シリアのアル=カーイダに自治を委託されているシリア救国内閣は増加する国内避難民を保護する措置を決定、収容キャンプを増設(2019年8月18日)

イドリブ県を中心とする反体制派支配地域(緊張緩和地帯第1ゾーン)における軍事・治安権限を握るシリアのアル=カーイダことシャーム解放機構に自治を委託されているシリア救国内閣(ファウワーズ・ヒラール首班)は緊急会合を開催し、シリア・ロシア軍の攻撃で増加を続ける国内避難民(IDPs)を保護するための一連の決定を下した。

シャーム解放機構に近いイバー・ネット(8月18日付)が伝えた。

シリア救国内閣が決定したのは、IDPsの発生に便乗した家賃の値上げを規制する措置、賃貸契約の契約破棄や立ち退きを規制する措置。

シリア救国内閣はまた、これと合わせてトルコとの国境に近い複数カ所に、1,000世帯を収容できるIDPsのための新たなセンターを開設した。

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国連使節団がルクバーン・キャンプに入り、避難民の生活状態、シリア政府支配地域への帰還の是非について調査(2019年8月18日)

国連の使節団が、シリア赤新月社とともに、米主導の有志連合の占領下にあるヒムス県南東部のタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプに入り、キャンプ内で国内避難民(IDPs)の生活状況や、キャンプからシリア政府支配地域への帰還の是非についての意識調査を実施した。

キャンプの総務政治関係委員会の代表を務めるというシュクリー・シハーブ氏が、イナブ・バラディー(8月18日付)に述べたところによると、使節団がキャンプに到着したのは17日。

IDPsの実態調査を行う一方で、人道支援の搬入などについて総務政治関係委員会と協議したという。

この協議には、ヒムス県タドムル市部族評議会、地元評議会の代表も参加し、今月末までに人道支援を搬入することが合意されたという。

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ラッカ市、カーミシュリー市で北・東シリア自治局の治安部隊を狙った爆破事件が発生する一方、ラッカ県のシリア軍を拠点をダーイシュが襲撃(2019年8月18日)

ラッカ県では、「ラッカは沈黙によって惨殺される」(8月18日付)によると、北・東シリア自治局傘下のラッカ民政評議会所属の総合治安部隊のハファール・ジャマール司令官が乗った車が、ラッカ市内で何者かの襲撃を受け、ジャマール司令官が死亡、随行していた4人が負傷した。

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ラッカ県では、ジュルフ・ニュース(8月18日付)によると、県東部の砂漠地帯に設置されたシリア軍拠点2カ所が、ダーイシュ(イスラーム国)の襲撃を受け、兵士5人が死亡、数十人が負傷した。

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ハサカ県では、SANA(8月18日付)によると、北・東シリア自治局とシリア政府が共同支配するカーミシュリー市のアルバウィーヤ地区で車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、住民多数が負傷した。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月18日付)によると、爆発はアルバウィーヤ地区の男子工業学校近くに設置されている北・東シリア自治局のアサーイシュの検問所を狙ったもので、隊員1人が死亡、複数が負傷した。

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トルコとその支援を受ける反体制武装集団が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊を砲撃(2019年8月18日)

アレッポ県では、ANHA(8月18日付)によると、トルコとその支援を受ける反体制武装集団が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のシャワーリガ村、マーリキーヤ村(いずれもアフリーン郡シャッラー村近郊)を砲撃した。

トルコ軍と反体制武装集団はまた、マルアナーズ村、アルカミーヤ村、アイン・ダクナ村、マンナグ村に対しても砲撃を行った。

一方、アフリーン解放軍団は声明を出し、17日にトルコ占領下のアフリーン市、マーリア市近郊、アアザーズ市でシャーム自由人イスラーム運動、シャーム戦線などの検問所、拠点、車輌を攻撃し、6人を殺害したと発表した。

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トルコ占領下のアレッポ県北部で活動する反体制派の増援部隊が、シリアのアル=カーイダなどからなる反体制派を支援するためイドリブ県に到着(2019年8月18日)

トルコ占領下のいわゆる「ユーフラテスの盾」地域と「オリーブの枝」地域(アレッポ県北部)で活動する国民軍は、シャーム解放機構、国民解放戦線、イッザ軍などからなる「必勝」作戦司令室を支援するため、増援部隊をイドリブ県に派遣、複数の活動家がその車列の写真を公開した。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月18日付)によると、イドリブ県に派遣されたのは、国民軍第1軍団に所属するハムザ師団、東部自由人連合の戦闘員数十人で、装甲車、重火器、中火器、軽火器を装備している。

