制憲委員会(憲法委員会)のメンバー150人の氏名、そして課題が明らかに(2019年9月24日)

国連のアントニオ・グテーレス事務総長が9月23日にニューヨークの国連本部で制憲委員会の設置が完了したと発表したのを受けて、親政府系、反政府系など各メディアは選出されたメンバーの氏名を公開、委員会の問題点について指摘した。

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制憲委員会(あるいは憲法委員会)は、2018年1月のロシアの避暑地ソチで開催されたシリア国民対話大会で設置合意され、ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表が委員150人の人選を調整していた。

150人のうち50人はシリア政府側代表、50人は反体制派側代表、50人は市民社会代表から構成されることが決まっていた。

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制憲委員会メンバー氏名

ムドン(9月24日付)、『ワタン』(9月24日付)、ブローカー・プレス(9月24日付)、スマート・ニュース(9月23日付)などによると、委員に選出された150人の氏名は以下の通り:

シリア政府代表(50人)

1. アマル・フアード・ヤーズジー
2. イーマーン・ヤフヤー・ハムダーン
3. イーハーブ・シブリー・ハーミド
4. アフマド・ファールーク・ムハンマド・アルヌース
5. アフマド・ナビール・ムハンマド・ラフィーク・クズバリー
6. アシュワーク・アイユーブ・アッバース
7. アムジャド・ヤースィーン・イーサー
8. アニーサ・イブラーヒーム・アッブード
9. アイハム・アブドゥッラフマーン・ハウラーニー
10. バシール・スライマーン・ハルブーニー
11. トゥルキー・アズィーズ・ハサン
12. ジャーリヤ・シャイフ・アリー
13. ジャーンスィート・アドナーン・カーザーン
14. ジャマール・アブドゥッラッザーク・カーディリー
15. ジャミーラ・ムスリム・シュルバジー
16. ハサン・アブドゥッラー・アトラシュ
17. フサイン・ファウズィー・ファラフー
18. ハーリド・ハズアル・ハズアル
19. ハーリド・ムーサー・アッブード
20. ダーリーン・アブドゥッサラーム・スライマーン
21. ラーイダ・ヤースィーン・ワッカーフ
22. ラドワーン・イブラーヒーム・ムスタファー
23. リヤード・アリー・ターウーズ
24. ライムーン・サブラ・ヒラール
25. サイード・アブドゥルワヒード・ヌハイリー
26. シーリーン・アブドゥルアズィーズ・ユースフ
27. サフワーン・ムハンマド・カラビー
28. ターリブ・ムハンマド・カーディー・アミーン
29. タリーフ・アブドゥルマジード・クートゥルシュ
30. アブドゥルカーディル・ウマル・カバラーン
31. アブドゥルカーディル・ムハンマド・シャアバーン・アズーズ
32. アブドゥッラー・ムハンマド・サイイド
33. イーサー・マッドゥッラー・マフール
34. ガッサーン・スライマーン・アッバース
35. ファフド・アフマド・アダウィー
36. ムハンマド・アクラム・タイスィール・アジュラーニー
37. ムハンマド・バラー・アフマド・ラシュディー・カーティルジー
38. ムハンマド・ハイル・アフマド・アッカーム
39. ムハンマド・ハイル・ファーリス・クナイヒル
40. ムハンマド・イサーム・アフマド・ハズィーミー
41. ムハンマド・アラー・ムハンマド・マフジューブ・ティーナーウィー
42. ムハンマド・マーヒル・アブドゥッラー・アラビー
43. ムハンマド・マーヒル・マフムード・カバーキビー
44. マハー・ムハンマド・アリー・ウジャイリー
45. ムーサー・イルヤーン・アブドゥンヌール
46. マウイド・ムハンマド・ナースィル
47. ニザール・サーディク・サドカニー
48. ニザール・アリー・スカイフ
49. ヌーラー・マールディールース・アリースィヤーン
50. ハイサム・ハサン・タース

反体制派代表(50人)

1. イブラーヒーム・ジャバーウィー(最高交渉委員会、南部中央作戦司令室報道官、准将)
2. バッシャール・ズウビー(最高交渉委員会、南部戦線司令官)
3. バッシャール・ハーッジ・アリー(メディア活動家)
4. ハサン・ハリーリー(医師)
5. ハサン・ウバイド
6. ムハンマド・ヤースィル・ダルワーン(イスラーム軍元政治局長)
7. ムハンマド・ヌーリー・アフマド
8. アブドゥルバースィト・アブドゥッラティーフ(シリア革命反体制勢力国民連立、暫定内閣)
9. ユースフ・カッドゥーラ
10. ヤフヤー・アズィーズ
11. ヤフヤー・アリーディー(最高交渉委員会報道官)
12. ウンス・アブダ(シリア革命反体制勢力国民連立元代表)
13. イリヤス・ムフリジュ(最高交渉委員会)
14. バドル・ジャームース(シリア革命反体制勢力国民連立副代表)
15. バスマ・カドマーニー(無所属)
16. ディーマー・ムーサー(シリア革命反体制勢力国民連立副代表)
17. リヤード・ハサン(シリア革命反体制勢力国民連立)
18. ハウワース・サアドゥーン(シリア・クルド国民評議会)
19. アブドゥルアハド・アスティーフー(シリア革命反体制勢力国民連立元代表)
20. ハーディー・バフラ(シリア革命反体制勢力国民連立元代表)
21. ヒシャーム・ムルーワ(シリア革命反体制勢力国民連立元副代表)
22. ハイサム・ラフマ(シリア革命反体制勢力国民連立)
23. ヤースィル・ファルハーン(シリア革命反体制勢力国民連立)
24. ヤースィル・ハミース
25. アブドゥルマジード・アブドゥルマジード
26. ウルーブ・ミスリー(モスクワ・プラットフォーム)
27. アフマド・フドル
28. アフマド・アスラーウィー
29. ジャマール・スライマーン(最高交渉委員会、カイロ・プラットフォーム)
30. フィラース・ハーリディー(最高交渉委員会)
31. カースィム・ダルウィーシュ
32. アフマド・アフマル
33. アンマール・ナッハース(最高交渉委員会)
34. アシュタール・マフムード(モスクワ・プラットフォーム)
35. ユースフ・サルマーン(最高交渉委員会)
36. ムハンナド・ドゥライカーン(最高交渉委員会)
37. サーミー・バイティンジャーナ(モスクワ・プラットフォーム)
38. カーミーラーン・ハーッジュー(シリア・クルド国民評議会)
39. ヒンダーウィー・アブー・アラブ(最高交渉委員会)
40. マラフ・バカーイー(最高交渉委員会)
41. ターリク・クルディー(最高交渉委員会)
42. アワド・アリー(離反警官)
43. ニブラース・ファーディル(元大統領付経済顧問)
44. マフムード・アトゥール
45. カブリーイル・クーリーヤ(アッシリア民主機構)
46. ムハンマド・ラシード
47. サフワーン・アッカーシュ(最高交渉委員会)
48. イドワール・ハシューワ
49. ムハンマド・アリー・サーイグ
50. ムハンマド・サアディー

