『ハヤート』(8月17日付)は複数の反体制消息筋の話として、米国の支援を受け、ラッカ市解放作戦に参加しているシリア・エリート部隊から、ヤースィル・ダフラ氏が指揮するバッカーラ部族の戦闘員数百人が離反した、と伝えた。
シリア・エリート部隊は、シリア革命反体制勢力国民連立の元代表でシリア・ガド潮流の代表を務めるアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー氏が組織した武装集団。
兵員は約3,000人で、うち480人がカダー部族、1,000人がシュアイタート部族、1,500人がバッカーラ部族だという。
ジャルバー氏は、エジプトの首都カイロを拠点とし、最近では、ダマスカス郊外県東グータ地方やヒムス県北部での緊張緩和地帯設置にかかるロシアと反体制武装集団の交渉を仲介した。
複数の消息筋によると、離反は、ダフラ氏らはダイル・ザウル県での戦闘を優先すべきだと主張し、ラッカ市での戦線への参加命令を拒否したことが発端。
ジャルバー氏はたびたびこうした動きを封じようと説得を行ってきたが、奏功しなかったという。
シリア・エリート部隊を離反した戦闘員たちは、ダイル・ザウル県でダーイシュ(イスラーム国)と戦うために、米軍の車輌でハサカ県シャッダーディー市に到着した「自由シリア軍」に合流し、ダイル・ザウル県北東部に進攻しようとしているという。
なおこの「自由シリア軍」とは、ヒムス県タンフ国境通行所を拠点としていた「ハマード浄化のために我らは馬具を備えし」作戦司令室(自由シリア軍砂漠諸派、「土地は我らのものだ」作戦司令室)に所属する武装集団だと思われる。
AFP, August 16, 2017、AP, August 16, 2017、ARA News, August 16, 2017、Champress, August 16, 2017、al-Hayat, August 17, 2017、Kull-na Shuraka’, August 16, 2017、al-Mada Press, August 16, 2017、Naharnet, August 16, 2017、NNA, August 16, 2017、Reuters, August 16, 2017、SANA, August 16, 2017、UPI, August 16, 2017などをもとに作成。
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