タス通信はシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構のジャウラーニー指導者が英MI6代表と会談したと伝える、英外務省はノーコメント、シャーム解放機構は否定(2021年5月31日)

タス通信(5月31日付)は、ロシア外交筋の話として、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者が英国の諜報機関MI6代表のジョナサン・パウエル氏と最近になって会談していたと伝えた。

ロシア外交筋によると、会談は、トルコ国境に面するイドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所近くで行われ、シャーム解放機構をテロ組織のブラックリストから削除することの是非について意見を交わした。

会談では、西側諸国を標的としないと明言し、協力関係を築く旨をシャーム解放機構が宣言するという提案がジャウラーニー指導者からなされたという。

これに対して、パウエル氏は、米国のジャーナリストの取材に応じるなどしてイメージ改善に努めれば、英国、さらには米国もこうした動きに同調するとアドバイスしたという。

会談ではまた、両者間の連絡を継続することで合意したという。

なお、英国外務省報道官は、タス通信の取材に対して「本件に関していかなるコメントもしない」と述べた。

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これに対して、シャーム解放機構の広報関係局は6月1日に声明を出し、報道内容を否定した。

イバー・ネット(6月1日付)が伝えた。

AFP, June 1, 2021、ANHA, June 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, June 1, 2021、Reuters, June 1, 2021、SANA, June 1, 2021、SOHR, June 1, 2021、TASS, May 31, 2021などをもとに作成。

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トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市北東一帯を砲撃(2021年5月31日)

アレッポ県では、ANHA(5月31日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市北東のフーシャリーヤ村、ジャート村を砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるアアザーズ市上空に飛来した所属不明の偵察用の無人航空機(ドローン)がシリア国民軍が撃破した。

AFP, May 31, 2021、ANHA, May 31, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2021、Reuters, May 31, 2021、SANA, May 31, 2021、SOHR, May 31, 2021などをもとに作成。

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反体制派がシリア政府支配地域での中高等学校修了試験の受験を希望する生徒の移動を禁じていることに抗議するデモが政府支配下のハーン・シャイフーン市で行われる(2021年5月31日)

イドリブ県では、SANA(5月31日付)によると、シャーム解放機構を主体とする反体制派が、シリア政府支配下のハマー県での中高等学校の修了試験の受験を希望する生徒の移動を禁じていることに抗議するデモが、政府支配下のハーン・シャイフーン市で行われた。

デモには、農民総連合イドリブ県支部長、シリア学生連合イドリブ県支部メンバーらが参加した。

デモ参加者は、「エルドアンを頭目とする世界テロリズムが、私たちの子供たちの教育を禁じている」などと書かれたプラカードを掲げて、抗議の意思を示した。

AFP, May 31, 2021、ANHA, May 31, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2021、Reuters, May 31, 2021、SANA, May 31, 2021、SOHR, May 31, 2021などをもとに作成。

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シリア各地でアサド大統領の再選を祝う祝典が続く(2021年5月31日)

シリア各地で、5月26日深夜、27日、28日、29日、30日に続いて、アサド大統領の再選を祝う祝典が行われた。

SANA(5月31日付)によると、祝典が行われたのは、ダルアー県のダルアー市、ダマスカス郊外県キスワ市、ダマスカス県のティシュリーン・スポーツ・シティ、ヒムス県のムハッラム町、タルトゥース県のミスヤーフ市、カドムース町、ラタキア県のシール村など。

ダルアー県


ダマスカス郊外県


ダマスカス県


ヒムス県


タルトゥース県



ラタキア県

AFP, May 31, 2021、ANHA, May 31, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2021、Reuters, May 31, 2021、SANA, May 31, 2021、SOHR, May 31, 2021などをもとに作成。

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北・東シリア自治局の内部治安部隊(アサーイシュ)はマンビジュ市一帯で発生したシリア民主軍の徴兵に抗議するデモを弾圧、1人を殺害、自治局に近いメディアは「シリア軍と住民が衝突した」と虚偽報道(2021年5月31日)

アレッポ県では、SNN(5月31日付)、オリエント・ニュース(5月31日付)、バス・ニュース(5月31日付)、シリア人権監視団などによると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市と周辺の農村で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の徴兵に抗議するゼネストとデモが発生した。

バス・ニュースによると、ゼネストとデモは、シリア民主軍が徴兵と称して学生、教師、職員を不当に拘束し続けていることへの抗議行動が複数の活動家によって呼びかけたのを受けたもの。

シャーム・ネットワークが複数の地元筋の話として伝えたところによると、マンビジュ市、同市近郊のフドフード村、カルサーン村、アウン村、ジャート村、ハイヤ村、アブー・キルキル町など15カ町村以上の住民が呼びかけに応じた。

これに対して、北・東シリア自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)が強制解除を試み、デモ参加者に対して実弾を発砲、シリア人権監視団によると、フドフード村で、若者1人が死亡、3人が負傷した。

また、バス・ニュースが複数の地元筋の話として伝えたところによると、マンビジュ市では、若者数百人が中心街のサラブ地区で抗議行動を行う一方、アウン村、ジャート村、フドフード村、カラ・クーザーク橋に至る街道を、タイヤを燃やすなどして封鎖した。

アサーイシュは同市でも、実弾を発砲して強制排除を試み、参加者多数(バス・ニュースによると6人)を拘束した。

シリア人権監視団によると、犠牲者が出たことで、過激化した一部参加者は、アサーイシュの検問所複数カ所を襲撃したという。




https://twitter.com/Wseem_HN/status/1399380738022182916?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1399380738022182916%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.enabbaladi.net%2Farchives%2F485333

 

