アレッポ県北西部でのダーイシュとハワール・キリス作戦司令室の戦闘を受け、住民多数が避難するなか、反体制派の拠点都市アアザーズ市のシャリーア法廷は、難民受け入れ停止の布告を発令(2016年5月29日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、北西部のトルコ国境に近い反体制派の拠点の一つマーリア市および同市一帯(カフルカルビーン村近郊、バラーギーダ村一帯)では、マーリア市突入をめざすダーイシュと反体制武装集団が激しく交戦、ダーイシュ戦闘員47人、反体制武装集団戦闘員61人、民間人29人が死亡した。

またAP(5月29日付)は、地元調整諸委員会の情報として、反体制武装集団がダーイシュとの戦闘の末にカフルシューシュ村、バラーギーダ村を奪還したと伝えた。

一方、シリア人権監視団によると、マーリア市の住民6,000人以上がダーイシュ(イスラーム国)による攻撃を受け、同地の西側に位置する西クルディスタン移行期民政局支配地域に避難した。

同監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、住民はこの地域を経て西クルディスタン移行期民政局の拠点都市でアフリーン市とタッル・リフアト市方面に向かったという。

また、『ハヤート』(5月30日付)は、ヌスラ戦線と「穏健な反体制派」の拠点都市のアアザーズ市方面、そしてトルコ国境方面にも数千人が避難していると伝えた。

しかし、ARA News(5月29日付)によると、アアザーズ市のシャリーア法廷は、マーリア市方面からの避難民受け入れを停止するとの布告と発表した。

Kull-na Shuraka', May 29, 2016

Kull-na Shuraka’, May 29, 2016

なおAFP(5月29日付)によると、ダーイシュはマーリア市で唯一稼働していたフッリーヤ病院を27日、10時間にわたり包囲し、医療スタッフ2人が負傷、残されたスタッフは停電下での手術を余儀なくされたという。

AFP, May 29, 2016、AP, May 29, 2016、ARA News, May 29, 2016、Champress, May 29, 2016、al-Hayat, May 30, 2016、Iraqi News, May 29, 2016、Kull-na Shuraka’, May 29, 2016、al-Mada Press, May 29, 2016、Naharnet, May 29, 2016、NNA, May 29, 2016、Reuters, May 29, 2016、SANA, May 29, 2016、UPI, May 29, 2016などをもとに作成。

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