シャーム解放機構は拠点として使用するイドリブ県内の文化センターを医療施設に転用することを合意した地元名士の要求を拒否(2020年4月11日)

英国を拠点に活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(3月5日深夜)してから37日目となる4月11日、シリア・ロシア軍、トルコ軍の爆撃は確認されなかった。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を確認しなかったと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を1件(イドリブ県0件、ラタキア県1件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるカフルバッティーフ村一帯、バーラ村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、カフルバッティーフ村では、地元名士が、シャーム解放機構の拠点として使用している文化センターを医療施設に転用することを合意したが、シャーム解放機構はセンターからの退去を拒否した。

このほか、トルコ軍は、戦車、装甲車など55輌からなる車列がアレッポ県アフリーン郡方面から県内に進入させた。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるハッダーダ村一帯を砲撃した。

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ダルアー県では、HFL(4月11日付)によると、東ムライハ村と西ムライハ村を結ぶ街道に位置する空軍情報部の検問所が何者かの攻撃を受け、シリア軍兵士複数人が死傷した。

AFP, April 11, 2020、ANHA, April 11, 2020、AP, April 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 11, 2020、HFL, April 11, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, April 11, 2020、Reuters, April 11, 2020、SANA, April 11, 2020、SOHR, April 11, 2020、UPI, April 11, 2020などをもとに作成。

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