーイダのシャーム解放機構に自治を委託されているシリア救国内閣は声明を出し、トルコとの国境地帯に国内避難民(IDPs)を収容するため、居住ユニット20万戸を新たに建設することを決定したと発表した。

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イラク領内でイラク人民動員隊の武器弾薬庫が所属不明の航空機の爆撃を受ける(2019年8月25日)

イラク人民動員隊の第45旅団は声明を出し、シリアとの国境に面するアンバール県カーイム市近郊にある同旅団の武器弾薬庫が所属不明の航空機の爆撃を受けたと発表した。

ANHA(8月25日付)などが伝えた。

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トルコの支援を受ける反体制派がシーラーワー町(アレッポ県)を砲撃(2019年8月25日)

アレッポ県では、ANHA(8月25日付)によると、トルコ軍偵察機がアフリーン郡シーラーワー町に飛来した直後、トルコ占領下のキーマール村から反体制武装集団が同地に対して砲撃が行われた。

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イスラエル人ジャーナリストは24日のイスラエル軍戦闘機によるシリアへのミサイル攻撃の映像だとして2018年の映像を拡散。SANAは作戦が失敗したことの証左だと伝える(2019年8月25日)

レバノンのMBS(8月25日付)は、24日にイスラエル軍爆撃機がダマスカス郊外県アクラバー町一帯に対して行ったミサイル攻撃に関して、イスラエル人ジャーナリストのシモン・アランがツイッターのアカウント(https://twitter.com/simonarann/)に「シリアから今配信されたビデオ」として公開した映像が、昨年の爆撃の映像だと伝えた。

https://twitter.com/simonarann/status/1165371954498588674

 

2018年8月の映像

https://www.facebook.com/100004579598508/videos/1036890249806952/

SANA(8月25日付)は、こうしたフェイクは攻撃が失敗に終わったことの証左だと伝えた。

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シリア・ロシア軍はイドリブ県を爆撃し民間人8人が死亡、シリア軍と反体制派の戦闘で兵士・戦闘員59人死亡(2019年8月25日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が爆撃を激化させてから116日目を迎えた8月25日、シリア・ロシア軍は同地への攻撃を継続、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦した。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は85回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」65発を投下、ロシア軍も50回の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は900発におよんだ。

シリア人権監視団によると、シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より67人(民間人8人(うち女性2人、子供1人)、シリア軍兵士28人、反体制武装集団戦闘員31人)増えて3,855人となった。

うち、991人が民間人(女性176人、子供245人を含む)、1,322人がシリア軍兵士、1,542人が反体制武装集団戦闘員。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でジャルジャナーズ町、カフルサジュナ村、タマーニア町、タフターヤー村、タッフ村、ダイル・シャルキー村、タッル・マンス村、マアッラト・ハルマ村、シャイフ・ムスタファー村、ヒーシュ村、ハルバ村、マアッラト・ヌウマーン市一帯、マアッルシューリーン村、スフーフン村に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでジャルジャナーズ町、カフルサジュナ町、タマーニア町、タフターヤー村、タッフ村、ダイル・シャルキー村、タッル・マンス村、トゥラムラー村、スフーフン村、カフル・ウワイド村に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が県南部および南東部の戦闘地域を砲撃した。

ロシア軍もタフターヤー村、タッフ村、ダイル・シャルキー村、タッル・マンス村、フィキーア村、マアッラト・スィーン村、ハザーリーン村を爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月25日付)によると、タッル・マンス村に対するシリア軍の爆撃で、民間人5人が、マアッラト・ヌウマーン市近郊(ハーッス村)に対する爆撃で1人が死亡した。

一方、SANA(8月25日付)によると、シリア軍がマアッラト・ヌウマーン市、タッフ村、タッル・マンス村、マアッルシューリーン村、ジャルジャナーズ町、ダイル・シャルキー村にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

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ハマー県では、SANA(8月25日付)によると、反体制武装集団が県北部のラスィーフ村を砲撃し、女性1人が死亡、1人が負傷した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがカッバーナ村一帯に「樽爆弾」を投下するとともに、地上部隊が同地を砲撃した。

ロシア軍もカッバーナ村一帯を爆撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊が県南部の戦闘地域を砲撃した。

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ダルアー県では、HFL(8月25日付)によると、ムザイリーブ町でアフマド・アブドゥッラー・ナーブルスィー町議会議長が何者かの銃撃を受け、即死した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を28件(アレッポ県12件、ラタキア県15件、イドリブ県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を8件(ヒムス県3件、ハマー県3件、ラタキア県2件)確認した。

AFP, August 25, 2019、ANHA, August 25, 2019、AP, August 25, 2019、al-Durar al-Shamiya, August 25, 2019、HFL, August 25, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 25, 2019、Reuters, August 25, 2019、SANA, August 25, 2019、SOHR, August 25, 2019、UPI, August 25, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから409人、ヨルダンから996人の難民が帰国、避難民0人が帰宅(2019年8月25日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(8月25日付)を公開し、8月24日に難民1,405人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは409人(うち女性123人、子供209人)、ヨルダンから帰国したのは996人(うち女性299人、子供508人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は369,903人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者117,284人(うち女性35,342人、子ども59,741人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者252,619人(うち女性75,819人、子ども128,824人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,634,214人(うち女性1,990,264人、子供3,383,449人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 599,183人(うち女性179,819人、子供305,487人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, August 25, 2019をもとに作成。

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