アサド大統領はベネズエラのテレスール・TVの単独インタビューに応じた。
インタビューは通訳を介して行われ、アサド大統領はアラビア語で記者のスペイン語での質問に答えた。
インタビューの映像はSANAがユーチューブ(https://youtu.be/i1481K19BXY)を通じて配信、HPでアラビア語全文(http://www.sana.sy/?p=546242)、英語全訳(http://sana.sy/en/?p=105108)を公開した。
インタビューでのアサド大統領の主な発言は以下の通り:
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「過去数年にわたりテロリストは化学兵器を何度もシリア国内の複数の地域で使用してきた。我々は化学兵器禁止機関(OPCW)に事件を調査するための特別チームの派遣を要請してきたが、その都度、米国はこれを妨害してきた…。ハーン・シャイフーン市での化学兵器使用疑惑でも我々は調査を要請した。しかし米国とその同盟諸国はOPCWが(派遣の)決定を下すことを妨害した…。我々は今でも調査を求め続けている。我々はロシアやイランといった同盟諸国とともにOPCWを説得して調査チームを派遣してもらおうとしている…。なぜなら、そうしなければ、米国は偽の化学兵器をシリアの別の場所で使うという嘘の芝居を繰り返し、テロリストを支援するための軍事介入を正当化するかもしれないからだ」。
「米国で政治家になりたいのであれば、本物の嘘つきにならなければならない。これが米国の政治家の特徴だ…。だから、我々は国防総省など米国の機関を信じるべきではない」。
「我々は既にイスラエルとの戦争状態にある…。だからそのようなシステム(ミサイル防空システム)を持つのは当然だ。しかし、テロリストは、イスラエル、米国、トルコ、カタール、サウジアラビアの機関と連携し、その一部を破壊した。ロシアと交渉してこのシステムを強化しようとするのも当然なのだ」。
「イスラエルはさまざまなかたちで(現下の混乱において)役割を果たしてきた。まず、航空機、大砲、ミサイルなどでシリア軍の拠点を狙うといった直接の攻撃だ。第2に、二つの方法、すなわち武器の直接供与、そして兵站支援を通じたテロリストの支援だ…。イスラエルは彼らに対して病院で医療支援も行っている」。
「米国大統領(ドナルド・トランプ)には政策はない。諜報機関、国防総省、武器・石油企業、金融機関、そして一部ロビー…のコントロール下にある機関が策定した複数の政策があるだけだ…。米大統領はこれらを単に遂行するだけだ…。だから、米国大統領の外交政策を評価するというのは時間の無駄だし、非現実的だ。彼は何かするかもしれないが、それはこうした機関が彼に指図したことをするだけだ」。
「米国は常に世界中のすべての国を支配しようとしている…。すべての国が米国の衛星国なるべきだと考えている。シリア、北朝鮮、イラン、ロシア、そしておそらくヴェネズエラで起きていることはそれが理由だ。米国は世界に覇権を再び及ぼそうと狙っている」。
「ロシアと中国はその政治行動、政治姿勢においてすぐれた協力を行っている。両国の視座は似ている…。米国とその同盟諸国はシリアにおけるテロリストの役割を正当化しようと国連安保理をたびたび利用しようとした…。ロシアと中国が連携しているのはそのためで、中国の役割は、ロシアと同様こうした点にその本質がある…。テロリストのなかには、トルコ経由でシリアに入っている中国人もいる。こうしたテロリストは我々シリアにとって脅威であるだけでなく、中国にも脅威となる。中国はテロが世界中を移動し…、中国籍であれそれ以外の国籍であれテロリストが中国に来るかも知れないということを知っている…。我々は今中国と安全保障面で協力を行っている」。
「(有志連合に参加する86カ国がシリアの復興プロセスに参加するかとの問いに対して)もちろん、ない。これらの国は何よりもまず、シリアを復興する意思を持っていない。ただこれらの国の企業のなかには、シリアでの復興が軌道に乗れば…、カネ稼ぎのためシリア復興に参加するかもしれない…。しかし、シリア国民はこうしたことは受け入れないだろう」。
「西側の見方では、あなた(記者)は悪魔と同席していることになる…。しかし、これはどの国、政府、個人であっても西側の国益に従わなければ同じことだ…。彼らは「この悪魔は善良な国民を殺している」と言い立てる。それでもいいだろう。だが、この悪魔が善良な国民を殺しているのなら、なぜ国民は6年も悪魔を支持してきたのか…? あり得ない話しだ。こうした物言いは矛盾した西側の主張に過ぎない」。
AFP, April 27, 2017、AP, April 27, 2017、ARA News, April 27, 2017、Champress, April 27, 2017、al-Hayat, April 28, 2017、Kull-na Shuraka’, April 27, 2017、al-Mada Press, April 27, 2017、Naharnet, April 27, 2017、NNA, April 27, 2017、Reuters, April 27, 2017、SANA, April 27, 2017、UPI, April 27, 2017などをもとに作成。
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