一連の騒動に関して、北・東シリア自治局に近いANHA(5月31日付)は、「一部住民とシリア軍兵士が交戦し、複数の犠牲者が出た」と伝えた。

また、北・東シリア自治局傘下のマンビジュ市および同郊外民主民政評議会が声明を出し、6月1日深夜までの48時間の外出禁止令を発出した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(5月31日付)によると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるカシュキーヤ村で、「人民諸派」がシリア民主軍の拠点に仕掛けた爆弾が爆発し、兵士1人が負傷した。

またヒサーン村で、「人民諸派」がシリア民主軍の車輌に仕掛けた爆弾が爆発し、兵士4人が負傷した。

さらに、シリア人権監視団によると、ジュナイナ村のモスクの前で、正体不明の武装集団が宗教関係者1人を銃で撃って殺害した。

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ハサカ県では、SANA(5月31日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・タムル町近郊のイスカンダルーン村近くをパトロール中のシリア民主軍の部隊を「人民諸派」が襲撃し、兵士2人を殺害した。

AFP, May 31, 2021、ANHA, May 31, 2021、Basnews, May 31, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2021、Orient News, May 31, 2021、Reuters, May 31, 2021、SANA, May 31, 2021、SNN, May 31, 2021、SOHR, May 31, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で28人、北・東シリア自治局支配地域で35人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で105人(2021年5月31日)

保健省は政府支配地域で新たに28人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者6人が完治し、4人が死亡したと発表した。

これにより、5月31日現在の同地での感染者数は計24,495人、うち死亡したのは1,770人、回復したのは21,604人となった。

SANA(5月31日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに35人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者6人が完治し、3人が死亡したと発表した。

これにより、5月31日現在の同地での感染者数は計17,857人、うち死亡したのは729人、回復したのは1,857人となった。

新規感染者の性別の内訳は、男性17人、女性14人。

また地域の内訳は、ハサカ県のハサカ市8人、カーミシュリー市3人、マーリキーヤ(ダイリーク)市4人、アームーダー市3人、アレッポ県のシャフバー地区(タッル・リフアト市)1人、フール・キャンプ2人、ラッカ県のラッカ市11人。

ANHA(5月31日付)が伝えた

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反体制派系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で5月31日に新たに105人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、11人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡0人、イドリブ郡8人、ハーリム郡12人、アリーハー郡7人、アレッポ県スィムアーン山郡0人、ジャラーブルス郡3人、バーブ郡20人、アフリーン郡21人、アアザーズ郡34人。

これにより、同地での感染者数は計23,541人、うち回復したのは20,644人、死亡したのは670人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1589362874601931/

 

AFP, May 31, 2021、ACU, May 31, 2021、ANHA, May 31, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2021、Reuters, May 31, 2021、SANA, May 31, 2021、SOHR, May 31, 2021などをもとに作成。

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習近平国家主席、南オセチア大統領、クリミア首長がアサド大統領の再選に祝電を送る(2021年5月31日)

習近平国家主席は5月31日にアサド大統領に祝電を送り、シリアの大統領に再選されたことに祝意を示した。

習主席は祝電のなかで、以下のような言葉を寄せた。

シリアはもっとも早く中華人民共和国と国交を樹立したアラブ国家の一つとして、中国と長い友好関係を持っている。
私は両国関係の発展を大変重視しており、今年は国交樹立65周年を契機に、両国関係がより大きな成果をあげるようアサド大統領と共に努力していきたい。
中国はシリアが国家主権、独立と領土保全を守ることを強く支持し、新型コロナ感染症対策や経済の振興、民生の改善に力の及ぶ限り援助を提供し、両国の協力を絶えず向上させるよう推し進めていきたい。

中国国際放送局(6月1日付)が伝えた。

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アサド大統領はまた、南オセチア共和国のアナトリー・ビビロフ大統領、ロシア連邦クリミア共和国のセルゲイ・アクショーノフ首長からも祝電を受け取った。

SANA(6月1日付)が伝えた。

AFP, June 1, 2021、ANHA, June 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, June 1, 2021、Reuters, June 1, 2021、SANA, June 1, 2021、SOHR, June 1, 2021、中国国際放送局2021年6月1日などをもとに作成。

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シャーム解放機構がジスル・シュグール市で新興のアル=カーイダ系組織の一つのアンサール・イスラームの戦闘員4人を逮捕(2021年5月31日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構がジスル・シュグール市で、新興のアル=カーイダ系組織の一つのアンサール・イスラームの戦闘員4人を逮捕した。

一方、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のバイニーン村、ルワイハ村、サルジャ村一帯、カンスフラ村、バーッラ村、ファッティーラ村、フライフィル村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のアンカーウィー村とクライディーン村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるシャムルワーン村、タッル・スルール村を砲撃した。

3県でのシリア軍の砲撃は140発以上に達したという。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を46件(イドリブ県22件、ラタキア県12件、アレッポ県4件、ハマー県8件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は33件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を25件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, May 31, 2021、ANHA, May 31, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, May 31, 2021、Reuters, May 31, 2021、SANA, May 31, 2021、SOHR, May 31, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民298人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は670,590人に(2021年5月31日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報を公開し、5月30日に難民298人(うち女性90人、子供152人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民298人(うち女性90人、子供152人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は670,590人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者275,342人(うち女性82,762人、子ども140,152人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,754,006人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は899,870人(うち女性270,038人、子供458,643人)となった。

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一方、国内避難民の新たな帰宅はなかった。

2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は87,218人(うち女性32,297人、子供31,746人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,355,814人(うち女性414,856人、子供675,512人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, May 31, 2021をもとに作成。

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