2013年9月13日のシリア情勢

反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア渉外局長は、UPI(9月13日付)に、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアのイニシアチブについて「ジュネーブ2への門戸を開き、挙国一致内閣発足、武装集団の解体、外国人戦闘員のシリアからの排除が行われることがなければ、成功し得ない」と述べた。

また「誠実な離反兵、シリア軍、そしてクルド人の人民防衛隊が軍を再編するために同盟を結ばなければ」、アル=カーイダを根絶できないとの見方を示した。

一方、シリア革命反体制勢力国民連立に関して、マンナーア渉外局長は「ジュネーブ2会議が始まれば、連立はその役割を終えるだろう」と述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長は『イッティハード』(9月13日付)に、米国がシリアへの軍事攻撃を事実上見送ったことに関して「世界の大国の躊躇は、邪悪なアサド政権だけを強めるだけでなく…、アル=カーイダなどのテロリストを東方(イラク)からシリアに潜入させる。彼らはアサドと戦っているだけでなく、より重要なのはアサドに反対する人々と戦っているのだ」と述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、アサド政権が化学兵器禁止条約加盟の進めていることに関して「国際社会をあざむく新たな試みに過ぎない」と非難した。

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自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長は、Elaph(9月13日付)に「我々は、誰が武器を受け取り、配給しているのか知りたい。もしそれ(米国による武器供与)が本当だとしても…、それについて発表した者を我々は知らないし、自由シリア軍にも属してない」と述べた。

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クッルナー・シュラカー(9月13日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立が、在米事務局のスタッフの給与を引き上げるため、30万ドルを米国に送金したと報じ、在外事務局の一方的な給与引き上げは「非論理的」と批判した。

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『ハヤート』(9月14日付)によると、ムウダミーヤト・シャーム地元評議会が、国際社会に対して、アサド政権に圧力をかけ、同市包囲を解除し、人道支援を搬入するよう呼びかけた。

また同評議会は、シリア政府が人民諸委員会(自警団)の協力のもと、国連などの人道支援を積んだ車輌が市内に入ることを阻止している、と非難した。

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シリア革命反体制勢力国民連立がイスタンブールで総合委員会の会合を開催した。

リハーブ・ニュース(9月14日付)によると、会合の主な議題は、シリア・クルド国民評議会の加盟問題と暫定政府首班の選出の2点。

シリア・クルド国民評議会の加盟問題では、ムスタファー・サッバーグ前事務局長が代表を務める無所属決定ブロックが、シリア・クルド国民評議会に総合委員会の代表ポスト11議席を与えることに反対した。

ハサカ県の革命運動組織を代表するヤースィル・ファルハーン氏は、アサド政権打倒後の国名を「シリア・アラブ共和国」から「シリア共和国」に変更するとしたシリア・クルド国民評議会との合意文書に異議を唱え、評議会の連立への参加に反対した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のハーリド・サーリフ報道官はイスタンブールで記者会見を開き、「米国から自由シリア軍にまだ武器は供与されていない」としたうえで、西側諸国に武器供与の約束を履行するよう改めて求めたと発表した。

シリア政府の動き

シリア情報科学協会はSANA(9月13日付)を通じて声明を出し、同協会が提供するSANAをはじめとするインターネット・サイトがサイバー攻撃にさらされ、閲覧不能・困難な状態にあると発表した。

国内の暴力

ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(9月13日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国がシリア自由人旅団の幹部10人を拘束した。

同報道によると、シリア自由人旅団の幹部10人は、数週間前にアレッポ県アアザーズ市で盗まれた司令官の自動車を行方を捜索、イスラーム国と深い関係のあるラッカの商人によって転売されたことをつきとめ、車を取り返しに向かったところを拘束されたという。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、マアルーラー市周辺で、軍、人民諸委員会と、シャームの民のヌスラ戦線などの武装集団が交戦、双方に死傷者が出た。

またムウダミーヤト・シャーム市では、軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(9月13日付)によると、マアルーラー市周辺、ザバダーニー市東方の山岳地帯、ムライハ市郊外、カースィミーヤ市郊外、ズィヤービーヤ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、サイイダ・ザイナブ町のバス発着所に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾5発が着弾し、市民2人が死亡した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区、ヤルムーク区、アサーリー地区、バルザ区で、軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃・空爆を行った。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タファス市を軍が空爆する一方、反体制武装集団はアドワーン村近郊の軍の機甲連隊、工兵連隊の拠点を制圧した。

一方、SANA(9月13日付)によると、ウンム・ルグース村、アトマーン村、ナワー市、シャイフ・サアド村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(9月13日付)によると、アルバイーン山で、軍がシャームの民のヌスラ戦線、(アルバイーン)山の盾旅団、シャームの鷹旅団、革命自由人旅団、真実の剣旅団、シャームの竜巻旅団、シリア殉教者旅団連合、アッバース旅団、クドスの騎士大隊、アリーハー革命家大隊、アフバーブッラー大隊、マルヤーン大隊、イブリーン大隊、アンサール・ハック大隊、ウマル・ファールーク大隊、アリーハー・コマンド大隊を掃討し、同地を制圧した。

また軍はサラーキブ市、ジャーヌーディーヤ町、ジスル・アブヤド市、ズアイニーヤ市、カフルラーター市、マジュダリヤー市、ルークドゥー市、バザーブール村、バッリーン市、カフルルーマー村、マアッラト・ヌウマーン市、ウンム・ジャリーン村、バヤーイーヤ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(9月13日付)によると、ハーリディーヤ村、ラスタン市、カール・カビーラ市、アイン・フサイン村、ヒムス市バーブ・フード地区、カラービース地区、クスール地区、ジャウラト・シヤーフ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(9月13日付)によると、ナブア・サフル村、アイン・バーシャー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(9月13日付)によると、ハイヤーン町で、軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

