2014年2月11日のシリア情勢:国内の暴力

『ハヤート』(2月12日付)などによると、ヒムス市旧市街の停戦を受け、退避した市民のうち男性数十人が治安当局によって一時身柄を拘束された。

国連によると、身柄拘束されたのは退避した市民1,151人の、戦闘行為に参加可能だと思われる男性336人で、中立的な第三者の立ち会いがないまま、取り調べを受けているという。

これに関して、ヒムス県のタラール・バラーズィー県知事は、市民の退避が「ロジ面、技術面」の理由により一時中断したとしつつ、身柄拘束された男性が釈放されたと発表した。

一方、SANA(2月11日付)によると、ブルジュ・カーイー村、ザーラ村、フーシュ・ハッジュー村、ムシャイリファ村、ザアフラーナ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、地元調整諸委員会によると、ジハード主義武装集団が展開するアレッポ中央刑務所周辺、シャイフ・ナッジャール市に軍が「樽爆弾」2発を投下した。

同委員会によると、アレッポ市ハイダリーヤ地区に対しても軍は「樽爆弾」を投下し、少なくとも3人が死亡した。

『ハヤート』(2月12日付)などによると、これ以外にもアレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区、サイフ・ダウラ地区などに対して軍は「樽爆弾」を投下した。

また、シリア人権監視団によると、軍はアレッポ市アシュラフィーヤ地区、サーフール地区への「樽爆弾」による空爆により、多くの住民が避難するなか、カラージュ・ハジャズ通行所の閉鎖(10日に閉鎖)を続けるとともに、同通行所一帯を「樽爆弾」で空爆した。

これに対し、ジハード主義武装集団は、アズィーザ村周辺での戦闘で捕捉した軍の兵士6人をアレッポ市マルジャ地区で斬首した。

またアレッポ市旧市街で、バアス大隊(民兵)の支援を受けた軍が、ジハード主義武装集団と交戦した。

一方、シリア人権監視団によると、カッラト・クブリー村周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とジハード主義武装集団が交戦し、ダーイシュのアミール1人を含む6人が死亡した。

他方、SANA(2月11日付)によると、アレッポ市ブアイディーン地区、ジャンドゥール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、カーディー・アスカル地区、ハルバラ地区、サーフール地区、マルジャ地区、スッカリー地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またシャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、タッル・シャイール村、ファーフィーン村、バービース村、アターリブ市、クワイリス村、ラスム・アッブード村、ハイヤーン町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カウカブ村(アラウィー派の村)で、軍、国防隊が、ジハード主義武装集団と交戦、軍が同村を制圧した。

またジハード主義武装集団はムハルダ市(キリスト教徒の町)を迫撃砲で攻撃した。

一方、SANA(2月11日付)によると、マアーン村での「虐殺」の犠牲者の集団葬儀が執り行われ、ガッサーン・ハルフ県知事ら要人を含む多数の市民が参列した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、カフターニーヤ町、ハッジャ村周辺で、軍とジハード主義武装集団が交戦、軍がハッジャ村、アイン・ティーナ村一帯を「樽爆弾」で空爆した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、タマーニア町、ハーッス村・カフルナブル市間を軍が「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(2月11日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市内の軍拠点、タッル・ガザール村、ラーミー村、ハーッス村、クマイナース村、ナイラブ村、ムサイビーン村の灌木地帯、ジダール・ビカフルーン村、シュグル村、アブー・ズフール航空基地東部、ハミーマート・ダーイル村、マジャース村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が完全撤退したとされるダイル・ザウル市各所を軍が砲撃する一方、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などの武装集団がダーイシュと交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、フサイニーヤ町、アルバイン市、ザバダーニー市、ヤブルード市、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外、アドラー市ウンマーリーヤ地区を軍が「樽爆弾」などで空爆した。

一方、SANA(2月11日付)によると、ハーン・シャイフ・キャンプ、ダーライヤー市、ザバダーニー市、アーリヤ農場、ムライハ市、サクバー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、サハーバ旅団大隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またジャブアディーン町に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾した。

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ダマスカス県では、SANA(2月11日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またマッザ86地区、バーブ・トゥーマー地区、マサーキン・バルザ地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾した。

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ダルアー県では、SANA(2月11日付)によると、フラーク市、ウンム・マヤーズィン町、サイダー町、ダルアー市各所、ヌアイマ村、ジャースィム市、インヒル市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またダルアー市内のヤルムーク製粉工場が反体制武装集団の砲撃を受け、守衛1人が負傷した。

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ラタキア県では、SANA(2月11日付)によると、ラウダ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, February 11, 2014、AP, February 11, 2014、Champress, February 11, 2014、al-Hayat, February 12, 2014、Iraqinews.com, February 11, 2014、Kull-na Shuraka’, February 11, 2014、Naharnet, February 11, 2014、NNA, February 11, 2014、Reuters, February 11, 2014、Rihab News, February 11, 2014、SANA, February 11, 2014、UPI, February 11, 2014などをもとに作成。

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