SANA(4月27日付)は、シリア軍消息筋の話として、イスラエル軍が早朝、ダマスカス郊外県のダマスカス国際空港南西部にあるシリア軍の拠点複数カ所に対して越境空爆を行い、ミサイル複数発を発射し、同地で爆発が発生、施設の一部が被害を受けたと伝えた。
イスラエル軍は、3月17日(ヒムス県)、4月21日(クナイトラ県)にもシリア領内で空爆を実施しているほか、23日には越境砲撃(クナイトラ県)、25日には戦車3輌の侵入(クナイトラ県)など、領土・領空侵犯を頻発化させている。
**
これに関して、マナール・チャンネル(4月26日付)は、空爆による死傷者はなく、空爆による爆発は燃料倉庫、貯蔵施設で起きたと伝えた。
ロイター通信(4月26日付)も複数の反体制消息筋の話として、空爆によりイランの支援を受ける武装集団の武器弾薬庫が破壊されたと伝えた。
一方、『ハヤート』(4月28日付)が複数の反体制武装集団筋の話として伝えたところによると、爆撃を受けたのはヒズブッラーが管理する武器庫だという。
**
米国を訪問中のイスラエルのイスラエル・カッツ情報活動大臣は、イスラエル軍のラジオ放送を通じて「シリアで起きたこと(越境空爆)は、イランがシリアを経由してヒズブッラーに最新鋭の兵器を密輸するのを阻止するために行動するというイスラエルの政策に完全に合致していると明言できる。我々はヒズブッラーへの高性能兵器移転の意思を示す情報を得ればいつでも対抗措置をとる」と述べた。
しかし、イスラエル軍報道官はこの空爆へのコメントを避けた。
AFP, April 27, 2017、AP, April 27, 2017、ARA News, April 27, 2017、Champress, April 27, 2017、al-Hayat, April 28, 2017、Kull-na Shuraka’, April 27, 2017、al-Mada Press, April 27, 2017、Naharnet, April 27, 2017、NNA, April 27, 2017、Qanat al-Manar, April 27, 2017、Reuters, April 27, 2017、SANA, April 27, 2017、UPI, April 27, 2017などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.