アサド大統領「戦争犯罪者は我々ではなく、イラク、リビアを侵略し、シリアのテロリストを支援する西側の首脳だ」(2016年10月19日)

アサド大統領はスイスのSRF 1テレビ・チャンネルのインタビューに応じた。

インタビューは英語で行われ、その映像は大統領府がYoutube(https://youtu.be/AXqfRfIZXCo)を通じて公開、また英語全文とアラビア語訳はSANA(http://sana.sy/en/?p=91031http://www.sana.sy/?p=447008)が配信した。

インタビューでのアサド大統領の主な発言は以下の通り:

SANA, October 19, 2016

SANA, October 19, 2016

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「(アサド大統領の「戦争犯罪」に対する非難に関して)この言葉(戦争犯罪)を定義する際に何が引き合いに出されるかによる…。国際法に準じると…、我々はテロリストから自分たちの国を守っていることになる…。私はこの言葉(戦争犯罪)のもとに置かれるべき筆頭にあげられるべきは西側の首脳だと考える。安保理の承認なしにイラクに侵攻したジョージ・ブッシュに始まり、リビアを侵略したキャメロン、サルコジらだ…。さらに、西側の首脳は、シリアでの5年にわたる戦争でテロリストを支援している」。

「私は大統領として、シリア国民が私をどう見ているかを気にしている…。西側はいつもものごとを個人に帰せることで、自分たちのアジェンダに都合の良い操り人形を大統領に据えようとする。

「私は国民を攻撃していない。私は国民を守っている。人々は二つの理由でシリアから避難している。第1に、人々を直接殺すというテロリストの活動…、第2にシリアの生活を麻痺させようとするテロリストの活動だ…。加えて西側の制裁がある…。これらが主な理由だ…。テロリストの役割とシリア人の暮らしに打撃を与えようとする西側(の役割)は一つだ」。

「真の反体制派は存在し、彼らの草の根はシリア国民のなかに張られている。彼らはフランス、英国、サウジアラビア、トルコといった外国によって作り出された反体制派ではない」。

「(アレッポ市で空爆の被害にあったとされる子供たちについて)彼らを含む子供たちについて話すのであれば…、テロリストの役割、そしてこれらのテロリストを支援するカタール、トルコ、サウジアラビアの役割…、そしてプロパガンダを通じてこれらを支援する西側諸国の役割について説明しなければならない」。

「(シリア軍がアレッポ市で病院を攻撃しているとの情報について)はっきり言うと、こうした話は真実ではない…。もちろんすべての戦争とは悪しきもので、どの戦争でも、無実の市民が犠牲者となり…、代償を払うものだ。しかし、それでも我々はテロと戦わねばならない…。逆に、アル=カーイダ、ヌスラ戦線、ダーイシュは市民を守り、我々政府が市民を殺している、というのか? そんな話誰が信じるのか? 誰も信じない」。

「シリアで殺された人の大多数は、テロリストが撃った迫撃砲によって殺されており…、それは空爆とは無関係だ」。

「アレッポ市の状況を変えることが、我々の使命だ…。我々は国民を守らねばならず、アレッポからテロリストを掃討しなければならない」。

「(アレッポ市東部で瓦礫の中から救出された幼児に関して)何よりもまず言っておきたいことがある。私とのインタビューが終わったらインターネットに向かい、同じ幼児がその姉ととともに、西側が言うところの「ホワイト・ヘルメット」、つまりアレッポにおけるヌスラ戦線の「美容整形」版によって救出された写真を見てもらいたい。彼らは別の事件で2度救出され、その一部がホワイト・ヘルメットで公開されているだけだ。こうした事件はいずれも真実ではない。操作されているのだ…。私はそのことを示す写真をあなたに送ろう。いずれもインターネットで公開されているもので、それを見ればねつ造されたものだということが分かるはずだ」。

「アレッポをめぐる西側のニステリーには理由がある。それはアレッポが(シリア軍によって)包囲されているからではなく、アレッポが過去4年間にわたりテロリストによって包囲されてきたにもかかわらず、西側のジャーナリストはそこで起こっていることに何の疑問も持たなかったからだ…。彼らが最近になってアレッポについて言及するようになったのは、テロリストの形勢が悪いからだ…。米国、そして英国やフランスといったその同盟国は、シリアでのテロという最後のカードを失いつつある」。

「危機に際しての政策の主軸とはテロと戦うことにあり、私はこれを正しいことだと思っている…。また(第2に)シリア人どうしの対話…、そして第3に対話…。これらが政策の主軸だ。この政策に間違いはない。もし政策実施における間違いについて言及するとすれば、それは個人に関わる問題だろう」。

「彼ら(アレッポ市東部の住民)の大多数はテロリストに掌握されている地域から去りたいと考えているが、テロリストがそれを許さない。彼らがこの地域から去ろうとすると、テロリストは彼らを撃つか、その家族を殺害する」。

「(化学兵器使用に関する)国連の報告書は決して信用できない。なぜなら、国連の報告書は、裏付けのない証言、それ以外の方向所、ねつ造された報告書に基づいているからだ」。

「樽爆弾について言うと…、それは西側が民間人を無差別に殺害する無差別爆弾があると言うための単語だ…。しかし、矛盾している…。他の地域で西側は、我々が病院を意図的に爆撃していると主張する…。我々は無差別に爆撃しているのか、それとも高性能の爆弾を保有しているのか、どちらなのか…? 彼らは常に矛盾しており、それが西側の現状なのだ…。しかし、質問に答えるのであれば、我々は無差別爆弾を保有していない。もし我々が国民を無差別に殺しているのであれば、それは我々が負けるということを意味する…。私にはシリア国民を殺すことはできない」。

「私はシリア国内で私の写真を貼るように誰にも頼んでいない…。誰かを独裁者と言うのであれば、まず国民に訊かねばならない」。

AFP, October 19, 2016、AP, October 19, 2016、ARA News, October 19, 2016、Champress, October 19, 2016、al-Hayat, October 20, 2016、Iraqi News, October 19, 2016、Kull-na Shuraka’, October 19, 2016、al-Mada Press, October 19, 2016、Naharnet, October 19, 2016、NNA, October 19, 2016、Reuters, October 19, 2016、SANA, October 19, 2016、UPI, October 19, 2016などをもとに作成。

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