イスラエル軍はレバノン政府との停戦合意発効直前にヒムス県のダブースィーヤ国境通行所とタルトゥース県のアリーダ通行所を爆撃、シリア・アラブ赤新月社の職員66人を殺害(2024年11月27日)

国防省はフェイスブックの公式アカウント(https://www.facebook.com/mod.gov.sy/)を通じて、イスラエル軍が午前0時5分(イスラエルとヒズブッラーの停戦合意発効の約4時間前)に、レバノン領方面から、ヒムス県のダブースィーヤ国境通行所とタルトゥース県のアリーダ(タルトゥース)国境通行所を狙って航空攻撃を行い、軍関係者2人と民間人4人が死亡、女性、子どもを含む12人が負傷、甚大な物的損害が生じたと発表した。

SANA(11月27日付)が伝えた。

SANAによると、シリア領とレバノン領を隔てるキバル橋に架かる橋、具体的にはダブースィーヤ国境通行所に設置されているバイトゥーニー・マアダニー橋、キマール橋、ジューバーニーヤ橋、そしてアリーダ国境通行所の橋がことごとく破壊された。

ダブースィーヤ国境通行所















アリーダ国境通行所


『ワタン』(11月27日付)は、フェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/AlWatanNewspaper.sy/)を通じて、アリーダ国境通行所の橋が完全に破壊されたと伝えた。

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シリア・アラブ赤新月社はフェイスブックの公式アカウント(https://www.facebook.com/SYRMMC)などを通じて声明を出し、この爆撃で人道活動に従事していた職員とボランティア66人が死亡したと発表、多数の救急車輛と活動拠点に損害をもたらした攻撃を非難、すべての当事者に国際人道法を尊重し、人道支援従事者を保護するよう呼びかけた。

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保健省はフェイスブックの公式アカウント(https://www.facebook.com/MinistryOfHealthSYR/)を通じて、アリーダ国境通行所に対するイスラエル軍の攻撃で、救急医療スタッフ3人が負傷し、車輛1輌が損害を受けたと発表した。

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国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は声明を出し、27日未明のイスラエル軍による国境通行所への爆撃で、シリア・アラブ赤新月社の職員多数が死傷したことに対して、同赤新月社と犠牲となった職員の家族に、心からの連帯とお悔やみの意を表明した。

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シリア人権監視団によると、イスラエル軍の攻撃は、今年に入って157回(うち131回が航空攻撃、26回が地上攻撃)となり、これにより292あまりの標的が破壊され、軍関係者415人が死亡、285人が負傷した。

同監視団によると、軍関係者の死者内訳は以下の通りである。

イラン人(イラン・イスラーム革命防衛隊):25人
ヒズブッラーのメンバー:59人
イラク人:28人
「イランの民兵」のシリア人メンバー(カーティルジー・グループ社も含む):157人
「イランの民兵」の外国人メンバー:34人
シリア軍将兵:64人
身元不明者:7人
パレスチナ・イスラーム聖戦機構関係者:10人
タドムル市で死亡した外国人民兵(ほとんどがヌジャバー運動のメンバー):22人
ヒズブッラーの協力者(クサイル市一帯):2人
身元不明者(ダブースィーヤ国境通行所):3人

また、民間人も66人(うち子供12人、女性16人)が死亡、67人あまりが負傷している。

攻撃の県別内訳は以下の通りである。

ダマスカス県、ダマスカス郊外県:55回
ダルアー県:17回
ヒムス県:54回
クナイトラ県:16回
タルトゥース県:4回
ダイル・ザウル県:5回
アレッポ県:3回
ハマー県:4回
スワイダー県:3回
ラタキア県:2回
イドリブ県:1回

AFP, November 27, 2024、ANHA, November 27, 2024、‘Inab Baladi, November 27, 2024、Reuters, November 27, 2024、SANA, November 27, 2024、SOHR, November 27, 2024などをもとに作成。

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