ロシア大統領府のペスコフ報道官「アサド大統領が新型コロナウイルス感染治療のためにロシアに支援を要請したとする問題をは承知していない」(2021年3月9日)

ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、アサド大統領とアスマー・アフラス夫人が新型コロナウイルス感染症に感染したとのシリア大統領府の発表(3月8日)に関してコメントした。

ペスコフ報道官は、アサド大統領夫妻が治療のためにロシアへの訪問を計画しているとする一部情報について、「アサド大統領が治療のためにロシアに支援を要請したとする問題を承知していない。だが、仮にそうしたことが起これば、プーチン大統領はいかなる呼びかけにも応じる用意はある」と述べた。

AFP, March 9, 2021、ANHA, March 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, March 9, 2021、Reuters, March 9, 2021、SANA, March 9, 2021、SOHR, March 9, 2021などをもとに作成。

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シリア人権監視団は「体制の意思決定者に非常に近い複数の情報筋」の情報をもとに、アサド大統領夫妻の新型コロナウイルス感染が国民からの同情を得ることを狙った策だと断じる(2021年3月9日)

シリア人権監視団は「体制の意思決定者に非常に近い複数の情報筋」の情報をもとに、アサド大統領とアスマー・アフラス夫人が新型コロナウイルス感染症に感染したとする3月8日の大統領府の発表が、貧困と経済低迷のなかで、政権を支持する国民からの同情を得ることを狙った策で、実際に感染してはいないと断じた。

「体制の意思決定者に非常に近い複数の情報筋」が誰なのかは不明。

AFP, March 9, 2021、ANHA, March 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, March 9, 2021、Reuters, March 9, 2021、SANA, March 9, 2021、SOHR, March 9, 2021などをもとに作成。

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アブドゥッラーUAE外務大臣「シリアとの連携・協業が直面する最大の脅威は米シーザー法だ」(2021年3月9日)

UAEのアブドゥッラー・ビン・ザーイド外務大臣は、アブダビでロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣との会談に開かれた共同記者会見で、シーザー・シリア市民保護法を批判した。

アブドゥッラー外務大臣は「シリアをアラブ周辺諸国のなかに復帰させるための計画を始めるために地域の協力と活動が必要」としたうえで、「シリアとの連携・協業が直面する最大の脅威は、シーザー法だ…。シーザー法が今のまま残れば、この問題はきわめて困難なものになる」と述べた。

AFP, March 9, 2021、ANHA, March 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, March 9, 2021、Reuters, March 9, 2021、SANA, March 9, 2021、SOHR, March 9, 2021などをもとに作成。

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シリア民主軍がトルコ占領下のアレッポ県カフルハーシル村一帯に進攻し、シリア国民軍と交戦(2021年3月9日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がトルコ占領下のカフルハーシル村一帯に進攻を試み、トルコの支援を受けるシリア国民軍と交戦、シリア国民軍の戦闘員1人が死亡した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるラアス・アイン市近郊に設置されている国民軍の検問所近くで爆弾が仕掛けられていた車が爆発し、戦闘員8人が負傷した。

AFP, March 9, 2021、ANHA, March 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, March 9, 2021、Reuters, March 9, 2021、SANA, March 9, 2021、SOHR, March 9, 2021などをもとに作成。

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米主導の有志連合使節団がブサイラ市の中部地区民政評議会メンバーと会合、同評議会の活動を視察(2021年3月9日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合の使節団が、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるブサイラ市を訪問、同地に設置された中部地区の民政評議会のメンバーと会合を開いた。

北・東シリア自治局の支配下にあったダイル・ザウル県ユーフラテス川東岸地域では、2月22日、西部地区、東部地区、北部地区、中部地区という四つの地区に分割し、自治を行うことが合意されていた。

有志連合の使節団には、米軍ヘリコプター複数機と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍・内務治安部隊(アサーイシュ)の部隊が同行、中部地区の活動を視察、ブサイラ市、CONOCO油田、シュハイル村などを巡回した。

AFP, March 9, 2021、ANHA, March 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, March 9, 2021、Reuters, March 9, 2021、SANA, March 9, 2021、SOHR, March 9, 2021などをもとに作成。

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フール・キャンプ第2区でイラク人難民の遺体が発見される(2021年3月9日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の管理下にあるフール・キャンプ第2区で、イラク人難民の遺体が発見された。

トルコで活動する独立系シンクタンクのジュスール研究所が2020年9月1日に発表したレポートによると、フール・キャンプは6つの区画、8つのブロックから構成されている。