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シリア軍が反体制派の拠点都市ハーン・シャイフーン市に迫るなか、ロシア軍はホワイト・ヘルメットの救急チーム、ウマイヤ朝カリフの廟などを爆撃(2019年8月18日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が爆撃を激化させてから109日目を迎えた8月18日、シリア・ロシア軍は同地への攻撃を継続、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦した。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は120回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」40発を投下、ロシア軍も65回の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は1,500発におよんだ。

シリア人権監視団によると、シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より101人(民間人4人(うち女性0人、子供1人)、シリア軍兵士35人、反体制武装集団戦闘員62人)増えて3,592人となった。

うち、945人が民間人(女性172人、子供237人を含む)、1,228人がシリア軍兵士、1,419人が反体制武装集団戦闘員。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊が反体制派の拠点都市の一つハーン・シャイフーン市北西部に進攻し、反体制武装集団と激しく交戦した。

SANA(8月18日付)によると、シリア軍がシャーム解放機構などからなる反体制武装集団との戦闘の末、ハーン・シャイフーン市西方を新たに制圧した。

ムラースィルーン(8月18日付)によると、シリア軍が制圧したのはハーン・シャイフーン市西のナール丘。

一方、シャーム解放機構のアブー・ハーリド・シャーミー報道官は報道向け声明を出し、シリア軍がハーン・シャイフーン市内に突入したとの一部情報を否定、シャーム解放機構、国民解放戦線、イッザ軍などからなる「必勝」作戦司令室が、同市西のファキール村一帯でシリア軍、「イランの民兵」、「ロシアの民兵」と激しく交戦中だと発表した。

国民解放戦線のナージー・ムスタファー報道官(大尉)も、シリア軍をハーン・シャイフーン市西方の前線で撃退したと発表した。

なお、シリア人権監視団によると、シリア軍は戦闘機でハーン・シャイフーン市、ラカーヤー村、タッル・タルイー村、カフルサジュナ村、マアッラト・ヌウマーン市、マアッラト・ハルマ村、ハーミディーヤ村、タマーニア町、ヒーシュ村、ハーッス村に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでシリア政府支配地域と反体制派支配地域の境界地帯に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が県南部の戦闘地域を砲撃した。

ロシア軍もカフルサジュナ一帯、ダイル・シャルキー村、ハザーリーン村、ヒーシュ村、シャイフ・ダーミス村、ハーン・シャイフーン市、タッル・マンス村、ハーミディーヤ村、ハーッス村を爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月18日付)によると、ロシア軍戦闘機はマアッラト・ヌウマーン市を爆撃した後、負傷者の救出に駆けつけたホワイト・ヘルメットの救急チームに対しても爆撃を加え、市民1人を殺害、隊員2人を負傷させたという。

ロシア軍はまたダイル・シャルキー村にあるウマル・ブン・アブドゥルアズィーズ(ウマイヤ朝第8代カリフ)の廟を爆撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカフルズィーター市、ラターミナ町、ムーリク市、ラハーヤー村に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊が県北部および北西部の戦闘地域を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがカッバーナ村一帯に「樽爆弾」を投下するとともに、地上部隊が同地を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を35件(アレッポ県15件、イドリブ県2件、ラタキア県18件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を11件(イドリブ県2件、ハマー県9件)確認した。

AFP, August 18, 2019、ANHA, August 18, 2019、AP, August 18, 2019、al-Durar al-Shamiya, August 18, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 18, 2019、Murasilun , August 18, 2019、Reuters, August 18, 2019、SANA, August 18, 2019、SOHR, August 18, 2019、UPI, August 18, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから312人、ヨルダンから647人の難民が帰国、避難民0人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年8月18日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(8月18日付)を公開し、8月17日に難民959人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは312人(うち女性94人、子供159人)、ヨルダンから帰国したのは647人(うち女性194人、子供330人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は360,988人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者114,365人(うち女性34,465人、子ども58,251人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者246,623人(うち女性74,020人、子ども125,766人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 590,268人(うち女性177,143人、子供300,939人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,634,214人(うち女性1,990,264人、子供3,383,449人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, August 18, 2019をもとに作成。

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