アスタナ10会議がロシアのソチで開幕:イドリブ県の処遇ではなく、難民帰還について協議(2018年7月30日)

ロシアの避暑地ソチで、ロシア、トルコ、イランを保証国とするシリア政府と反体制武装集団の停戦協議であるアスタナ10会議が開幕した。

会議は2日間の予定で、アレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使を団長とするロシア代表団、ホセイン・ジャーベリー・アンサーリー外務副大臣(アラブ・アフリカ担当)を団長とするイラン代表団、セダト・オナル外務大臣特別顧問を団長とするトルコの代表団、バッシャール・ジャアファリー国連シリア代表を団長とするシリア政府代表団が参加。

また国連からはスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表が参加した。

米国は代表団を派遣せず、トルコが後援する反体制派代表団も参加を見合わせた。

アスタナ会議はカザフスタン政府が主催していたが、今回のラウンドはロシアが主催、開催場所もカザフスタンの首都アスタナではなく、ロシア国内となった。

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個別会談が予定されていた初日にあたる30日には、ジャアファリー国連シリア代表を団長とするシリア政府代表団が、イラン代表団、ロシア代表団と個別に会談した。

これに先立ち、ロシア代表団、イラン代表団、そしてトルコ代表団が個別会談を行うとともに、ロシアのラヴレンチエフ特使がデミストゥラ特別代表と個別に会談した。

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ロシアのラヴレンチエフ特使は、ソチで記者会見を開き、アスタナ10会議の議題に関して、シリア難民の帰還などについて協議したことを明らかにした。

ラヴレンチエフ特使はは、「シリア難民の帰還を支援することが欧州諸国にとっても利益となる。今回のラウンドで議論された難民帰還を阻止することは許されない」と述べた。

SANA(7月30日付)が伝えた。

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リヤ・ノーヴォスチ(7月30日付)は、会議に出席した消息筋の話として、トルコが支援する反体制派が欠席するなかで、イドリブ県の処遇をめぐって合意に達する可能性は低い、との見方を伝えた。

AFP, July 30, 2018、ANHA, July 30, 2018、AP, July 30, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 30, 2018、al-Hayat, July 31, 2018、Reuters, July 30, 2018、RIA Novosti, July 30, 2018、SANA, July 30, 2018、UPI, July 30, 2018などをもとに作成。

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