6つの区画のうち、第1区には、ダーイシュ(イスラーム国)とつながりがない国内避難民(IDPs)、第2区と第3区にはイラク難民、第4区にはダーイシュとつながりがあるとされるIDPs、第5区には欧州出身のダーイシュ戦闘員の家族、そして第6区にはそれ以外の外国人戦闘員の家族が収容されている。

一方、8つのブロックのうち、第1、2、3、7ブロックにはイラク人難民が、第5、6、8ブロックにはシリア人IDPsが、第4ブロックにはイラク人難民とシリア人IDPsの両方が収容されている。

また、この8ブロックとは別に、シリア、イラク以外の国の出身者が収容されている。

AFP, March 9, 2021、ANHA, March 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, March 9, 2021、Reuters, March 9, 2021、SANA, March 9, 2021、SOHR, March 9, 2021などをもとに作成。

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ハサカ県ダルバースィーヤ市近郊のシーリーク村に設置された軍用通行所で、ロシア軍とトルコ軍の部隊が会合(2021年3月9日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるダルバースィーヤ市近郊のシーリーク村に設置された軍用の通行所で、ロシア軍とトルコ軍の部隊が会合を行い、その後、ダルバースィーヤ市近郊からアブー・ラースィーン町近郊の国境地帯で合同パトロールを実施した。

シリア人権監視団の協力者が会合の現場を撮影することに成功したが、途中でロシア軍兵士によって撮影を制止された。

AFP, March 9, 2021、ANHA, March 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, March 9, 2021、Reuters, March 9, 2021、SANA, March 9, 2021、SOHR, March 9, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で87人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で3人(2021年3月9日)

保健省は政府支配地域で新たに75人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者87人が完治し、6人が死亡したと発表した。

これにより、3月9日現在の同地での感染者数は計16,117人、うち死亡したのは1,074人、回復したのは10,541人となった。

SANA(3月9日付)が伝えた。

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反体制派系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で3月9日に新たに3人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、15人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡0人、イドリブ郡0人、ハーリム郡1人、アリーハー郡1人、アレッポ県スィムアーン山郡0人、ジャラーブルス郡0人、バーブ郡0人、アフリーン郡1人、アアザーズ郡0人。

これにより、同地での感染者数は計21,214人、うち回復したのは19,119人、死亡したのは637人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1530194537185432/

AFP, March 9, 2021、ACU, March 9, 2021、ANHA, March 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, March 9, 2021、Reuters, March 9, 2021、SANA, March 9, 2021、SOHR, March 9, 2021などをもとに作成。

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シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方、M4高速道路沿線のトルコ軍拠点一帯を砲撃(2021年3月9日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のファッティーラ村、スフーフン村、カンスフラ村、ルワイハ村、バイニーン村、フライフィル村、バーラ村一帯、そしてM4高速道路沿線のナイラブ村に設置されているトルコ軍拠点一帯を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

シリア軍が発射した砲弾は225発以上に達した。

これに対して、「決戦」作戦司令室は、シリア政府の支配下にあるサラーキブ市、タッル・マルディーフ村、ダーディーフ村を手製のロケット弾などで砲撃し、ダーディーフ村では、シリア軍兵士3人が死亡、10人が負傷した。

一方、トルコ軍憲兵隊がダルクーシュ町方面から越境しようとしたシリア人男性1人を射殺した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるサナマイン市のビラール・モスク前で爆弾が爆発し、住民1人が死亡した。

また、ヤードゥーダ村とムザイリーブ町を結ぶ街道で、シリア軍第4師団の中尉が何者かの発砲を受けて死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を18件(イドリブ県7件、ラタキア県6件、アレッポ県3件、ハマー県2件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は18件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を5件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, March 9, 2021、ANHA, March 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, March 9, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, March 9, 2021、Reuters, March 9, 2021、SANA, March 9, 2021、SOHR, March 9, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民58人と国内避難民(IDPs)643人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は650,117人、2019年以降帰還したIDPsは78,171人に(2021年3月9日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(3月9日付)を公開し、3月8日に難民58人(うち女性18人、子供30人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民58人(うち女性18人、子供30人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は650,117人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者254,869人(うち女性76,611人、子ども129,708人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,740,681人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は879,397人(うち女性263,887人、子供448,199人)となった。

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一方、国内避難民の新たな帰宅はなかった。

2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は78,171人(うち女性28,321人、子供29,878人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,346,767人(うち女性410,880人、子供673,644人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, March 9, 2021をもとに作成。

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