『ガーディアン』:地域情勢の変化がシリア・サウジ関係の緊張緩和を促した(2021年5月4日)

『ガーディアン』(5月4日付)は、ハーリド・フマイダーン総合情報部長官(大将)を代表とするサウジアラビアの使節団がシリアを訪問し、アサド大統領、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長と会談、二国間関係の改善と国交回復について意見を交わしたとの報道に関して、サウジ高官の話として、地域情勢の変化が二国間関係の緊張緩和を促したと伝えた。

AFP, May 5, 2021、ANHA, May 5, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 5, 2021、The Guardian, May 4, 2021、Reuters, May 5, 2021、SANA, May 5, 2021、SOHR, May 5, 2021などをもとに作成。

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マルイー氏が「不道徳な写真」の公開を受けて大統領選挙の立候補を辞退したとの情報が拡散される(2021年5月4日)

ステップ・ニュース(5月4日付)は、マフムード・マルイー氏が最高憲法裁判所による大統領選挙の立候補届受理の「数分後」に、立候補を辞退したとの情報を複数の活動家が拡散している伝えた。

複数の活動家によると、2016年以降に撮影された「不道徳」なビデオや写真がネット上で公開されたことが立候補辞退の理由。

活動家らによると、この写真は、シリアの諜報機関があるホテル内で撮影・拡散したもので、全裸のマルイー氏が写っているという。

https://twitter.com/Muhammad_Nour91/status/1389214740644196354?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1389214740644196354%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fstepagency-sy.net%2F2021%2F05%2F04%2Fd8a3d986d8a8d8a7d8a1-d8b9d986-d8a7d986d8b3d8add8a7d8a8-d985d8add985d988d8af-d985d8b1d8b9d98a%2F

 

https://twitter.com/manxdron/status/1389172040649740289?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1389172040649740289%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=

 

 

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また、作家で活動家のミシュアル・アダウィー氏はビデオ・メッセージを配信し、諜報機関が2016年に国内で反体制活動を続けるマイス・クライディー氏にマルイー氏の非道徳な写真を撮影する任務を与えていたとしたうえで、大統領選挙というタイミングに合わせて、その公開に踏み切ったと主張した。

https://video.stepvideograph.net/wp-content/uploads/2021/05/videoplayback-5.mp4?_=1

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なお、立候補辞退についての情報を否定する書き込みも散見される。

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マルイー氏は、国内で反体制活動を続ける指導者の一人で、シリア・アラブ人権機構代表、2014年に国民民主行動委員会を結成し書記長を務めた後、シリア民主戦線を結成し、現在、同戦線の書記長を務める。

制憲委員会(憲法制定委員会)の反体制派代表の1人でもある。

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一方、クライディー氏は、2011年の「アラブの春」がシリアに波及した直後から反体制活動を本格化させ、民主的変革諸勢力国民調整委員会に参加、副委員長を務めた。

諜報機関の脅迫を受けた彼女は、シリアを離れ、ヨルダン、トルコ、エジプトで活動を続けたのち、2014年に帰国、国内で、マルイー氏とともに国民民主行動委員会を結成、制憲委員会(憲法制定委員会)の反体制派代表となり、小委員会メンバーにも選出された。

なお、イナブ・バラディーは、マルイー氏とクライディー氏の活動を伝えた2017年2月16日付の報道で、クライディー氏を「ポルノ監督」と評していた。

AFP, May 4, 2021、ANHA, May 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 4, 2021、‘Inab Baladi, May 4, 2021、Reuters, May 4, 2021、SANA, May 4, 2021、SOHR, May 4, 2021などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県東部のシャンナーン村で、住民が運転する車に、所属不明の無人航空機(ドローン)が撃ったと思われるミサイルが直撃し、住民1人が死亡(2021年5月4日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にある県東部のシャンナーン村で、住民が運転する車に、所属不明の無人航空機(ドローン)が撃ったと思われるミサイルが直撃し、住民1人が死亡した。

AFP, May 4, 2021、ANHA, May 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 4, 2021、Reuters, May 4, 2021、SANA, May 4, 2021、SOHR, May 4, 2021などをもとに作成。

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ロシア軍戦闘機が、アレッポ県、ハマー県、ラッカ県の県境に位置する砂漠地帯で、ダーイシュを狙って激しい爆撃(2021年5月4日)

シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が、アレッポ県、ハマー県、ラッカ県の県境(ハマー県イスリヤー村近郊)に位置する砂漠地帯で、ダーイシュ(イスラーム国)を狙って激しい爆撃を実施した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、カム石油ステーション近くでシリア軍の車輌複数輛を要撃し、兵士2人が死亡、複数が負傷した。

AFP, May 4, 2021、ANHA, May 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 4, 2021、Reuters, May 4, 2021、SANA, May 4, 2021、SOHR, May 4, 2021などをもとに作成。

