SANAは、シャルア暫定大統領の演説でワイダー県の治安維持を地元武装勢力と宗教指導者に委ねたと発表、これに沿って、内務省がスワイダー県内の治安維持の一部を地元武装勢力とドゥルーズ派の宗教指導者に委ねたことを受けて、違法なグループがマクワス村を襲撃し、民間人に対する虐殺と人権侵害を行った。
このグループは、女性や子どもに対する虐殺行為、ならびに部族や遊牧民に対する処刑や深刻な人権侵害を行い、多数の民間人が死傷したという。
SANAによると、こうした事態を受けて、17日早朝から、県内の遊牧民の間で避難や強制移動の動きが確認されている。
また、シリア人権監視団も、ドゥルーズ派武装勢力がベドウィン系住民3人(子ども1人、女性1人を含む)に対して実行されたとされる即決処刑の様子を捉えた映像と写真を入手したとしたうえで、ドゥルーズ派武装勢力が、マクワス村に居住するベドウィン系住民に対し、本日午後までの退去を通告したと発表した。
これを受けて、マクワス村、サフワト・バッラータ村、ムシャウリブ村、ザイトゥーナ村、ハルービー村、シャクラーウィーヤ村、バルカシャ村、マンスーラ村、ナブア・イラー村、マズラア町などのベドウィン系住民が避難を開始した。
さらに、シリア人権監視団によると、タアーラ村、ダウル村、ドゥワイラ村、ティーラ村にベドウィン系武装グループが再び展開した。
一方、スワイダー24によると、武装グループが大スーラ村に設置されているアフマド・シャルア移行期政権の国防省の検問所を通って、スワイダー県北部および西部方面に進入した。
また、別の武装グループもサアラ村方面から四輪駆動車やオートバイで進入、迫撃砲による砲撃を行った。
これに先立って、シャフバー町のベドウィン系住民の居住区やリーマト・ラフフ村周辺で戦闘が発生し、死傷者が出たほか、一部住民がダルアー県東部に避難した。
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シリア人権監視団、スワイダー24は、シャルア移行期政権の国防省と内務省の合同部隊が撤退した後のスワイダー市の映像や画像を掲載(転載)し、家屋、店舗、車などが破壊され、遺体が横たわる街中の様子を紹介した。
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シリア人権監視団によると、カファル村から避難したベドウィン系住民らがドゥルーズ派(バニー・マアルーフ家)の保護を受けた。
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シリア人権監視団によると、13日以降の戦闘やイスラエル軍の爆撃による死者は597人にのぼっている。
内訳は以下の通り。
●スワイダー県出身者:217人(うち民間人71人、子ども4人、女性4人)
●国防省および内務省治安部隊の要員:275人(うちベドウィン系住民18人)
●イスラエル爆撃により死亡した国防省・内務省の要員:15人
●国防省ビルへの爆撃により死亡:3人(女性1人、身元不明2人)
●戦闘で死亡した報道関係者:1人
●国防省と内務省の合同部隊による即決処刑で死亡:83人(女性4人、高齢男性1人を含む)
●ドゥルーズ系武装勢力による即決処刑:3人(ベドウィン系住民の女性1人と子ども1人を含む)
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