シリア人権監視団は、スワイダー県での人道状況が悪化し、スワイダー市などの都市機能が完全に麻痺しているなか、住民が水、食料品、医薬品などの基本的な生活必需品を確保するための緊急の人道回廊の開設を求めていると発表した。
また前線に近いマズラア町、カナーキル村、サアラ村などから多くの住民が避難を余儀なくされているという。

シリア人権監視団によると、サフラト・バッラータ村、ルバイン村などから避難民も流出した。
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スワイダー24によると、スワイダー県西部・北部・北東部の3つの戦線で戦闘が続き、県外からの武装グループが参集するなかで人道危機が同県で深刻化し、この数日間でスワイダー市および西・北部の村々から8万世帯以上が、ヨルダン国境地帯に向かって避難した。
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ダルアー県はフェイスブックを通じて、アンワル・ターハー・ザウビー知事の指示のもと緊急委員会が設置、スワイダー県からの避難民のニーズへの支援を行っていると発表した。
発表によると、支援はベドウィン系住民への(ドゥルーズ派の)襲撃で避難を余儀なくされえた1,000世帯以上を対象として行われており、避難民は主にブスラー・シャーム市、マアルバ町、東ガーリヤ村、フラーク市、イズラア市、ブスル・ハリール市などに身を寄せている。
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シリア人権監視団によると、ベドウィン系武装グループがズカイル村近郊に進攻、別のグループがワルガー村、マズラア村に展開、ドゥルーズ派と断続的に交戦、住民が所有する家屋や商店に放火した。
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シリア人権監視団によると、戦闘はまた、大スーラ村付近でも確認された。
シリア人権監視団によると、18日夕刻には、スワイダー市内の複数の住宅地およびドゥルーズ派武装勢力の拠点に対して、激しい砲撃とロケット弾による攻撃が加えられた。
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シリア人権監視団によると、ヒムス県の部族からなる3つの部隊が数百人規模の戦闘員を率いてスワイダー県に向かった。
また、ダイル・ザウル県からも部族の武装グループが移動を開始した。
シリア人権監視団、スワイダー24によると、これら部族の武装グループは、スワイダー県東のバーリク村周辺に集結した。
このほか、イドリブ県からも武装グループがスワイダー県に向かった。
さらにダマスカス県アッバースィーン広場でも、スワイダー県に向かう武装グループが多数確認された。
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民間防衛機構(旧民間防衛隊(ホワイト・ヘルメット))はテレグラムを通じて、スワイダー市内での避難任務を実施するために現地入りしていた同機構の緊急対応センター責任者であるハムザ・アマーリーン氏との連絡が途絶えたと発表した。
アマーリーン氏は18午後4時半頃に民間防衛機構の車輛でスワイダー市に入り、国連チームからの避難支援要請に対応していた。
アマーリーン氏に保護されて避難していた女性によると、同氏は、スワイダー市内のイムラーン交差点で地元の武装勢力に車を止められ、連行されたという。
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シリア人権監視団によると、7月13日に始まった一連の戦闘、即決処刑、イスラエルによる爆撃による死者数は合計で638人に達した。
内訳は以下の通り:
●スワイダー県の住民:219人、うち73人は民間人(子ども4人、女性4人を含む)
●国防省と内務省治安部隊の要員:285人(このうち18人はベドウィン)
●イスラエルの爆撃で死亡した国防省および内務省の兵士・隊員:15人
●国防省庁舎(ダマスカス県)へのイスラエルの爆撃による死者死亡:3人(女性1人と身元不明2人)
●スワイダーでの戦闘中に死亡したジャーナリスト:1人
●国防省と内務省の合同部隊による処刑の犠牲者:112人(うち女性13人、子ども3人、高齢男性1人)
●ドゥルーズ派武装勢力によって処刑されたベドウィンの民間人:3人(女性1人と子ども1人を含む)
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シリア人権ネットワークによると、7月13日から18日までの期間に、スワイダー県で少なくとも321人のシリア人(うち子ども6人、女性9人(そのうち1人は孫の死の報を受けて心臓発作で死亡))が殺害され、さらに436人以上が重軽傷を負ったことを明らかにした。
この数字は、同ネットワークが入手・検証した初期情報に基づいており、今後の情報更新により修正される可能性があるという。
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