ロシア・イラン・トルコ首脳会談:「テロとの戦い」の継続、テロリストと反体制派の峻別、「テロとの戦い」を口実とした干渉、周辺諸国の安全保障の確保などを合意(2018年9月7日)

ロシアのヴラジミール・プーチン大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がイランの首都テヘランを訪問し、ハサン・ロウハーニー大統領と三カ国首脳会談を行った。

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会談では、エルドアン大統領がイドリブ県での停戦を提案したが、プーチン大統領は、同地で活動するシャーム解放機構とダーイシュが和平協議の当事者ではないとし、これを拒否し、シリア政府が同地の支配を回復する必要があると強調した。

ロウハーニー大統領も、シリア、とりわけイドリブ県で過激派を完全掃討するため戦闘を続けるべきだとしたうえで、民間人の被害を最小限に食い止める必要があるとの姿勢を示した。

そのうえで、同地で活動を続ける反体制武装集団に武器を棄てるよう求める一方、「シリア東部での米国の違法な駐留を終わらせることが重要」と訴えた。

これに対して、エルドアン大統領は、「イドリブ県はトルコの安全保障、地域の平和と安定にとって重要」だとしたうえで、同地への攻撃が行われれば、人道的悲劇がもたらされ、数百万の住民が難民となってトルコ領内に押しよせることになると懸念を表明し、攻撃に反対した。

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会談後に発表された声明で、三カ国首脳は、政治プロセスの一環としての交渉のみがシリア危機を解決するための唯一の方法だとしたうえで、国連安保理決議第2254号とソチでのシリア国民対話大会での決定に従って、政治プロセスを前進させるために協力を続けることを改めて確認した。

また、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線(現シャーム解放機構)などのテロ組織を根絶するため協力を継続するとともに、テロリストと反体制武装集団の峻別を行う必要があることを強調した。

さらに、「テロとの戦い」を口実として、シリアの主権、領土保全、さらには周辺諸国の安全保障を脅かすいかなる試みも拒否するとの意思を表明した。

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SANA(9月7日付)、ドゥラル・シャーミーヤ(9月7日付)、などが伝えた。

AFP, September 7, 2018、ANHA, September 7, 2018、AP, September 7, 2018、al-Durar al-Shamiya, September 7, 2018、al-Hayat, September 8, 2018、Reuters, September 7, 2018、SANA, September 7, 2018、TRT, September 7, 2018、UPI, September 7, 2018などをもとに作成。

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