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アルヌース内閣は「人民防衛諸部隊」の負傷者に対して月5万シリア・ポンドの補償金を支払うことを決定(2021年5月4日)

フサイン・アルヌース内閣は週例の閣議を開催し、「人民防衛諸部隊」(国防隊などの民兵)の負傷者のうち、40~65%の障害が残っている者に対して、月5万シリア・ポンドの補償金を支払うことを決定した。

AFP, May 4, 2021、ANHA, May 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 4, 2021、Reuters, May 4, 2021、SANA, May 4, 2021、SOHR, May 4, 2021などをもとに作成。

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トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊を砲撃(2021年5月4日)

アレッポ県では、SANA(5月4日付)、ANHA(5月4日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のマルアナーズ村、ハルバル村、シャイフ・イーサー村、シャイフ・ヒラール村、アルカミーヤ村を砲撃した。

ANHA(5月4日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍はまた、マンビジュ市北東のジャート村を砲撃した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるタッル・アブヤド市をトルコのシャンルウルファ県知事が訪問し、シナイの市場などを視察した。

AFP, May 4, 2021、ANHA, May 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 4, 2021、Reuters, May 4, 2021、SANA, May 4, 2021、SOHR, May 4, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で74人、北・東シリア自治局支配地域で91人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で23人(2021年5月4日)

保健省は政府支配地域で新たに74人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者190人が完治し、7人が死亡したと発表した。

これにより、5月4日現在の同地での感染者数は計23,051人、うち死亡したのは1,617人、回復したのは17,529人となった。

SANA(5月4日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに91人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者13人が完治し、14人が死亡したと発表した。

これにより、5月4日現在の同地での感染者数は計16,275人、うち死亡したのは629人、回復したのは1,667人となった。

新規感染者の性別の内訳は、男性44人、女性47人。

また地域の内訳は、ハサカ県のハサカ市9人、カーミシュリー市11人、マーリキーヤ(ダイリーク)市4人、ダルバースィーヤ市2人、タッル・タムル町1人、ルマイラーン町1人、ジュワーディーヤ(ジャッル・アーガー)村1人、アレッポ県のアイン・アラブ(コバネ)市3人、マンビジュ市7人、ラッカ県のラッカ市27人、タブカ市16人、ダイル・ザウル県1人。

ANHA(5月4日付)が伝えた。

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反体制派系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で5月4日に新たに23人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、17人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡0人、イドリブ郡2人、ハーリム郡4人、アリーハー郡1人、アレッポ県スィムアーン山郡1人、ジャラーブルス郡2人、バーブ郡6人、アフリーン郡6人、アアザーズ郡1人。

これにより、同地での感染者数は計22,069人、うち回復したのは20,078人、死亡したのは655人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1569943366543882/

AFP, May 4, 2021、ACU, May 4, 2021、ANHA, May 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 4, 2021、Reuters, May 4, 2021、SANA, May 4, 2021、SOHR, May 4, 2021などをもとに作成。

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シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるイドリブ県カルクール村近郊で、トルキスタン・イスラーム党の車輌をミサイル攻撃し、戦闘員2人を殺害(2021年5月4日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるカルクール村近郊で、トルキスタン・イスラーム党の車輌をミサイル攻撃し、戦闘員2人を殺害した。

シリア軍はまた、ガーブ平原のカストゥーン村、ザイズーン村を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるズィヤーディーヤ村を砲撃し、女性1人が死亡した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

シリア軍はまた「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方各所を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるミーズナーズ村、カフル・ヌーラーン村を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるウンム・ワラド村でシリア軍兵士2人が何者かの襲撃を受けて死亡した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるウンム・バーティナ村、ジャバー村の近郊にあるシリア軍の拠点が正体不明の武装集団の襲撃を受け、激しい戦闘となった。

この戦闘の数時間前、ロシア軍使節団がウンム・バーティナ村を訪問、地元の名士と会談していた。

ロシア軍使節団の訪問は5月3日の現地でのシリア軍襲撃事件を受けたものと思われる。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を28件(イドリブ県15件、ラタキア県11件、アレッポ県1件、ハマー県1件)確認したと発表した。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を17件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, May 4, 2021、ANHA, May 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 4, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, May 4, 2021、Reuters, May 4, 2021、SANA, May 4, 2021、SOHR, May 4, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民271人と国内避難民(IDPs)132人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は662,483人、2019年以降帰還したIDPsは85,676人に(2021年5月4日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(5月4日付)を公開し、5月3日に難民271人(うち女性81人、子供138人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民271人(うち女性81人、子供138人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は662,483人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者266,235人(うち女性80,827人、子ども135,016人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,749,518人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は891,763人(うち女性267,603人、子供454,507人)となった。

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一方、国内避難民132人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは130人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは2人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所経由の帰還者のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は2人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は85,676人(うち女性31,747人、子供31,377人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,354,272人(うち女性414,306人、子供675,143人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, May 4, 2021をもとに作成。

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