ラッカ県では、シリア人権監視団によると、米国など有志連合2機がダーイシュ(イスラーム国)の支配下にあるトルコ国境のタッル・アブヤド市の石油精製施設を空爆、同施設で働いていたダーイシュ・メンバー約30人が死亡した。
なお『ハヤート』(3月10日付)は、ダーイシュ戦闘員の相次ぐ脱走とトルコへの逃走に対処するかたちで、トルコ当局が8日にはイドリブ県バーブ・ハワー国境通行所に通じるジルヴェギョズ国境通行所(ハタイ県)を、9日にはアレッポ県バーブ・サラーマ国境通行所に通じるオンジュプナル国境通行所(キリス県)を閉鎖した、と報じた。
また有志連合は8日にはトルコ国境に位置するアティマ村中心部を空爆し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員9人を殺害している。
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アレッポ県では、ARA News(3月9日付)によると、バーブ市郊外のカフル・カルビーン村で、ダーイシュは、クルド人青年8人を処刑した。
村の住民らによると、バーブ市郊外でのダーイシュ戦闘員の脱走などを受け、ダーイシュは厳戒態勢を強めており、クルド人青年の処刑もその一環だという。
またARA News(3月9日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が、ダーイシュ(イスラーム国)によって掌握されていたアレッポ市・ハサカ市街道沿いの要衝でハムドゥーン村近郊のイザーア高地を制圧した。
一方、『ハヤート』(3月10日付)によると、タッル・タムル町一帯での西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)で、人民防衛隊(女性防衛部隊)に参加していたドイツ人女性、イヴァナ・ホフマン氏が戦死した。
ホフマン氏は2~3ヶ月前に人民防衛隊に入隊していた、という。
他方、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の支配下にあるマスカナ市近郊のムスリマ村を空爆、子供2人が死亡した。
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ダイル・ザウル県では、ARA News(3月9日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市内のダーイシュ(イスラーム国)支配地区のシャイフ・ヤースィーン地区、タカーヤー通り、ハウィーカ地区、ナフル通りなどに対して「樽爆弾」で空爆を行った。
これに対して、ダーイシュは、ジャウラ地区のシリア軍拠点、ジャウラ橋検問所などを砲撃した。
一方、クッルナー・シュラカー(3月9日付)によると、ダーイシュは、ナムリーヤ村の一部住民に対して、沙漠で薪を無許可で集めたとして2万5,000シリア・ポンドの罰金を科した。
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ARA News(3月10日付)によると、ダーイシュはラッカ市からアレッポ県ジャラーブルス市に増援部隊を派遣した。
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有志連合合同司令部は、シリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して14回の空爆を行ったと発表した。
うちシリア領内の空爆はアイン・アラブ市一帯など5回に及んだ。
ARA News(3月9日付)が伝えた。
AFP, March 9, 2015、AP, March 9, 2015、ARA News, March 9, 2015、March 10, 2015、Champress, March 9, 2015、al-Hayat, March 10, 2015、Iraqi News, March 9, 2015、Kull-na Shuraka’, March 9, 2015、al-Mada Press, March 9, 2015、Naharnet, March 9, 2015、NNA, March 9, 2015、Reuters, March 9, 2015、SANA, March 9, 2015、UPI, March 9, 2015などをもとに作成。
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