市民社会代表(50人)

1. ハーディヤ・カーウカジー
2. ハラー・ナウーム・ナフマ
3 イサーム・タクルーリー
4. ダッハーム・アフマド・ハーディー
5. イーマーン・シャフード
6 イサーム・ザイバク
7. ハーズィム・ファスィーフ・アッシー
8. ドゥルスィーン・フサイン・ウースカーン
9. アンサーフ・ハマド
10. アナーム・イブラーヒーム・ナイユーフ
11. ジャーフィヤ・アリー
12. イブラーヒーム・ダッラージー
13. バフジャト・ハッジャール
14. ジョルジュ・イリヤース・シャムウーン
15 ハイサム・ムハンマド・マフルース・ハサン
16 アッブード・サッラージュ
17. アフマド・ターリブ・クルディー
18. アブドゥルアハド・サムアーン・ハージュー
19. ラバー・アブドゥルマスィーフ・ミールザー
20 アリー・ムハンマド・アスアド
21. アリー・アフマド・アッバース
22. ウンス・ガサーン・ズライア
23. サービル・アリー・バッルール
24. ジャマーナ・カッドゥール
25. ハーリド・アドワーン・フルウ
26. ムハンマド・ガッサーン・カラーア
27. ムハンマド・マーヒル・カバーキービー
28. スライマーン・アブドゥッラー・カルファーン
29. マイス・ナーイフ・クライディー
30. サミーラ・ムバイヤド
31. スーニヤー・ムハンマド・サイード・ハラビー
32. スーマル・ムニール・サーリフ
33. サマル・ジョルジュ・ドゥユーブ
34. ライーファ・サミーア
35 ウマル・アブドゥルアズィーズ・ハッラージュ
36. ラグダー・ザイダーン
37. スバーフ・ハッラーク
38. ラシャー・ユーヌス・ラフラフ
39. ムーサー・ハリール・ミトリー
40. ナーイル・ジルジス
41. ムナー・ジュンディー
42. ムナー・ファドルッラー・ウバイド
43. ムナー・アスビールー・サッルーム
44. マムドゥーフ・タッハーン
45. ムナー・ハイティー
46. マーズィン・ガリーバ
47. マーズィン・ダルウィーシュ
48. イーラーフ・ヤースィーン
49. ムハンマド・ハイル・アイユーブ
50. カーイク・クワイジャ

制憲委員会の課題

委員会は数週間以内にスイスのジュネーブで開催されるという会合で、共同議長(シリア政府側1人、反体制派側1人)、憲法草案を準備する小委員会45人を選出し、議事を進行する予定で、採決は合議制(4分の3以上の賛成によって可決)となる見込み。

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なお、『シャルク・アウサト』(9月24日付)によると、制憲委員会のメンバー150人は、9月16日のトルコの首都アンカラでのロシア・イラン・トルコ首脳会談の前には確定していたが、国連安保理決議第2254号に沿った動きであることを強調するために、グテーレス事務総長が国連総会に合わせて設置を宣言するかたちをとったという。

なお、委員会の運営方法については、シリア政府、反体制派の間で合意は成立していない。

国連安保理決議第2254号の規定に従った日程で、新憲法起草、国連監視下での自由で公正な選挙の実施を実現しようとする動きはあるが、憲法をめぐる協議に関して、シリア政府は現行憲法(2012年)を評価することから始めることを主張しているのに対して、反体制派は1954年憲法をもとに新たな憲法を起草することを求めている。

その一方、シリア北東部を実効支配する北・東シリア自治局はこの政治プロセスから完全に排除されている。

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制憲委員会の委員に選ばれた最高交渉委員会メンバーの1人イブラーヒーム・ジャバーウィー准将がスマート・ニュース(9月23日付)に明らかにしたところによると、委員会の人選は、シリア政府がサーム・ダッラ氏、サーミー・ハイミー氏、スライマーン・カルファーン氏が反体制寄だとして、委員となることに難色を示していたことで難航していたという。

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