アレッポ市では、スライマーン・ハラビー地区、サラーフッディーン地区などで、軍が反体制武装集団を撃退し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(9月13日付)によると、ダイル・ザウル市のハウィーカ地区、アルディー地区、スィヤーサ橋で、軍が反体制武装集団と交戦し、ジュンド・アズィーズ旅団戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(9月13日付)によると、シャーキリーヤ村、ガマーム村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

NNA(9月13日付)によると、北部県アッカール郡のヌーラ村、ダッバービーヤ村に、シリア領から発射された迫撃砲弾が着弾した。

諸外国の動き

ジョン・ケリー米国務長官とロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣は、スイスのジュネーブでシリアの化学兵器の国際管理・廃棄の具体案に関する協議(2日目)を行った。

2日の協議に先立ち、両外相はアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表と会談した。

会談後の記者会見で、ケリー国務長官は、シリア情勢の打開に向けた新たな国際会議の開催を話し合うため、28日にニューヨークでも会談することを明らかにした。

またラヴロフ外務大臣との協議について、ケリー国務長官は「建設的」に進んでいると述べるとともに、国際会議の開催が化学兵器の国際管理・廃棄の進展にかかっているとの考えも示した。

一方、ラヴロフ外務大臣は、国際会議開催を、化学兵器の問題と「並行して」進めることが重要だと強調した。

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上海協力機構がキルギスのビシケクで首脳会議を開き、シリア情勢などについて協議した。

ロシアのヴラジミール・プーチン大統領、中国の習近平国家出席、イランのホセイン・ロウハーニー大統領らが参加した会議は、シリアが化学兵器禁止条約への加盟を表明・申請したことへの支持を表明する「ビシケク宣言」を発表した。

同宣言において、加盟国はまた、国連安保理の承認を得ないかたちで行われようとしている米国のシリア軍事攻撃に反対の意を示した。

会議に出席したイランのロウハーニー大統領は、プーチン大統領と初会談し、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関するロシアのイニシアチブを「中東での新たな戦争勃発の危機から世界を救済」する動きと述べ、支持を表明した。

また習近平国家主席は、シリア情勢に関して「平和的な方法で政治的関係正常化をめざす国際社会の努力を中国は支持する」と述べた。

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マリー・ハーフ米国務省副報道官は、北朝鮮の金正恩第一書記が9月11日のアサド大統領の誕生日に祝電を送ったことに関連して「北朝鮮政府が何をしたかについて話したくない。アサド大統領は我々から誕生日にこうしたものを一切受け取ることはない…。過去数週間、彼が目の当たりにしたのは軍事行動への脅迫だけだった」と述べた。

AFP(9月13日付)が報じた。

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フランスのフランソワ・オランド大統領は、サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣、UAEのアブドゥッラー・ビン・ザーイド外務大臣、ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣と会談し、シリア情勢などについて協議した。

フランス大統領府の声明によると、会談では、オランド大統領は、アサド政権による化学兵器使用に対して断固たる対処することで、紛争の政治的解決に向けた交渉を開始する必要があるとの点で合意した。

またシリアの反体制勢力への支援強化の必要がある点でも意見が一致したという。

一方、フランス外務省報道官は、シリアの化学兵器の国際管理・廃棄に関して「声明だけでは不十分だ。道筋を示し、監視する仕組みが必要だ」と述べた。

また、化学兵器禁止条約へのシリアの加盟に関して「条約の手順に従うと、廃棄に着手するまでに2年を要してしまう。これでは長すぎる」と懸念を示した。

そのうえで、シリアが公約を守らなかった場合に、国際社会が制裁できるよう「拘束力のある国連安保理決議が必要だ」と主張した。

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国連の潘基文事務総長は、シリアの化学兵器使用に関する国連調査団の活動に関して「(報告書により)化学兵器が集中的に使用されたかが明らかになるだろう…。化学兵器が使用されたことを裏付ける報告になるだろう」としつつ、「(アサド大統領は)多くの人道に対する罪を犯しており、処罰がなされねばならない。しかし、現在の最優先事項は、流血停止、対話開始の支援で、外交に成功のチャンスを与えることだ…。処罰はこれが終わってからなされるべきだ」と述べた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は「国際社会は国際法を適用しなければならない…。トルコは戦争を主唱していない。国際社会は戦争を止めるよう呼びかけている。シリアと近隣諸国の国民が現下の内戦の代償を払っている。内戦を停止すべきだ。もう十分だと言っている」と述べた。

アナトリア通信(9月13日付)が報じた。

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オーストラリア日刊紙『オーストラリアン』(9月13日付)は、テロ対策を担当する複数の高官の話として、オーストラリア人約80人が現在、シリアでの反体制武装活動に参加しているとしたうえで、「アブー・アスマー」を名乗るオーストラリア人1人がダイル・ザウル県で自爆攻撃を行い、死亡したものと思われると報じた。

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ロイター(9月13日付)は、複数の外交筋の話として、米国とイスラエルが、ウィーンでのIAEAの非公式会合の席上で、2007年のキバルの核疑惑施設へのイスラエルの越境空爆に端を発するシリアの核兵器開発問題をめぐって、シリアの非協力的姿勢を批判した、と報じた。

AFP, September 13, 2013、The Australian, September 13, 2013、Elaph, September 13, 2013、al-Hayat, September 14, 2013、al-Ittihad, September 13, 2013、Kull-na Shuraka’, September 13, 2013、Kurdonline, September
13, 2013、Naharnet, September 13, 2013、Reuters, September 13, 2013、Rihab
News, September 13, 2013, September 14, 2013、SANA, September 13, 2013、UPI,
September 13, 2013などをもとに作成。

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