アサド大統領がアルメニア外相と会談:「トルコ政府はオスマン帝国時代に地域の人々が被った苦しみを再びもたらそうとしている」(2015年5月27日)

アサド大統領はシリアを訪問中のアルメニアのエドワルド・ナルバンジャン外務大臣ら一行と会談した。

SANA(5月27日付)によると、アサド大統領は会談で、西側の資金・軍事支援を背景にイスラーム過激派が勢力を伸張している中東地域の現状について、アルメニア政府が西側諸国に正確なイメージを伝える役割を果たすことができる、との期待を寄せた。

これに対して、ナルバンジャン外務大臣は、「シリア国民に対するテロ」を非難する一方、「テロの脅威」が国際社会や中東地域にも及んでいると警鐘を鳴らし、「テロとの戦い」やシリアの危機解決に向けた国際協調の必要を強調した。

また会談で両者は、「トルコ政府が、オスマン帝国時代に地域の人々が被った苦しみを再びもたらそうとしている」と非難、国際社会に対して「トルコ政府の破壊行為を停止させるための行動」を呼びかける点で一致したという。

SANA, May 27, 2015

SANA, May 27, 2015

 

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ナルバンジャン外務大臣はまた、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と会談した。

AFP(5月27日付)によると、会談後の共同記者会見で、ムアッリム外務在外居住者大臣は「シリアとロシア、イランの関係は一部の人が考えている以上に深淵だと強調したい…。我々の抵抗への彼らの支援が過去に遅れるということはなかったし、今後もそのようなことはない…。友好国の支援は…具体的なものだ」としたうえで、「しかしシリアに対する陰謀は日々、しかも間髪入れずに行われていると言いたい」と述べ、トルコ領を経由した武装集団への支援を「一部の陰謀者たちはあからさまに支援している」と批判した。

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一方、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、「穏健な反体制派」への航空支援に関してトルコと米国が「原則合意」に達したとするメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣の25日の発言に関して、「敵対行為」とみなされると述べ、牽制した。

ARA News(5月27日付)が伝えた。

AFP, May 27, 2015、AP, May 27, 2015、ARA News, May 27, 2015、Champress, May 27, 2015、al-Hayat, May 28, 2015、Iraqi News, May 27, 2015、Kull-na Shuraka’, May 27, 2015、al-Mada Press, May 27, 2015、Naharnet, May 27, 2015、NNA, May 27, 2015、Reuters, May 27, 2015、SANA, May 27, 2015、UPI, May 27, 2015などをもとに作成。

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