サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子「アサド大統領はイランの影響力を排除するため自らの体制を強化すべき」(2018年4月6日)

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子兼第一副首相兼国防大臣兼経済開発評議会議長は米『タイム』誌(4月6日付)のインタビュー(http://time.com/5228006/mohammed-bin-salman-interview-transcript-full/)に応じ、アサド大統領の進退についてより踏み込んだ発言を行った。

Time, April 6, 2018

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皇太子は主な発言は以下の通り:

「この質問に(アサド政権の進退について)このように答えたら怒る人がいるか分からないのだが…、ウソはつきたくない…。とくに2018年に入ってから、人々にこのことを隠し立てすることはほぼ不可能になっているからだ」。

「バッシャール(・アサド大統領)は現時点で退任しておらず、シリアは中東におけるロシアの長期的な影響力の一部を代表するようになっていると考えている。しかし、シリアの国益は、イランがシリアで中長期的に好き放題することを放置しておくことではもたらされないと考えている。なぜなら、シリアがそのイデオロギーを変更すれば、バッシャールはイランの操り人形になってしまうからだ」。

「だから、彼(アサド大統領)にとっては、シリアにおける自らの体制が強力なものとなるのが望ましい。またそれはロシアにとっても然りだ」。

「ロシアにとっては、直接的な力を行使し、バッシャールを強化し、イランを経由しないでシリアに直接的な影響力を行使するのが望ましい。つまり、これによってイランの影響力は大いに低下するだろう…。バッシャールは現時点で退任はしない。戦争が起きずにバッシャールが去るとは思わない。その戦争を始めたいという者がいるとも思わない」。

「シリアの紛争の終息は近づいたと思う…。バッシャールが支配する領域がある一方、それ以外の領土は米国の支援するシリア国民の支配下にある…。我々は早急にシリアで起きている事態が収束することを望んでいる」。

AFP, April 6, 2018、ANHA, April 6, 2018、AP, April 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 6, 2018、al-Hayat, April 7, 2018、Reuters, April 6, 2018、SANA, April 6, 2018、Time, April 6, 2018、UPI, April 6, 2018などをもとに作成。

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