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国内の暴力
ダイル・ザウル市のガーズィー・アイヤーシュ地区の軍事施設ビルに爆弾を搭載した車が突入爆発し、民間人と警備員の合わせて9人が死亡、4歳の女の子1人を含む数十人が負傷した。
SANA(5月19日付)によると、爆発現場には直径5メートル、深さ2メートルのクレーターができ、周囲100メートルの建物が被害を受けた。
事件発生後、UNSMISが現場を視察した。
シリア人権監視団によると、テロは軍事情報局、空軍情報部の施設がある通りで発生した。
なおSANA(5月18日付)は、関係当局がダイル・ザウル市で爆弾と積んだ車を捕らえ、爆発を未然に防ぎ、テロリスト複数名を逮捕した、と報じていた。
このほかダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市でバアス党関係者の兄弟1人が暗殺された。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、フーズ村で警官1人と離反兵1人が砲撃を受けて死亡した。またハーン・シャイフーン市では、治安部隊の発砲で市民1人が死亡した。
一方、離反兵は軍・治安部隊の兵員輸送車を攻撃し、5人を死傷させたほか、国境地帯で交戦し、軍車輌3台を破壊したという。
これに対して、ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ナザーリーヤ村、ジュースィーヤ村に軍…治安部隊が攻撃を加え、12人が負傷した。
一方、SANA(5月19日付)によると、関係当局が、トルコ領内からジスル・シュグール地方フーズ村に潜入しようとした武装テロ集団と交戦し、潜入を阻止、テロリスト1人を殺害した。
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ヒムス県では、SANA(5月19日付)によると、関係当局が、レバノン領内(ワーディー・ハーリド地方)からタッルカラフ地方アルムータ村に潜入しようとした武装テロ集団と交戦し、潜入を阻止した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ハムダーニーヤ地区で何者かが車に発砲し、乗っていた女性1人とその子供2人が死亡した。
このほか市内にあるバアス党施設にRPG弾が撃ち込まれた。
一方、SANA(5月19日付)によると、アレッポ市で武装テロ集団が医師1人を暗殺した。
アサド政権の動き
シリア外務在外居住者省は国連安保理と事務総長に書簡を提出し、米国とEUによる経済制裁をシリア国民に対する「経済的テロ」と非難した。
その他の国内での動き
アレッポ市では、学生・青年による大規模集会がアレッポ大学で開かれ、アサド大統領が指導する改革路線を支持、武装テロ集団による犯罪行為拒否を訴えた。SANA(5月19日付)が報じた。
反体制勢力の動き
シリア国民評議会は、ダイル・ザウル市のテロに関して声明を出し、「混乱を拡げ、シリア国人の革命抑圧を隠蔽しようとする政府の計画の一部」と断じ、アサド政権の自作自演だと主張した。
また別の声明を出し、アサド政権がレバノンの金融機関や銀行を通じて外貨獲得やマネーロンダリングを行い、西側の制裁を回避している、と非難した。
さらに別の声明では、在外活動家6人がシリア国内に入ったことを明らかにし、その氏名と電話番号を公開することができると発表した。
6人はムハンマド・サルミーニー、ウマル・イドリビー、アフマド・ザイダーン、アクラム・アッサーフ、サーミル・ヒムスィー、ハムザ・シャマーリー、ムハーブ・イブラーヒーム。
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地元調整諸委員会のウマル・イドリビー報道官は、ユカール・ネット(http://youkal.net/、5月19日付)を通じて声明を出し、シリア国内に密入国しヒムス市を訪問したことを明らかにした。
訪問の目的は明らかにしていない。
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シリア国民評議会の広報局メンバーのムハンマド・サルミーニー氏もトルコ領内からシリアに密入国し、「完全に解放されている複数の地域を目の当たりにした」と述べた。
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『シャルク・アウサト』(5月19日付)は、シリア国民評議会のメンバー26人が国内の反体制活動家らとの連携のために、レバノン、トルコからシリア領内に密入国したと報じた。
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シリア自由軍事評議会のムスタファー・シャイフ准将は声明を出し、同軍司令官のリヤード・アスアド大佐がレバノンに入り、緩衝地域の設置準備を行っているとしたバッシャール・ジャアファリー国連大使の書簡を偽りだと否定した。
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シリア人権監視団は声明を出し、レバノン、バーレーンへのアサド政権の内政干渉を非難した。
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ジャズィーラとアラビーヤは、シリアの政府・治安機関の高官多数を暗殺したと証言する男の映像を放映した。
映像には、「ダマスカスおよび同郊外のサハーバ大隊」に属するとされる軍服姿の男が映っており、「アースィフ・シャウカト副参謀長(中将)、ムハンマド・シャッアール内務大臣、ダーウド・ラージハ国防大臣、ハサン・トゥルクマーニー副大統領補、ファールーク・シャルア副大統領、ムハンマド・サイード・バヒーターン・バアス党シリア地域指導部副書記長ら多くの高官を2ヵ月にわたる監視活動の後、殺害した」と証言している。
レバノンの動き
『サフィール』(5月19日付)は、西側外交筋の話として、トリポリ市内での騒乱に関して、サラフィー主義者がヒムスの自由シリア軍に武器を供与するためにめざしている革命の始まりだ、と報じた。
諸外国の動き
米キャンプデービッドで開かれているG8で、アナン特使のイニシアチブのもとでの和平に向けた努力を支持することで一致した。ロイター通信(5月19日付)が報じた。
AFP, May 19, 2012、Akhbar al-Sharq, May 19, 2012、Alarabia.net, May 19, 2012、Aljazeera.net, May 19, 2012、al-Hayat, May 20, 2012、Kull-na Shuraka’, May 19, 2012、Naharnet.com, May 19, 2012、Reuters,
May 19, 2012、SANA, May 19, 2012、al-Safir, May 19, 2012、al-Sharq al-Awsat, May 19, 2012などをもとに作成。
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